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2ー011 ~ 行動予定

 朝起きて――リンちゃんに起こしてもらったんだけどね!――朝食前に剣でも振っとこうって思って庭に出たらもうメルさんが居た。はえーよ。


 テーブルの上に羊皮紙の束があって、それを難しい顔で見ては魔力感知なのか、むんむん言って、また羊皮紙を見てるようだ。魔力操作の訓練してたら俺にも見えるからね。


 あれってプラムさんがこれまでずっと、時々あれこれメモしてたやつだよな。たぶん。

 プラムさんって研究員やってたからなのか、そういうとこきちんとしてるんだよ。


 邪魔しないように端っこのほうで剣を振ろう、と、こそこそ移動したら見つかった。


 「タケル殿、お早いですね」


 いやいや先に貴女居るじゃないですか。


- おはようございます、メルさん。精が出ますね。


 「昨夜プラムからこれを渡されまして、明日からこれを参考にしろと言われたのですが、どうも昨日はあれこれと驚くことが多すぎて、恥ずかしながら少々興奮してよく眠れなかったのです。それで、もう何だかうずうずして仕方が無かったので、つい…」


- まさか、眠らなかったのですか!?


 「お恥ずかしい…」


- そのテーブルの明かりは?


 「これはモモ様が持ってきて下さいまして、使い方を教えていただきました」


- ああ、そうでしたか。


 明かりの魔道具だが、王都の高級店などにあるものとはちょっと違うので、同じように点灯させようとしてもうまくいかないらしい。コツがいるようだとプラムさんが言っていた。


 「それでタケル殿をお待ちしていたというのもあるのです」


- ほう、何かわからないことでも?、でも僕よりプラムさんのほうが良いのでは?


 「いえ、魔法のことではないのです」


 メルさんは少し話しづらそうにしながら、羊皮紙の束の隣においていた、巻いてある羊皮紙のほうを手にとり、テーブルにひろげた。


 「実は、私はあまりのんびりとはしていられないのです。

 この場所がどこなのかは存じませんが、地図でいうとこれがホーラード王国、ここが『ツギの町』です。

 そしてこちらがティルラ王国で、ここが問題の国境付近です」


 もう言いたいことはだいたいわかった。

 確認するためかこちらを見るメルさんに、続きを促すように頷く。


 「先日王都を進発した私の恩人を含む援軍ですが、この国境まで60~70日ほどかかると予想されます。これは当人たちも言っていたことなのでそのあたりに収まるように進軍していくことでしょう。

 同時に私が王都を発ってから12日目です、そして『ツギの街』から現地まで、途中彼等に合流することを踏まえて50日は最低でもかかると思われるのです」


- なるほど。


 と言って俺が黙っているのを見かねたのか、メルさんが言う。


 「もうお分かりだとは存じますが、タケル殿が私の頼みを聞いて頂けるかどうかは置いておくとしても、私はそろそろ現地に向かわなければならないのです」


- お話はわかりました。はっきり言っておかねばなりませんでしたね。僕はメルさんを助けたいと思っています。まずそれを昨日のうちに伝えるべきでした。


 「ではすぐにでも準備をして私と共に!」


 喜色満面とはこのことだろう、しかし昨日『ツギの街』に着いてうろちょろしてからここに連れてこられて、夜は興奮して眠れてないというのに、目の下にクマもないし元気だな、このお姫さん。

 体力ありまくり?、ああ、身体強化か。魔力よくもつなぁ…、俺より魔力量あるんじゃないか?

 あまりじろじろ見ちゃ失礼かと思って魔力感知でそのしくみを見るの控えてたけど、ちゃんと見て真似してみようかな、魔力効率よさそうだし。






 それはそれとして、手のひらを向けてメルさんを抑える。


- それについては考えがあるんですよ。ちょっと待ってくださいね。


 そう言って、家のすぐ近くの庭の端のところにいつの間にかできてた、直径50cmほどの小さい泉のところに行く。

 そう、お察しのようにウィノアさんと話すんだよ。首飾りのことはまだちょっとナイショにしたいからね。


 しかしこの泉、水が底からわいてるように見えるんだけど、溢れないんだよね、湧いた水どこいってんのかな?、謎過ぎる。


- ウィノアさん居ます?


 『はいはい呼ばれてとびでてバッシャーン、タケル様のウィノアが来ましたよ?』


 うおお、えらいゴキゲンだなぁ、何ですかそのノリ。


- あ、いや、普通にしてください、普通に。


 『そうですか?、相変わらずつれないお(かた)ですね、タケル様は』


 だからそうやって近づいて俺の胸んとこ指先でこねこねしないで。

 リンちゃんが近くにいないとすぐこれだよ…。


 ほらちょっとメルさん(ひと)が見てるんですから、普通に、水の精霊らしく。

 ああ、メルさん唖然とした表情で固まっちゃってるよ…。


 胸元でまだ指当ててこねこねしてるウィノアさんのひんやり好感触の手首をとって、テーブルのところまで引っ張っていく。


 『あらん、強引なタケル様もステキですわ~』


 ちょっとマジそういうのはいいから。もうスルーだスルー。


 真面目な表情をつくって、テーブルの上の地図を指差してウィノアさんに尋ねる。


- このあたりの場所まで行くのに、最短でどれぐらいで行けますか?、行くメンバーは僕とリンちゃんと、こちらのメルさんの3人の予定ですが、もしかしたら増えるかもしれません。


