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ワールドエンド
眼下では、地平まで広がる雲が黄金色に輝いている。
朝焼けに染まる雲海の遙か下には、あたしが育った町がある筈なのだけれど聳え立つアーリアの山頂からは見下ろすどころか認識する事すらできない。
夢の中でも見れない様な幻想的な光景。
これが神の視界なんだ、とあたしは思う。
あの太陽が完全に姿を現す頃には、あたしの身体は冷たくなるけれどもう寂しくは無い。
あたしはあたしの身体に別れを告げて、この雲海の中に思いっきり飛び込んで地平の果てへ行くんだ。
アーリアの山脈を越えてニニギの草原も越えて、ついには一度も見れなかった海も越えていく。
その旅の途中では、月よりも鮮やかに輝く鳥の群れや、海を二つに割る滝に棲む巨大な竜に出逢うかもしれない。
その竜の背中に乗って、世界を照らす灯台を探すのも良い。
あたしが生きたアーリアの大地は狭過ぎて何も無かった。
狭すぎたから、目に見えない何かの為にあたしは死ななければならなかった。
だからきっと、きっと想像できるものの総てはアーリアの外にある。
果てへ。
この雲海の果てへ行こう。