エクレールも実は凄っ!!
「ところで、リュウの連れてきたそのエクレールなんじゃが、恐らく何にも気が付いていない様じゃから教えておくぞ。子狼と思っている様じゃがそれは、神獣と言われておる金皇狼牙の子供じゃのう。その金色の体毛と姿からしてまず間違いないのう。因みに分けられている強さの区分で言うと 魔獣→魔物→幻獣→神獣の順じゃな。リュウの狩ったホーンラビットは魔獣の中でも最弱の部類にはいるものになるのう。」
おお〜〜っと!!ウチのエクレールは何気に最強種の神獣だったのか!スゲースゲースゲー!!!俺は遂に勝ち組になれるのか?・意味不明・(自分のことは棚に上げ小躍りするレベルで喜ぶリュウ 痛い子である )
「神獣ですか?ただ空腹でいた所に肉と水を与えただけなんですけど?」
「普通は、人の目に触れることも人に懐くことも殆ど無いのう。多分、これもリュウに集まっている精霊のおかげじゃて、神獣は4種類いるんじゃが、どれもそれぞれ精霊の属性を持っておるんじゃ。金皇狼牙は風と水の属性じゃ、自由に空を飛び身体に風と雷を纏い敵を蹂躙する黄金の獣と言われておる。リュウの周りにいる精霊を見て安心したかのう。精霊は邪の心を持たない友となる者を選ぶからのう。リュウに懐いているエクレールも相棒として大切にすることじゃのう。」
「ハイ。エクレールが何であっても、大切な家族です。精霊達とはこれから姿と意思疎通ができる様になったら直ぐにでも友になっていきます。誰に言われずとも大切にしますよ。」
「うむ。話はここまでにして、先ずは部屋に案内しよう。建てる時に張り切り過ぎて無駄に大きく造ったからのう、部屋だけは沢山あるから、安心せい。」
そう言いながら、リュウを案内するデザストル爺さん。何気にこの爺さんも侮れない才能の持ち主の様である。(実際のところは、こんな場所に引き込まなければならなくなった事に腹を立て、勢いでついつい造ってしまっただけである)
「リュウはこの部屋を使うと良い。」
そう言って案内された部屋は、12畳程はあろうかと言う広い部屋であった。
「1人で使う部屋にしては、広すぎる気がします。もう少し狭い部屋で十分です。」
「エクレールも共に住む部屋じゃ。今でこそあの大きさじゃが、まだまだこれから大きくなるぞ。大体3メトル(3メートル)位になると思うぞ。この位の部屋で無ければ逆に過ごせんじゃろう。この部屋ならロフトに繋がる大ドアがあるから出入りの心配いらんじゃろうしのう。先程の話の通り、孫がジジイに遠慮なんてするんじゃ無い。」
距離は1ミトル→1ミリ・1セトル→1センチ・1メトル→1メートル・1キトル→1キロとなっている。
水や重さの単位も似た様なもので、呼び方が違うだけで地球の単位と同じになっている。因みにリュウは異世界言語、異世界文字のスキルを取得しているので全て地球の単位で話しているが相手には自分の世界の単位で聞こえている。(スキルって凄い・取り敢えず参考までに)
「デザストル爺さんの好意に甘えさせて貰います。しかし、エクレールってそこまで大きくなるんですね。」
「恐らく、一年程度で体の成長は終わるじゃろう。今でこそこの大きさじゃが、短期間で一気に成長するじゃろうな。」
この世界では、今の地球とは違い弱肉強食が未だに強く反映されている世界な為、こと魔獣、魔物等の生物に関わらず野生のものは成体になるのが早い傾向が強い。神獣も例に漏れずに一緒であるものの精神の成長は短期間に終わらない為、体は大人頭脳は子供の状態(それでも大体3ヶ月程度の遅れ)が数歩遅れで続く事になる。(何処ぞの少年名探偵とは逆パターン、迷探偵かな?)
