幽霊退治屋セリス登場!
このお話しは既に投稿してます幽霊退治セリスを改稿したパワーアップバージョンです。
基本的なお話しは余り変わっていませんが他作品との兼ね合いから所々に細かい設定変更がされてます。
前作で書いていない新エピソードが大幅に追加されていますから前作を読んだ方にも楽しめる作りになっています。
具体的にどれだけ新エピソードを追加されてるねん?と聞かれますと前作がおおよそ14万字程度でしたが今回は40万字程度になる予定であります。
あと、このお話しを含めまして「魔法世界の解説者シリーズ」は全て「ファンタジーギャグ小説」になります。
なので随所にご都合的展開も多く含まれていますので深く考えず読み飛ばして頂けると幸いです。
何分にも文法ド素人が書いてる作品なので生暖かい目で見て下さると嬉しいです^^
それでは「幽霊退治屋セリスパワーアップバージョン」を開始します!
魔法世界の南方に位置する南の大陸、一応この大陸には誰が付けたか分からない「バビロニア大陸」との正式名称もあるのだが住んでる者も含めてほとんど誰も正式名称で呼ばずに大体は南の大陸と呼ぶ。
何で?と聞かれると「知らん」としか答えられない。
皆んな忘れているんじゃね?知らんけど。
その南の大陸の更に南方の原生林豊かな大森林地帯に聳え立つ「魔王城」、ここはヴァンパイア達が支配する魔なる者達の領域である。
たまに超ハイグレードモンスターのベビモス君達が来るのだが何しに来るのか誰も知らない。
この世界のヴァンパイア達はアンデットモンスターでは無く太古の昔に過酷な環境に適応する為に人間から進化した言わば「亜人種」である。
吸血鬼らしく顔色が悪い・・・とかも無く見た目は完全に普通の白人さん達なのでヴァンパイアと判別するのには鑑定魔法を使うしかない。
一応はヴァンパイアなので噛み付いた相手を吸血鬼化させる事も出来るが相手と共に複雑な儀式が必要なので完全なる同意が必要だ。
なのでもっぱら吸血鬼化は他種族の相手との婚姻の儀式としてしか利用されていない。
ちなみに魔王の嫁さんは儀式で吸血鬼化した元人間で嫁さんの方からの猛烈な嫁入りアタックがあったとの事。
吸血鬼なので吸血行為をするのか?と言われると味覚がまんま人間なので「ぐええ?!血生臭せえ!」との理由で吸血行為をする者はほぼいない。
人間相手にジョッキ一杯になみなみと注がれた血を一気飲みしろと言っても「いやあああ!気持ち悪い!飲む訳ねえだろ馬鹿!」と返されると同じ理由である。
要するに、この世界のヴァンパイアは「魔力が凄く高い牙をはやした人間」だと思ってくれて良い。
そんなヴァンパイアの魔王と何者かの人影が魔王の間にて何やら密談をしている。
「ふう・・・カターニア公爵家の娘に3歳の誕生日が来たそうだな?」
「当然知っているわ・・・うふふふふ、そうね、やっとあの子が3歳になったのよ魔王・・・
遂に・・・遂に私が動き出す時が来たわ」
「あまり気が進まんが約束だから仕方あるまい。
分かっておると思うが絶対に無理はするなよ?・・・・・・・死ぬぞ?」
「分かっているわ」
ヴァンパイアを相手に何やら「死ぬ」だのと不穏な話し合いをしているこの女性は何者?
「うふふふ・・・あの子の未来、しっかりと見届けさせてもらうわよ」
「・・・・・・・・・・・だからマジで無理すんなよ!
このエルフ本当に大丈夫かなぁ?儂の言ってる事をちゃんと理解している?」
「魔王しつっこい!!大丈夫、だーいじょうぶ、だって」
「信用出来んのう・・・無理したらまた保護者にチクるからな?」
「それは止めて下さい」
魔王とフランクに話すこの女性は本当に一体何者なのだろうか・・・エルフさんらしいが。
そして彼女の目的とは?「あの子」やらの運命は?
