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拓海の恋:美里との出会い 1

「明日のクリパ、楽しみだなぁ。かわいい子もいっぱい来るって、結莉さん言ってたし」

 結莉主催のクリスマスパーティが開かれ、FACEのメンバーも行くことになっており、拓海以外のメンバーは女の子との出会いを楽しみにしていた。



           ☆☆☆☆☆



 クリスマスパーティ当日。

 二十五日の七時から恒例の結莉主催のクリスマスパーティがクラブ「W」でを貸し切り、行われていた。


 森山美里・二十二歳は、知人・真島聖子に連れられ、パーティに来ていた。

 美里にとっては、音楽・ファッションなど、ありとあらゆる業界人が集まる華やかなパーティは初めてだった。


「メリークリスマスゥ~結莉さん~、お招きありがとう」

「メリークリスマス!真島ちゃん、来てくれたん?」

 結莉はそういって真島にハグる。


「この子、ミミちゃん!仕事でお世話になっているところの娘さん」

 美里を紹介した。

「初めまして、森山美里です」

 美里は緊張した顔で言った。


「どうも~結莉です!!よろしく~」

 そう言うと、結莉は美里に抱擁をしたが、慣れない美里は、びっくりして戸惑った。

「ははは~」と結莉は笑い、美里の頭をポンポンと叩いた。


「あら!真島さん!いらっしゃい」

 結莉の友人・美坂麻矢もやってきた。

 麻矢もまた真島とハグり、美里を紹介されると「あらぁ~、かわいいお嬢ちゃんだこと~」と、美里は麻矢にもハグられ、ドキドキの世界に目が泳いでしまった。


真島は顔見知りに挨拶をしに行くと言い、麻矢と一緒に別のフロアに向かい、結莉は美里を連れ二階に上がり、バーテンダーの山崎からショットグラスを貰い、VIPルームに入った。


