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第6話

 平日の月・水・金は8時にお店に行くので7時起き。

 火・木・土は10時にお店で9時起き。


 今日は月曜日なので7時に起きた。


 ちなみに聡美さんはわたしと反対。弘幸さんは毎日お店に9時に出勤。


 急いでうさぎにご飯を上げて、自分もご飯を手早くすます。


 シャワーを浴びて髪を乾かし着替えて部屋を出ると歩いて5分。


 お店に着いたら一番に、ばらして乾かしていた業務用食洗機を組み立て、一度空回しスイッチオン。


 その間フロアのカウンターとテーブルをフキンで清掃。


 食洗機の空回しが終わると、閉店時に洗った食器をもう一度すべて洗いなおす為、どんどん投入。


 そうこうしていると食材の配達の業者さんが来るので、納品をチェックしてサインして受け取る。


 食洗機で食器を洗いつつフロアーの清掃、テーブル上の備品の補充。


 9時前になると弘幸さんが登場。


「おはよう御座います」

「おはよう」


 弘幸さんはさっそく冷蔵庫に入れてあったカレーなべを火にかける。


 カレーなべは、ビーフカレー、ポークカレー、チキンカレー。それにポークカツカレーと野菜カレー用の具無しカレーの4種類。


 しかもそれが一昨日作った分と昨日作った分との2日分で計8つ。


 さらに空いている時間に今日もまた4種類のカレーを作る。なので最終的には計12。

 まさに厨房はカレーだらけ。


 一昨日作ったカレーは今日残れば廃棄。足りなくなれば昨日作ったカレーを投入。のローテーション。

 もっとも昨日は日曜日で定休日だったから一日空いているのだけれど。


 そして10時前に聡美さん登場。


「おはよう御座います」

「おはようまさこちゃん」

「おはよう」


 聡美さんはすばやくフロアー内をチェック。


 わたしの至らないところをすばやくフォロー。


 もっともこれはわたしが駄目という訳じゃない。

 どうしても目が届かない時があるからと、後から来た人がチェックしようと聡美さんが提案したルール。


 わたしが後に来た時はわたしがチェックするし、聡美さんのフォローをする事もあるのだ。えへん。


 こうしてがんばって10時までにすべて完了。気持ちよく開店。


 ところが10時すぐに来客する事などほとんど無し。時間がむなしく過ぎていく。


「これだったらがんばって10時までに準備を終わらせる事無いんじゃないですか?」


 わたしの控えめな提案に、聡美さんは苦笑をしながら口開く

「もし10時ちょうどにお客様が来て、その時にお店の掃除をしていたらみっともないでしょ?」

 との言。ごもっとも。


 とはいえ、わたしと聡美さんは暇だけど、弘幸さんは今日の分のカレー作りに勤しんでいる。


 結局10時代のお客は1人。


 11時になるとお昼に混む前に食事を済まそうとする時間に追われる営業の人がぱらぱらと。


 さらに最近ではお昼に混むのを回避する為か、時間をずらしてお昼休みにする会社とかもあるらしく、11時半過ぎにはそこそこお客が入り始める。


 それでもやっぱりピークは12時過ぎ。

 店の外まで並ぶ行列。


 ここでウェイトレスの腕の見せ所。空席を一瞬たりとも作らない。


 お客が立ち上がれば、わたしはレジへ聡美さんは食器を下げにのコンビネーション。

 言葉は要らない目と目で通じ合う。そんな仲になってます。


 レジで会計が終わればわたしは順番を並ぶお客の列へ。


「ご相席でもよろしいでしょうか?」

「席が別々になってよろしいならば席が空きましたけれど」

「一緒の席がよろしいなら、次のお客様をお通ししてよろしいでしょうか?」


 だがここに後ろから攻撃。

「3卓、カレー上がったよ!」と厨房から弘幸さんの声。


 さらに続けざまにカレーが厨房から出される。


 混雑時、厨房とウェイトレスは何気に戦い。


 ウェイトレスが暇になるという事は料理の提供が遅いという事。

 出された料理が厨房の前に溜まるという事はウェイトレスの動きが悪いという事。


 続けざまに出されたカレーに少してこずったけど、下げた食器を食洗機に入れていた聡美さんが食器を入れ終わりやってきました、救いの女神。


 瞬く間に弘幸さん劣勢。


 ところがそうなると今度は厨房を助ける聡美さん。またもわたし劣勢。


 結局、混雑終了まで続くシーソーゲーム。


 所詮、聡美さんの手のひらで転がされているわたしと弘幸さん。


 こうして混雑を乗り切り一息付いた。


「まさこちゃん。そういえばバイトを雇うって話なんだけど」


 ああ。そういえばそういう話もあったなー。

 なにせ、誰か1人でも病気になったらお店が回らなくなる状況だし。


「どんな人を雇ったら良いですか?」


「出来れば男の人でフリーターの人が良いと思うの」


「どうしてです? 女の子が増える方が楽しいじゃないですか? 弘幸さんもそう思いませんか?」


「いやー。女の子に囲まれるのも良いけど、俺が居ないとカレーを作る人が居なくなるかなね。女の人じゃ作れないって訳じゃないけど、カレーを作るのもあれで結構重労働だから。男の子が来らカレーの作り方を教えられるかもしれない」


「ええ。それに男の子がいたら土曜日は弘幸さんも休みを取れるかもしれないし。勿論まさこちゃんやわたしも順番に」


 なるほど……。

 女の子に囲まれてハーレムになるより休みが欲しいなんて、男の人にあるまじき弘幸さん。よっぽど疲れてたのね。毎日12時間労働だし。


 弘幸さんと聡美さんに頼りきっていたと猛省。


「分かりました。厨房担当の男の子のフリーターを募集しましょう。求人誌に載せた方が良いですか?」


「いえ、朝早くから来てもらう事になるだろうし、この近くに住んでいる人の方が良いから、取り敢えず店の前に求人を貼りましょう。それで駄目だったら求人を載せる事を考えたら良いと思うわ」


「そうですね」


 こうして張り出した求人。貼りだした求人。土曜日フルで入れる事必須。週4、5回勤務。フリーター歓迎。


 もっともこの求人が後にあんな惨劇を招くとは……。

 この時は思いも寄らなかったのです。


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