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~遠い昔、人がまだ海の中で暮らしていた頃の物語~
「…なんじゃこりゃ…」
目の前に広がる、信じられない光景におどろいて声を上げた。
「ウワサを聞いて来てみれば…想像以上にヒドイのう、これは…何とかせんと、マズイかの~…」
そう言って、後ろをふり返ると、目の前との光景の落差にため息をついた。
背後には、美しいサンゴ礁の海が広がっている…
「あの…申し訳ありませんが、人助けだと思って、一つお願いを聞いて頂けないでしょうか?」
突然声をかけられ、辺りを見渡した。
「はぁ?人など、どこにもおらんが…」
「あ、すみません、つい昔のクセで…ここです、ここ!」
「おぉ…見つけた、見つけた…お前さんは…」
「私はラギと申します…あなたは?」
「わしか?わしはのう…」
言いながら、考え深げに目を細めた…