ガルボーイ
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私の名はガルボーイ
故郷を捨てたエルフだから姓は無い。
この世界【グレイテール】では度々【迷い人】と呼ばれる異世界の来訪者が現れる。
エルフもその迷い人の中に含まれる。
長老たちに語られる歴史では三千年前に来たそうだ。
人間や他の迷い人との対立の末、森の奥地で前の世界と同じ生活を送る事になったそうだ。
私は歴史を知りエルフは滅ぶ運命にあると感じた。
年々子供が生まれにくくなるし授かりものだからと解決策を考える事なく祈るだけって終わっている。
エルフの特有技術を学んだあと恋人ともに里を後にした。
その旅路では他人種に襲われる事もあったが友と呼べるものも出来た。
長い旅路で新興国【ドルフ王国】にたどり着く。
この国は人種で差別することなく能力重視で技術ある者が重宝されるので居心地が良く、私は薬師として働いていた。
腕の良いと薬師と評判の私は定期的に森で上級の薬草を採取に出かける。
冒険者に依頼しても質も量も満足できるものが届かないので自分で採った方が早いし儲けも大きいし、上級の薬草は下処理での匂いがキツく街なかで調合には向かない。
【沼ノ森】と呼ばれるココは一般的なゴブリンやオークしかいないのに上級の薬草が豊富な場所で私程度の強さでも対処可能な何度しか無い。
魔物結界をしてある小屋にいつも通りに作業していたら客が来た。
黒目黒髪の人族で見たことも無い服装だが機能的な装備。
迷い人なんだなとわかるほど珍しかった。
一目見て不思議な感じがした。
エルフは精霊が見えるのだが男には精霊が一体も付いていない。
精霊は気に入った生物に近寄るのだがどんな悪人でも何体かはつくものなのだ。
良く見ると数多くの精霊幾種もの精霊が近付きたくても出来ないと言う見たことも無い光景だった。
普通は警戒するのだろうが好奇心に負けて小屋に入れてしまう。
もし対立しても勝てるとは到底思えなかったからだ。
会話すると嘘は言ってはいないが全てを話していないと感じた。
知らない世界で用心深いのは良い事なので好感が持てた。
ステータスを教えたら見せて貰えたが驚き連続だった。
戦闘力と料理スキルがレベル5以上
これは熟練者と言っても良いレベル。
戦闘系と生産系が両立しているのはこの世界の人族では異例な事だ。
エルフやドワーフには両方ある事は珍しくない。
すでにティームモンスターが居てしかもスライムだ!
スライムは強さはないが使い方次第は役に立つし簡単にティーム出来るが扱いが難しいモンスターで有名。
知性が低いから指示を理解出来ないから結局処分される。
新種はペットの疑似生命体がこの世界に来て新種に進化したそうだから意思の疎通が出来る驚異的なスライムなのだろう。
スライムの進化は珍しくない様々な環境に対応するから新種の数は年々増えていく一方だ。
それよりも【調味料精製】だ!
調味料の多くは植物から生み出される。
異世界の植物に薬師として興味が尽きない!
その思いが伝わったのかスキルで異世界の砂糖を出してくれた。
その真っ白な砂糖に驚愕した!
彼の説明では精製する事で純粋な甘さをだけを抽出すると説明された。
この方法は薬学でも使う方法でもあるし調味料でするなんて驚きと感動を感じった。
彼の世界はスゴい文明なんだと思いつつ白糖から目が離せなかった。
自分世界から呼び戻され、ポピュラーな調味料を出してくれて、オマケに異世界料理まで提供してくれという。
私は薬学神様になんと感謝したら良いのだろうか?
しばらくすると嗅いだことのない香ばしい臭がして小屋から出るとエンマさんが異世界料理を作っていた。
一串貰うと余りの美味しさに絶賛してしまった!
そして余計な一言を言ってしまう。
「このソースがあれば木の根すら美味しく食べれそうです」
なんて暴言何だろうか⋯【料理】レベル7の人間に言うべき言葉ではなかった。
そのレベルになると道を極めつつある人である。
私が薬学を軽く扱われたら当然怒る。
当然、彼には叱られた。
「ふざけるなテメェ!ウナギ一つ作るのにどれだけの先人達の技術と工夫があると思っているんだ!
褒めてくれたのは嬉しいが全部調味料のことじゃねぇか!!
食感とか料理に対するリスペクトしやがれ!」
本当にもっともだ!私の配慮が足りなすぎた。
異世界の調味料に舞い上がりすぎた反省するしか無い。
深く頭を下げ許しを得て頭を上げると彼の周りには数多くの精霊が楽しげに舞っていた。
こんなの初めてだ!
エンマさんに興味が尽きない。
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