あぁ~! ジュースの人!
今日は短めです。
うちの彼氏の名前は徳永出流。出逢い(正確には再会?)は、同じクラスで友人のいっ君の弟の日航、通称『ニコ』の家に遊びに行った時。
うちは、リビングのソファーでうたた寝をするいっ君を見つけて「あぁ~! ジュースの人!」って叫んで指を指してしまったのです。
はい。反省。
「っあ?」
うちの声に目覚めたいっ君は、寝起きで変な声を上げて起き上がって、うちの事を認識して「あぁ、えっと……バナナジュースの子?」って、こちらもなんとも微妙なあだ名を付けてくれました。
「あの時は、ありがとうございました」
お礼を言うと「兄さん、純玲の事知ってるの?」って、ニコが聞いてきたので、ざっと説明する。
「先週、自販機に嘘吐かれたって言ったじゃん? あん時に、うちの欲しかったジュースと交換してくれたんよ」
「あぁ~、睡眠不足でフラフラしてた先輩って兄さんだったんだ?」
ニコの言葉に、いっ君が苦笑する。
お話をまとめるとですね、うちがどーしても抹茶ミルクのパックジュースが飲みたくて、昇降口に2つ並んだ自動販売機からお目当てのジュースのボタンを押したの。そしたら、出て来たのはバナナセーキ……。せめて、バナナ以外の飲み物だったら我慢したけれど、バナナは嫌いなのぉ~!
「おーのぉ~。マジないけぇ~…」と自販機に両手をついて脱力していたら、ふらふらの先輩様がうちにぶつかったのですよ。
ゴツンとおでこを自販機に打ち付けて呻くうちに「ご、ごめん!」って慌てて謝って来たのがいっ君。
眠気覚ましに飲み物を買いに来たと言う先輩は、お詫びに抹茶ミルクのパックジュースを買ってくれたのです。どうやら業者の人が入れ間違えていたらしく、いっ君がバナナセーキを押すと抹茶ミルクが出て来たんだよね。
それから学校でもいっ君と話すようになって、好きになっていったんだけど、付き合うきっかけになったのは体育祭。
うちらの通ってた高校は、全校生徒が『青龍』『朱雀』『白虎』『黄鷲』って4つの軍に別れて戦うんだけど、いっ君は『青龍』の応援団長に選ばれたの。
応援団員には、応援合戦の時に着る中華風の制服があって、あの団長服を着たいっ君はマジで格好良かった!
そう思ったのはうちだけじゃなかったらしくて、あの体育祭の後、いっ君は人生最高のモテ期を迎えた。
毎日、誰かに告白されてるってニコから聞いて、悩んで、でも告白しないで誰かと付き合われたりしたら絶対に後悔するって思って、告白したのが体育祭の1週間後。
その告白にOKをもらって、早3年半。
そんな彼から、別れを切り出されたのは2ヶ月前だった――。
2015/04/19 文頭にスペースを挿入しました。