この密談から5年後の「あの子」が8歳になった時から物語が始まる・・・
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くどい様だが、ここは魔法がある世界・・・本当にくどいね!
その世界の中央大陸に存在するピアツェンツェア王国。
中央大陸と言っても最南端でも赤道から北緯15°北寄りに外れているのはご愛嬌である。
若干縦長な大陸で最北端の地方は北緯48°付近になるので冬には氷点下20℃を下回り積雪3mを超える豪雪地帯である。
気候的には日本と良く似ているかも知れない。
ピアツェンツェア王国はそんな中央大陸の中央部に王都を構える中央大陸の70%を支配している超大国である。
1500年ほど前に西の大陸からの移民達によって起こされた国である。
余談だがこの大陸の正式名称は「レッジョ・ディ・カラブリア」なのだが南の大陸同様に地理学者や公的な文章を扱う者以外で正式名称で呼ぶ者は少ない。
これは理由がわかる。だって名前が長すぎるモンね。
そんなピアツェンツア王国に存在している3大公爵家の一つにカターニア公爵家がある。
かの家は国内でも絶大な権力を誇り、また国内有数の超がつく「貧乏」な公爵家だった。
何で?と言われても実際に貧乏なのだから仕方ないのだ。
貧乏な理由は主人公がおいおいと語ってくれるだろう。
そんなカターニア公爵家に産まれた長女、現在8歳の娘が「セリス・フォン・カターニア」だ。
彼女がこの物語の主人公である。
父親譲りの美しいハニーブロンドの長い髪に母親譲りのサファイアブルーの瞳を持ち、将来は美人さん確定のお人形さんの様な女の子である。
ハニーブロンドとプラチナブロンドって何が違うの?と聞かれると、「ハニーブロンドの方が金色が濃い」との認識で良いだろう。
プラチナブロンドは青髪や銀髪も含まれているからね。
そんなセリスが、「おとうさま!まずはおいえのことからです!」と、舌足らずの言葉で一生懸命に必死で父のコーバス公爵を諫めている。
「うむうむ、そうだなセリス、それは大事な事だな」
必死で自分を諌めて来る可愛い娘の頭をヨシヨシと撫でるコーバ公爵だが娘のセリスにしては、たまったモンではないのだ!
「おとうさま!ベンせいにくてん、と、とりひきが、ていしすると、カターニア家はおわり、なのですよ!」
「ええい!幼児の口じゃあ上手く喋れんわい!つーか何で8歳児にもなって未だにちゃんと喋れんのだ?!」と自分の口の不甲斐無さに憤慨するセリス。
舌足らずなのは単に成長途中のセリスの口が小さいだけである。
舌足らずなのは1年と掛からずに直ぐに治るのだが・・・
彼女は根本的に「口が悪い」のだ。
表向き普段は淑女らしいお淑やかな喋り方だが、周囲に知らない人が誰も居ない時とか怒った時に途端に口が悪くなる性質がある。
と言うのも最初にぶっちゃけると彼女の前世は日本人だったからだ。
元日本人だと口が悪いのか?と言われるとそうでは無く前世の彼女の生き様が先天的にセリスの口を悪くしている。
セリスの前世は、西暦1914年、大正3年の第1次世界大戦が開戦した年に日本人の八千代として北海道で生まれて激動の大東亜戦争(太平洋戦争)を経て平成の中期まで99歳まで長生きした苦労人だった。
そんな八千代が亡くなった時・・・
「うおお!!マジか!100歳まで生きられんかったとは!少し残念!」
と・・・とぉーても元気な最後の言葉を残しての素晴らしい大往生だったと言う。
あまりにも元気ハツラツな最後の言葉だったので亡くなってから最初の5分ほどは医者すら八千代が亡くなった事が分からなかったとの事だった。
「あれ?八千代さん?・・・ああ!?!?亡くなってます??あれ?本当に?」
医者も半信半疑で静かになった八千代の脈を測るとやっぱり亡くなっていた・・・
そしてようやく嘆き悲しむ八千代の最後を看取った「200名弱」の親族達と知人達・・・いやめっちゃ多くね?200人とか病院の部屋の中がパンパンじゃん?
