悪魔の親と人間の子供
騒がしい酒場で料理を作り、テーブルを濡れた布で拭いて、次のお客様をお出迎えする。そんな毎日をただ過ごすだけだと思っていました。
空から赤子が降ってきて、周囲には自分しかいなかったから自分が育てるという考えは、今思えば、まだ人間としての心が残っていたのかと思いました。
家に盗賊が入れば容赦無く動けなくする。ただし殺してしまえば都合が悪くなるので、歩けない程度で終わらせて軍に引き渡す。相手が命乞いをしても、当時は何も思いませんでした。
本日の営業を終わらせて、この村の村長の家に行くと、長老であるティータ様が小さな布団の近くで本を読んでいました。
「すみません。遅くなってしまって」
「おや、帰って来たかい。リエンちゃんは今寝たところだよ」
「そうでしたか」
布団で寝ているのはまだ一歳くらいの赤子。その寝顔は見ていて飽きませんね。
と思っていた矢先、次の瞬間パッと目を開いてワタチを見ました。すると両手を突き出してワタチに向って声を出しました。
「あー! あー!」
「おやおや、母親が近くにいると寝ていても気が付くのかねえ」
「血が繋がっていないので母親とは言えませんよ」
「生みの親と育ての親は違うよ」
「それでしたら、ティータ様に日中リエンをお願いしているので、どちらかと言うと……」
「おっと、それ以上言うのは野暮さ。この子はあんたが拾って無かったら死んでいた。こうして両手を出して呼んでいるということは、この子が思う母親はあんたという事さ」
「そう、ですか」
ワタチはそっとリエンの頭を撫でると、笑っていました。
「へへ、えいあ!」
「何と言っているのでしょう」
「言葉を理解する必要は無いさね。このくらいの子の言葉は喜怒哀楽の表現だけさ。なんとなくで理解すれば良いんだよ。その内表情から何をして欲しいのかわかるさ」
「つまり……いや、わかりませんね」
「はあ……あたしゃよりも長生きしているはずなのに、意外と知らない事もあるもんだね。そのくせあたしゃよりも見た目が若い。あんたは世の中の敵だよ」
ワタチは悪魔と契約を交わして肉体年齢は十歳で止まり、すでに数百年以上生きています。確かに周囲の人間と比べるとワタチより若い人は数年後にはワタチよりも老けてしまうので仕方がないことではあります。
「ですが、エルフの血が流れているティータ様なら、普通の人間と比べ見た目は若い方ですよ。ワタチと比べる方が変です」
「まあ、そうではあるさね。昔遊んだ幼馴染の人間は、皆土の中さね」
長生きは良い事であり、同時に寂しい物です。目の前のティータ様は他と比べて長生きではありますが、おそらくワタチよりも先に亡くなります。
ワタチにとって一生の友人と言える人はこの世界では少ないです。だからこそ子育てはおろか、恋愛に興味は無く、ただ生きることを考えていました。
目の前の赤子が落ちて来るまでは。
「うあ? う……あー!!!!」
「わわ、どうしました!?」
突然リエンは顔をクシャクシャにしてワタチを見ています。
「さっきから両手を広げて呼んでいるのに、あたしゃと話しているから怒っているんさね。抱っこしてあげなって」
「そ、そうでしたか。すみませんリエン。寂しかったですか?」
「あー!」
