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ポインセチア・ノート  作者: 紫音
一章:都忘れの花束を君に
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第二十三話「襲撃開始」

【重要なお知らせ】


10月23日に重要な仕事の試験が有る為、九日間執筆をお休みします。

次回の投稿は出来る限り一週間以内を目指しますが、間に合わない可能性有るので暫しお待ち下さいませ。

5月14日


皆で準備を進めている中、アウルスさんから緊急の召集が有った。集まるのは宿の寝室だからいつもと変わらないが、アウルスさんの表情は包帯巻いていても深刻な表情が見て分かった。


「アウルスさん、何が有ったんですか……?」


「ああ、計画を今日中に行わなければならなくなった」


俺とヨークやレナは困惑しながら顔を見合せるようにしていると、アウルスさんは懐から書類を取り出した。


「お前等は知っていると思うが、俺様は毎回あの屋敷に潜入して情報を集めていた。昨晩も潜り込んでいた所、今晩の舞踏会を終えたらクララ嬢はお前等の親友を連れて南の島へバカンスする事が分かった」


「それなら、そのまま後を追えば良いのでは?」


俺の意見を聞くと、アウルスさんは嘆息(たんそく)を吐いた。


「奴等だけならな。護衛に警備隊と近衛隊・第三班副長モルデ・バロックが居る。クララ嬢の従兄弟で、一年で副長の座に登り詰めた化け物だ。しかも、『初手殺し』と言う異名を持つぐらいには剣術の腕が立つ。そんな相手したくないから、今日決行する!」


異名だの、近衛隊が三つ有るだの、良く分からない……。

まるで、小説に良く居る主人公に立ち(はだ)かる敵みたいで、現実感が無く感じてしまうからだ。

取り敢えず、強い人が居る事だけは理解しよう……。


アウルスさんは文字で埋め尽くされた紙切れを読みながら、レナとアスィミさんを指した。


「改善する時間が無いから、アスィミの案をそのまま採用するぞっ!レナ組は舞踏会で俺様の合図を聞いたら騒ぎを起こしてくれ。因みに昨日の内に偽物の書類を入れといた。レナの偽名は『クララ・フルウゥス』、アスィミの偽名は『ウーバー・フルウゥス』。頼むぞフルウゥス夫妻!」


「了解でヤンス!サポート任せろでヤンス!」


「はいっ!令嬢みたいな言葉(づか)いなら分かるから大丈夫です!悪役令嬢の小説を読んどいて良かった~!」


レナは手持ちの小説を嬉しそうに見せびらかした。

いやいや……、悪役令嬢みたいなキャラクターを参考にしたら駄目だろう……。

いつもならこの場でヨークがツッコミを入れる筈だけど、お腹を手で押さえながら壁に寄り掛かっていた。


「腹を下したヨークは夜10時位に屋敷の西側で辻馬車を待機させといてくれ」


ヨークは弱々しく頷いている。

アウルスさんは紙切れを仕舞うと、手を叩いて合図を出した。


「さあ、始めるぞ!!準備開始だっ!!」



アウルスさんの懐中時計の針は8時7分を示していた。

宿の前でアウルスさんと俺は侵入する為の荷物を整理している。


ヨークはアウルスから貰った金を持ち、辻馬車の手配をしに先ほど出掛けた。

レナとアスィミさんは7時40分に変装して舞踏会に行った。レナはオレンジ色のドレスとカールが巻かれている金髪の(かつら)だ。レナは如何にも綺麗な令嬢の様に見えた。

一方のアスィミさんは(かつら)が似合わなくて、アウルスさんに腹を抱えて笑われていた。


「アスィミの音楽家みたいな髪型が面白かったし、そろそろ行くか!」


「アウルスさんがずっと笑いこけていたせいで、こんな時間ですよ……」


アウルスさんは鬱陶(うっとう)しそうに「はいはい」と言いながら俺にマスクを渡す。俺はマスクを被ろうとすると、アウルスさんは俺の手を掴んだ。


「おっと、待てよ。流石にここからマスクを被って行くのはアレだから屋敷の近くに着いたらしようぜ?」


俺は頷いてマスクをポケットに仕舞う。アウルスさんは俺の手を掴んだまま、道なりに歩く。


「あ、ここ最近は警備隊の職務質問が増えてるのを忘れてたな……。辻馬車で行けば職務質問される確率減るだろうな」


大通りに出ると、『辻馬車停車位置』と書かれた看板が壁沿いに置かれていた。


「さて、ここで待てば辻馬車来るだろう。それまでの間話そうぜ」


アウルスさんは顔の包帯を(ほど)くと、ポケットに仕舞った。

アウルスさんに話したい事は無いけど、聞きたい事が一つだけあった――。


「フェレスに怒られたみたいですけど、大丈夫ですか……?」


アウルスは渋い顔をしながら肩を落とす。


「ああぁ……、全然駄目だったけど何とかなったぞ……。フェレスの姉御にお願いしたら『テメエ!!フレンチとの約束破るんじゃねえぇ!!』って馬乗りされて殴られた。姉御は病弱でも殴る力強いなぁ……。でも、翌日には姉御の機嫌は良くなった」


「それなら良かったです……」


俺が胸を撫で下ろしていると、アウルスは気の抜けた欠伸をしながら、呟いた。


「義賊にお願いしたんだから、対価としてあの屋敷にある魔導具を奪うのを手伝えよな!」


「ええぇ!?俺達を助けてくれるんじゃないんですか!?」


俺が驚愕していると、アウルスさんはわざとらしい悪戯な笑みを浮かべて言い放った。


「悪い大人に約束したのが運の尽き――ってな!ガハハ!」


すると、馬車の音が聞こえて来た。

アウルスさんは真剣な表情に切り替わると馬車が来る方角を見つめて呟いた。


「――来たな。襲撃開始だぞ。宜しくな」

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