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5ー036 ~ 海岸拠点と島にて

 騎士団の拠点に到着したが、先輩たちは駐屯地を横目に見ながら足を止めずに海岸手前にある小屋の前まで来た。

 俺は黙って付いてきたが、それは遠慮でも何でもない。単純に走り疲れて何かを話す余裕など無く、へとへとの汗だくでくたくただったからだ。

 正直こんなにぎりぎりまで絞り切るようなのは学生時代の部活でも経験したことは無かったと思う。

 ふたりの先輩が会話しながら走っていてもちらちらと俺の様子を窺っていたのは気付いていたが、残りの距離や走るペースなどを考えて俺の体力の限界を正確に見極めていたのだろう、と後で理解した。


 ネリ先輩が持っていた俺の荷物をカエデ先輩に預け、自分の背嚢から布を取り出し、塞がっていた小屋の入口を開けてその布を入口に垂らして中に入ったようだ。


 膝に手を当てて息を整えている俺を横目に、小屋の外壁を背もたれにした長椅子(ベンチ)をカエデ先輩が作って下さり『ちょっとここに座ってて』と言い、荷物を置いて小屋に入って行った。

 ベンチというかただの土ブロックだったが、座れる場所ができたのが有難かった。


 そのベンチに腰を下ろした俺は、息を整えつつ頷くのが精一杯だった。


 まさかこんな遠くだったとは思わなかった。

 一体何kmあるんだろう…。

 いや、地図を見ていたが気付いてなかった俺が抜けていただけだろう。


 それもペースが尋常じゃなかった。

 俺だけの移動だったら何日分かに分けていただろうし、もっとゆっくり走っていた。

 橋を渡ってからは、何度も休憩をと懇願したが、『まだいけるいける』と聞いてもらえなかった。休憩は前半部分に2度と橋を渡った直後の3度だけだった。


 なのに先輩方は涼しい顔で汗なんてかいてなかったし、ふたりとも景色を見てあちこち指さしては、冗談を交え時折笑い合いながら楽しそうに話をしていたのが信じられなかった。


 俺もあんな風になれるのだろうか…。


 そんな事を考えていると、両先輩が出てきた。


 「カズ、そろそろ動ける?」


- はい、何とか。


 立ち上がって返事をした。


 「んじゃ荷物持って付いてきて」


 返事をし、ふたりに続いて入口の布を手で支えながら中へ。

 入った瞬間は薄暗いと感じたが、目が慣れてくるとそれほど広くは無かった。

 そう言えば小屋の大きさも小さい家程度のものだったなと納得した。


 「荷物はそっち。着替えとタオルあるよね?、じゃ、あたしらは出てるからそこのお風呂場で汗を流してて」


 見ると腰の高さほどしかない木戸が少し開いていて、段差がある。


 「さっきカエデにも言ったんだけど、ここ、脱衣所って無いのよ」


 言い訳をするような口調でそう言って出て行くネリ先輩たちを見送った。


 尚、浴室は思っていたより結構広く、浴槽は大人2人が余裕で入れる大きさだった。


 でも、川小屋のような蛇口やシャワーは無かった。


 じゃあこのたっぷりあるお湯は一体どこから…?


 そんな疑問を抱きつつ、汗まみれの服を石鹸でごしごしと洗った。






●○●○●○●






 カズが入浴している間に、騎士団で天幕を借りたネリとカエデ。


 「大楯の予備なんて()るの?」

 「あたしが使うんだってば」

 「今まで使って無かったじゃん?」

 「ハムラーデル(あっち)では時々使う事もあったのよ」

 「へー、あ、お手本?」

 「そゆこと」

 「やっさしー」

 「そんなんじゃないんだけど」

 「じゃあ何よ」

 「シオリさんに頼まれちゃったし…」

 「ふぅん、まぁそういうことにしとく」

 「いやな言い方しないでよ」

 「あはは」

 

 そんな会話をしながら戻って小屋の隣、タケルが作った屋根とテーブルでは無い側にテントを設置する、そんな作業をしながらでも喋るのがこのふたりだ。

 

