5ー029 ~ プールと水着
昼食時、ここんとこ食事にピヨとミリィが居ない事が多かったが、どうせまた寮か寮の食堂で食べてるんだろうぐらいで心配はしてない。
ミリィたちはこの家の周囲から離れないように言われているし、祈年祭だっけかの花見会場までなら安全らしいからね。
この森って角ウサギや角キツネは出るが、もうかなりこの家から離れないと居なくなってる。
まさかこの森の角付き動物たちだけで賄ってるんじゃないとは思うけどさ、燻製や揚げ物に加工されてる肉や魚、どうしてるんだろうね?
いや、だってこの家はともかく寮の人数だけでも何百人も居るんだよ?
野菜類や穀物を作ってるようには見えないから、そこは精霊さんの里から運んでるのだろうけど、もしかしたら肉や魚も加工前のが運ばれてきてたりするのかも知れないね。
何かそのへんどうしてるのか、尋ねるのってちょっと怖くてきけてないんだよなぁ…。
とにかくまぁ話を戻すと、ピヨとミリィが居なくても気にならない理由がもうひとつあって、今はディアナさんたち5名の有翅族、それとハツにメイリルさんにクリスさんとカエデさんがテーブルに着くので賑やかなんだよ。
ディアナさんたちはミリィと違って食卓の上をあちこち移動したりはせずに大人しいけど、やっぱり有翅族だから見かけからすると信じられないぐらい食べる。
ミリィで見慣れてると驚かなくなるんだけど、クリスさんだけは最初、無言で驚いてるようだったね。
そんなこんなで手を洗って席に着くとハツとメイリルさんがリビングの階段から降りて来た。
どうやら寮の方に居たらしい。
じゃあピヨたちと一緒だったのかな、ふたりだけで戻ったところを見ると別行動だったのかも?
と、見ていたら目が合って、首を傾げられたので尋ねる事にした。
- ハツとメイリルさんは寮で何してるの?
「あのね!、ファー様とピヨちゃんさまがすごいの!、パシャふわきらきらーだったの!」
「そうなんです!、きらきらしてて、水しぶきが芸術的で素晴らしかったです!」
何だ何だいきなりどうしたんだ?
何のこっちゃさっぱりわからん。
擬音混じりの賛美らしい言葉でふたりが頷き合ってるのは微笑ましいのだけど…。
補足してもらおうと左右を見た。
「なんじゃ其方知らなかったのか?、アレは毎日のように水上すてぇじで踊っておるぞ?」
え?、水上ステージ?
また新しい設備が増えたのか?
- そんなのあったんですか?
「プールの事ですよ。タケルさま」
- プールって、そこの体育館の地下にあるって言ってたプール?
「はい、それです」
俺は見たこと無いけどね?
リンちゃんやモモさんが言うには、ここの建物は全部『森の家』の一部だそうだよ。
つまり全部俺の家らしい。知らない事や見たことの無い設備のほうが多いけどね?
まぁいいんだよ。もう今更だし、維持管理してもらってるんだしさ。
別に事前に相談とか報告とか無くても。
人数が増えたとか拡張したとか、こっちから尋ねない限り、今まで聞いたこと無かったし?
でもさ、俺が既に知ってて当然みたいに話されるのはちょっと驚くね。
驚くっていうか戸惑うっていうか微妙なところだけど。
「ピヨたちも参加するようになって、寮の子たちも連日立ち見すらできなくなって入場制限が掛かったので、1日1幕2回まで、観客総入れ替え制になったんです」
リンちゃんがちょっとだけ肩を落として諦めムードで言う。
「今はウィノアまでファーに手を貸していまして、水と風の協演、だなんて言われてるんですよ…」
いつの間にそんな事に…。
- 協演って…?
「んーほれ、其方もしておろう?、水の塊に形を与え舞い踊らせるのじゃ」
「ピヨの形を模倣して、動きを同期し、ファーの周りで躍らせてるんだそうです」
- もしかして、それでピヨは毎日寮に通い詰めなの?