「麻矢さんって、きれいな方ですね?」美里が結莉に言った。

「うん、この店のオーナーの息子。ついでにアイツはこの間二十五歳になったばかり!」

 結莉がニッと笑った。

「えっ? 息子…?」

 美里は自分より女らしく、まるっきり女、そしてとっても大人にしか見えない麻矢にショックを覚えた。

「まぁまぁ、麻矢はどーでもいいから!ねぇ、ミミはお酒飲めるの?」

「いえ、ほとんど飲みません…」

「そっか!まぁ、酒なんて慣れだよ。慣れ!」

「はぁ…」


「これおいしいよ~、お食べ?」チョリスも勧めた。

「あっ、いただきます!!」フォークに刺されたチョリスを受け取り、美里は素直に口にした。

―――か、辛すぎ。


 一口食べた美里は、あまりの辛さに涙と鼻水をすすった。

「辛いぃ?」

 コクコクうなずいた美里を見て、「うふふん」と結莉はクシャクシャと笑った。

「無理しないでいいよ。私が食べるから!」

 美里が持っているフォークを取り、ショットグラスを持たせ、テキーラを四分の四注いだ。

「じゃ、これ飲みなぁ~、ホレッ!」

「はい! いただきま~す」

 結莉に勧められ、美里はショットグラスのテキーラを一気に飲んだ。


 倒れた…。


「…あっ、またやっちゃったよ…私。っていうか、なんで一気に飲んじゃったかなぁ、ミミちゃん…」

 反省する前に考えればいいものの、学習能力のない結莉は、また一人テキーラ被害者を出した。

 ソファの一番端に座っているスタッフを呼んだ。

「ヤッちゃ~ん、冷たいお絞り~ください!」

「またですかぁ~? ほんとにもう、結莉さんは…」 

 事務所スタッフのヤっちゃんの呆れた声に「はい…すみません」とうな垂れた。


 結莉は美里をソファに寝かせ、頭を自分の膝に乗せ、一人でテキーラとチョリスをほおばる。

「うまいなぁ~チョリスとテキーラ。ルンルンだわねぇ~」 

 いつも我が道を行く人だ。



 しばらくすると、一通り顔見知りに挨拶を済ませた修平が入ってきた。

「結莉……誰? その子」結莉の隣に座りながら訊いた。

「ん? ミミちゃん。真島ちゃんの知り合い。かわいいでしょ?」

「…寝いているということは、飲ませたんだ?」

「うん。ただいま休憩中!」

「あっ…そう…」 

 修平はいつものように結莉の肩を抱き結莉をニンマリと見る。

 修平はいつもいつもいつもいつも、結莉にくっ付いている。


 結莉のいるルームに、徐々に人が増えてきた。

 面子はいつものリフィールや顔なじみ。

 みんなは、結莉の膝の上の美里を見ては、「またやりましたね、ねーさん」といった顔をする。


 十時過ぎになり、拓海率いるFACEが仕事を終え、ルームに入ってきて「ちーす」とみんなに挨拶をする。


 拓海が美里を見た。

 大概、こういう席では修平と拓海が結莉を挟んで座る。

 が、今日は結莉の横に美里が寝ている。

 いつもの自分の席がない。

 結莉の隣に座れない。


「結莉、なんだよ、この女! オレ、座れねーじゃん!」

「じゃ、こっち座れ!」 

 修平はなんだがニヤけながら自分の隣を指さして言った。

「ぁんで、オレが修平の横に座んなきゃなんねーんだよ!」

「今日、おまえの場所ないも~~~~ん。それにいつものように俺と結莉はラブラブだし! うへっ!」

 そう言うと、これ見よがしに結莉にピトッと抱きついた。

「ざけんなよ。修平、あっちいけよ」 拓海が部屋の隅の方を指さした。

「なんで、俺があっち行くんだよ。結莉は俺のだぞ!」

「いっつもいっつも金魚の糞で、やってられねーつーんだよ、修平はよぉ」

「うっせ、ばーか。ベロベロベーーー!」

 いつもの言い争いが始まる。

 ほとんど幼稚園児並みの喧嘩だ。


「じゃ、拓海。あなた私の横に座って、ミミが起きるまで膝枕してあげなさい」

「…えっ? なん、なんで俺がこの女を」

 拓海は結莉の言葉に顔をしかめた。

「じゃ、修平くんの隣に座りなさい。ね?」

「…」

「うっへへへへへ~~」修平がおどけた。

「あんたはうるさい!」結莉に頭を叩かれる。


 拓海はやっぱり結莉の傍にいたい。

 しぶしぶ、全然起きない美里を膝枕し、結莉の横に引っ付いた。



「拓海、女の子を膝枕したの初めてでしょ~? ふふふ、どうかしら?感触は」 

 結莉は楽しそうに笑った。

「…べ、べつに?」拓海は口を尖がらせた。

「俺なんて、いっつも結莉を膝枕してんだぜーー! 俺もしてもらってけど!!」

 修平が得意げに言い、拓海の顔の前まで腕を伸ばしピースをした。

「うっせ!おめーのことなんか聞いてねーっつーの」拓海は修平の手を叩いた。

「なにすんだよ、拓海!痛てーだろが!!」 

 修平が立ち上がると、拓海も美里を膝枕から外し立ち上がった。

「ぁんだよ! 修平!」


 リフィールとFACEのメンバーが止めに入る。

 真ん中で座ったままの結莉は何も言わず、頭の上で繰り広げられる戦いには、我れ関せずでテキーラを口に運ぶ。

 いつものことだ…。


「落ち着け! 落ち着けーー二人とも!」 利央に言われ、二人はソファに座りなおした。


 ムギュッ…


「うわっ!」 

 拓海が座ったと同時にすぐに立ち上がった。

「うっわぁぁ!やっべーー」 

 美里のことを忘れて美里の顔に座ってしまった。

 拓海もみんなもあせったが、美里は眠っている。


「だ、大丈夫かなぁ?」 

 結莉が心配そうに美里の顔を覗いた。

 とりあえず、美里をまた膝枕にして拓海は座ったが、ちょっと心配になり、美里の顔を覗きこみ、動かしたりしてみた。

「なんか、寝てるし…大丈夫だと…思う」

「彼女になにかあったら、拓海が責任とれよ」修平が言った。

「なんでだよ。修平には関係ーねーだろ!」

 また始まってしまった。



「ん~、ん…ん??」 

 美里が目を覚まし、誰かの膝の上というのがわかると、目を開けて見上げた。

―――だれ、この人…


「あっ、ミミ、気がついた?」結莉が美里に言い、拓海が下を見た。

と、同時に結莉の声に反応して美里が急に起き上がり、拓海の顎に美里の頭が思い切りぶつかった。


「いったぁ~」

「うぉ~痛ってーーー! テメーなに急に起き上がってんだよー」

「……?」

 拓海は顎を擦り、美里は頭を擦りながら、情況を呑みこめないでいる。


「あ、か、顔が痛い……なんで…?」

 美里の一言でみんなが固まった。

「だ、大丈夫…?」拓海が心配そうに訊いた。

「ん?大丈夫だけど…なんでだろう……顔。っていうか、私、どうしたんですか?」

 そう言いながら美里が顔を擦り、首をくりくり回した。


 テキーラを飲んで気を失った事を説明し、結莉が美里に謝ったが、拓海が顔を尻にひいた事は話さなかった。



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