 「でもさー、騎士団(あっち)で部屋用意してって頼んでたの断ってテント(これ)借りてくるんだから、あたしの事優しいとか言って、ネリもじゃん」

 「だってあの場所酷かったよ?、結局薄っぺらいテントだったし」


 カエデが大楯を受け取りに行き、ネリはその間に『一応場所見せて』と言って案内されて見てきたのだ。

 そして用意されていたテントは当然ながら1人用で、借りてきたこのテントは4人用のゆったりサイズ。


 「え?、水場が近くていい場所をご用意しましたって言ってたんじゃなかったっけ?」

 「井戸の近くでずっと誰かが使ってるようなとこ、休めると思う?」

 「あー…」

 「それにどうせ食事とかこっちで食べるんだし、いちいちあっちまで呼びに行ったりしなくて済むじゃん?」

 「それもそうね」


 実は最初に優しいと言われたのは、汗だくでへとへとになっていたカズのために小屋の浴槽にお湯を入れて用意してやったネリだったりする。


 まぁ、何だかんだ言いつつも後輩思いのふたりである。


 と言うのも、カエデからするとネリも後輩だが、全然後輩らしく無い。むしろ同級生のようなものだ。

 そして、お分かりだろうがふたりからするとタケルは全く後輩らしさが無い。タケルからの丁寧な言葉遣いで先輩を立てている事は理解しているが、勇者としての実績や魔法について遥か先を行く彼に、住居や食べ物も世話になっている状況で偉そうにできるわけが無い。


 つまり、ふたりが先輩らしさを発揮できるのはカズしかいないのだ。






●○●○●○●






 翌日。

 川小屋に来てから日課になっている早朝訓練は、ここでもあるらしい。

 両先輩は『軽く流すだけ』と言っていた。


 俺は昨晩は少量の軽い食事をもらってからずっと休ませてもらっていたが、ネリ先輩もカエデ先輩もがっつり食べていた。食事に差があるのは苛められているわけではなく、単純に俺の食欲が奮わなかったからだ。そういうところにもよく気付いてくれるのはさすがだと思う。

 そのあと先輩たちは剣を振ったりしていたようだが、俺は朝までぐっすりと眠ってしまったのでよく知らない。


 テント越しに声をかけられて起こされ、水の入った桶がテントに突っ込まれた。返事とお礼を言って急いで身支度をしてテントから出ると、カエデ先輩が大楯のベルト部分を調整していた。

 木剣を使って準備体操のような事をしているネリ先輩がそれを見て言う。


 「カエデ何してんの?」

 「何って、ベルトの調整してる以外の何に見えるのよ」


 俺も確認しておこう。


 「へー、調整できるんだ」

 「調整ぐらいできるわよ」

 「そうじゃなくて、ベルトなんて固定だって思ってたから」

 「調整できないと、身体の大きさが違うんだから使いにくいじゃないの」

 「うん、そうね」

 「大楯に限らず盾ってのは受け止めたり受け流したり、押し付けたり振り回したりするんだから、腕のサイズに合わせられるようにできてんのよ」


 ここでカエデ先輩が、ふたりの会話をなんとなく見ていた俺をじっと見た。


- あ、すみません。


 「ぷ」

 「何で謝るのよ。違うって、盾の基本をちゃんと理解してもらおうと思ったのよ」

 「あ、あー、そゆこと」

 「うん」


 ふたりの先輩が頷き合う。

 俺には何の事かわからず、自覚は無かったがこのとき妙な表情をしたんだろう。


 「なに呆けてんのよ、あんたのためじゃないの」


- え?、俺のですか?


 「こないだからカズが盾持ちの訓練してるのを見てて、なーんかちょっと違うなーって思ってたのがやっと何だかわかってね」


- …はい。


 「もしかしたらカズは、盾ってどういうものなのかちゃんと理解してないんじゃないかなって」


- そうなんですか?