「成程、地球でも似た様な生き物は確かにいますね。こちらの世界の方が体格が大きいものがはるかに多いですけどね。エクレールに乗れる様になる日もそう遠くはないかもしれないな。楽しみにしておこう。」
ところでこの会話が繰り広げられている間、当のエクレールはと言うと、完全に安心しきって熟睡し全く起きる気配はない。(それで大丈夫なのか?神獣!!と思われかねないぞ。今後の活躍に期待!?)
「まあ、精霊術の使用方法やこの世界に事についてやエクレールと共に戦う方法も明日より、おいおい教えていくとするかのう。何はとのあれ、先ずは夕食の支度を始めるとするかのう。」
「ハイ。よろしくお願いします。後、ここにたどり着くまでに狩ってきたホーンラビットの肉と魚を出します。これからお世話になる訳ですから、この食料も是非使ってください。食事の準備も差し支えなければ自分も手伝います。こう見えても、地球では一人暮らしで自分で家事全般を行なっていたので一通りはできると自負しています。せめてものお礼に是非今後も手伝わせてください。」
そう言いつつ、アイテムボックスから仕留めてきた肉と魚を取り出しデザストルへと渡すリュウであった。
「ちょっと待ていじゃ!!い、いい、今何処からそれを出した!!!何もない場所から出さなかったかのう?」
リュウから食料を受け取りつつ、急に驚きの声を上げるデザストル爺さん。今まで驚くことはあっても表面や態度に現れることがなかったが為に、リュウ自身も驚いてしまう。
「そんなに驚く様なことですか?こっちの世界では普通に出来る人が多いんじゃ無いんですか?異世界ですよアイテムボックス持ちの人ってそんなに珍しいんですか?」
「当たり前じゃ!!!(クラッカーじゃないよ!!)この世界であっても、アイテムボックス持ちは貴重なんじゃ。魔力量によって収納量は変化するが、入れておくだけで劣化も破損も腐食も防げるんじゃぞ!!!内部時間停止じゃぞ!!!この能力があれば貴重品を運んでいる最中でも調べられても見つからんし、貴重な食料も痛ませずに問題なく運搬可能じゃ。容量の大きいものについては、戦争時の糧食運搬にも使われる程じゃて。能力者の希少性、利点等もあって何処の国でも高待遇でお抱えにしようとする位じゃ。逆にお抱えになっていない者は能力を隠し通しているか、バレて利用され後に要らなくなれば即消されるか、即奴隷落ちしかないのう。」
何気にこの世界侮れねえ!?ホントここに最初に辿り着いてよかったんじゃ無いかな?下手に国なんかに先についてたら、どうなっていたか。不幸すぎる未来しか見えない。本当で人生ハードモードだよ。トホホ。異世界に来たのは知ったけど〜〜〜ぉどちらであったにせよ危険度は変わらない気がする〜〜〜ぅ あると思います!!!ってな感じ?
「おおっ!!!何気に危険な新事実発覚。これからの事を考えて、何か対策をしなければ!!!不幸なことしか浮かばない。幸せが見えない。俺の幸せはどこにある。」
「リュウには、本当に驚かされっぱなしじゃのう。なんぞ対策については、此方でも考えて準備してやるから少しは安心せい。取り敢えず夕飯を作るぞ、手伝ってくれんかのう。」
オレ落ち着け、落ち着け、落ち着け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フゥ落ち着いた。
「重ね重ね、ありがとうございます。直ぐに夕食の準備を手伝わせて戴きます。」
料理をし始めるデザストルとリュウであったが、エクレールが起きてきたのは料理完成直前と中々、狙ってやがったのでした。嫌だこの子、たくましい子って感じです。
因みに、竜也の採ってきた食料は全て今回の夕食に化けている。何気にエンゲル係数の高い2人と1匹なのだった。
夕食を食べ終わったところで、翌日からの計画を決めることとなり、午前中に精霊術の訓練を行い、昼食休憩後この世界の事を学び、その後食料の調達の狩り、採取を行う事に当面は決まった。
その日、久しぶりに2人と1匹は楽しく食事ができ、ゆっくりと眠ることができるのであった。