「はい」
- だからファーさんもここで食事を摂って無いとか…?
「たぶん」
- えーっと、ウィノアさん、あっちで何してるんです?
『あ、あの、ちょっとしたお手伝いですよ?、大げさな事は何も…』
- ああ、別に叱るとか怒るとかじゃ無いんですよ。どういう経緯で手伝う事になったんです?
『はい、最初はあの風の者が不定期に踊るのを光の子らが見るだけだったのですが、風の雛が真似をし始めたのを見て、風の者が指導する事になったのです』
ふむふむ?
『ただ舞踊の指導をするのではなく、風の者に伝わる物語に鳥が関わるものがあるそうで、それを演じる事で雛の成長を促そうと考えたようです』
へー。
「そう聞いたので許可したんですよ…、それが何故か事が大きくなってきて…」
リンちゃん的にはちょっと困ってるってわけね。
- んで物語って?
「簡単に言うと鳥の王の成長物語なのじゃ」
「それ古いですよお姉さま」
「なぬ?」
「提出された書類によるとその続編からの演舞で、悪の誘惑に負けた鳥の王が群を組織して周辺を制圧、勢力を増していくんです」
「ほう?、続きがあったのか…」
「ですから古いと言ったでしょう?」
そういう意味か‥。
「まぎらわしいのじゃ」
相変わらずテンちゃんに対しては言葉が足りないね、リンちゃんは。
もしかしてわざとやってんじゃないのかって疑惑もあるけど。
「そこに立ち向かう善の鳥たち、その象徴たる姫が攫われるんです」
「ふむ。まぁよくある展開なのじゃ」
そうだよね。だいたい攫われるのがお姫様。
「その姫を救うべく立ち上がった一羽の若鳥が、善なる風の修行をしてウィンドパワーを身に宿し、少数精鋭の群に加わって姫を救い出すのがエピソード4です」
なんだそりゃ…。
何かどっかで聞いたことあるような無いような…。
●○●○●○●
プールの話で思い出したけど、水着について少し言っておこう。
最初はハツとメイリルさんの話からだったんだ。
ふたりとも獣人族なので、尻尾がある。
だから水着もご想像の通り、尻尾を出す穴というか切れ込みがあるわけだ。
光の精霊さんたちには尻尾なんて無いので、寮の被服室で採寸して新たに何着か作ってもらったらしい。
そこで活躍するのが被服担当の幹部アオさんだ。
まぁアオさんだけじゃなく寮の精霊さんたちにもお裁縫や衣類のデザインができる子がいるみたいだけどね。
デザインを決めて、あるいは既製品を手直ししたものなど、数点の水着ができあがったわけだ。
そうすると、何故か俺にお披露目をしましょうって話になっちゃったんだよ。
俺にもどうしてそうなったのかよくわからん。
ハツが『可愛い水着で嬉しい』みたいなことを言って、俺は寮のプールには行けないから見れないね、って返したように思う。
すると残念そうに、泳ぎやすくて可愛くてすごくいいのにと言い、メイリルさんがそれに続いて何着かあっていつもどれにしようか悩むとか、お揃いのデザインにもあるとか言ってると、アオさんが自信作なのでぜひ見て下さいと、珍しく言ったわけ。
俺は別にどうでもいいんだけど、そんなこと言えないからその場の流れで『それはどんなのか楽しみだね』と笑顔で返しておいたんだよ。
その時は『じゃあすぐに』って事にならなかったんで、俺も気にしなかったんだ。
そして翌日の午後。
朝からみんな忙しそうっていうか、いつもより緊張感があるように思ったんで、リンちゃんに尋ねたら『まだ内緒です』って言われたんで、まぁまた精霊さんたちのイベントだろう、ぐらいに思ってたら、劇団アンデッズ用の演劇練習場を利用した水着ファッションショーだった。