 俺としてはわかってるつもりだったんだが。


 「んとさ、冒険者ギルドってツギの街でしょ?、そこに行く前はどうしてた?」

 「ちょっと、割り込まないでよ」

 「でもどこで盾の技術を教わったのかって大事じゃない?」

 「そんなの勇者隊と冒険者ギルドと、あとツギの街の衛兵あたりでしょ。じゃなきゃ真正面から盾で受けようなんて事しないはずだもん」

 「言われてみればそうよね。そうなの?、カズ」


- は、はい、最初は勇者隊の方々に教わって、それからツギの街では冒険者ギルドの初心者講習を見学させて頂いてから、町の衛兵に盾を持っているひとが居たので話を伺いました。


 「へー、そのまんまじゃん、さすがカエデ」

 「な、何よ…」

 「素直に感心しただけだって。それで?、カズに教えるんでしょ?」

 「う、うん、そうだけど、あんたが素直なのもそれはそれで気持ち悪いかも…」

 「わ、酷くない?、カエデせんぱい~」

 「やめて。とにかくね、カズ。あたしがこれを使って手本を見せるから、扱い方がどうちがうか、盾って役割を見直してみて欲しいのよ」


- わかりました。


 つまりは先輩の指導を受けられるという事だろう。


 カエデ先輩は俺が手も足も出なかったネリ先輩を負かすほどの技量があったのを先日のお二人の模擬戦で見た。あの時のネリ先輩は凄まじかった。空中を蹴り方向を変え、目にもとまらぬ素早さで移動して相手を翻弄する動きだった。もちろん俺には何が何だか、途中をすっ飛ばしたような一瞬一瞬しか動きを追えなかった。

 それに対処し、受け流し、ネリ先輩を叩き落していた。

 そのカエデ先輩が大楯を使って手本を見せて下さるというのだ。それも角サル相手の実戦でだ。歓迎しない道理が無い。


 そして始まった早朝訓練は、基本動作の確認と反復練習をしつこくやって終わった。


 確かに内容は『軽く』だった。内容は。






 朝食の後、見計らったかのようなタイミングで呼びに来た騎士団の者と一緒に海岸に出た。

 小さな突堤に平底の小舟が2艘用意されていて、漕ぎ手が4名、待機していた。


 「あれ?、小さい方で行くの?」


 ネリ先輩が問い掛けると、案内の兵が答えた。


 「はい、大きい方ですと途中の岩場で底に当たるかも知れないとの事でした」

 「そっか、潮の満ち引きの関係かな、ありがとう」

 「いえ、任務ですから」


 緊張気味にびしっと敬礼をして言う彼に、『そんなに固くならなくても大丈夫だから』と笑顔で軽く返礼した両先輩に合わせて俺も返礼し、小舟に分かれて乗った。


 「じゃあよろしくね」

 「はっ!」


 前の小舟から聞こえたのでこちらも『よろしく頼む』と言っておいた。






 波の穏やかなところを縫うように進み、島の入り江に到着。

 小舟から降りるときに足が濡れるのを覚悟したが、ネリ先輩が障壁を張って下さり、その上をおっかなびっくり歩いて渡る。両先輩は無言で笑みを浮かべていた。


 漕ぎ手4名には入り江の中央あたり、船上で待機するよう命じた先輩たちの後に続いて大きな岩がごろごろしているところを登り、島の木々が生えているところまで来た。


 背負っていた装備を腰や腕に、戦闘準備を整えた。

 ネリ先輩が言うには、背中にあっても抜けるらしい。確かに忍者のような背負い方だった。カエデ先輩は呆れたような笑みをしていたが、それを笑うとたぶん、カエデ先輩と俺は大楯を背負った亀だと言い返されるのがわかっていたから言わなかったんだろう。