優しく持ち上げると、表情が一転して凄い笑っています。ただ持ち上げただけなのにどうしてそこまで喜ぶのでしょうか。ワタチは持ち上げられたら逆に嫌ですが、人間の考えは分からないです。
いや、元々人間だったワタチは、この長い年月を生き、一部の感情を忘れてしまったのでしょう。
「明日と明後日は食堂を休むんだろ?」
「はい。城から連日団体の予約で大変でしたし、窯の掃除とかしないといけないですからね」
「はあ、そういうのは夜中にでもやってしまえば良いさね。昼間はリエンと遊んであげな」
「遊ぶって……一体何を?」
そう言ってリエンを見ました。リエンはワタチの首に巻いたマフラーを掴んで、何かを確かめていました。
「赤子にとって今は全部が勉強で、全部が遊びさね。一緒の視線で一緒に同じものを見る。それだけでも良いさね」
「ふむ、言われたことをまずはやってみます。すみませんが、わからなくなったらここへ来て良いですか?」
「ああ。いつでも来な。リエンちゃんもまたね」
「あい!」
元気な返事ですね。もう夜だというのに全然眠くないのでしょうか。
☆
自宅に到着してすぐに布団を用意すると、リエンは小さな手足を一生懸命使って、自分で布団に入りました。そして顔だけ出してワタチをジッと見てます。
「うむ、なんとも言えない感情ですね。これがいわゆる可愛いというやつでしょうか。とりあえず頭を撫でましょう」
リエンはまだワタチの独り言を理解できないでしょう。だからこそ、この子が成長して言葉が理解できるまで、ワタチはこの子を理解する必要があります。
「あうー、へへ」
「何か楽しいことがあったのですか?」
「んー、あーう」
「うん、何を言っているかわかりませんね」
そう言えばティータ様は赤子の言葉は喜怒哀楽だと言ってましたね。そもそも言語がわからない以上、声の高さや表情で読み取るしかなさそうですね」
「うー?」
リエンはワタチの顔をジッと見てきました。あー、どうやら少し考えすぎていたようです。難しい顔をワタチがしていたのでしょうか。
「ふふ、大丈夫です。リエンはワタチの事を心配してくれたのですか?」
「あい!」
……え、ワタチの言葉は理解してないですよね?
偶然返事をしたような感じなだけですよね!
焦りつつリエンの頭を優しく撫でていると、どんどん瞼が閉じて行きました。
「ふあー」
「ふふ、眠いのですね。明日と明後日は沢山遊びましょう。といってもワタチは遊び方がわからないので、リエンに教えて貰うしかないですけどね」
☆
翌朝。リエンに朝ごはんを食べさせると、誰もいない食堂の色々な場所を見ていました。普段はお客様がいますが、今日と明日は休み。静かな食堂は久しぶりですね。
「あーう?」
「はい。今日はお休みなのでお客様はいませんよ」
「うー? あー」
「そうですね。リエンとワタチの二人だけです」
「グー」
え!? 今の一瞬でどうやって寝るんですか!?
雰囲気で話していましたけど、今の流れは全く想定外です!
「ま、まあ、寝てくれるのであればワタチは休憩できますし、とりあえず布団で寝かせてワタチはリエンの服を作りますか」
誰もいない食堂で独り言を言って部屋に戻り布団にリエンを置きました。
「あー!」
え!?
さっき寝ましたよね!?
凄くお目目ぱっちりなんですけど!
