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ポインセチア・ノート  作者: 紫音
一章:都忘れの花束を君に
11/68

幕間「闍ァ迺ー」

副題「カミサマ」

幕間か……。


映画で言えば、未公開シーンか。

やれやれ、予定では第一章のエピローグじゃなかったか?

この『物語』は本当に気紛れだな。


ん?「お前は誰か?」だと?

第二章が終わる頃には分かるさ。

キミが「二ゲラ」や「闍ァ迺ー」、「カルミア」より賢いならな。


そうでなければ……、最終章――おっと、これは言ってはいけない事だったな?

この『物語』が現時点で第八章で終わる、なんて口が裂けても言えないな。


今聞いた事は、アンモビウム王国の結界「グラジオラス」の帯に包まれたつもりで忘れていてくれ。


今から始まる話は、八話と九話の間に起きた出来事だ。



「すまないが先に行ってくれ。先にやりたいことが有る」


アルストロメリアがそう言うと、ニゲラは困り顔で文句を言った。


「え、フレンチさん、一緒に行きましょうよ!流石に……心細いですし……」


ニゲラはフォン達に会うのが不安らしい。下らない心配だ。

そもそも、自分でやらかした事位は――


――おっと、話がずれたな。すまない。


ニゲラの心情を察しているのか、それとも予知していたのか、アルストロメリアは呆れて苦笑いしながらも、ニゲラを安心させるように諭した。


「大丈夫だ、お前達だけでブルドア村に辿り着けるさ。真っ直ぐ道なりに行けば良いだけだ。それに、会っていきなりお前さんを殴る奴居ないだろうから心配するな(俺なら殴るけどな……)」


「いや、それでも――うわっ!?」


「さあさあ!ニゲラさん!行きますよ~!」


ニゲラが話をしている途中でいきなりレナに引き摺られてしまった。ニゲラの首根っこを掴みながらレナは森の外へと向かって行った。


アルストロメリアは彼らを見送ると、ある場所を凝視し始めた。そこには雑草が生い茂ている

地面しかない筈だ。


「……とっとと姿を現せよ、なあ、黒幕さんよ」


すると、そこから人型の影法師現れた。その影の周りから見える風景が気持ち悪い屈折の仕方をしていた。そして、徐々に影は白く染められていく。


「気軽に話しかけるな……、アルストロメリア・マリーゴールド」


この男は、ニゲラを気絶させてユエル市に運んだ白装束の男だ。男の声は雪が手の中に溶けるように聞いた者の記憶から消えてしまうようだ。

ニゲラにすら隠していた苗字を明かされたアルストロメリアは

静かに眉間に皺を寄せた。


「おいおい、苗字を言うなよ……殺すぞ」


「ふん……貴様等に殺せやしないさ。何故なら俺はこの世界の『神』だからだ」


アルストロメリアの殺気を『神』は鼻で笑うと、その場に座り込む。そして、今度は逆に殺気をアルストロメリアに向けて問い掛けた。


「さて、前々から思っていたが、貴様は()()だ?こんな()()では無い筈だ。一体何が目的だ?」


「おお、怖い怖い。そんな怒るなよ。俺はお前さんの邪魔をしてないぞ」


すると、『神』はゆっくりと立ち上がると、わざとらしく笑っているアルストロメリアの目の前に接近した。『神』は今にでも殺してやる、と言いそうな雰囲気で睨み付けている。


「俺がフェレス等を殺すつもりだったのに、貴様……邪魔しただろう?」


「友人を助けたいだけさ、お前にも分かるだろ?多分な……?」


アルストロメリアの問いに『神』は一瞬黙ったが、何事も無かったかのように答えた。


「……知らない。俺はこの世界を守る為に存在している。その為なら友人だろうが、恋人だろうが、邪魔をするなら殺す――それだけだ」


「……やれやれ、残忍だな」


すると、『神』の姿が徐々に薄くなっていく。


「今回は見逃してやる……。初日、ニゲラに旅芸人達の存在を教えたお礼だ。だが、今度()()を崩そうとするなら、お前をこの世界から無かった事にしてやる。覚えておけ、アルストロメリア・マリーゴールド」


そして、『神』は姿を消した。

アルストロメリアは『神』が居た場所に向かって言葉を嫌みを込めて投げ捨てた。


「精々、胡座をかいとけよ。なあ?自称神様よ」


さて、オレもそろそろ動きますか。


それでは、親愛なるキミにさようなら、ご機嫌よう。

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