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happy end .

作者: 黄瀬



個人の幸せを他人の物差しで測るな、と僕は思う。

だから僕は僕の物差しで物事を見る。


僕は人間が嫌いだ。

周囲と同調しなくては排除される群、造り笑いに虚言の称賛。そこに真実は無いのにも関わらず多勢の意志が真実になってしまう。

社会が嫌いだ。

世界が嫌いだ。

僕からしてみれば、ニンゲンなんてものは穢らしくてよっぽどバケモノだ。



昔は人なりに幸せを感じていた。

友人もいた両親もいた愛情を感じていた。

いつから歯車が狂い出したのか。そうだ、父親が外に女を作ってからだ。それから全てが狂い始めた。

父親が家を出て行ってから母親はおかしくなった。酒を浴びるように飲み僕に手を上げる。終いに僕を施設に捨て何処かへ消えた。

今までの生活が“幸せ”で“愛”があると思っていたのは僕の勘違いだ。そこにあるのは偽りの幸福で偽りの愛情だった。そこには初めから何もなかったんだ。


今まで仲良くしていた友人も両親の消失と共に消えた。子供と言うのは残酷だ。自分より劣っていると判断した者には容赦はなく、他者を貶める行為を至高の遊戯とする。

施設の職員は“子供同士の喧嘩”では済まない悪質な行為を黙認していた。奴らは僕たち子供を“飼育”するのが仕事だ。僕らに餌をやり規則の鎖で縛り付け狭い施設に閉じ込め飼育していればいいだけなのだから面倒ごとは放置に決まっている。


僕は人間が嫌いだ。

人間と目を合わせることが嫌いだ。

言葉を交わすことが嫌いだ。

関わることが嫌いだ。

汚いキタナイ穢らわしいヨゴレテイル。


夢なんてものは幼い頃、父親と共に何処かへ行ってしまった。やりたい事はない、目的も目標もない。

生きていたい理由もなく、バケモノしか存在しない世界で生を続けなくてはいけないことが僕には苦痛だ。





何処までもどこまでもドコマデモ、深い暗闇に堕ちてゆく。僕は眼を閉じ身を委ねる。

生と同様の意義のない漆黒が永遠と続く。

どの位の時が経っただろうか、不意に瞼の裏にまで光が届いた。

億劫に眼を開けると、周囲には沢山の羽根が舞っている。大きな翼をもった白く白く美しい綺麗な天使がいた。


僕は死こそが至高の幸福だと思う。




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