夢
うちには夢がある。
それは、一流のパティシエになることや!
そのため、うちは毎日1品はお菓子を作るようにしとる。
例えば、よく作るのはクッキー。
チェック柄のクッキーや真ん中にジャム乗せたやつやったり、チョコチップクッキーとか。とにかくぎょーさん作るんよ。
偉いやろ?うちは今から将来考えとるんや。
でも親はいくら何でも早い言う。なんでやろな。早い方がええのに。
まあなんと言ってもうちは今11歳やからかもやけどな。
なんでパティシエになりたいかって?
そりゃもちろん、憧れやな!
うちが今よりもーっと小さい頃、綺麗で美味しそうなケーキとかタルトとかの焼き菓子売っとるとこ連れてって貰ったんよ。
もうあれは驚いたわ。見た目だけでなくちゃんと美味しいねんから。
せやからなりたい!って憧れたんよ。
よくある憧れ方やろ?
でも全然上手くいかん。何作ってもあの店通りにはいかんし、あんま美味しくない。
友達は軽くうちならいける!って言ってくれとるけど自信ない。
これって大人でもよくあるやろ?
こんなはずじゃなかったねんけどなぁ。
もっと上手いはずなんやけどね。
ただの自分の理想やけど。
パティシエにはなりたいけど、なれる技術はないかもな。
まあまだ11やからわからんけど。
せや、そういえばこんな人おったなぁ。
うちの親戚の親戚やったような気がする。違うか?
まあどうでもええわ。
その人は俳優やろうとしててな、一生懸命頑張っててんよ。
でも、なんというかなぁ。顔がなぁ、はっきり言ったら悪かってん。
言うてそんな見れへん程ちゃうで?俳優には似合わん感じの中途半端な顔やってん。
本人も気にしてはったわ。
でも顔なんか変えれるわけないし、その人の親は他の話おもろいとか歌上手いとか、そんな感じで褒めててん。今思ったら慰めみたいなものやったなぁって気がする。
でな、その人はさすがに自分のことやし俳優に向いてないことなんてわかっててん。
やからな、やってんよ。
なにをやったと思う?
そう、整形。
うちもさすがにびっくりしたよ。
まあ自分の事やし、とやかくは言えんけどさ。そこまで覚悟あるんやなぁって。
それみて、うちだけやと思うけどかっこいいって思ってさ。
どんなに不利があっても覚悟決めてやるとこまでやるって言うんはかっこええなぁって。
まあ、他から見たらうちは馬鹿に感じるやろうけどさ。
結局整形してどうなったかって?
一時期はめっちゃ有名になったよ。
でも、すぐ整形がバレて飽きられていったかな。おるやん?整形が嫌な奴。
でもさ、あの人。顔以外は全然並の人より良かったんよ。少なくともうちにはそう見えてん。
だって、何年も前から努力してたん知ってたもん。
毎日トークの練習したりとか、ファッションも勉強したりさ。
うちもそれに付き合ったわ。あんま覚えてないけど。
やからさ、余計かっこいいって思った。
うちも意思曲げずに突き進んで行きたい。
だから今から練習して、自信がなくてもやめたり変えたりしてへんねんよ。
偉いやろ?うち。
長話に付き合ってくれてありがとうな。
オーブン治しに来てくれただけやのに。
あんたも頑張りや。うちが言うのもなんやけどな!
さて。夢に向かって1歩進んでみますか。