金、金、金、
旅立つにあたってシナが着いてきてくれたのは幸いだった。
傷の回復を促進させられる僧侶は人気職だからな。
頭の回る魔物からは狙われやすいから、そこは気を付けなきゃとは思っていたのだけど…
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「ウェイル!大丈夫?すぐに治すから!…さっきのは危なかったね。突然あんな攻撃してくるなんてビックリしたね。でもウェイル凄いよ!あんな素早い魔物に対応できるなんて!街を出た時より断然強くなったよね!」
「…あぁ、こないだ雇った傭兵さんから色々と教わったから…ごめんな、俺が不甲斐ないばかりに、余計な出費を…」
「やったね、ウェイル!とうとうアイツを倒せたね。これでこの村も少しは平和になるのかな…頑張ったもんね私達…」
「あぁ、でも…こちらも犠牲者が…傭兵とはいえ、やっぱり一緒に戦った仲間だし…」
「今回は久しぶりに苦戦したね。良かった、傭兵雇っておいて。今日はもう帰ろ。」
「…あぁ、そうだな。………あの、金の事なんだけど…」
「…大丈夫。あのね、僧侶にはね、助け合いの気持ちが強い方々が多いから…また神殿をまわれば…ううん、大丈夫!私に任せて!ウェイルは強くなる事だけ考えて…大丈夫。本当に大丈夫だから。」
「さっき、シナなら助けられたんじゃないのか?なぜ…いや、ごめん。俺が弱かったせいなのに、人のせいにするなんて、シナだって精一杯なのわかってたつもりなんだけどな…本当にごめん。」
「………あの人、頼れる人だったけど、酷い人だったし…あ、違うの、さっきのは本当に私のミスだったから…私こそごめんなさい。次からもっとうまくやるから…」
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俺が弱かったせいで、シナは…
金策は全てシナがしてくれていた。
戦闘では大した役に立たないからといって。
未熟な俺の為に傭兵を雇い、少しでも生存率を上げられるようにと装備を整え、安全に休めるように宿をとり…
シナが金を工面してくれた。
俺は早くシナの負担を減らせるようにと必死に頑張った…
…いや、違うな。現実から目を背ける為に必死だったんだ。
シナが何をしていたか気付いていたのに、気付かないふりをして、今の自分にはどうしようもないと諦めて、ただ逃げていたんだ。
本当、最低だ。