廊下か?廊下にまで見舞い人がはみ出しているのか?と言う心配は御無用。
要領の良い八千代は本人希望で数日前から病院の病室から自宅療養に切り替えていたのだ。
病院側も毎日毎日30人単位で八千代への見舞い人が群れを形成して来やがる事には嫌気がさしていたのか、「どうぞどうぞ」状態だったらしい。
ちなみに死因は「老衰の為の自然死」であった。
「うおおお!かあさーーーん!!よぉおおし頑張った!かあさんより何とか頑張って生き残った俺って偉い!」
「親より先に死ねん!」と、途中でリタイヤして逝った弟達の思いを胸に頑張った今年で80歳の長男が雄叫びを上げる!
お爺ちゃん、とぉーても元気そうで何よりです!後20年位は行けそうだね!
「おばあちゃーーーーん!!」
もうすぐ還暦を迎える今年で58歳の孫娘が八千代に縋り付いて泣く。
「ひいばあちゃーーーーん!!」
もうすぐ3歳になる八千代の玄孫を抱きしめ泣く今年で23歳の曾孫娘。
他にも八千代の子孫達が集い、とにかく五月蝿くとても賑やかなお通夜だったのだ。
そして関係各位の方々の反応。
「理事長ーーー!!死ない人だと思っていたのにーー!」
いや・・・アンデットじゃないんだから・・・
「親方ーーーー!!」
いや「親方」って女性に対して何かおかしくね?
「親方」と呼ばれていたのは、八千代は北海道は日高地方の漁師の娘として産まれ、太平洋戦争中にマレーシアで負傷し漁師を引退した父親に代わって漁船「煌々丸」を受け継ぎ女性ながらに15歳で漁師となり戦後の混乱期を夫と共に太平洋の荒波に揉まれながら毛蟹と昆布を捕りまくって乗り越えたのだ。
資源保護の禁漁期間中の行商も積極的に行い「日高昆布」の知名度を全国区にまで押し上げて日高漁協組合の理事長も務めたほどに頑張った女性だったのだ。
なので漁師を引退した後も漁協の重鎮達から「親方」や「理事長」と呼ばれて親しまれていた。
私生活の面では5人の息子を見事に育て上げて、その5人の息子達から更に派生した大勢の曾孫達や玄孫達に看取られ99歳ゾロ目の年に大往生してこちらの世界に転生したのだ。
前世は、とぉーっても子沢山な家系に産まれたせいなのか転生後も「子沢山属性」を引き継ぐ事となる。
長年生粋の漁師として生きて来た前世の感覚のせいで先天的にめちゃくちゃ口が悪いが、真面目で善良で家族思いな幼児である。
しかし残念ながら日本で100年近く生きた前世での記憶も今となっては朧げで感覚的に何と無く覚えている感じだ。
その前世で漁協組合長だった頃の金銭感覚が今のカターニア公爵家の財政状態が「めっちゃヤバい」と警鐘を鳴らしているのだ。
帳簿を見ても全然カターニア公爵領の収入と支出が取れていない。
「おとうさま!これやばい!やばいです!なんすかこの出費??」
父のコーバ公爵からブン取った帳簿を見た時のセリスの愕然ぶりは凄かったらしい。
カターニア公爵家の主な大幅支出の原因は両親の社会貢献の度が過ぎているからだ。
