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ショー&マクリーン&スタイガー


 王都に戻ったショーは、生涯独身を貫こうと、少々うざい誓いを立てていた。


 ヴェールの聖女が死んだというニュースを聞き、彼は打ちのめされた。それからというもの、ショーの言動には憂いが滲むようになり、皮肉なことに、前よりもっと女性ウケが良くなってしまった。


 ところがショーは滑稽なほどに思い込みが激しく、直情型の男であるので、祐奈への想いは薄らぐどころか日に日に募っていき、毎日胸を痛めては、『これは自分に科された罰なのだ』と、悲劇の主人公気取りで、浸りに浸りまくっていた。


 ――家督を継ぐことも辞退し、平民になり、罪を償いながら、彼女だけを生涯愛し、つましく暮らしていこうと考えていた。


 時折、彼に色目を使った女性が、ぞんざいにあしらわれ、腹を立てて悶着を起こすという、なんの生産性もない負のループが完成しつつあった。


 ショーは誰かに口説かれるたびに空を眺め、『やはり祐奈は運命の人だった……』と一人想いを馳せるのだった。



***



 アリス隊に所属していた騎士のマクリーンとスタイガーは、数名の仲間と共に、ローダー到着後すぐに隊を離脱して、王都へ戻った。


 彼らはちょうど中間地点まで任務を果たしたので、予定されていた給金の半額を受け取ることができた。


 マクリーンとスタイガーは、それを元手にして『M&S商会』を立ち上げた。


 元々貴族でもなかったので、護衛隊が帰還後、どれだけ出世したかなどの情報は入って来なかった。


 マクリーンもスタイガーも、『きっとラング准将はご立派に務めを果たされたのだろう』と信じ、それを疑わなかった。


 祐奈ではなく、もう一人の聖女(アリスではないのは、なぜなんだ?)が王都でもてはやされているのは、さすがに彼らの耳に入っていたのだが、ヴェールの聖女は少し遅れただけで、彼女もラング准将に護衛されて、ちゃんとウトナに辿り着き、旅を終えたのだろうと考えていた。


 『M&S商会』は手堅い商売をして、右肩上がりに成長を続け、一年後には『そろそろ支店でも出そうか』と相談するまでになった。


 ――気の良い二人の男は元気に働き、それぞれの家庭を大事にし、幸せに暮らしたということだ。



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