...Death
初めて君を見たとき、僕は一瞬で心を奪われた。
歩くたびに揺れる長い黒髪。
いつも黒で統一されている服は、スラッとしている体のシルエットを更に強調している。
血色はあまりよくないけれど、どこか人間離れしたような魅力的な君の顔。
休み時間にはいつも同じベンチに1人で座って周りを見渡し、一瞬止まって淋しそうな顔をしてすぐ立ち上がる。
その表情の原因は何?
僕は君の笑顔が見たい…
そう思ってベンチに座る君に声をかけに行こうと歩き始めた。
すると、君が僕の方を振り返ってまた淋しそうな顔をする。
僕が話しかけたら、君は驚いたような顔をして、淋しそうに笑った。
君は声を出してはくれなくて、ただ2人で黙って廊下を歩いていた。
階段の踊り場で立ち止まる。
僕の隣に君は居るのに、
鏡には君が写らなかった…。