その行為自体はとても素晴らしい行いなのでセリスも両親を誇りには思っているが、
「先ずは自分ん家の家計の事も考えてくれい!」ともセリスは思う。
カターニア公爵領の執政官で叔父のバルトリト伯爵が何とか本領内の財政を切り盛りしてくれてるから破綻せずに乗り越えていられる状態なのだ。
尚、カターニア公爵領についてはとても複雑な事情があるので後から説明します。
話しを財政面に戻して最近は6歳になった双子の妹達もお肉をよく食べる様になってセリス自身もたくさんお肉を食べて大きく成長せねばならぬ時期なのだ
魚でも良いが得意だった海での漁も悔しい事に「大陸中央部」に存在する王都では不可能なのだ。
「くっ!この際、淡水魚でも仕方あるまいて、ならば湖で!」と人を雇って湖で漁をしていたら王家から「この大馬鹿者ーー!」とメッチャ怒られた・・・
王都近くにある湖は「環境特別保護区」で釣りは厳禁、漁などもっての他なのだ。
散々に怒られた挙げ句に罰金200万円(相当)を課されてしまった・・・残念。
そんな経緯もあって「ベン精肉店」との取り引き停止だけは断固阻止せねばならないのだ。
ちなみに野菜やパンなどは無駄に広い王都内にある公爵邸の庭園の花畑を申し訳程度に残して他は全てを畑に変えて自家農園栽培で何とか賄っている。
自家農園には小麦畑まである始末で、一応は公爵邸に住む使用人も含めて飢え死にはしないがお肉だけはどうにもならない。
最近は農園の規模が大きくなり過ぎて公爵家で収穫物を捌ききれずに、その内市場に卸す予定だ。
ちなみに、お米関連の記憶はセリスの頭からは全部無くなってしまっていた・・・これは無念。
しかし北海道の日高地方で生まれ育ったので酪農の知識は少し覚えている。
「よおおし!マジで公爵邸内で酪農やってやらあ!」とセリスは思っているが、さすがに酪農は畑と違い簡単には出来ないのでまだまだ計画段階だ。
8歳の幼児が酪農をしようとする発想がかなりヤバいとは思うが家族や周りの使用人達は、「まぁ、セリス様だしね!仕方ないね!」と思っている。
それでも土地が余りそうなので、「少し土地を売っぱらってやろうか?」と思ったが、王都の土地を売却する場合は王家からの許可が必要で、「さすがに怒られるよ」と叔父のバルトリト伯爵に却下された。
「それなら、かぶで、いんさいだー、とりひきを・・・」物騒な事を呟くセリス。
「セリス?物騒な事を考えない様にね・・・」食い気味に姪を諌めるバルトリト伯爵。
株のインサイダー取り引きは当然ながらこの世界でも犯罪行為です。
こんな感じに若干8歳のセリスは既に公爵家運営に深く関わっているのだ。
叔父のバルトリト伯爵もこの変な姪を、「やべえ俺の姪っ子ってば天才かも」と叔父馬鹿全開で可愛がっている。
「うーん?なにか・・・なにか、もうけばなしを・・・」
8歳児にあるまじき言葉を呟きながら儲け話しを求めて王都の街をテクテクと歩く公爵令嬢のセリス。
王都内を移動するのに馬車?そんなもんに金を使うなら「ベン精肉店」のツケを払うわ!
