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流れる雲のように ~ちぎれ雲~  作者: 中古ガム
勇者の記憶
4/4

金、金、金、

 旅立つにあたってシナが着いてきてくれたのは幸いだった。

 傷の回復を促進させられる僧侶は人気職だからな。

 頭の回る魔物からは狙われやすいから、そこは気を付けなきゃとは思っていたのだけど…





 ___________________________________________


「ウェイル!大丈夫?すぐに治すから!…さっきのは危なかったね。突然あんな攻撃してくるなんてビックリしたね。でもウェイル凄いよ!あんな素早い魔物に対応できるなんて!街を出た時より断然強くなったよね!」


「…あぁ、こないだ雇った傭兵さんから色々と教わったから…ごめんな、俺が不甲斐ないばかりに、余計な出費を…」





「やったね、ウェイル!とうとうアイツを倒せたね。これでこの村も少しは平和になるのかな…頑張ったもんね私達…」


「あぁ、でも…こちらも犠牲者が…傭兵とはいえ、やっぱり一緒に戦った仲間だし…」







「今回は久しぶりに苦戦したね。良かった、傭兵雇っておいて。今日はもう帰ろ。」


「…あぁ、そうだな。………あの、金の事なんだけど…」


「…大丈夫。あのね、僧侶にはね、助け合いの気持ちが強い方々が多いから…また神殿をまわれば…ううん、大丈夫!私に任せて!ウェイルは強くなる事だけ考えて…大丈夫。本当に大丈夫だから。」







「さっき、シナなら助けられたんじゃないのか?なぜ…いや、ごめん。俺が弱かったせいなのに、人のせいにするなんて、シナだって精一杯なのわかってたつもりなんだけどな…本当にごめん。」


「………あの人、頼れる人だったけど、酷い人だったし…あ、違うの、さっきのは本当に私のミスだったから…私こそごめんなさい。次からもっとうまくやるから…」







 ___________________________________________




 俺が弱かったせいで、シナは…


 金策は全てシナがしてくれていた。

 戦闘では大した役に立たないからといって。

 未熟な俺の為に傭兵を雇い、少しでも生存率を上げられるようにと装備を整え、安全に休めるように宿をとり…

 シナが金を工面してくれた。

 俺は早くシナの負担を減らせるようにと必死に頑張った…


 …いや、違うな。現実から目を背ける為に必死だったんだ。


 シナが何をしていたか気付いていたのに、気付かないふりをして、今の自分にはどうしようもないと諦めて、ただ逃げていたんだ。





 本当、最低だ。






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