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2ー019 ~ ティルラ西第一ダンジョン

 翌朝、いつものようにリンちゃんが起こしてくれて、

 「タケルさま、解毒と麻痺解除のアクセサリ、調整が終わったとのことで送ってもらいました」

 と、エプロンのポケットから出してきた。


 前に鳥インフルエンザ――この世界のやつだから本当にそうなのか分からないけど――に(かか)ったときに、それらのアクセサリの調整が必要だからって、光の精霊の里に送って調整してもらってたんだよね。

 詳しいことは聞いてもわかんないけど、モモさんが尽力してくれてたらしい。

 器用だよねあのひと。


 ということで装備装備。ん、なんか前よりコンパクトになってるような。


- これ、なんか小さくなった?


 「はい、タケルさまだと元のものにあった機能のいくつかが必要ないそうで、ならばと小さく作り直したとのことです」


- なるほど、またお礼しなくちゃね。


 「タケルさまには返しきれないご恩がありますので、これ以上はその…、できれば控えていただけると…」


- そなの?、全然自覚がないんだけど…、なら、ありがとうって伝えておいてよ。


 「はい!」


 でもなー、燻製とマヨぐらいだよね?、光の精霊さんたちに何かしたって。

 それより貰ったポーチとか、リンちゃん付けてくれてるとか、森の家のこととか、どうも俺のほうがたくさんしてもらってるような気がしてならないんだけどなー…。


 ま、そのうち勝手に何かしよう。考えておこう。






 部屋から出ると完全装備のメルさんが座ってお茶飲んでた。

 その防具って、オルダインさんたちとお揃いの型ですかね、黒いんだけどさ、メルさんちっさいのに迫力満点だわ。

 『サンダースピア』は壁に立てかけられてたけども。


 姫騎士なのに黒いってどうなのさ?


 「おはようございますタケル殿。私はいつでも行けますよ!」


 うぉおテンション高ぇなー、まだ外は薄暗いんだけど。


 「ああ、この鎧ですか?、これは純粋に戦闘用ですから黒いのです。ふふん」


 俺の視線に気付いたのか、嬉しそうに、そして自慢げに胸を張って鎧を見せるメルさん。

 なんかちょっと可愛い。厳つい(イカツイ)けど。


- なるほど、動きやすそうですねそれ。よくお似合いですよ。


 「そうでしょう!、特にこの腕の回しやすさや腰周りの工夫など、なかなかのものなのですよ!」


 しまった、余計なツボをつついたようだ。

 あ、そんなぐいぐい来ないで、俺まだ寝起きの服のままなんだって。


- と、とにかく着替えてきますね。






 着替えると言ってもなぁ、最初に貰った皮の胸当て――ハードな革ではないソフトなやつ――ぐらいしか防具って持ってないんだよなー…。それ着けたら姫黒騎士のお付きにしか見えないよなぁ。

 あ、そうだ光の精霊さんとこでもらった濃灰色ダークグレイの服があるじゃないか。あれだと防御魔法とか編みこまれてるから結構防御力高いぞきっと。

 よし、それでいこう。


 「あっ、タケルさまそれを着てくださるんですか!?」


- うん、僕のもってる防具で一番優秀だからね。ありがたく使わせてもらうよ。


 「わぁぁ、皆が知ったら喜びますよ!」


- そうなんだ?、って、リンちゃん?


 「早速みんなに伝えてます!」


 え?、そんなレベルなの?、そういえばリンちゃんがリュックに付けてる人形もこの衣装なんだっけ。

 そんなに喜んでもらえるなら普段から着てればよかったかな。


 リンちゃんは興奮したように片手は受話器のジェスチャーで、通話?、でいいんだよな?、しながらもう片方の手を握って縦にぶんぶん振って(>ヮ<)(こんな表情)で軽くぴょんぴょんやってる。可愛い。


 それを見ながら着替えて、腰に剣を固定――吊るすだけじゃ身体強化時の動きに邪魔なんだよ――したら完成だ。






 「タケル殿は鎧ではないのですね」


 部屋をでるとメルさんが何やら感心したようにそう言った。


- 恥ずかしながら、鎧を持っていないのです。でもこれは精霊様からの授かりものなのですよ。


 「なんと!、道理で不思議な力を感じさせる服装だと思ったのです」


- え?、分かるんですか?


 「何となくそういう感じがするというだけですが…」


- もしこの服装に秘められているものが見える、感じ取れるのでしたら、メルさんの魔力感知は着々と成長してるってことです。


 「そうなのですか!、一体どれほどのものが…、あ、いや失礼しました」


 近くでじーっと俺の服を見ていたが、やっと正気に戻ってくれてよかったよ。

 後ろはもう壁なのでこれ以上さがれなかったし。


- では行きましょうか、一度本営に寄ってからになりますが。


 「わかりました!」


 やる気満々だなぁ…。






●○●○●○●






 本営に寄る途中でさくっといつものやつ、周辺の探知魔法を使い、本営で羊皮紙を貰って焼きつけておく。

 あとは適当に挨拶して出発だ。


 でものんびり歩くのはいろいろと見栄えが悪いので、昨日通ったように身体強化してぐるーっと外側から回りこんで収束地の手前まで行き、あとはまっすぐ収束地を越えてダンジョンへと向かうことにした。