「ホント困りますよね、旦那様達にも」
そう言いながらセリスの横を歩くのは18歳の女性ながらに身長170cmの高長身に茶色い髪に茶色の瞳の準男爵家出身のセリス専属女性護衛騎士のフェナだ。
幼く見える容姿に反して彼女はめちゃくちゃ強い。
「アンタ達は足手纏いだから付いてくんな」と、男の護衛騎士を蹴散らすくらいには異常なレベルで強すぎるのだ。
彼女の異常な強さの秘密は物語の最後の方で判明して行きます。
奇天烈幼児セリスの事が大好きなフェナは「セリス様って面白いよね!」
との理由だけで王宮の騎士団の誘いを蹴り薄給でカターニア公爵家に仕えている。
まぁ・・・彼女も相当な変わり者だと言う事だね。
「それなら公爵邸にストックされている金銀の取り引きで・・・あっ!うちの金銀達は既に皆んなのおなかの中だったわ・・・」
オール平仮名だと読むのも疲れるだろうからセリフを通常のモノにしましょう・・・書く方も変換が使えなくて疲れるので。
歴史ある公爵家なだけあって歴史的な美術品としても価値の高い金銀の装飾品や宝石はたくさん有るのだが、これを売っぱらったら先祖から祟られそうなので流石に手を付けていない。
しかしただの金の延べ棒などは売却済みである。
「12歳になったら冒険者になれるのに・・・」
チャランポランなこの魔法世界でも8歳児に冒険者をやらせるアホンダラは居ない。
冒険者になれるのは基本は15歳からだが、満12歳でかなりの制限を受けてようやく1番下のGランクになれる。
Gランク冒険者の具体的な仕事は運送業の荷役やギルドでの雑用などの仕事をする。
「セリス様は冒険者になるのですか?」
「冒険者の資格を取れば運送のアルバイトと清掃のアルバイトができるから・・・」
運送業→ポーターは冒険者の仕事なのだ。
Gランク冒険者の殆どは運送業の仕事の為に冒険者資格を取っている。
なぜ冒険者ギルドが運送業を管轄をしているかと言うと「5代目の国王ライモンドがそう定めたから」だ。
最早慣例となっており、この時代に詳しい理由を知っている者はいない。
仕組みを変えようにも500年近くそう言う仕組みになっているので今更法律や運送システムを変えるのが大変なので現行の政府も冒険者ギルドに丸投げ状態になっている。
タネを明かすと当時の利権闘争の結果、冒険者ギルドが運送業を統括する様になったんだけどね。
「セリスお嬢様・・・私、号泣して良いですか?」
家族の為に健気な事を考えている幼女主人にポロリと涙を溢すフェナ。
「何言ってんのよ?私が運送業をやると貴女も付き合うハメになるのよ?」
「ええー!私もー!」
カターニア公爵家の専属護衛騎士は基本的に主が15歳の成人する時まで側を離れる事が出来ないので風呂に入るのも寝るのも一緒なのだ。
・・・と言う建前で単にフェナがセリスと一緒に寝たいだけだったりする。
そこに加えて最近はセリス専属メイドやお姉ちゃんが大好きな妹達も加わって一緒に風呂に入って一緒に寝るのだからセリス的には鬱陶しい事この上ないが、これは貧乏なカターニア公爵家令嬢の宿命とも言える。
要するに経費削減の為に幼い3人姉妹と専属メイド2名と専属護衛2名は大部屋にぶち込まれて集団生活をしているのだ。
一見すると大貴族の令嬢に対して酷い扱いに見えるのだが集団生活に慣れ親しんだ3姉妹は高い社交性を備える事になり案外良い効果を生み出す結果となる。
この様な理由からセリスが運送業で駆け回る事になると物理的にセリスから離れられないフェナも一緒に駆け回る事になる。
「・・・・・・・・・・・・・・別口で報酬は貰えますか?」
「一緒に仕事するなら当然じゃない?」
「なら良いです」
「良いんだ・・・」
フェナはどんな仕事でも給料を貰えるなら細かい事を気にしないタイプなのだ。
とても高位貴族の主従とは思えない会話をしながら街中を歩いて行くと・・・
《あっ!セリス、そこの交差点を右に曲がって》
と、不意にセリスの頭に直接言葉が響く。
「ん?右?なにがあるの?」
《いいから、いいから、良い事を思い付いたのよ》
「????」
始めてこの謎の声が聞こえた時、「あんた誰?」とセリスが尋ねると、《霊視だよ》と答えて来たので「嘘つけ」と返したのが3年前で最近ではセリスも謎の声を別に気にしなくなり普通に会話をしている。
