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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

さよならを伝えたくて

さよならを伝えたくて

作者: まひる
掲載日:2026/05/08

陽が明けきらない、少しツンとした冷たい空気の中。


シュンシュンと音を立てて、湯が沸く。


手元では、ガリガリと小気味よくコーヒーミルが回る。

挽かれた豆の香ばしい香りが、ふわりと漂った。


フィルターに豆を入れ、静かに湯を注ぐ。


キッチンに、じんわりとコーヒーの香りが広がる。


顔を上げると、テーブルに座る相方の姿が見えた。

湯気の向こうで、私の分のミルクと砂糖を用意している。


それが、二人の日常。

一日の始まり。


ふと目が合い、ふふっと微笑む。


コーヒーが仕上がり、カップを二つ持ってテーブルへ向かう。


すでに座っている相方の前に、そっとカップを置く。

かちゃり、と小さな音がした。


私も向かいに座り、視線を合わせる。


相方が、コーヒーのお礼にぺこりと頭を下げて笑う。

私もつられて、ミルクと砂糖のお礼に

ぺこりと頭を下げた。


和やかな空気の中でカップを手に取り、口にする。


鼻腔をくすぐる香り。

口に広がる香ばしさと、甘さ。


私のコーヒーはミルクと砂糖入りで、

少し甘い。

相方はブラック。


「甘くないの?」


昔はよく、そう聞かれていた。


「これが好きなの」


そう返すと、相方はいつも笑った。


今では、コーヒーを淹れていると

相方がミルクと砂糖を用意している。


頼んだわけでもないのに、

いつもぴったりの量を並べる。


不思議に思っていたら、相方は笑って言った。


「あなたの好みなんて、お手のものですから」


コーヒーは、いつも二つだった。

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