表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/44

クソ親父との出会い。

西の大陸でゴルド王国とヴィグル帝国の戦いが激化してセリスの住むピアツェンツア王国もヴィグル帝国側での参戦が秒読み段階に入った頃の話し。


「うう・・・やっぱりお肉代が・・・とぉーっても増えております。

お誕生日会での豪遊が尾を引いてるわね・・・」


一般的な貴族の感覚ではそこまで豪遊(公爵家としてはかなり質素)していないが今月のベン精肉店からの請求書を見て唸るセリス。


アレやコレやと金策を考えてるセリスの所にフェナが、「お嬢様、なにか怪文書が来ましたよ」と手紙を持って来た。


「いや、栄えある9歳のお誕生日を迎えたばかりの主人にそんな怪文書を持ってくんなよ・・・」


「いえ、「金稼げるぜ?」とか封筒の表にデカデカと書いてあるので・・・」

封筒に書かれているフェナにとってはメッチャ見慣れた筆跡を見ながら呆れた様子のフェナ。


「お金を稼げる?!貸して!見るから!」フェナから手紙を奪い取る現金セリス。

セリスが速攻で手紙に食いつく様に封筒に小賢しい細工をする送り出し人もなかなか巧妙である。


そして封を切って手紙を内容を検めると、「いや、怪文書って・・・冒険者ギルドのハイマスターからの手紙じゃない。・・・しかも国からの正式な依頼って何の事やら?」

想像したいたよりもかなりまともな手紙に怪訝そうなセリス。


「おいおい一体何事なんじゃい?」と更に手紙を読み進めると・・・


「ああ~、要約するとジャックさんとの仕事が冒険者ギルドにバレて、このまま放置するとお前の家の税金がヤバい事になるから、一度確定申告をやり直しにギルドに顔出せやって事か~・・・やっぱり放置するのマズイよね~」と項垂れた。


普通は税務署に直接申告をするのだが今回は冒険者ギルドを介した報酬だったので冒険者ギルドを通した方が処理がスムーズになるとの事。


稼いでる金額が大きいので追徴課税が来るだろうなぁ~と思っていたら、やっぱり来た。

勿論その税金分は使わずに残しているのだが・・・やっぱり税金に全部持っていかれるのは少し悲しい・・・


「ちっ!9歳児に追い込みを掛けるとは、国営ヤクザめ・・・」

思わず品の無い事を呟くセリスだが税務署としても親と話すより権限を持っていて交渉がやり易い娘と話す方が話しが早いので仕方ない。


税務署にはセリスがカターニア公爵家の財政を握っている事がモロバレしているのだ。

そして何の疑問もなく9歳児と交渉しようとする辺りがプロフェッショナルである。


「やくざって何ですか?それよりも税金がマズイんですか?」フェナが首を傾げる。


「うん、手紙にはヤベェ金額の追徴課税が来るぞっ!って書いてる。

てか、これのどの辺がお金を稼げる話しだっちゅーねん?」

お金を稼げるどころか逆に大金がサヨウナラしてしまう事案である。


「追徴課税ってヤベェ響きじゃじゃないですか!」

税金の詳しい事は知らんが「追徴課税」がパワーワードなのは知っているフェナ。


「そうですね。マジでヤベェですね。なので冒険者ギルドへ行きます!」


「あ・・・」


「ん?何?フェナ?」


「あー・・・いえ、何でも」


「???」


こうしてセリスは見事に冒険者ギルドのマスターに釣り出されてしまったのだった。


普段ならギルマスから手紙を寄越されたくらいでは冒険者ギルドに行かないのだが追徴課税・・・コイツだけはマジヤベェ。

何せ追徴課税を更に遅延させると30%の割り増し料金だからね!早く確定申告をせねばならん!


