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精霊術の訓練開始

翌日から早速、デザストルより精霊術の行使と戦闘方法等を学ぶことになるリュウであった。


『ワフワフ!!ワフゥ!!!』


「ん?なになに、森の中に狩に行きたいって?だけど此処って危険地帯だから流石にエクレールだけで行かせるのは危険だと思うんだけどなぁ。後で一緒に行くまで我慢できないの?」


『ワフ、ワフ、ワフゥ、ワフ!!!』


「エッ?我慢できないって。どうしても行きたいのか?ん〜〜っ?どうするかなぁ。」


「エクレールなら大丈夫じゃろうて。ただしこの建物周辺3キロ圏内での狩ならじゃがのう。ワシが住んでおるから大体その位の間は危険度の高い魔物や魔獣は近づかんくなってしまっておるから安心じゃ。それが守れるのであれば狩りに行ってもいいと思うぞい。」

因みに、周囲3キロに危険度の高い魔物や魔獣がいないのは、デザストル爺さんが昔から優先的に狩っていた為である。強い物程美味である為調子に乗って狩をしていたら、その内危険を感じて近づかなくなった様である。


『ワフ、ワフゥ、ワフ、ワフゥ!!!』


「言われたことは守るって。なら、まあ良いのかな?とにかく、危険だと思ったら直ぐに助けを呼ぶか、逃げる様にな。」


『ワフ、ワフ、ワフ!!!』


「解ったって?じゃあ気を付けて行ってこいよ〜っ!」


なお、エクレールについてはその会話の後に嬉しそうに森の中に入っていった。


「先ずは、精霊術についての確認からして行くことにするかのう。リュウのおった世界は、地球じゃったか?地球での精霊術行使の方法と精霊に対する考え方を教えてもらっていいかのう。世界が変われば考え方や方法も変わるものじゃ。知っているのと知らないのとでは学ぶにあったても今後、行使するにあたっても違いが出るからのう。」


「そうですね。私のいた世界、地球での精霊術は精霊石を使用する事で精霊に命令し、現象を起こすものでした。使役と言うよりも隷属させ一方的に搾取するだけの関係でしかない状況でした。それが当たり前の世界で能力の高い者はより強い精霊術が使えそれを利用し権力の高みをめざす様な者が大半で、能力者とはとても言えない連中ばかりでした。」


「えらく精霊にとっては地獄の様な世界じゃな。精霊を自分の道具としか考えられん様なものに精霊術師を名乗る資格などないんじゃ!!!精霊は友であり、仲間であり、家族でもある。お互いに信頼し、こちらの魔力を提供しお願いを聞いてもらう事で現象を起こすものなんじゃ。自分本位で権力の為に精霊を利用する様なことは断じて許せん!!!この世界においてもその手の考えを持った者も一定数いるのも確かじゃが。幸か不幸かリュウ自身は地球で精霊術を使うことが出来なかったお陰で変な考えに凝り固まっておらんから、精霊達を変に扱うことが無いであろうことが救いじゃな。」


精霊達は純粋なんだろうなぁ。地球じゃあ、隷属されて利用されるだけしか無かった精霊達が可哀想だな。せめて、こちらの世界でだけは、そうゆう風に自分がならない様にしっかり戒めておくことにしよう。


「こちらの世界では、精霊術を行使する際に精霊達にお願いする事と、対価として術者自身の魔力を与えることになっておる。精霊達との信頼度合いによっても起こせる事象に変化が出てしまうんじゃ。信頼されない者や 信頼が足りなければ魔力も余分に必要となるしのう。まあ、リュウについては精霊達からの好かれようと、魔力量、回復量から考えてもそんな心配は必要ないがのう。」


術者からの魔力を得ることにより事象、現象を起こしているが、精霊達はその一部を自身の成長にも使用している。空気中に含まれるであろう魔力でも成長することができるが、術者から提供される魔力の方が精霊に合った魔力になっており必要量が全く異なる。その為、精霊は術者の手助けをする。正に、win-winの関係である。


「精霊達に好かれていますか?それはとても幸福なことです。精霊達に感謝していますよ。」


「先ずは、精霊を感じ見れる様になるまでは、ワシ自らが精霊術を使ってみせようかのう。魔力の動きや精霊術を見るのもまたそれも経験であり、勉強にもなるじゃろう。ではやって見るからよく見ておくんじゃ。」


そう呟いたデザストル爺さんは体内の魔力を右手に集め、それを掌の先から空中に放つと同時に現象のイメージと言葉を叫ぶのだった。


「我が手に逆巻く炎を・・・ファイヤーボール!!!ハッ!!!」


そう叫ぶと同時に掌からの魔力が空気中に溶け出す様に急速に消え去り、それと同時に逆巻く赤い炎が現れ球状に変化と同時に掌からの打ち出されるのだった。

デザストル爺の放ったファイヤーボールは近くにある岩に着弾後、弾け飛んだ。ファイヤーボールの的になった岩は、着弾地点が少し溶け円形に黒く焦げた状態で残っていた。


「精霊術を行使するにおいて重要なのはイメージじゃ。明確なイメージを精霊に伝えることで、より早く、より強い現象を起こすことができるんじゃ。言葉はより、イメージを確かなものにする為に声に出しているに過ぎん。熟練者ともなるとワシの様に短い言葉で事象をお押すことが可能になるんじゃ。」


未熟な者は、イメージを確かにする言葉が多くなる。例えば、精霊よ我が魔力に応え、今こそ我の手に力を貸したまえ。敵を滅するための力を、炎を宿したまえ。いでよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ファイヤーボール!!!とこの様な言葉と発動までに時間が必要となる。

更に、威力も当然の事ながら同様の結果を生む事になる。

魔力を利用した魔術もこの世界にはあるものの、精霊術ほどの威力、射程は無くまた、燃費もすこぶる悪い。その為、余り多用できるものではないが、一流の魔術師ともなると未熟な精霊術師程度は凌駕する能力がある。

もっぱら、戦争時に使われるのは魔術の方である。これは精霊術を使える者が希少である事と、戦争に利用されない様に国に仕えず冒険者になるものの方が多い傾向にある為である。

どこの世界の者でも例外はあり、国やそれに連なる組織に金品で身を置く精霊術師も一部に存在している。


「おお〜っ!!これがこの世界の精霊術なんですね。地球のものに比べて扱いやすそうに感じました。魔力もあんな形で精霊に吸収されるんですね。イメージさえしっかり精霊に伝えることができれば、精霊術も色々アレンジできそうで今から、精霊術を使える様になるのが楽しみになりました。」


「ウム。精霊が見え、お互いに意思の疎通が取れる様になったら色々と試して見るが良かろう。取り敢えず今日は早めに切り上げておこうかのう。エクレールもそろそろ戻ってくる頃じゃろうから、迎えてやらねばならんのう。」


「解りました。今日はありがとうございます。」


その後、エクレールはロックボアと言う魔獣を自慢するかの様に引きずって戻ってきた。

急いで、血抜きと解体をする羽目になるデザストル爺さんとリュウであった。

なお、エクレールは2人から褒められて物凄く喜んでいた。(尻尾がブンブンブンブンと猛烈な勢いで振られていた)





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