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1ー034 ~ さんそう

- え?、どれかな?


 リンちゃんが指差した位置は、一番奥のたぶんでっかい廃墟かこれ、でかいなこの廃墟、壁に囲まれてるな。この地図でそれがわかるってことは幅500m以上ありそうだ。


 うん、全体図だと小さくてわかんないな。


 「それと、この山の上にも何かありますよね?」


- うーん、どっちも拡大した地図を見てみないとよくわかんないね。こっちは魔力感知の感覚でいうとでかい建物の廃墟かな。天井は崩れてるし瓦礫だらけで壁と城壁?、だけ残ってるみたいな感じか。あ、塔の崩れたのもあったかな。でもこの地図だとわかんないね。


 「山の上のほうは?」


- こっちのは斜面に建てられた砦?、みたいな感じだったよ。詳細地図のほうは順番に焼いていくから、あと何枚かで山の上のところは出るから待っててもらっていいかな?


 「「はい」」


 それで順番に焼き付けていった。


 「どうやら大きめの家のようですね。囲いもありますし、砦だと言われるとそうかもしれません」

 「天井が残ってますよ?、煙突らしきものもありますね。誰か住んでるんですか?」


- いや、中には生命らしきものは無かったかな。虫とかまでは感知から省いてるからわからないけど。外には普通にちらほらと角イノシシだろうね、それがいたよ。


 「地図が真上からなのは仕方ないですね。あとは実際に近寄って見てみればいいんでしょうけど、角イノシシだけなんですか?、この階層って」


- ほとんど角イノシシかな、奥の方はもっとでっかい何かが居た気がする。あと犬ぐらいのサイズの何かも結構な数居たよ。


 「それも、ある程度近づいて見てみないとわかりませんね」


- そうだね。


 しかし結構時間かかるな、これ。広すぎでしょ3層。山あり池あり川あり、何なんだ一体。ちょっとダンジョンって何なのか気になるな。

 今考えることじゃないけどさ。

 とにかく焼いて焼いて焼きまくろう。羊皮紙足りるのかなぁこれ。






 足りなくなった。


 「手前3分の1ほどで羊皮紙が無くなりましたね」

 「もっと買ってくるんでした」


- いやこんなの予想できないって。でも手前のほうだけでも詳細な地図があって、全体図もあるんだから調査としては及第点じゃない?、楽観的かな?


 一応奥までは見てくる予定だから、10枚だけ残してあるけどさ。


 「いえ、大丈夫だと思いますよ。全体図があるんですから」


- そっか。まぁさすがにちょっと疲れたよ。1時間ほど仮眠してくる。


 「「はい」」






●○●○●○●






 途中で襲ってきた角イノシシを倒して収納すること2度。広くてそんなに遭遇しないんだよね、ここ。

 2層とはえらい違いの平和さ。ダンジョンで平和ってのも妙だけれど、下生えの草もそんなにないし、落ち葉やコケもそれほどでもない。倒れて朽ちた木に生えてたりするぐらいだ。

 キノコ類や食べられる草も生えていたりするし、薄暗いこと以外は外の森林とそう変わらない。

 木々の間には時々廃墟があるがほぼ瓦礫だし、元が何だったかなんて全然わからない。家だったかもしれないし、倉庫だったかもしれない、そんな感じ。


 そして獣道みたいに草が薄れて地面が少し見えているような道筋があり、幾つかに分かれていたりするが、それがうすく地図に描き取られているから、とてもわかりやすい。


 あと、罠はめったにない。あっても今のところは落とし穴みたいなのしか無く、それも道、と言ってしまうが道じゃないところにしかない。


 なので普通に歩いて旅をしているようなものだ。






 「なんだか外の森と変わりませんね」


- そうですねー…、なんだか拍子抜けですよね、これならサイモンさんたちも来てよかったんじゃないでしょうか。


 「タケルさま、ここはこれでもダンジョンですよ、外と違って何があっても不思議じゃないんです。油断は禁物です」

 「すみません、私が変なことを言ったせいで…」

 「プラムさんが一番経験のある冒険者なんですから、しっかりしてくださいね」

 「はい師匠」


- まぁまぁ、これでもちゃんと警戒はしてるから。リンちゃんだって居るんだし。


 「タケルさまから頼られるのは嬉しいのですが、それはそれ、これはこれです」


- あっはい、気を引き締めます。






 というような一幕もあったが、結局何ということもなく、丘の頂上近くにある――もう山じゃなく丘でいいよねってことになったのだ――でっかい家みたいな建造物のところまで来てしまった。


 山荘?、いやこれどうみても山荘だわ。砦かなって思ったけど。

 3層に…いや言うまい。もう言ったようなもんだけど言わないよ。

 『ツギの街』といい『キチン宿』といい、何なんだよ一体…。


 「奥の壁の向こうに角イノシシがいますが、こちらには気付いてませんね」


- 見たところしっかりとしてるなぁ、一応石造りではあるのかこれ。中…、入って大丈夫なのか?、気は進まないんだけど。


 「でも中に気配はありませんよ?、崩れるような箇所も見当たりませんし」

 「プラムさんも随分わかるようになってきましたね」

 「はい!、師匠のご指導のおかげです!」


 何やら頷き合っている師弟。黒リンモードじゃないときは『プラムさん』って呼ぶんだよね。まぁお互い納得づくなんだから好きにすればいいけど。


- しょうがない、入るか。一応確認しておかないとね、調査だし。


 「そうですね」






●○●○●○●






 中、なーんも無かった。ただの部屋。調度品もない、煙突に繋がっていたのは暖炉っぽい。台所もなかった。ただ部屋があるのみ。何だこれ?、まるで格好だけ似せただけの山荘だった。

 それと、床に四角い穴があいている部屋があった。下は斜面が見えていた。それだけ。


 そりゃそうだろう。斜面に建ってるわけで、石の壁と石の柱で支えられているんだ。下からみるとアーチ状に組まれていたりして、なかなかの建築だなーみたいなよくわからないことを思ったりしたけど、そっち系は勉強してないし学科とってないからさっぱりわからん。

 とにかく斜面に建ってるので、部屋の下は斜面なんだよね。もしかしたら下に落ちてる瓦礫があるから、底が抜けちゃったのかもしれない。


 結論。使えないこともないが、落ちてる瓦礫がある以上は、崩れる可能性を考慮して、中や近くではなく、頑丈そうな外の壁のところに土魔法で小屋をつくってそこに泊まろう、ということになった。


 とくに反対意見もなく、一番近くに居た角イノシシも山荘からは離れたようで、安心安全設計のリンちゃん印の小屋と結界魔法、それと、またハニワ兵を2体作っておいた。


 いつものように食事して、しばらくしてから順番に風呂に入り、魔法の訓練をし、眠る。






 ああそうそう、イノシシを捌くのを教えてもらったよ、プラムさんに。

 当然食事にはその肉も使った。うん、久々の豚肉って感じだった。


 え?、魔物の肉だろって?、そんなの角ウサギとか角キツネの肉食べてんだぜ?、今更でしょ。


 あ、でも今まで村や町で食べた肉は何なのか知らないから、久々のってことは無いかもしれないね。


 まぁほら、肉って、新鮮なのと熟成したやつと干したやつとでいろいろ味違うじゃん?、俺そんなグルメじゃないし、どの肉がどうのとかそういうのわかんないから区別つかないんだよ。ごめんな!





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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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