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ポインセチア・ノート  作者: 紫音
一章:都忘れの花束を君に
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第十九話「作戦会議と面接」

宿の狭い寝室にて五人集まると、作戦会議が始まった。アスィミさんと俺達は丁寧に座りながらアウルスの説明を聞く事にした。


「屋敷の面積は16110㎡。見張りは門に二人、外壁には大体四人。見廻りをしてる奴は一時間おきに5人ずつローテーションしてるな。外壁の見廻りは不規則にローテーションしている」


アウルスさんは壁に石で屋敷の外観や構造を描いていた。

宿の女将に叱られないだろうか……?

そんな心配を俺がしている最中、アウルスさんは次々に書き込んで行く。


「で、俺様が昨日の深夜に試しに屋敷の周りにゴミを捨ててみた。大概すぐに召し使い達が掃除するが、屋敷の後側だけ遅かった。つまり、そこだけが手薄な訳だ。作戦は直接侵入するか、騒ぎを起こして召し使い達を別の場所に誘導させてから侵入するの二択か。あ、でも、手薄だからと言って全く居ない訳ではないからな――ここまで質問はあるか?」


アウルスさんの解説を受けて、俺達は――。


「「……」」


「――ああ、はいはい!!お前ら全員分かって無いのが何処かも分かんないのね!?良くあるパターンありがとう!!――って、アスィミなんで同じ反応するんだよ!お前は分かれよ!!」


「痛たいでヤンス……!!」


アウルスさんはアスィミさんに拳骨を食らわすと、鼻息を荒くして座り込んだ。俺はこのままだとマズイと思い、言い訳した。


「そ、その、やっぱり俺達はそういうのは素人なので……」


「あぁ……、そうだったな……。なら、俺様とアスィミで考えるから、お前達自身出来る事を俺様に教えてくれよ!そしたら、当日に各自分かりやすく作戦を伝えられるからさ!」


「そうでヤンス!兄貴となら完璧な作戦を幾つでも作れるでヤンス!その為に自己紹介しろでヤンス!」


なるほど……。慣れている二人が俺達の特性を生かして作戦を作ってくれるなら安心かもしれない。

すると、ヨークは怪訝(けげん)な面持ちをした。


「この二人、ニゲラに簡単にやられたのに大丈夫なんですか……?」


「う、(うるさ)いぞ!?あれはたまたまなんだよっ!!なんだ~?この洒落た髪型しやがって!この眼鏡め!!」


「うわっ!!僕の髪触らないで下さっ……!」


アウルスさんはヨークの髪をボサつかせようと、両手で髪を摩擦していた。俺とアスィミさんで止めに入っている間、レナは何かツボに入ったのかゲラゲラと笑っていた。



昼間の作戦会議を終えてから、アウルスさんだけ暫く出かけていた。夕方になる前にアウルスさんは戻ると、アスィミさんと共に部屋を何故か整理していた。俺達三人は二人が何をしているか分からずに準備を終えるのを待っていた。


暫くして、準備が終わると一人ずつ自己紹介を始める事となった。

部屋に一人だけに入り、アウルスさんとアスィミさんに質問されるという形式になった。質問が終わると部屋を出て、別の人が入る。

順番は最初がヨークで、その次にレナ。最後は俺だ。


ヨーク曰く、面接みたいだったらしい。

なるほど――


面接ってなんだ……?


そして、俺の番が来た。

部屋からレナはいつもの笑顔で出ると、アウルスさんの声が聞こえた。


「おーい、ニゲラ入れ!」


部屋に入ると、アスィミさんとアウルスさんは何処から持ってきたか分からない木箱に座っていた。何故か部屋の真ん中に少し小さい木箱が置いて有った。


「席にお座り下さい――でヤンス」


「え……?俺も座るんですか……?」


(うるさ)いなー!ニゲラ、そこは空気を読んで面接っぽく『失礼します』って言えよ~」


「はぁ、そうですか……」


俺の微妙な反応にアウルスさんは呆れながら質問を始めた。


「身長は何センチあるんだ?後、体重も!」


「168センチ、体重は……分からないですね」


俺が答えると、アスィミさんはメモを取り始めた。アウルスさんは観察する様に俺の全身を視ると、納得したように頷いた。


「まあ、大体56キロだろうな。次に武術は出来るか?」


「一応、剣術は少しだけ出来ますよ?」


「おお、なるほどね!次に魔術は何が使えるんだ?後レベルも!」


「風の魔術です。レベルは……――レベルって何ですか?」


「レベルは俗称だから分からないんでヤンスね。質問を簡単に代えるでヤンス。口で唱えずに魔術が出来るでヤンスか?また、古代語の魔術――まあ、聞かなくても分かるでヤンスけど」


「口で唱えずには出来ないです。集中力が足りないので……。古代語は出来ます」


「レベル2飛んでのレベル3だな。古代語出来る癖に珍しいな」


俺はレベル3らしい。

個人的に口で唱えずに魔術出来ない事には誰にも言いたくなかった。どんなに練習しても手応えが無かった苦い思い出が甦るからだ。何より――


『その程度も出来ないのか?オレが教えてやろうか』


アイビーの事を思い出すからだ……。


「ん?何だよ?不機嫌そうな顔して?」


「あ、い、いえ、少しお腹痛くて……」


「お、あんな不味い料理作る癖にお腹痛める事あるのか!」


「いや!俺は料理得意ですよっ!」


「「嘘つけ!!」」


そして、夜になるまで俺が料理出来るか出来ないかで言い争い続けた。

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