表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/114

第087話目―洞窟―

「神の巫女……ですか?」


 僕が問うと、アルミアは頷く。


「仰っている意味が良く分からないのですが……」

「……言葉通りです。私たちが言う”神の巫女”ではないかと、そのように考えているのです。……島に来て貰い、直接見て頂いた方が、色々と説明がしやすいかも知れません。良ければ、直接来て頂ければと」


 言って、アルミアが頭を下げる。倣うようにして、御者のセンテイも頭を下げる。


「長のお願いを聞いて頂ければと……」


 僕は頭を掻いた。そしてエキドナを見た。すると、疑問符の効果音でもつきそうな表情をエキドナにされた。


「かみのみこってなーに?」


 当然だけれど、本人も、全く状況が掴めていない。相手の言っていることに心当たりもあるわけがない。


 セルマが持って来たお茶を口にしながら、どうしたものかな、と僕は少し悩んだ。


 相手の頼みを断ることも可能だけれど、断って変な悪印象を抱かれるのも良いことではないように思う。相手の言っていることも色々と気にはなる。それに、島までもそう遠くはない。街からも見える距離にあるのだから。


 色々と思案した結果、僕は最終的に頷くことにした。


「正直、僕たちには事情がまるで分かりません。ご説明を頂けると言うのであれば島に行きます」

「……感謝致します」

「いえ、こちらもどうしてあなた方がそう思うのか、気になる所ですから。……ですが、一点だけ先にお伝えしておきます。うちのエキドナは、その神の巫女とやらとは恐らく無関係だと思いますよ」

「来て頂ければそれも分かることかと」


 さてはて。

 こうして、僕はひとまず龍人の住まう島へと行くことになった。


※※※※


 アティとセルマに事情と行き先を告げ、支度を済ませて、僕はエキドナを連れて家を出た。

 港まで降り、アルミアについていく形で船に乗り海へと出る。

 目と鼻の先にあるということもあって、島へは半日と掛からずに到着した。


「エキドナ、気をつけて降りるんだよ?」

「うん」


 てくてくとエキドナがタラップを渡ってく。その様子を後ろから見守りながら、僕も島に降りて、地に足をつけたところでぐるりと周囲を見渡した。

 当たり前だけれど、どこを見ても、龍人が歩いている。建物は木造建築が並ぶ村があり、少し先の岬には灯台が見えた。

 普通の島だ。


「……こちらです」


 アルミアに案内されるままに建物の並ぶ通りを過ぎていく。エキドナが勝手な行動を取らないように、念のために手を繋ぎながらである。


「おてて」

「そうだね。離さないようにしないとね」

「うん」


 村を進む。

 すると、すれ違う人々全員がアルミアを見るや否や頭を下げて来る、不思議な光景を見た。

 長に対する敬愛の意、なのだろうか?


「……龍人の間では、お付きを除いて、長の姿をあまり長く見てはいけないという決まりがあります」


 少々困惑気味であったことが、表情に出てしまったようだ。アルミアがちらりと僕を見て、そんな補足説明を加えた。


「なるほど。ということは、もしかして籠車で移動していたのは……」

「はい。他の龍人が私の姿を見ないように、です」


 独特の風習で大変そうだ、とは思ったものの、それを言うのは些か失礼な事だとも思ったので、僕はそれ以上の質問は何もしなかった。


 建物の並びを通り過ぎ、島の中央へと進んで行く。整備の行き届いている山道を歩き、まもなくすると――ある洞窟に辿り着いた。

洞窟の中には一体何が……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作者ついったー

こちら↓書籍版の一巻表紙になります。
カドカワBOOKSさまより2019年12月10日発売中です。色々と修正したり加筆も行っております。

書籍 一巻表紙
― 新着の感想 ―
[良い点] エキドナ可愛い [一言] 疑うは悪い意味だから考えるとした方がいいかも? このしちぇーションでだとこういう風になりそうな言葉選びかと お前が誘拐した巫女を解放するために自分達のテリトリ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