そう言う経緯もあって可能な限りは冒険者ギルドに近寄りたくはないがセリスは冒険者ギルドへ向かうのであった。


冒険者ギルドに近寄りたくない理由としては冒険者ギルドが後宮の一部にあり王妃ファニーの管轄で高確率で王妃ファニー本人や側近達と遭遇してお泊り(拉致られる)になるからだ。


最近は王妃ファニーが冒険者ギルドと組んで何かやっていて頻繁に冒険者ギルドに現れているとの情報も入っている。


後少しでセリスにとっても大きな騒乱が始まろうとしているのだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




急いで冒険者ギルドに行こうとしていたのだが今日に限って家の馬車が父の仕事で使われていたので「ドレスを着たままでの5kmマラソン」を敢行して冒険者ギルドへ到着した汗だくセリスとフェナ。


「こ・・・コレ・・・お願い・・・します。ウエエ!!ゲホゲホゲホ」


「大丈夫ですかーーーー?!?!」

窓口に来るなりいきなり死にそうな幼児を見てビックリしている受付の男性職員。


9歳児の短い足で3kmも走ると凄え疲れるのだ。

それ以前にドレス姿で街中を3kmも走る公爵令嬢はセリスくらいなモノなのだが。


裏門から後宮を真っ直ぐに突っ切ると冒険者ギルドまで500mも無いのだが「飛んで火に入る夏の虫」になるので正門から出て大通りを城壁沿いにグルリと回ったのだ。


ならまたフェナに乗れば良いじゃん?と言われると楽する事に慣れてはダメだとの持論がセリスには有るので有事の時以外はちゃんと自分の力で走るのだ。


根は真面目な幼児なのだ。


受付で手紙を見せてギルドマスターとの面会を要請すると、「え~と・・・はい!大丈夫ですね、今からマスターの部屋へ案内します・・・違う意味ですが本当に大丈夫ですか?」

公爵令嬢とは思えない程に疲れた果てた様子のセリスを心配する受付の男性職員。


「らいりょうふれふ」全然大丈夫じゃないセリス。


「お茶・・・より水の方が良いですね?直ぐにマスターの部屋に持って行きますね」

男性職員がそう言ってギルドマスターの部屋へと案内してくれる。


「ありふぁとうほはいひぇす」もう何言ってんのか分からんセリス。

こうしてセリスの心肺機関と足腰は鍛え上げられて強靱になって行くのだった。


ギルド内部はなんと言うか・・・「ここは市役所ですか?」と言いたくなる佇まいで受付がある円形のホールには10ヶ所以上の各種の受付窓口がある。


実際に一般人向けの市役所として機能しており大勢の王都民が様々な公的な手続きをやりに訪れているのでガラの悪い冒険者などは見当たらない。


「・・・ここって酒場とかないの?」


「何で冒険者ギルドでお酒を飲むんですか?」公共機関で何で酒を飲むのか分からんフェナ。


「いや・・・何となく」

ファンタジー定番のガラの悪い冒険者に絡まれるテンプレは起こらなさそうで少し残念なセリス。


そう言った問題を起こしそうな荒っぽい冒険者の連中は「憲兵隊の隊舎の隣にある大衆居酒屋」に隔離されております。


後で知ったのだが「ガラが悪い冒険者専用の入り口」があり正面入り口を使用するガラの悪い冒険者はあんまりいないとの事。

何でも自分を見るあの冷めた目が辛いとの事・・・


事前に様々なトラブル防止策を講じているなかなか危機管理がしっかりした冒険者ギルドである。


男性職員に案内されてセリスとフェナが廊下を歩いていると大量の書類を抱えてずっこけた女性職員がたまたま通り掛かったイケメン男性職員に助けらてポッと頬を赤らめていた。