 『ん~~、そうですね~、こちらの湖は地下水脈に通じていますね。

 そこから、この位置の地下に水脈が交わる地底湖がございますね。

 なので一度地底湖まで飛んでから、この湖のほとりに飛ぶことができます。

 ですので、こちらの国境まででしたらほとんどタケル様方が湖から移動する分だけで行くことができますよ?』


- ありがとうございます。ウィノアさん。

 メルさん、そういうことですので、メルさん?、メルさん?、しっかり。


 「はっ、た、たたっタケル殿!?、そちらの(かた)は一体…?」


- こちらは水の精霊のウィノアさんです。


 「はい?、水の精霊様?、でございますか…、お、お初にお目にかかります!、ホーラード王国第二王女メルリアーヴェル=アエリオルニ=エル=ホーラードと申します!。お言葉を賜る栄誉に浴すことが叶いましてこの身の何と幸運なことでしょう!」


 おおお?、いきなり跪いて頭を垂れていらっしゃる。え?、水の精霊ってそういう対象なの?、信仰?、そなの?、そんでメルさんの名前なげーな。


 『おもてを上げなさい、人種(ひとしゅ)の子よ。こちらのタケル様に感謝なさい。其方をタケル様の付き人として認めます。故に手を貸すことに』


 「は、はい、ありがたき幸せでございます!」


 え?、顔を上げたメルさん泣いてるよ?、跪いて両手を胸にクロスして当てたまま、滂沱(ぼうだ)の涙だよ?、マジで?、そういう存在だったの?、ウィノアさんって。リンちゃんたちと態度違いすぎじゃね?

 あとさ、付き人とか言っちゃってるけどいいのかなぁ、仮にも王女様なんだけど。


 『ほらほら、タケル様?、こういうのが人種(ひとしゅ)の私に対する一般的な態度なんですよ?、だからもっとタケル様も私に頼って下さっていいんですよ?、ふふふん』


 そういうことを言うから俺もなんかウィノアさんを軽く扱っちゃうんじゃないのかなー?、だから脇をつんつんしないでってば。

 さっきの威厳のある言葉や態度ところっと違うじゃん?、もーなんだかなー、ぶち壊しだよ!


- あーはいはい。で、メルさん?、話進めていいかな?


 「は、はい!、タケル様には望外の幸運に巡り合わせて頂き感謝にたえません!」


- いいから、普通に戻ってくださいよ、ほら、立って立って、涙拭いて、ね?


 もー、ペースがガタガタだよ、ウィノアさんいるとだいたいこうなるような気がするんだけど、何なんだよ一体、もう。


 メルさんをとりあえず椅子に座らせて落ち着くまでの間に、ふと家のほうをみたら、リビングを出たところでプラムさんが跪いて胸に手を当てて涙を流していた。


 そっちもかよ!






●○●○●○●






 2人を宥めて落ち着かせて、ついでに不機嫌になってるリンちゃんも宥めて、気疲れを感じながら、やっと予定の説明を終えた。


 ここからティルラ王国の国境近くの湖までウィノアさんの手を借りて飛び、そこから援軍に合流べく移動する。という予定だ。


 王都を出た応援の騎士団が現地に到着するのに今日から凡そ60日後ということなので、ここで彼らが現地に到着する頃まで待てばいい。

 その間、魔力感知と魔力操作の訓練、それと、僕の剣の訓練のお相手をしてもらうことにした、つまりメルさんはだいたい2ヶ月弱、ここで一緒に生活するということになった。


 結局朝の訓練全然できなかったよ。

 まぁ朝食後にやるからいいけどさ。






 リンちゃんがこっそり、『よろしいのですか?、タケルさま』と尋ねてきたけど、昨日使わせてもらった『サンダースピア』のおかげで、雷の魔法や電撃が使えるようになったんだよね。なかなかそういう機会もなかったし、混合属性だからリンちゃんもあまり得意じゃないみたいで、やってくれないんだよね。


 できないわけじゃないけど、俺が真似するほど洗練されてないからって断られたんだよ。


 それのお礼みたいなもんだよ、って言ったら『お礼が大きすぎて釣り合ってません』だの『タケルさまは少し女性に甘いんじゃないですか?』だの言われちゃったよ。


 そんなつもりはないんだけどなー。


 そんでまぁ雷魔法だけど、そりゃ『サンダースピア』を使うほうが魔力効率はいい。

 当然だよな。でも消費魔力が少し増える程度だから、無くても使える。


 雷の通り道については、昨日やった時はやり辛いなって思ってたらウィノアさんがするっと補助してくれたんだけど、もう掴めたから自分でもできそうだし。というのをリンちゃんに言ってると、ウィノアさんがまた、


 『そのように仰らなくても次もその次も頼ってくださいな』


 ってね。でも口調は軽くて機嫌は良いっぽい。頼みごとをしたからかな?


- 移動に関しては頼りましたけど、過保護はダメですって。


 「あたしにも何かお手伝いを」


- リンちゃんには毎日お世話になってるじゃないか。充分すぎるほど仕えてくれてるんだよ?


 『では私も毎日お世話を』


- ウィノアさん。


 『ふふっ』


 全くこの精霊さん(ひと)は…。




20230508: メルの発言を一部訂正。ついでに指示代名詞も訂正。 こっち ⇒ そっち

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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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