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017_犬千代の帰参

 


 古木江城に帰った俺たちは祝勝会をした。

 信辰も当然いるけど、信辰は酒の強さが殿と大差ない。

 というか、俺、雲慶、犬千代さんが異常なんだとよく言われる。主に殿に。

 だけど俺はそんな殿に言いたい。酒量を知れと!

 酒量を知らない間は子供だと俺は思っている。大人なら、酒を飲んで前後不覚になってはいけないし、人に迷惑をかけるのは以ての外だ。


 古木江城での宴会は夜を徹して行われた。

 その翌日、犬千代さんは長屋で待っていたおまつさんと抱き合って帰参を喜んだ。

「おまつさん、おめでとう。これからも大変かもしれないけど、俺にできることがあれば、遠慮なく言ってよ」

「勘次郎様、本当にありがとうございます。勘次郎様がいなければ、又左衛門殿の帰参はなかったでしょう。このご恩は必ず返させていただきます」

「そんなのはいいよ。俺も犬千代さんには色々と手伝ってもらったし。持ちつ持たれつだよ」

 涙を流しながら何度も頭を下げるおまつさんと犬千代さんだった。

 そんな二人も数日後にはこの長屋を出ていくんだと思うと、寂しい。


 数日後、俺は犬千代さん夫妻と一緒に清須に入った。

 俺は信長様に褒美をもらうためで、犬千代さん夫妻は家に帰るためだ。

 現在、犬千代さんの実家である荒子前田家は犬千代さんの兄が当主をしている。

 俺は検索のおかげで知っているけど、この数年後には信長様が兄を隠居させて犬千代さんへ家督を譲らせている。

 犬千代さんの兄には子供(義理の息子)がいるけど、この子供がマンガやゲームで有名な前田慶次なのだ。

 前田慶次の生誕日には諸説あるそうだけど、現時点で二十歳くらいだというから犬千代さんとほとんど同じだ。

 彼の有名な松風はもういるのかな? 風丸とどっちがいい馬なのか、見てみたいと思ってしまう。


 犬千代さんと別れて、俺は信長様から褒美をもらう。

 後に聞いたが、犬千代さんは今回の手柄で三百貫が加増されているらしい。

 元々が百五十貫なので、合わせて四百五十貫らしい。


 で、俺だけど……。

「二百貫の加増である」

「ありがとうございます」

 犬千代さんほどではないけど、俺の今までの二百貫と合わせて四百貫になった。だいたい八百石相当だ。

 今回のことでまた家臣を増やさないといけなくなったのが辛い。

 だって、面接が面倒なんだもん。それ以前に人を見る目なんて俺にはない!


『ブー、ブー、ブー』


 はいはい。メールだね。


 まずは『犬千代の帰参を手助けしよう!』の報酬だ。


【ランクB】

 ・与一の大弓


【ランクC】

 ・鉄砲×10


【ランクD】

 ・火薬(1箱)×10

 ・鉛玉(100発)×10


【ランクE】

 ・ミカン飴(20個入り)×10


 地味に鉄砲関連が増えていく。いずれ役に立つかもしれないから、いいんだけどさ。

 次は『戦功を立てよう!』の報酬だ。


【ランクD】

 ・矢(100本)×10


【ランクE】

 ・清酒(小樽)×10

 ・腹痛薬(小瓶)×10


 今度は矢か。さっき与一の大弓が出たし、今度弓矢の練習でもするかな。

 しかし、腹痛薬は地味に嬉しいな。生水に当たることもあるからな。


 まだ『七郎左衛門の好感度!』はクリア判定されていない。期限があるわけではないので、地道に好感度を上げようと思う。

 そして、新たなミッションが増えた。


【ミッション】

『城下に産業を作ろう! : 古木江城下には産業がないので、産業を興そう!』

『報酬 : プレゼントをランダムで三個』


【ミッション】

『嫁を娶ろう! : 貫高も増えたので区切りとして嫁を娶ろう!』

『期間 : 永禄四年末まで』

『報酬 : プレゼントをランダムで五個』


【ミッション】

『家臣を増やそう! : 貫高も増えたので新しい家臣を最低三人登用しよう!』

『期間 : 永禄四年末まで』

『報酬 : プレゼントをランダムで三個』


 三つもミッションがきたけど、嫁かぁ~。

 嫁はほしいけど、こればっかりはなぁ~。

 てかさ、嫁と家臣には期間があるじゃねぇか!?

 前回の家臣の時は期間なかったのに!?


 今回の三つのミッションはどれも難しい。

 期間があるのを優先するにしても、嫁や家臣になってくれる人を探さないといけないのだ。

 俺もそれなりに名が上がってきたので、家臣は探せばきてくれる人もいるかもしれないが、嫁はなぁ~。

 困ったぞ~。

 そうだ、こういう時は信辰に家臣を紹介してくれと頼もう。

 信辰も俺に頼られて嬉しいから、好感度が上がるかもしれないぞ!


「七郎左衛門殿!」

「な、なんだ?」

 俺が急に声をかけたので、信辰が驚いている。

「人手が足りません。人を紹介していただけないでしょうか!?」

 一気にまくしたてた。こういうのは、勢いが大事なのだ。

「人? そうか、加増されたのだったな」

 今回の戦いで信辰に加増はなかった。だからか、ちょっと暗い表情をした。

「俺が頼れるのは七郎左衛門殿だけだ。頼みます」

 両手を合わせて頭を下げる。

「む、仕方がないな……心当たりを当たってみよう」

「ありがとうございます!」

 信辰ちゃん、チョロイんだから♪


 家に帰って、今度は与一の大弓と矢を出した。

 矢は二十五本が矢筒に入っていて、四セット百本が出てきた。

 黒と白の丸い的を置いて二十メートルほどの距離で試してみることにした。

 弓を構えて、矢をつがえて、弦を引く。

 これだけの大弓だからかなりの力がいると思っていたけど、結構簡単に引けた。

 狙いを定めて、矢を放つ! シュパッ。

 一直線に進んだ矢は的の真ん中に命中した。

「……俺、弓を使うのは初めてだよな?」

 自分で自分のことが分からなくなる。

 一つの矢筒が空になるまで連続で矢を放ったが、どれも的に命中した。

 ここまでくると俺でも分かるが、俺の体は弓矢もできるようだ。


 

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