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フェナの出産と学園へ入学

月日は流れてセリスは13歳になった。

その間は、フェナが「エクサホーリー」を撃ちまくって順調に稼いでいた。


「私だって活躍したわよ!」

うん、たまにセリスの説得が成功する時もあった。たまにね・・・


フェナの結婚騒動はセリスが9歳の時、アッサリと幼馴染と結婚して終了した。

しかもカターニア公爵家の執事さんとだ。


「最初からその幼馴染と結婚すりゃあ良かったじゃ無いの!」


「だってだって、彼は私が嫌いだって5歳の時に・・・」


「アホかー!」と言うやり取りがあったが、おめでとうフェナ!


13歳になったセリスは王立学園へ入学する年齢になったのでフェナとミミリーとでせっせと準備している。


「いや、あんた達なんで私にまだ仕えてんの?」

前と変わらずにセリスの部屋に居座り作業をしているミミリーとフェナを見てセリスが2人に尋ねると・・・


「そりゃ、家は共働きで、カターニア公爵家がなんだかんだで給料が良いからに決まってるでしょ?」

お腹に2人目の赤ちゃんが居るミミリーが答える。


「無理だけはしないでね」


「2人目だからね、慣れてるから大丈夫だって、ありがと」


「私もお嬢様の仕事を手伝うと特別報酬がそれは美味しくて美味しいて、やめられないですね」

フェナが聖女として働くと報酬の半分を渡しているのだ。


しかし!もう臨月が過ぎてお腹がパンパンのフェナがそう、答えると


「いや!あんたは明日・・・今日から、いや今すぐ産休だから!有給出すから!

部屋はそのまま使って良いから!怖いから!お願いだから今すぐに休んで!」


「旦那さんの実家へ帰れー!」


こうしてフェナは強制休暇に突入した。

ちなみに旦那さんと両親はカターニア公爵家の社宅住まいだ。

実家まで歩いて10分で到着した。ゆっくりお休み。


なんて言ってたらフェナはその夜に陣痛が始まって朝方に男の子を出産した。


当然、カターニア公爵家は上へ下へのもう大騒ぎのお祭り騒ぎになった。


「あっぶな!寿命が3年は縮まった・・・ミミリーはマジで無理はしないでね!」


「そうだね、さすがに私もフェナにはドン引きしたわ」


何はともあれ、フェナ、男の子の出産おめでとう!


それから学園の入学までの1か月間は慣れてない母親フェナの代わりに赤ちゃんの世話にかかりきりになった乳母セリス。


今日もオムツを取り替えていると・・・


「本当にお嬢様の赤ちゃんの扱いの上手さには驚きます」

あまりのセリスの手際の良さに母親なのに赤ちゃんに触れないフェナが呟く。


「そうかな?普通じゃない?」 


「いや、私の子供の時もお世話してくれたけどセリス様の手際の良さは熟練の乳母以上ですよ、まるで何十人の赤ちゃんのお世話した感じが出て自然なんですよ」


そう言いながらセリスの手元をじーと真剣に見てるミミリー。


「なんと言うか・・・出来て当然って感じです」

また何も出来ずに終わったフェナがとりあえず我が子の頬を撫でる。


実際に前世のセリスは子供5人、孫13人、曾孫38人、玄孫101人のお世話をしていたので無意識で赤ちゃんのお世話が出来る。


セリスは赤ちゃんは大好きなのだが可愛いがるだけが子育てでは無いのだ。


手間がかかる天使なのだ。


ちなみに前世では市民会館で子育ての講師として呼ばれて講演もしたりしていた。


その後亡くなる3か月前に「玄孫さん101人のおばあちゃん」のタイトルで全国放送のTVにも出た事もあった。


何とビックリ!TV出演した時に始めての「来孫」を抱っこしていたのだ!


隠されたセリスの恐るべき特殊能力なのだ、年季が違い過ぎる。


そんな事をしていたら学園入学の日がやって来た。


「いや、歩いて行くよ」


「ダメです!初日はちゃんと馬車でお行きなさい!」


母のバーバラに嗜められるセリス、学園は小道をのんびり歩いて30分で着く近場、大通りを馬車で行くのと変わらないのだ。


なので学園は寮に入らずに通学で通うのだが建前上、公爵令嬢としては馬車で正門に乗り付ける必要があるのだが、セリス的には「意味分からん」感覚だ。


「じゃあ、今日だけは馬車で行きます」

そう言って渋々馬車に乗り込んで学園に向かい速攻で後悔する。


馬車の大渋滞だ。


生徒と保護者の馬車が大通りを埋め尽くしていたのだ。

「だから歩いて行くって言ったのに・・・」

セリスはそう言うが、この馬車の渋滞も国の権威を示すイベントの一つなのだ。


海外からの留学生に、

「どうだ?うちの国凄いだろ」と見せるのだ。

セリスには全く理解出来ない考えだが。


そんな中をカターニア公爵家の家紋が入った馬車が進む。


「まぁ見て、カターニア公爵家の馬車よ」


「確か長女が今年入学だったよな」


「セリス様ー!」


道端で見学している市民がカターニア公爵家の馬車を見て湧き立つ。

「慈愛のカターニア公爵家」は市民に大人気なのだ。


声をかけられて手を振られて、セリスは苦労が報われる思いだ。

「まっ!たまには良いよね!」と馬車の中から手を振り返すセリス。


「ワアアアアアアアア」と道端の市民から歓声が上がった。

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