どうやら精霊さんたちがかなり張り切っちゃったみたいでさ、リンちゃんに案内された俺とクリスさんは、2席だけ用意された椅子に座らされ、ハツとメイリルさんの5種類の水着を見せられた。
演劇練習場というだけあって結構広いんだけど、前に昼食会をした部屋だった。
今回はテーブルは無くて、高い天井からライティングされている簡易ステージが目の前にあって、背面に立てられている壁に海辺が映し出されていた。
隣に座らされたクリスさんはずっと無言で固まってたよ。
たぶん、理解が追い付かないんだろう。わかる。
余所行きの微笑のままだからね、そのへんはさすがというところだ。
そして始まったわけだが、司会のミドリさんと解説のアオさんの案内に従って、5種類の水着姿のふたりが背景の壁の片方から出てきて、目の前まで歩いてきてくるりと回ってポーズをとる。
さりげなく流れるBGM、テーマがあるのか切り替わる背景。うん、ファッションショーだね。
いずれもとても可愛らしく、いい出来だったと思う。
とにかく『可愛らしい』とか、『似合ってる』とか、語彙は少ないけど頑張って褒めた。
クリスさんも固まってたのから復活したようで、詩的な、でもちょっと俺からすると古めかしい表現に思えたけど褒めていた。
それがまたメイリルさんには刺さったみたいで、頬を染めて喜んでいた。メイリルさんは100年ほどカプセルに居たからかも知れないね。それか、元王女で教会で育ったというのもありそうだ。
ハツにはピンと来てなかったところもあったみたいだけどね。
で、だよ。
ハツとメイリルさんは、言っては何だけど未成熟なわけだ。
そして、ここに案内してくれたリンちゃんは、水着から元の服装に戻ったハツとメイリルさんを導いてそのまま家の方に戻って行ったんだ。
そしてさらに、ふたりのお披露目の途中で、寮のほうからぞろぞろと100名ほどが来て、部屋に分かれて何かしてるんだよ。
何かって事も無いな、着替えてるんだろうよ!
「あの、タケル様、」
はー…、と溜息を吐きたい気分のところに、クリスさんが抑え気味の声で話しかけてきた。
- はい。
俺も控えめな声で返事をした。
まぁ普通なら終わりじゃないのかとか、まだ続くのかとか聞かれると思うだろ?
「いつもこのような事を…?」
全然違ったわけだ。
- いえいえ、こんなの初めてですよ。
「然様でしたか。失礼致しました」
- いえ、まぁこれが普通と思われても仕方無いと思いますよ。
「ありがとうございます。それでこの後ですが、やはり大人の部が始まるのでしょう?」
察しがいいな、クリスさん。
- たぶん、そうなると思います。
「念のため、お尋ねしますが、その、ここはタケル様の大奥、でございますか?」
は…?
おーく…?
「表現を変えれば後宮、とでも言いましょうか…」
げw
- いやいやいやいや、それは違います、断じて!
あ、背景の壁のところからミドリさんがひょこっと顔を出した。
何でもないです、と手で合図しておいた。
ミドリさんは『もう少しお待ちくださいね』と言ってにこっと笑顔で引っ込んだ。
クリスさんには改めて、声を抑えて言う。
- 違いますからね?
「そうでしたか、申し訳ありません。あまりにも此処に女性、それも綺麗どころが多く集められているようでしたので、思い違いをしておりました」
なるほど、勘違いするのも理解できなくは無い。
「では今宵のお夜伽を選ばれるのでは無いのですね」
- え?、無いです無いです。あ、まさかクリスさん?
「いえ、私では相手にされないでしょう。それに…」
ん?、なんだろう?、表情に翳りが。
- それに?
「あ、失礼致しました。自分がこれほど脆い未熟者であったのだと再認識した次第でございます。申し訳ありません」
自嘲めいた笑み。
- 何かあったんですか?