 「よし。で、ネリ?」


 俺の準備ができたと見たカエデ先輩がゆっくりと周囲を窺っていたネリ先輩に問いかけた。


 「んー?」

 「角サルどこにいるかわかる?」

 「ん?、あっち、60mちょい先の木の枝に2匹いるけど?」


 小さく手ぶりで方向を示すネリ先輩。


 「やっぱわかるんだ」


 目を丸くしていた俺とは違い、カエデ先輩は予想済みだったようだ。

 何でわかるんだ?、言われた方向に目を凝らして見たがさっぱりわからないんだが。


 「そりゃこれくらいの距離ならね。今は木の実を食べてるんじゃないかな」

 「そんなことまでわかるの?」

 「そういう動きをしてるよ?」


 何を当たり前の事を、みたいな表情のネリ先輩に、カエデ先輩が少し目を見開いた。もちろん俺も驚いている。

 最初、ネリ先輩が周囲を軽く見ていたが、それは普通の行動だ。特段何かをしていたようには見えなかったし、していたとしても全く気付かなかったんだ。

 方向を教わっても何かが動いているようには見えないのに、木の実を食べているような動きをしている?、全くわからない。そりゃ驚く。


 「じゃあ1匹持って来てもらっていい?」

 「おっけー」


 そう軽く言って背を向けひょいひょいと進んであっという間に見えなくなったネリ先輩は、足音も静かだった。






 「いい?、盾ってのはね、そのまま構えてるだけじゃダメなの」


 カエデ先輩が角サルから視線を外さず、後ろの俺に聞こえるように言う。

 その角サルはネリ先輩が持ってきたものだ。

 ネリ先輩はぐったりしていた角サルを置いて、『そろそろ起きるから』と言ってまた足音を立てずに去って行った。

 そして本当に20秒ほどでピクっと動き出し、起き上がってこちらを威嚇している。


- はい。


 見てますよという意味で返事をすると、ひとつ頷いてからほんの少し頭が動いたのが見えた。すかさず角サルが飛び掛かって来た。視線と右手の剣の動きで誘導したのだろうか。


 ガッと鈍い音がして角サルが弾かれ、地面に落とされ転がったがすぐに起き上がって離れ、元の距離に下がって威嚇をした。


 「わかった?」


- え?


 「1回じゃ分かんないか。もっかいやるからちゃんと見てて」


 そう言って角サルがまた飛び掛かってきて弾かれる。それを繰り返した。






 何度目かでネリ先輩が横手から戻ってきた。


 「まだやってんの?、まだ先にも居るんだからさー」

 「そうね、んじゃ終わりにする」


 と言った瞬間、さっと踏み込んで角サルの首に剣を突き刺した。瞬きする程の一瞬だった。


 「そっちは?」

 「あっちに吊るしてきた」

 「んじゃこれもそうしよっか」

 「そだね」


 そう言って軽く走り出したネリ先輩を追いかけるカエデ先輩。


 「ほら、行くよ」


- は、はい!


 急いでついて行った。






 「あれ?、3匹いたの?」


 木の枝に逆さに吊るされている角サルの死体。それが3体ある。1体は大きめというかさっきカエデ先輩が倒したのと同じぐらい。それに比べると残り2体はやや小さい。

 吊るされている真下には穴があり、そこに血だまりができていた。


 「ちょっと先の木の(うろ)に2匹居たのよ」

 「見落とし?」

 「タケルさんじゃないんだから、そんなとこに隠れてたら判んないって」

 「そういうもん?」


 俺からすると最初の2匹だって、隠れていたようなものだったが。


 「うん。カエデもそのうち感知できるようになったらわかるよ」

 「へー、頑張るよ」

 「やけに素直じゃん?」

 「魔法に関してはネリのほうが上だって、一応認めてんのよ」

 「ふぅん」


 そう言いながらもふたりとも手を休めずにさっき倒した角サルを新たに枝に吊るし終えた。


 「それでカズ、」


- は、はい。


 「見てて理解できた?」


- それが、音が鈍いように思いましたけど、よく分かりませんでした。すみません。


 カエデ先輩に勢いよく飛び掛かった角サルが、簡単に弾かれていた。

 確か、ツギの街で受けた冒険者ギルドの講習では、角サルに盾を構えていると掴まれたり踏み台にして後ろに回り込まれたりすると教わった。それは大楯でも小盾でも同じで、剣や槍などで牽制して簡単に飛び掛かられないようにしろと指導されたはずだ。