《霊視》に言われた通りに右に曲がると遠くに領地を持つ高位貴族達が多く住む高級住居区画だった。
遠方の領地持ちの家門は家族は領地で生活していて当主だけ王都に単身赴任していたり家族で王都に住み領地には代官を置いていたりと家門によって様々である。
「曲がったけど何をするの?」
《その道を真っ直ぐ歩くとね、大きな白いお屋敷があるからそこまで行って》
「んー?わかったよ」
「さっきから誰と話しをしているんです?」
「・・・・・・・・妖精タン」
「また妖精タンですか・・・」
霊視が何なのかセリスにも分からんので「妖精タン」と言う事にしている。
言われた通りに200mほど歩くと本当に白く大きくいかにも貴族風のお屋敷があった。
セリスの実家は腐っても公爵家なのでこのお屋敷の10倍以上はあるのだが。
少し前に使っていない廃城を見て、「そうだよ!経費削減で使ってない古い建物も全部ぶっ壊して畑にすりゃ良いじゃん!」そんな物騒な事を考えたセリスがマジで実行しようとしたら親に「公爵家の歴史が・・・」と、ガチで泣かれたから止めた。
「ふう・・・また妖精タンのお告げですか?」またか?と言った様子のフェナ。
3年前に霊視?と話しをしてる所を偶然フェナに見られて、「セリス様?!気でも触れたのか?」と、危うく病院にぶち込まれそうになって、「「妖精タン」とお話ししてるのー」と、超ぶりっ子で誤魔化したのだが・・・「セリス様・・・気色悪いです」と真顔で言われて超イラついたセリス。
「そうだよ、妖精タン曰くなんかあるらしいわ」
「そうですか・・・妖精タンは物知りですからね」
なんで自家農園だの酪農だの難しい事を知っている?とフェナからツッコミを受けたセリスは、前世の事を説明するのが面倒臭かったので全て「妖精タン」から聞いたと誤魔化したのだ。
《霊視に農業や酪農の知識なんてある訳がないじゃない?》
「そもそも「霊視」が何なのか分からないです」
《8年前にちゃんと説明したじゃない?!》
「お前は0歳の赤ん坊に何を期待しているんだ?!それで?このお屋敷になにがあるの?」
《セリスお金欲しんでしょ?それなら幽霊退治しようよ》
「幽霊退治の意味が分からんが金儲けの話しなら詳しく!」
《だから心霊現象で困ってる人を助けてお礼を貰う手なんてどうかしら?》
「なるほど・・・しかし私には退魔術だのそんな器用な能力など無い」
《大丈夫だって私も手助けするわ。
私が霊視で幽霊を見つけてセリスがその良く回る口で説得するのよ」
「よくまわる、くちとかいうな!、こんな、はなしかたじゃ、むりよ」
実際にセリスの舌足らずの言葉はこんな感じに周囲には聞こえています。
《大丈夫よ、私の力で幽霊の精神体に直接話し掛けるから滑舌が悪くても問題無しよ》
「・・・ちょっとまて、それって、あんたやフェナにも、つうよう、するんじゃない?」
《通用するよ?後で良ければ滑舌を良くしようか?》
「それを早く言えー!5年間も無駄な苦労したわ!」
作者もたった2行、ひらがなオンリーでセリフを書いただけで疲れたので通常モードに戻ります。
漢字の自動変換機能とは人類にとって偉大な発明品なのです。
周囲の人間にはセリスの言葉はまだ舌足らずに聞こえていると思って下さい。
「セリス様?1人漫才は終わりですか?」
「1人漫才言うな!私も地味に精神ダメージを受けたんだから」
《そのお屋敷には小さな女の子の霊が居るわ!説得して成仏させましょう!》
「えー?そんなに上手く行くモンなのかねぇ?」
こうして「幽霊退治屋」としての第一歩を踏み出したセリスだった。
予備工事の都合で第一話を先行投稿をしましたが本格的な投稿開始は3月に入ってからになります。
前作に関しましてはパワーアップバージョンの完結をもって削除します(まだ工事中なのでどこかに保存しておかないと怖いからです)
かなり前に書いたブツなので自分で読んでも文法が滅茶苦茶で何書いてるか分からない所も多いですが、あらすじ程度に思って下さると嬉しいです^^
本格的に投稿開始しますと3日に1話ペースのハイスピードで投稿して行く予定ですので少々お待ち下さい。