 あ、そうそう仮称ティルラ西第一ダンジョンってことになったらしい。


 本来なら古いほど番号が若いらしいんだけど、それだと3国でどうだったかの記録を紐解いたり協議する必要があるらしく、防衛拠点の第一第二から順に、ティルラ西とつけていって、ハムラーデル王国やロスタニアのほうも仮にそう呼称することにしたそうだ。


 めんどくさいね、ダンジョンの名前なんて分かりやすければそれでいいというのに。下手に固有名なんてつけられたら覚え辛いじゃないか。


 どうせ中の掃除をして埋めちゃうんだからさ。

 これ、言ったらきっとまた絶句されるだろうから、言わなかったけど、俺はそのつもり。


 何度も言うけどこの世界に来た当時だったらそんなことしようなんて思わなかったよ?、でも今ならできると思う。

 まぁ、やってみて、上手くいかなかったら別の方法を考えればいいさ。






 途中の魔物をスパスパ倒してポーチにぽいぽい放り込む作業をした。昨日と同じだね。

 違うのは広範囲探知魔法を使わずにすんでるのと、メルさんが居るってことだけ。


 メルさんは『私の出番はなさそうですね…』なんてちょっとしょんぼりしてたので、ダンジョンに入ってからが本番ですから、と言っておいた。

 あまりやる気出されてもなぁ…。


 あ、亀も居たよ。昨日のより2まわりぐらいでかかったけど、同じように首を落として放置。

 昨日のやつはがらんどうの甲羅の外側と骨だけになってたわ。

 不思議現象だな。うん。






 ティルラ西第一ダンジョンの入り口は『地面に斜めにあいた穴』ってのが最初の印象だった。


 とてもあのサイズの亀が出てこれるような大きさじゃなく、せいぜい中型の小型、ん、わけわからんな、小さめの中型…、まぁ何となくは通じるだろうからこれでいこう、小さめの中型が出てこれる程度の大きさだった。


 ということは亀や、大きめの中型は、もっと遠くから出てきてるってことだ。


- 入り口付近にはまだ居ないか、ん、奥のほうからこっちくるやつがいるな。


 「タケル殿?、私には見えないのですが…」


 メルさんは左手で敬礼をしているような感じでひさしをつくり、目をすがめて奥を見ている。


- あ、洞窟は曲がってるので直接はまだ見えませんよ?


 「そうだったのですか。それも、魔力感知ですか?」


- はい。これぐらいの距離ならプラムさんにもわかるんじゃないでしょうか。


 「そうなんですか…、私にも見えるようになるでしょうか?」


- なります。訓練頑張りましょう。


 「はい!」


 元気付けるように笑顔で言うと、メルさんも笑顔で返事をした。


- あ、でもダンジョン内ではあまり大声を出さないようにしてくださいね。


 「あ…、はい…」


 そんな大きなダンジョンでもないし、魔力感知によると1層しかないようだから、さっさと潰しますか!






●○●○●○●






 中はほとんど一本道で、小部屋が5つで奥の中部屋が1つという、まるでゲームの初心者向けダンジョンのようなものだった。


 小さめの中型と小型がうじゃうじゃ居たけど、そんなの敵じゃない。いつものようにスパスパ撃ち抜いて倒し、動物系だからぽんぽん回収した。


 ダンジョン内、落ち着いて魔力感知をしてみると、ところどころ魔力を感じるポイントがあったので、それを土魔法で砂のように崩し、魔力を散らすような感じで破壊していった。


 最奥の中部屋の壁にもいくつかそういうポイントがあった。

 そのなかでも一番魔力が濃いと感じた部分については、土魔法で容器を作ってくりぬき、取っ手部分からポーチに入れておいた。樽1つ分ぐらいの量かな。


 あとは出ながら天井を崩して埋めるだけだ。

 これも土属性のパルスを送るように振動させればすぐ埋まった。


 土埃がすごいのでリンちゃんに障壁を張ってもらったりしたけどね。


 中部屋を埋めるとき、加減を間違えて自分のところまで崩れてきてちょっと焦ったのはお約束だろう。


 メルさんは呆れるのに疲れたようで、もうどうでもしてくださいみたいな事をぼそっと言ってた。

 慣れてくれてうれしいよ、うん。


 で、外に出て、崩れて埋まった元『ティルラ西第一ダンジョン』を見たあと、


 「タケル殿…、私の出番が全く無かったのですが…?」


 と詰め寄られた。


 そう言われてもね…、だって規模が小さいのわかってたでしょ?、俺だって剣なんて一度も抜いてないしさ…、今日は試しなんだから…。


- 今回は最初ということで、万全を期していたわけなんですよ。メルさんという秘密兵器を使わずに済んだということは、余裕があったということで、安全に終わって良かったじゃないですか。


 勝手についてきたんだけどね、こうでも言わないとさ…。


 「ひ、秘密兵器!?、私がですか…?」


- そうなんですよ?、ピンチに活躍して大逆転勝利を勝ち取るカッコイイ役どころなんですよ。


 「ふ、ふふん、それならそうと早く仰ってくださいよタケル殿ぉ…」


 おお?、効果抜群だな、何かくねくねしてらっしゃる。

 リンちゃん後ろむいて肩を震わせてる。


 絶対、声だして笑っちゃダメだよ?




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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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