「お約束やね」

やっと来た恋愛テンプレを見て喜んでいたセリスの隣で「いいなぁ」とフェナの凄え寂しそうな声が聞こえた。


「私が絶対にお婿さんを見つけてあげるからね!」

自分の婚約者すらいない9歳児が何かを言っております。

しかしこの時点でフェナが執事のクロード君と懇ろの関係になっている事を知らない。


「はっはい?ありがとうございます??」

フェナ的には「帰ってクロードと早くイチャイチャしたいなぁ」と思って呟いただけである。


近い将来この廊下を「勝手に上がって下さいね。ギルマスの部屋の場所なら知ってますよね?」と言われ何度も何度も1人で歩く羽目になる事を今のセリスはまだ知らない。


今日は来所初日なので職員も丁寧に案内してくれてるが、その内にセリスへの扱いがめっちゃ雑になるのだ。

何なら冒険者ギルドの職員達から「同僚」と思われてしまうのだ。


ギルドマスターの部屋の前まで来ると「マスター?お客様です」と扉をノックする男性職員。

すると「どうぞ」と中から声が聞こえたので職員は扉を開けて「お入り下さい」と部屋の中に入れてくれる。


そしてセリスが部屋の中に入ると・・・「いや!書類の山しか見えんじゃねえか!」

セリスの目の前50cmまで大量の書類が積み重なっていたのだ

現在9歳のセリスの身長は120cm、まだまだ小さい幼児なのだ。


「やあ、よく来てくれたね。君がセリスさんかい?」と書類の山の向こうから声が聞こえるが。


「いや、あんた私の姿が見えてんの?」思わずツッコミ入れるセリス。


「いや全然見えん」


「もう!毎日仕事終わりに少しずつでも片付けなさいよ」


何故か知らないがスムーズに叱責の言葉が出る。

口の悪いセリスだが流石に初対面の人間相手にこんな叱責などは言わないはずなのだが?


「あれ?何で私・・・うわあ?!」


「悪い悪い。驚かせたか?」ぬうっと、書類の山の向こうからジャックほどではないが筋骨隆々な大男が現れる。


「デカ?!筋肉の塊!!!ステーキにして食ったらめっちゃ筋だらけで固そう!」


「なに?俺ステーキにされんの?

ジャックの言う通り、本当に失礼な嬢ちゃんだな」


そう言いつつ大男が何をするのか?と思ったら脇に手を突っ込まれてヒョイと持ち上げられた。

よく猫にやって猫が縦にビョーーーンと伸びるヤツね。


「おい?一応言っとくが私は公爵令嬢だぞ?」幾らなんでも猫ビョーンは不敬である。


普通、こう言う無礼な事をセリスがされた場合は真っ先に専属護衛騎士のフェナが止めるのだが・・・今日に限ってなぜか何も言わんのだ。

「なしてコイツ何も言わないんだ?」と思ってギルドマスターを改めて見て納得した。


「硬え事言うなよ、嬢ちゃんはいつもジャックに肩車して貰ってんだろ?」

そう笑うギルドマスターはフェナの好みだろうと思われる結構なワイルド系イケメン筋肉親父だったからだ。


それならば・・・やる事は一つ。


「ギルドマスターさん!結婚して下さい」


「ん?俺と?嬢ちゃんが?」


「いえ、ギルドマスターさんとフェナ・・・私の護衛騎士と結婚して欲しいです」


ギルドマスターは「ん?」と言った感じでフェナを見て、「俺とフェナが結婚??いや、妹とは結婚は出来んぞ」と笑われた。


「私も兄ちゃんと結婚なんてマジ勘弁です。それならお嬢様と結婚します」


「酷え!」


「兄弟なの?!?!

フェナ!そう言う大事な事は先に言えー!!って今アンタ凄く不敬な事言わんかった?」


「気のせいですよ?それよりセリス様は知ってると思ってましたよ?!」

カターニア公爵家の護衛騎士フェナが冒険者ギルドマスターの妹なのは王都民でも割と有名な話しだ。


「知らんわい!今初めて知ったわい!

