第5話レベリング
魔物支配を使い角兎の動きを止めて踏み殺すという事を何度か繰り返し異世界人がLv10、支配者はLv5まで上がった。
だが徐々にLvアップの速度が落ちてきている。回収した角の数からして27匹は倒している。初めは2、3匹でLvが上がったが今では5匹倒してもLvが上がらない。
『Lvが15になったので小鬼を討伐する事を推奨します。またその前に冒険者ギルドでゴブリンの討伐依頼を受ける事を推奨します。』
なぜLv15なんだろうか。
『小鬼の平均Lvは7であり現在のLv差であれば〖傲慢〗の効果により危険を伴わずに安全に討伐が可能です。』
なるほど。では冒険者ギルドに行くとしよう。
「小鬼の討伐依頼を受けに来ました。」
「小鬼の討伐依頼は常設依頼となっております。小鬼の左耳を提出していただければ、その数に応じて報酬をお支払いいたします。」
「角兎の角の買取もお願いします。」
「1本100ゴールドになりますので27本で2700ゴールドになります。」
2700ゴールドを受け取ったあと1500ゴールド出安物のナイフを買い街の門に居た兵士に借りていた1000ゴールドを返し小鬼討伐へと向かった。このナイフは左耳を剥ぎ取るようだ。
目の前に身長120cm程の緑色の体色の怪物がいた。おそらくこれが小鬼だろう。
『はい。それが小鬼です。現在のLvでは小鬼に魔物支配は効果が薄いため背後から石などで頭部を破壊する事を推奨します。』
私はヘルプの言う通り足元の石を拾い背後から小鬼の頭部を殴打した。
ゴッ
中々にいいのが入ったのでは無いだろうか。そのままふらつく小鬼の頭部を何度も石で殴った。
ガッ ゴッ バキ
しばらくすると小鬼から光が私の方へ流れ込んできた。
『Lvが上がりました。』
ナイフで左耳を剥ぎ取り私は次の小鬼を探した。
「ステータス」
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名前 白土・一
種族 人間
Lv42
JOB 異世界人Lv30 支配者Lv12
HP628/628
MP405/904
SP194/488
筋力107
耐久94
敏捷68
魔力137
魂力72
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【スキル】
〖日本語〗〖傲慢Lv1〗〖言語理解〗
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【ジョブスキル】
〖就職可能ジョブ数制限解除〗
〖魔物支配〗〖命令権〗〖人間支配〗
新しく〖人間支配〗という物騒なスキルを手に入れている。
これは支配者のLvが10になった際に習得したスキルだ。
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〖人間支配〗
自身よりLvの低い人間を支配できる
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なるほど。あまり使える気がしないがどうなのだろうか?
『現在のLvではそこまで重要なスキルではありません。』
やはり使えないスキルのようだ。
私は小鬼の耳56個を換金し11200ゴールドを手に入れた。
『ジョブの剣士に着き、剣を購入し森狼を討伐する事をおすすめします。その後異世界人をLv50まで上げ中級職に着きましょう。』
「すみません、森狼がどこにいるか分かりますか?」
「森狼でしたら街を出て直ぐの森の中に居ます。丁度今討伐依頼が出ているので、討伐なさるのでしたらそれを受けることをおすすめします。討伐部位は左耳です。」
「ありがとうございます。」
「待ってください。」
受付嬢に呼び止められた。なんだろうか?
「今日は遅いので明日行くことをおすすめします。」
なるほど。確かに既に空がほんのりオレンジ色に染まり始めていた。
「確かにもう日が暮れかけていますね。この近くでおすすめの宿は有りますか?」
「冒険者ギルドでは宿泊サービスもございます。そちらですと冒険者の方は一泊1500ゴールドで泊まれるので安くすみます。」
私は受付嬢におすすめされた通り宿泊サービスを利用した。
翌朝、私は受付嬢に聞いた森狼の居場所へとLv上げに向かった。ところでなぜ私はLvをここまで上げようとしているのだろうか?