「うあ? あー」
「へ、部屋に戻ってきました。そうですね、編み物は編み棒を使うのでちょっと危ないですし、何かおもちゃを……」
そう言って周囲を探していると、リエンはワタチの手を握って来ました。
閉じていた手を力いっぱい広げて、一つ一つ触って、そして閉じて、そんな事をやってリエンは笑っていました。
「な、なにが面白いのでしょう?」
「うー! あう!」
今、『この面白い遊びがわからないのかー』って言われた気がします。
「ルールはわかりませんが、とにかくワタチは指を動かしてリエンから逃げてみましょう。捕まえることができるでしょうか?」
そう言ってワタチは指を動かしました。するとリエンはその指を捕まえようと手を出しました。ワタチはその指を閉じると、隣の指を狙って来ました。今度はその指を閉じて、先ほど閉じた指を開くと、リエンは凄く笑いました。
「あー! あー!」
「ふふ、なるほど。こういう遊びなのですね」
「やー!」
笑っているといつの間にか小指を掴まれていました。
「なっ! なかなかやりますね。ワタチの指を掴むとは。きっと将来は有望な魔術師になるかもしれませんね」
そう話しかけると、窓の外から声が聞こえました。
「……親馬鹿とはこの事」
「あ、マオ様ですか。久しぶりですね」
友人のマオ様が窓の外から覗いていました。銀色の長い髪に白いローブに身を包み、その小さな体からは想像できないほどの魔術を放つ大陸屈指の魔術師です。
「……近くに寄ったから来た。今日はお店休み?」
「はい。ですが何か作りますよ?」
「……いや、お腹は空いてない」
「ではお茶を用意しますね。その間リエンを見ていてください」
そう言ってリエンをマオ様に渡してワタチはお茶を準備しに厨房へ……。
「……ふ、フーリエ……はやく……マオは子供が……ちょっと苦手」
「あー! へへ、あー!」
「……わからない、えっと、何をすれば、うああ」
「そうでした。マオ様は『相手の言葉を聞いて会話をしないで、相手の心の声を聞いて会話をしている』のでしたね」
お茶を準備して急いで戻り、リエンを抱っこすると笑っていました。
「ふふ、マオ様は優しい人ですよー」
「あい!」
「……やっぱり人間は良くわからない」
「マオ様が考えすぎなだけです。リエンはまだ何もわからないので、全部理解しようとしなくていいのですよ。これから色々と教えてあげるのがワタチ達人生の先輩の仕事です」
「……ほう、じゃあ人生の先輩として一つ良い言葉を教えよう」
そう言ってマオ様がリエンに顔をぐっと近づけました。マオ様は基本的に赤子が苦手なのですが、リエンだけは何度か会っているので少し慣れたのでしょうか。これはこれで良い事ですね。
「……お、や、つ」
「お、あ、う?」
「何を教えようとしているのですか!」
マオ様からリエンを急いで離しました。
「……リエンが今の言葉を言ったら、マオはすぐに駆け付ける。偶然リエンの近くにおやつが準備されてて、マオも半分いただこうと思ってない。偶然駆け付けるだけ」
「完全におやつ狙いじゃないですか! しかも何リエンのおやつを半分奪おうとしているんですか!」
「おあう!」
「わー! せめて最初の言葉は『おはよう』とか『お母さん』が良いのに、変な言葉を最初に覚えようとしてます!」
「……変では無くね? 幸せの単語。おやつは世界を救う」
マオ様は狂っているレベルでお菓子が好きです。時々ご飯を食べにここへ来ますが、できれば野菜をもっと食べて欲しいですね。
「……さて、フーリエに野菜料理を出される前にマオはそろそろ出かけるね。今度はおやつを用意してね」
「くう、心を読みましたね。まあ、次は何か用意しておきますよ」
そう言ってマオ様は店を出ました。リエンは手を振ってお見送りです。いつそういう動作を覚えたのかわかりませんが、子供は知らぬ間に勉強しているのですね。
「ふああ、うー」
「おや、眠いのですか? ふふ、ではお昼寝をしましょうか」
☆
夕方になり、寝ているリエンの横でワタチは音を立てずに編み物を作っていました。寝ている顔を見ながらだと全然作業が進みませんが、それもまた良いですね。
「そろそろリエンのご飯を準備しないとですね」
立ち上がって厨房に行き、氷の魔術が仕組まれた冷蔵庫から牛乳を取り出して、それを弱火で温めます。
沸騰させず、ゆっくりと温めた牛乳を容器に入れて、あとはー。
「……やあ」
「え!? マオ様!?」
突然後ろからマオ様が現れました。
「来るときはせめて物音を立ててください。びっくりして牛乳を落としそうになりましたよ」
「……ん? リエンは?」
「リエンなら部屋で寝てますよ。そろそろ夕食の時間と思って準備を……え、どうしてマオ様がリエンを探しているのですか?」
「……おまじない。リエンがおやつって言った気がしたから飛んで来た。てっきり目の前におやつがあると思ったんだけど」
変な胸騒ぎがしました。
ワタチは急いでリエンが寝ている部屋に行くと、リエンは顔を赤くしていました。
「リエン!? どうしました!?」
「お、あ、う……あー」
「わかりません、わかりません! どうしました!?」
「……フーリエ、落ち着いて。リエンは言葉を知らない」
「わかってます! だからこそわからないのです!」
一瞬目を離しただけで何があったのですか!