「お恥ずかしい事ですが、私はこれまで勇者以外の女性には好意的に扱われてきました」
ああ、そういえばハルトさんも言ってたっけね。
- そうらしいですね。
「元の世界に居た頃からですが、一時はそれに甘え、思い起こせば酷い態度をとっていた事もありました」
まぁ、そりゃモテまくればね。それも思春期の頃にだったら天狗になるひともいるだろう。
俺はそんな機会が無かったから、想像でしか無いけどね。
「幸い、剣や人の道を説いてくれた者が身近に居りましたし、幾ら言い寄られてもよく知らない者を相手にすれば刺されて濁流に突き落とされるのだと学びましたので、」
え…
- 刺された…?、んですか?、クリスさんが?
「はい、はい、気付いたらこの世界で、ヨダさんとハルトさんが目の前に居りました」
そんないい笑顔で言うことじゃないよね?
- それって…、
「そうですね、元の世界で私は殺されたのでしょう」
- …そうだったんですか…。
何とも返事のしづらい話になってしまった。
「済みません、その事は良いのですが、この世界に来てからも女性は好意的でした」
頷いて続きを促す俺。
「その事を大切にしなければと思い、女性に対しては自然に良い態度であり続けようと決めたのです」
- なるほど、良い事だと思いますよ。
「ありがとうございます。それだけ私にとっては心の支えでもあったのでしょう」
うんうん、と頷いた。
そりゃ好意的にされれば、こちらも好意で返すのはごく自然の事だろう。
それを当たり前の事だと高慢にならないのはある意味すごい事だと思う。
「ところが勇者食堂やこちらの女性たちは私に目も呉れないのですよ。タケル様の客人だと周知はされているようで、ご挨拶や物を尋ねたりするとお返事は頂けますが、それだけです」
何という虚ろな微笑…。
- そりゃまぁ、精霊さんたちですから…。
「その『精霊』というのが女性を讃える意味の言葉だと思っていたのです」
- あー…。
そゆことか。
「お察しのように、今までの反動で女性から相手にされなくなったのではないか、と」
それまでがそれまでだっただけに、そりゃ心配にもなる…、のかも知れないね。
「考えもしたのですが、『勇者の宿』に居た女性兵士は普通に好意的だったことを思い出しまして」
あ、居たのね、女性兵士。
そりゃあ勇者に女性がいるわけで、復活転移してきたら全裸だからね、女性だって勇者隊に居るだろうとは思ってたよ。
俺は会った覚えが無いんだけど。
「それでこちらでご厄介になっておりますと、『精霊』というのが形容ではなく本当に精霊様だったのだと気づかされたのです。今更ながらこの身がいかに未熟であったのだと二重の意味で猛省したのです」
- まぁ、見かけは普通の人種と変わりませんからね…。
「そこは何とも。さても詮無い身の上話をお聞かせしてしまいましたが、そろそろ準備が整ったようでございますよ」
と、見ると、布で首から下を隠したミドリさんが舞台袖、といっていいだろう位置でこちらを見ていた。
座り直して姿勢を正してミドリさんを見て頷くと、背景が夕焼けのビーチになりBGMが変わった。
どういう趣向だよ…。
そして最初を飾るのはというミドリさんのアナウンスに従って、カエデさんがスポーツ的な印象のセパレートタイプの水着で登場した。
手には何故か黄色い球体。ぽーんと投げてキャッチするのを一瞬だけ踊るような仕草でやってたがそのままの勢いで回転も何も無くただ走って俺たちの前まで来た。
「えへへ、どうですか?」
どうですかも何も、コンセプトがわからない。
まず、全くBGMに合っていない。目を疑ったよ。
まさかボディビルダーみたいだとか言ったら殴られかねないので言えないし、ボールの意味がもうわけわからん。
ボールだけ見れば新体操に見えなくも無いけど腹筋が6パックだし、腕も脚もムキムキしてる。女性らしさみたいな手指の表現なんて無かったから新体操からは程遠い。
じゃあ何かと言われると、陸上競技のユニフォームにも見えるが、それは俺の世代だからであって、カエデさんが元の世界に居た頃の陸上競技の女性用ユニフォームはそんなにぴちっとしたデザインでは無かったはずなんだ。