『Lvを上げる事を推奨します。』
そうだな、Lvは上げなければ。
転職クリスタルで剣士に着き剣を買い森狼討伐へと向かった。
森の中を少し進むと体高100cm程の狼のようなものに出会った。これが森狼だろうか。
『はい、それが森狼です。』
そうヘルプが言うのと同時に森狼が牙をむき出してこちらへ飛びかかってきた。
「グルルルッ ヴァウ」
少し焦ったがLvアップのおかげで敏捷が上がっていたためか、何とか私は剣を鞘から抜き切り付ける事に成功した。
「キャイン」
グサッ
地面に転がった哀れな狼の首に私は剣を突き刺した。
その後昼頃まで森狼を討伐し、無事異世界人のLvをカンストさせた。
『下級職のLv上限到達を確認。』
『インベントリを解放します。』
どうやらインベントが解放されたようだ。今まで血まみれの耳をポッケに突っ込んでいたのでこれは助かる機能だろう。
私は冒険者ギルドへ向かった。
「こちらの換金をお願いします。」
「はい。かしこまりました。森狼の耳は1つ300ゴールドとなります。全部で187個ですので56100ゴールドになります。」
懐が暖かくなったところで私は転職に向かった。
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就職可能ジョブ数 無制限
就職可能ジョブ一覧
──────下級職──────
異世界人
戦士
格闘家
蹴士
料理人
剣士
魔術師
兵士
旅人
鑑定士
斥候
etc…
──────中級職──────
異世界戦士
──────上級職──────
支配者
──────特級職──────
傲慢之魔王《未開放》
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新たに異世界戦士というジョブが追加されていた。
私は戦士、兵士、そして異世界戦士に着いた。
『現在この街に魔物の群れが向かっています。』
「え?!それは大丈夫なのか?」
『特に問題は有りません。むしろLvを上げるチャンスです。着ける戦闘ジョブに着くことを推奨します。』
なるほど。それなら良かった。私は追加で格闘家、魔術師、蹴士、鑑定士、斥候に着いた。
その後さっき手に入れた50000ゴールドで新たに鋼鉄の剣を買う事にした
私が転職部屋から出るとボロボロの男が冒険者ギルドに入ってきた。
「大変だ!!!魔物の群れがこの街の方へ向かっている!!!!!」
冒険者ギルドの中が騒がしくなった。私はその中を通り鋼鉄の剣を買った。
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〈鋼鉄の剣〉
〖切れ味上昇Lv1〗〖耐久値上昇Lv1〗
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鑑定士に着いたことで習得した〖鑑定〗を使い新しい買った鋼鉄の剣を見た結果だ。〖切れ味上昇Lv1〗と〖耐久値上昇Lv1〗はさっきまで使っていた鉄の剣には付いていなかった。
「冒険者の皆さん。既にご存知かも知れませんが、現在この街に魔物の群れが向かっています。どうかこの街を守るために力を貸して頂けませんか!」
見た事のない初老の男が演説をしていた。あれは誰だろうか。冒険者も皆その声に耳を傾けている。
『彼はこの冒険者ギルドの支部長です。現役時代は星3冒険者でした。』
なるほど。彼がこの冒険者ギルドの支部長のようだ。そして上から2つめの階級という事はそこそこ強いのだろう。冒険者達が街の外や街を囲う壁の上へと向かっている。迎撃する準備をしているのだろう。壁の上には魔術師や弓を持った人々が並んでいた。そして街の外に出ている冒険者達の戦闘には冒険者ギルドの支部長と6人組の他より豪華な装備に身を包んだ男達が居た。
『彼らはこの街に滞在していた星3冒険者です。』
なるほど。中々強そうである。私も外に居る冒険者達に合流した。
「そんな装備で大丈夫か?見たところ剣を以外は何も無いようだが」
と近くに居た冒険者らしき男に声をかけられた。
「ええ、大丈夫です。」
「しかし防具も無しでは攻撃を受けた時どうする気だ?あれだけの数だ防具が無ければ厳しいと思うぞ。」
どうやら心配してくれているようだ。優しい。
「大丈夫です。スキルの効果でダメージを受けずらいので。」
「なるほど。と男は頷き私から視線を元に戻した。」
少しこの男のステータスを見てみるか。
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名前 ジョン
種族 人間
Lv78
JOB 戦士Lv42剣士Lv36
HP1980/1980
MP15/15
SP145/145
筋力190
耐久127
敏捷103
魔力60
魂力42
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【スキル】
〖筋力強化Lv1〗
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【ジョブスキル】
〖肉体強化〗〖剣術〗〖パワースイングLv1〗〖スラッシュLv1〗etc
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なるほど。典型的な物理型だ。そう考えていると前から声がした。
「もうすぐ魔物どもが見えてくる!俺たちが今回のスタンピードの原因で有ろう魔物を討伐する!貴様らは雑魚どもを処理しろ!」
上から目線で星3冒険者パーティのリーダーらしい男が指示を出していた。非常に腹立たしい。後で殺そう。ん?今何を考えていた?これくらいの事で殺そうとするなんて...これは〖傲慢〗のせいだろうか?
〖七つの大罪系統のスキルは精神に作用する効果が有ります。〗
なるほど。どうやらそうらしい。そうこうしているうちに魔物の群れが見えてきた。