見えない敵がこの辺にいるんですか!?
いるならワタチと戦ってください!
「……あつい? ひ? とりあえず氷を出すね」
マオ様は氷を出しました。が、次の瞬間後ろから声が聞こえました。
「そんな氷をリエンちゃんにくっつけたら、怪我をするさね!」
「ティータ様!?」
ティータ様が部屋に入ってきてリエンを布団から出し、窓を開けて外の空気を入れ出しました。
するとリエンはみるみるうちに赤かった顔が元に戻り、呼吸が安定しました。
「リエンちゃんはまだ体温調節が上手くないさね。布団で寝ているときも定期的に様子を見つつ、外の空気を入れたりしないと駄目さね」
「た、助かりました」
腰が抜けてワタチは床に膝を付けました。
「……どうしてこの村の村長が駆け付けて来たの? リエンが苦しんでいる気配なんて普通わからない」
マオ様が問うとティータ様は溜息をつきました。
「お前さんの爆発的な魔力で駆け付けて来たのさね。ギリギリ昼間だから許すけど、寝てる時間にその魔力を垂れ流しにしながら村に入ってきたら、そのアホ毛を抜き取るからね」
「……生命の危機。いや、マオが来たからリエンの危機に気が付いた。もしも深夜帯に呼ばれて今の状況だったらアホ毛の一つ、軽い犠牲」
「そうさね。リエンちゃんは一人しかいない。お前さんの毛で助かるなら、いくらでも抜かれな」
「……いやあの、別に喜んで差し出すわけじゃないよ?」
そんなやり取りを二人はしていますが、ワタチはまだ足の震えが止まりません。
「う……あ?」
「リエン!」
リエンは目を開けてワタチに手を振っています。駆け寄ってリエンの手を握ると、まだ少し熱いです。
「いー? う……うええ!」
「わわ、リエン、どうして急に泣き出すんですか? えっと、これは何か病気ですか!?」
「焦ったら駄目さね。リエンちゃんはお母さんが心配なだけさね。この子はまだ言葉が話せず、この子なりにお前さんの表情を読み取って考えているのさね」
「そうでしたか……すみません。大丈夫ですよ。ちょっと焦ってただけです」
「うう……あう……」
ゆっくりと泣き止み、そしてワタチに手を伸ばしてきました。ティータ様はワタチにリエンを渡して、ため息をつきました。
「お前さんは母親さね。子供の前で不安な顔をしたら駄目さね」
「肝に免じます。本当にありがとうございました」
「あう!」
「良いさね。将来この子が村の為に色々頑張って働くのなら、これくらい散歩みたいなものさね」
「マオ様も『欲望に忠実だったことが』結果的にリエンを助けてくれました。一応お礼を言います」
「……すごく感謝して欲しい」
まあ、実際マオ様が来てくれなかったら大変だったことは事実です。言葉には出しませんがしっかり感謝して……あ、これ心読まれてますね。
「お、あー」
「ん? どうしましたリエン」
「お、おあー、母さん』
☆
「ん?」
「母さん? ボーっとしてどうしたの?」
あれ……ここは……?