 「やっぱ後ろからじゃわかりにくいんじゃない?」

 「そうかなぁ、でもカズを前にするわけにはいかないでしょ?」

 「カズのほうを襲うよね」

 「うん」


- あの、もしかして、ですけど…。


 「言ってみて」


- はい、えっと、いい音をさせちゃダメってことでしょうか。


 「やや正解、かな?」

 「いい音じゃなかったらどうなると思う?」


- 体勢を崩しやすい…、とか…?、でしょうか…。


 「なんでそう思ったの?」


- さっきの角サルが、飛び掛かって来ては転がされていたのが気になって…。


 「そうね。まともに受けずにちょっとずらして受けるとそうなるんだけどね、言葉で言うのは難しいな」

 「もうさ、帰ってからにしない?」

 「いい機会かなって思ったんだけど?」

 「だって、さっさと終わらせたいじゃん?、狭いようで結構広いよ?、この島」

 「そっか、んじゃ索敵よろしく」

 「はぁい」


 そんなわけで、走りにくい森の中を駆ける先輩たちに必死で付いて行くことになった。

 俺は木の根や下生えの草に足を取られたり足を滑らせたりして何度も転んだ。ネリ先輩に回復魔法を掛けてもらったのは4回。背中と尻から下は落ち葉や泥、苔や草の汁でどろどろになった。何とも情けないがそんなのは俺だけだ。

 もちろん足を引っ張っているんだという自覚はある。


 最初に転んだときは笑われてしまい、ひとが転ぶのがそんなにおかしいかと内心ムカついたが、こう何度も転んでどろどろになるに従って自分がすごく情けなく、笑われたほうが気が楽なこともあるんだと実感した。


 「あたしらが踏んでるとこを踏まないとー」


 途中からは気の毒そうな目で擦り傷や打撲を回復魔法で治療しながらそんな風に言われたので、猶更情けなさが身に染みた。

 しかし、身軽にひょいひょい動くふたりの踏んだ場所を踏むのも、これがなかなか難易度が高い。


 着替えなどの荷物は海岸小屋に置いてきていて、ネリ先輩から借りた小さな背嚢に最低限の荷物を入れてきただけなのだ。しかもその背嚢は最初に転んだあとはネリ先輩が持ってくれた状態で、だ。


 1体だけ、『あの木の上にいるの1匹だから、やってみる?』と言われ、大楯を構えて近づいて行ったが、飛び掛かってきたのは弾いたものの、カエデ先輩のようには行かず目の前に着地され、その一瞬で取り付かれて大楯越しに攻撃されかけたところでネリ先輩が横からさっと突き刺して引き倒してくれたので助かった。めちゃくちゃ焦った。嫌な汗をかいてしまった。


 「角サル相手だと大楯じゃないほうがいいんじゃない?」


 と、ネリ先輩は言ってたが、正直まだ自信が無い。

 角サルはここで見たのが初めてだし、これまで戦ったことがあるのは角サルほど素早く器用では無かった。ゴブリン(小鬼)どもは動作が遅いし、リザードッグや跳びトカゲは大楯があれば単純に受けるだけで良かった。


 「受けようと身構えて引くんじゃなくて、来る方向に向けてちょっと斜めに押すといいよ」

 「やっぱりあとにしようよ…」

 「あ、うん」


 そうして、角サルを9体討伐し終えた。


 吊るした角サルを枝で組んだ籠に積んでまとめながら回収、入江まで2往復し、漕ぎ手のふたりから気の毒そうな視線を浴びながら海岸小屋に戻った時には俺は緊張していたのか心身ともくたくただった。


 両先輩はどちらもピンピンしていたが。





次話5-037は2025年01月中(金)の予定です。

(事情により延長しまくりです。予定が立ちません‥)


20231230: 脱字訂正。 毒そうな目で ⇒ 気の毒そうな目で



●今回の登場人物・固有名詞


 お風呂:

   なぜか本作品によく登場する。

   入浴はあるけど描写無し。だってカズだけだし…。


 タケル:

   本編の主人公。12人の勇者のひとり。

   今回は名前のみの登場。


 リンちゃん:

   光の精霊。

   リーノムルクシア=ルミノ#&%$。

   アリシアの娘。タケルに仕えている。

   今回出番なし。


 テンちゃん:

   闇の精霊。

   テーネブリシア=ヌールム#&%$。

   後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。

   リンの姉。年の差がものっそい。

   ピヨのトイレ改め反省室にまだいる。


 ファーさん:

   ゼファーリィ=ヴェントス#$%&。

   風の精霊。

   有能でポンコツという稀有な素材。

   風の精霊の里では高位の存在なんですよ、これでも。

   尊敬の対象なんですよ、これでも。

   しばらく出番がありませんが一応。


 ウィノアさん:

   水の精霊。

   ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。

   一にして全、全にして一、という特殊な存在。

   タケルの首飾りに分体が宿っている。

   今回出番なし。


 アリシアさん:

   光の精霊の長。

   全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊(ひと)

   だいたい名前くらいしか登場しませんが一応。


 ハルトさん:

   12人の勇者のひとり。現在最古参。

   勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。

   ハムラーデル王国所属。

   およそ100年前にこの世界に転移してきた。

   『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。

   今回出番無し。


 カエデさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号10番。シノハラ=カエデ。

   勇者歴30年だが、気持ちが若い。

   でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。

   教えるのも大変ですね。


 ジローさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号3番。イノグチ=ジロウ。

   ハムラーデル王国所属。

   砂漠の塔に派遣されて長い。

   2章でちらっと2度ほど名前があがり、

   次に名前が出てくるのが4章030話でした。

   ヤンキーらしいw

   今回出番無し。

   なかなか登場までいかないですね。


 クリスさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号5番。クリス=スミノフ。

   現存する勇者たちの中で、4番目に古参。

   『嵐の剣(テンペストソード)』という物騒な剣の持ち主。

   カエデたちには砕けた口調になります。

   シオリのほうがやや先輩。

   今回出番なし。川小屋で自主鍛錬でもしているのでしょう。


 ロミさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。

   現存する勇者たちの中で、3番目に古参。

   現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。

   クリスとはこの世界に転移してきた時に少し話した程度だが、

   互いに気にかける程度の仲間意識はある。

   今回出番無し。


 シオリさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号7番。クリバヤシ=シオリ。

   現存する勇者たちの中で、2番目に古参。

   『裁きの杖(ジャッジメントケーン)』という物騒な杖の使い手。

   現在はロスタニア所属。

   勇者姫シリーズと言えばこのひと。カエデは大ファン。

   なのでカエデにはまだ少し苦手意識があります。

   地味に多忙です。今回出番なし。


 サクラさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号1番。トオヤマ=サクラ。

   ティルラ王国所属。

   勇者としての先輩であるシオリに、

   いろいろ教わったので、一種の師弟関係にある。

   達人級との差は大きいけど、

   タケルとの模擬戦のおかげで一歩近づいたと思われます。

   こちらはこちらで仕事があります。

   今回出番なし。


 ネリさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号12番。ネリマ=ベッカー=ヘレン。

   ティルラ王国所属。

   サクラと同様。

   魔力操作・魔力感知について、勇者の中では

   タケルを除けば一番よくできる。

   やっぱりカエデとは仲がいいように見えますね。

   結構いいとこ見せられた感じ?


 カズさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号6番。サワダ=ヨシカズ。

   ロスタニア所属らしい。今の所。

   体育会系(笑)。性格は真面目。

   今回のA・Cパートの視点、主人公格です。


 リザードッグ・跳びトカゲ

   1章028話で名称がでたこれ、ひさびさですね。

   ドッグのほうはそのまま中型犬から大型犬サイズ。

   でも立ち上がったりしませんし、

   飛び掛かってきても人間の身長程度です。

   跳びトカゲのほうは小型犬サイズ。

   飛び跳ねるように移動するのでこう呼ばれています。

   いずれも一般人からすれば充分脅威ですが。



 ※ 作者補足

   この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、

   あとがきの欄に記入しています。

   本文の文字数にはカウントされていません。

   あと、作者のコメント的な紹介があったり、

   手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には

   無関係だったりすることもあります。

   ご注意ください。


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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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