つーか私の情報をギルドマスターに流したのお前だろ!!」


「違いますよ!前に兄さんと食事した時に酒の肴にお嬢様の話題で盛り上がっただけですよぉ」


「そう言うのを「情報を流す」って言うのよ!」


このギルドマスターの名前は、イノセント・クーガーでフェナの本名はフェナ・クーガーで2人は8歳の差がある実の兄妹である。

なのでイノセントがセリスを持ち上げてもフェナは特に何も言わなかったのだ。


「はあ、分かったよもう良いよ・・・

ところでイノセントさん?この体制は地味に疲れるからせめて肩車をして下さい」

長時間の猫ビョーンは脇が痛くなるのだ。


「おう、分かったぞ」ヒョイとセリスを肩車するイノセント。

精神的には大人だが大きな大人を見ると子供の本能で肩車を所望するセリスだった。


「・・・これだと、なんか話し辛くね?」


「そうですね、これはダメですね。やっぱり降ろして下さい」


それでイノセントから降りたのだが、やはり書類の山にスッポリと埋もれるセリス。


「手伝ってやるから話しの先に書類の整理するぞ!クソ親父!」

出会ってたったの15分でイノセントに対して「クソ親父」の愛称?が定着したセリスだった。


カサカサカサカサ、トントン、ガサササササササ、トントントン、


「早ええ?!」

一心不乱に書類の片づけをするセリス。これはセリスの前世での本能である。


前世での漁師生活では狭い漁船内で物が散らかっているのは命関わる問題である。

知り合いの漁師が自分がさっきまで飲んで置いたペットボトルに自分の足を滑らせ海に落ちて亡くなった痛ましい事故もある。

徹底的な整理整頓が日常の船の上で生きて来たのだ。


そう言った前世の時の感覚があるので自分の部屋の掃除は自分でやる癖が生まれながらに身についているのだ。


その感覚でもこの部屋はダメだ!レッドカード1発退場なのだ。


「何でこんなに書類を溜め込んでんのよ!」

《片付けが苦手とか・・・あの人を思い出すのよ!》とセリスは思い・・・「えー?あの人ってどの人よ?」と1人でクスっと笑う。


「いや~?片付けるより先に他の書類がドンドン来ちまってよ」

セリスが片付け始めたので仕方なく自分も片付けるイノセント。

当然ながらフェナは何もしない。と言うか護衛の任務があるので出来ない。


ガサガサガサガサ、トントントントントントン、


「兄さん?官侍女さんか片付けメイドさんを雇えば良いじゃないの?」

「官侍女」とは分かり易く言うと「書類整理専門の事務員さん」である。

主に下級貴族の女性が空いている時間に時間給で働く場合が多い。


「そうなんだがなぁ。

定期的に募集を出して雇うんだが仕事量が多くて中々定着してくれなくてなぁ・・・

給料を高く設定しても直ぐに他に行っちまうんだよなぁ、ここより仕事内容が楽だからな」


「まあ、冒険者ギルドですもんね」


冒険者ギルドに限らず軍務省などの武系の職場は官侍女やメイドさん達には敬遠されがちである。


理由は単純に武系は残業が多いからである。

そして緊急事態が発生したりすると時間無制限になるケースが多い。

それなら定時がハッキリしている文系の職場に行ってしまうのだ。


「ん?そうだ!嬢ちゃんが1日金貨1枚で片付けのアルバイトやんね?実働5時間で」


「やります!よろしくお願いします。契約は今日からで良いですか?」即決セリス。


「決断早えな」


「お嬢様ですからね」


金貨1枚・・・日本円に換算すると約1万5000円だ?!

実働5時間で1万5000円?!時給3000円だと?そんなモンやるに決まってるだろ!


「お、おう、じゃあよろしく頼むわ」イノセント的には冗談のつもりだったのだが・・・

セリスちゃん!書類整理のアルバイトをゲットたぜ!


金貨1枚に気合いが入ったセリスは3時間で書類整理の作業を終わらせて無事に金貨1枚をゲットする。


「凄えな・・・床が見えたの久しぶりだぜ」


「ただ項目毎に整理しただけで内容の確認をした訳じゃないからね?

今日の夜は書類精査の仕事をキリキリ頑張れ」


「結構仕事に対して厳しいな・・・」


暫くの間行方不明だった来客用の机と椅子が発掘されたのでササっと拭き掃除をして座り本題の追徴課税の話しに入る。


「これが追徴課税の「予定されてる」金額だ」なぜか予定を強調するイノセント。


「うっ・・・240万円(相当)・・・」

セリスが想像していたよりは多少は安かったがそれでもヤバい金額だ。


「支払いの「予定」は2ヶ月後だな」さっきからあくまで「予定」だと強調するイノセント。

これは・・・コイツは何か良からぬ事を企んでいるぞ?