「り……えん?」
「そうだよ。というか母さんがぼーっとするのって珍しいね。昨日の団体のお客さんで疲れが残ってた?」
目の前にはウルトラ紳士に育った我が息子リエンが朝食を食べていました。少しだけ茶色の混ざった髪と、しゅっとした顔立ちはワタチにそっくり……と言いたいですが、ワタチは水色の髪に真っ赤な目。そして色白の肌なので、まったく似ていません。
「ん? 俺の顔に何かついてる?」
「いえ、リエンは大きく育ったな―と思っただけですよ。昔は『あー』とか『うー』とかしか言わなかったのですよ?」
「そりゃ赤ちゃんの頃でしょ。今は母さんから魔術を学びつつ料理もできて、身長も母さんを超えたんだからね」
「身長に関しては本気でワタチを早く超えて欲しいと願ってましたね。高いところに置いた食器を取るの、本当に楽になりました」
「せめてそこは格好良くとか男らしくとか、そっち方面を言ってよ」
苦笑するリエン。あれから十年くらい経過して、ワタチは姿形は変わらず、リエンだけが成長してます。
いつかリエンには事実を言う日が来るのでしょう。もしそうなったら、このほのぼのした日常は終わってしまうのでしょうか。それだけが少し不安ですね。
「ワタチはどれくらいぼーっとしてました?」
「え? いや、ほんの十秒くらいだけど」
「そうでしたか。いやー、昨日の団体のお客様が大変だったので、疲れが残って他みたいですね」
悪魔と契約を交わしたワタチは寝ることはありません。リエンが怪しまないように寝たふりはしますが、ここ数百年夢を見た記憶はありません。
となると、先ほどのは夢でしょうか、それとも記憶から映し出された何かでしょうか。
「疲れているなら今日一日俺が対応しようか?」
「何を言っているんですか。ワタチを誰だと思っていますか。リエンの母親であるワタチはもはや無敵です。それに明日は休みですし、二日休んだら罰が当たりますよ」
「そう? まあ、無理はしないでね」
そう言ってリエンはさりげなくワタチの食器を取って、一緒に片付け始めました。うう、そういう事をさりげなくやる光景を見ると、ワタチ頑張ったと大声で叫びたくなりますね。
「何にやにやしてるんだか。昔からあんたは変わらないね」
「にゃー!」
突然声をかけられて椅子から落ちかけました。
「てぃ、ティータ様!? い、いらっしゃいませ」
「あ、ティータさん。おはようございます」
「おはよう、店主にリエン。おや、リエンはまた身長伸びた?」
「あはは、母さんに毎日言われてます」
「あんた……リエンが小さい頃は右往左往してあたしゃに泣きついていたのに……」
「ちょ!? 息子の前で何嘘を言っているんですか!」
「今お茶入れますね」
リエンはそう言って厨房に行きました。その姿をティータ様はジッと見ていました。
「ふっ」
「何かありましたか?」
ティータ様は小さな声でワタチに話しました。
「いや、リエンは間違いなくあんたの息子だよ。色々と似ているさね」
「え? 髪の色も違いますし顔つきも違いますが」
「おや、今ではあたしゃよりもリエンを見ているのに気が付かないのかい? 歩き方にお茶の淹れ方。なんなら扉を開けるしぐさも似ているさね」
そこまで気にしたことはありませんでした。お茶の淹れ方はワタチが教えたので似ているのは当然だとは思いますが。
「どうだい店主。昔と違って今のリエンは意思疎通ができる。昔話せなかったことも今は話せて楽しいさね?」
「何を言っているんですか」
「ん?」
「言葉を交わさなくてもリエンの考えくらいわかりますよ」
「ほう、凄い自信さね。じゃあ試しに今晩リエンが食べたい料理を当てて見な?」
「究極余裕問題ですね。今日は絶対チャーハンですね」
どや顔で答えるとティータ様は笑ました。
「何の話?」
「リエンが今日何を食べたいかという話しです。まあワタチにしてみれば呼吸と同じくらい簡単ですね」
いや、あの頃のリエンは呼吸をするのも大変でしたね。つまり呼吸は生きている証拠であり、同時に一番得意とするものなのでしょう。
「さて、肝心のリエンは何を食べたいのさね?」
リエンはワタチよりも大きくなりました。
いつか、母親では無いと言う日がそう遠くない日に来ると思います。
ですが、せめてその日までは、楽しく、そして正しい道へと導いてあげます。
生みの親ではなく、育ての親として。
「ハンバーグかな」
およ?