第一章 5
「ぐあっ」
咲桜は俺を蹴ったあとあいつを引き連れて走っていった。
「くっそ、なんでこういうときに俺は足手まといにしか…」
とりあえずいつか咲桜にも限界は来るはず。
それを先回りして咲桜が最後に逃げ込みそうなところに待ち伏せすれば…
考えろ俺…あいつがなにか困ったことがあるときによく行きたがる場所…
「…あった…きっとあそこに」
とりあえずできるのはそれくらいだ。
覚悟を決めて足を進めた。
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あとどれくらい走ればいいのかな。
先が見えないしなかなか辛い。
体力も尽きそうだ。
「もう、限界だな…最後くらいはあそこにいこ」
レイとの思い出の場所。
ここ最近は行ってなかったけど、悲しい時とか嬉しいことがあるたびにレイと報告に行ったっけ。
「今日はあそこで告白するつもりだったのになっ」
かといって逃げれそうな雰囲気もない。
それに段々とあっちの速度も上がってきたし。
「ほんと最悪だよ。」
涙がこみ上げてきてしょうがない。
せっかく今日は何かが変わる日だったのに。
怪物ももうすぐそば。
私どうなるのかな。
まぁあの様子だと生きては帰れなさそう。
全てを諦めて後ろを振り返るとそこには。
来てはいけないけど心の何処かで待ち望んでいた人を見てしまった。
だって逃げてって言って蹴っ飛ばしたのに。
「なんでレイがそこにっ…」
自転車にまたがったレイは怪物を引き連れて何処かに行ってしまった。
「あんのバカっ!」
せっかくのチャンスを棒に振る上に自ら死ににいくとかっ!
自転車でもさすがに捕まっちゃうよ…
私は流れていた涙を拭いて一度ほっぺを思いっきり叩いた。
「ふぅ…追いかけなきゃ…レイだって怖いはずなのに私のためにあんなことしてくれたんだ。もう覚悟決めて…戦わなきゃ。」
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「はやくねっ!?さっきよりはやくね!?」
俺は近くにほっとかれていた自転車で走りながらすんごい焦っていた。
ホラゲーの主人公とかこんな気分なんだな。
あいつらメンタルおかしい!
とにかく絶対に人がいないような場所!
「火事場の馬鹿力よ!われにちからをぉぉぉぁぁぁぁ!」
とりあえず人がいなさそうなところを目指して自転車を走らせまくった末に山の中まで来ていた。
もう体力なんて残っていない。
あっちの方は森の中の俺を探すのに手間取っているようだ。
「俺にしては大正解の場所だったかな?」
その代わり咲桜が俺を探すのにも苦労するから絶望的なピンチには変わりない。
怪物が山をぐるぐると回っている。
心臓の音は止む気配がない。
まぁ女の子のため、しかも好きな人のために死ねるのなら本望かな。
なんて少し心の中でカッコつけた瞬間俺はありえないものを見て叫ぶ羽目になった。
ちょっとながめですかね。
早く書かなきゃ( ˘ω˘)スヤァ