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045_美濃併呑と伊勢侵攻

 


 永禄十一年二月。

 楠城の楠木正忠が息子の正具を伴って降伏してきた。

「楠木十郎左衛門正忠にござります」

「息子、七郎左衛門正具にございます」

 白髪頭のお爺ちゃんと、白髪混じりのおっさんだ。

「正忠、正具、大儀である。今後の働きに期待する」

 殿は鼻の穴を広げている。嬉しい時の殿の癖だ。

「「織田家への忠誠をお誓い申す」」

 二人は殿に平伏した。


「早速ですが、浜田城を攻めます。楠木殿の働きに期待しますぞ」

 俺は二人に向かって浜田城攻めを宣言した。

「某に時間をいただければ、浜田城主田原元綱を説得してまいります」

 正忠殿が頭を下げたまま発言した。

「無用である。浜田は攻め滅ぼす」

 殿がそういうと、正忠殿は「ははぁぁ」と応えるに留めた。

 殿は戦場に出たくてうずうずしていて、あまりしつこいと嫌われるからそれでいい。


 その五日後に俺たちは浜田城を囲んだ。

 今回は殿、信辰、滝川殿、、それに元北畠家の家臣たちも揃って、総勢八千の兵で攻めることになった。


「殿、分かっていると思いますが、ここで指揮を執っていただきますから」

「言われんでも分かっておる」

 俺が耳元で他の諸侯に聞かれないように囁くと、嫌そうな顔をしながらも頷いてくれた。

「楠木正忠!」

「は、ここに」

 殿が正忠殿を呼ぶと、床几に座っている白髪頭の正忠殿が体を少しこちらに向けて応えた。


「先鋒は楠木に任せる」

「ありがたき幸せ!」

 一番の新参者である楠木家を試すための采配だ。

 ここで手心を加えて浜田城を攻めあぐねるようでは、今後殿は楠木殿を信用しないだろう。

 逆にここで目覚ましい戦果を挙げれば、殿は楠木殿を家臣だとお認めになると思う。


 戦の火ぶたが切って落とされた。

 先鋒の楠木軍が果敢に浜田城に攻めかかる。

「勘次郎、どう思うか!?」

「はい、楠木殿の臣従は誠かと」

「うむ、ならば援軍を送ってやれ」

「それならば、七郎左衛門殿に任されてはいかがでしょうか」

「うむ。七郎左衛門、楠木を援護いたせ」

 俺が信辰を指名すると、殿も頷き命じる。

「は!」

 信辰は陣を出て援軍に向かった。


 えーっと、戦いには関係ない話をしていいだろうか。

 実をいうと……お由が妊娠しました!

 ヤッホーッ! パチパチパチ!

 戦の最中にこんなことを考えている俺を不謹慎だという奴もいるだろう。

 だけど、戦の最中だから楽しいことを考えていないとやってられないのだ。

 二人目は今年の五月頃に出産予定だ。今から楽しみだ。

 最近、仕事が忙しくてあまりお由を構ってあげられないので、すまないと思っている。

 やっぱ織田家はブラックなんだと実感しているよ。


 子供の名前も考えなければいけないし、伊勢の攻略も考えないといけない。

 やることがいっぱいあって大変だけど、やり甲斐はある。

 勘一郎も最近はちょこちょこと歩き回っているし、普通の子供よりも体が大きいようだ。将来が楽しみだね。


 話を戻そう。信辰の支援を受けた楠木軍が浜田城の城門を破った。

 城門が破れれば、後は時間の問題だ。

 さらに一時(いっとき)ほどすると、浜田城に織田木瓜(おだもっこう)の旗が翻った。


 殿と共に浜田城内へ入ると、縛り上げられた兵士や武士が集められていた。

 どうやら城主の田原元綱を生け捕りにしたようだ。

 正忠殿の情けからだろうが、生け捕っても織田家に仕えることをよしとしなければ、殺すことになる。


 縛り上げられて一番前に座らせられている大きな体の男が田原元綱かな?

 顔中に髭を生やして体も大きいので無骨な感じがする男だ。

 さて、田原元綱の返答はいかに?


「是非もない。織田家にお仕えすることを許されるのであれば、身命を賭して働きましょう」

 あれ? 予想と違うな。殺せとか言いそうなのに、それに調略を仕掛けても一番靡きそうになかったのに、なんで?

「勘次郎」

「はい」

 殿が俺に視線を向ける。嫌な予感がする。

「お前の下で使ってやれ」

 やっぱりそうきたか。

「承知しました」

 俺は田原元綱に顔を向けた。

「佐倉勘次郎与辰である」

「田原元綱でござる。お世話になり申す」


 これで、ミッションクリアだ。

 ミッション『釆女城攻略!』の報酬だ。


【ランクB】

 ・南蛮吹きの書


【ランクC】

 ・サツマイモの種イモ×100


【ランクE】

 ・清酒(小樽)×10


 次はミッション『楠城攻略!』の報酬だ。


【ランクB】

 ・種子島銃の製作図


【ランクE】

 ・清酒(小樽)×10

 ・焼酎(小樽)×10


 次はミッション『浜田城攻略!』の報酬だ。


【ランクB】

 ・蒸留酒の作り方


【ランクE】

 ・清酒(小樽)×10

 ・焼酎(小樽)×10


 今回は全部にランクBが出てきた。

 しかも、南蛮吹きの書とか種子島銃の製作図、そして蒸留酒の作り方。どれも金のなる木だ。

 特に南蛮吹きはこの時代の租胴に含まれている金や銀を取り出せるものだ。

 すぐにでも南蛮吹き工房を組織したいところだ。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

本作も残すところ5話になっています。

できれば最後まで読んでやってください。

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