「マスターさん・・・高位貴族のアレやコレで何とかなりませんか?」

ド直球で抜け道や不正ギリギリで何とかならんか?と聞く高位貴族のカターニア公爵家令嬢のセリスさん。


「よぉし!嬢ちゃん「特別公務」ってヤツを知ってるか?」我が意を得たイノセント。


「特別公務?えーと?確か・・・貴族を対象に国が一時的に給金を払って公務をさせる制度ですよね?」


例えば急に盲腸になって入院してしまった領主の代わりに治療期間中は他の領主に兼任で公務を行ってもらいその期間の礼金を国が支払う制度の事だね。


「そうだ、追徴課税分をギルド発注の特別公務で働かないか?」

冒険者は自由市民だが、それを管轄している冒険者ギルドは公的機関なので特別公務の適用範囲内なのだ。


「働きます!よろしくお願いします」即決セリス再び!


「お、おう・・・フェナ・・・聞いた通りの嬢ちゃんだな」


「フェナ!あんた、どんな話しを兄貴に吹き込んでるのよ?!」


「ありまま、全てです」ドヤ顔のフェナ。


「主人を売っておいて何でそんなに偉そうなの?!」


実の所でフェナはふざけて冒険者ギルドに情報を流している訳ではなく、霊視さんβより「セリスの安全確保」依頼されている。

冒険者ギルドにもセリスの安全を担保して貰おうと企んだいるのだ。


これからセリスは結構あっちこっちから身柄を狙われる可能性が有りそうなので安全確保の為に一時的に霊視さんβの配下になっていたりする。

ちなみにこの一連の流れは王家にも伝わっており公認されている。


兄イノセントへのセリスの情報開示も霊視さんβの指示によるモノだ。


そしてフェナは霊視さんβから得たセリスの情報をセリスに隠すつもりは毛頭も無い。

もしセリスに危険が迫れば即座に「霊視さんβの正体」と「セリスの本当の秘密」も含めて全てをセリスにぶっちゃける所存なのだ。


実の所でフェナは「如何なる人間の国家にも属してない人物」なので国に対する守秘義務も持っていない。

何でフェナがそんな自分勝手な事が可能なのかはその内判明します。

幼い見た目とアホな行動に似合わない割とヤベェ権限を持っている奴なのだ。


話しを戻して何はともあれ追徴課税・・・このコンチクショウは何とかなる感じになって来た。


それから特別公務の内容の話し合いになった。


「それで何をするの?」


「無論幽霊問題関連だな。

教会とあまり関係性が良くない貴族連中とか、納める寄付金がない庶民連中がギルドに仕事を依頼して来るんだが・・・幽霊関連の対処が出来る冒険者が少なくてなぁ」


「ふーん?それで私が探知装置になれば良いのね?」

どうせ霊視さんの事もバレてんだろ?と、イノセントにカマを掛けるセリス。


「その身も蓋もない言い方何とかならんモンかね?実際にその通りだけどな」


「ハッキリと物を言うのは生来の物なので私にもどうにもなりませんね」


「本当に変わった公爵令嬢だな」


公爵令嬢だろうが、どうにもならん物はどうにもならん。

そして口が悪いのもどうにもならん・・・いや、そこは直ぐに治せよ。


「分かっていると思うけど私は戦えないわよ?

それと霊視さんを使用する際は特別スキル報酬も追加でお願いします」


霊視さんのモノは自分のモノ、自分のモノは自分のモノなのだ。

貰える金は全て頂戴する所存なのだ。


「ちゃっかりしてんな~。分かったよ、特別スキル報酬上乗せしとくよ。

そんで報酬追徴課税分は分割払いにして特別公務の報酬と天引きで余剰分は現金で手渡すよ。

契約的にはこんなモンか」


「話しが早くて助かります。それで契約しましょう」


「本当に9歳か?」


「一昨日9歳になりましたのよオホホホホ。

一昨日は優雅にお誕生日会をやりましたのよオホホホホ~」


「それで何で今日は仕事してんの?」


「そのお誕生日会で今月分の生活費を使っちゃたからよぉー!!」


「公爵令嬢って大変なんだなぁ」


しみじみと言うイノセントだがそんな訳あるかい!

カターニア公爵家が異常なだけなのだ。


普通の公爵令嬢はナイフとフォークより重い物は持たないのだ。

しかしそれは言い過ぎで中世ヨーロッパの令嬢達は日々暇を見つけては筋トレしていたと歴史書には書いてあります。

中世のドレスはアホ見たいに重いからね。


そんなこんなで冒険者ギルドの仕事を始めたセリスだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