- えっと…、
「活発で躍動感があるな、よく似合ってるぞ、カエデ」
「わ、ほんとですかクリスさん!」
「ああ」
「ありがとうございます!」
ペコリと元気よくお辞儀をしてだーっと走って戻って行った。やっぱり水着じゃなくて陸上競技の服かも知れん。ボールよりゼッケンの方が合うね、あれは。
だいたい何でカエデさんが出てくるんだよ。
道理で居なかったわけだと思ったけど、なんでそっち側なんだよ…。
あ、ミドリさんがしてやったり、みたいにくすくす笑ってる。
見るとさっと居住まいを正してた。
さて、気を取り直しましてとアナウンスをしてるし。
気を取り直しましてじゃねーよ。最初にもってくるのがおかしいんだよ。
まぁいいや、忘れよう。
出てきたのはベニさん。
臙脂色のビキニタイプ、腰に透けるほど薄い赤い布をひらひらさせて登場した。
あ、こないだの品評会のときの布かな。
恥じらい半分でポーズをとるベニさんを褒めると、頬を染めてぺこりとお辞儀をしたと思ったらささっと背景のところまで下がった。
そして次はアオさん、中性的なデザインというか下はショートパンツのようなデザインだった。
それと、意外と胸があるなと思った。普段は押さえつけるような下着だからね。
え?、いや感知でわかるんだってば。目では見たこと無いよ?
その次は布を脱いだミドリさん。
自分でアナウンスと解説をしながら歩いてきて、目の前まできたら腰を少し曲げて胸を強調、『いかがです?』なんて言ってきた。ノリノリだな。
次にモモさん。
布面積が小さいので来ると思ったらワンピースだった。意外。でも脇とか大胆なデザインで、はみ出そうだった。何がとは言わないけど迫力だった。
そして4名が並んでお辞儀。
もうね、どこを見ていいやらわからんね。
ミドリさんとアオさんが舞台袖に立ち、モモさんとベニさんが手を振りながら背景の下手に隠れると、BGMがテンポのいい曲に変わった。上手からひとり、またひとりと踊るような歩調で順番に出てきては、俺の前でポーズをとって、背景の前に下がって並んで行く。
見た事のある子もちらほら居たが、ペースが早いので声を掛けるどころでは無かった。
全員、違う水着で色もデザインも様々なのと、肌色だらけで目がおかしくなりそうだった。
目のやり場に困るのもあるね。
観客が多いならごまかせるかも知れないが、俺とクリスさんだけで、ほぼモデルさんたちの視線は俺を見てるんだもん、俺がどこを見てるとか絶対あとであれこれ言われそうだから、変な場所を見ないように気を付けて…、でも水着だぜ?、布面積によっては布の部分って、その変な場所だぜ?、どうしようもないね。
「…いやはや眼福でございましたね、タケル様は何番の女性が良かったですか?」
え?
- 何番って?
番号なんて言われてたっけ?
「僭越ながら私は1番と48番、次点で21番と86番の水着が良かったと思いましたが…」
よくまぁそんなにすらすらと…。
「タケル様?、まさかとは思いますが聞いてらっしゃらなかった、なんて仰いませんよね?」
目の前であざといポーズを取りながらジト目で見るミドリさん。
- いえ、どれも皆さん魅力的で見蕩れるほどでしたので、何番とかはちょっと…。
「ふぅん…?」
あ、これ絶対何か言わないといけないやつだ。
- 強いて挙げるなら…、
「強いて挙げるなら?」
- モ、べ、ベニさんとアオさんが良かったかな?
「ふぅん…?」
- も、もちろんミドリさんの水着姿もステキですよ?
「じー…」
- 目のやり場に困るぐらい、ステキですって;
「ま、そういう事にしておきましょう、ベニー!、アオー!、ご指名ですよー」
- えっ?
「ふふっ、着替えてしまったので残念ですが、戻ってお茶でも飲んで下さい。私たちは後片付けがありますのでこれで失礼しますね」
- あっはい…。
ふぅ、揶揄われただけだったか。
「タケル様、クリス様、ご案内致します」
- あの、一応聞くけど、家に戻るだけだよね?
「はい」
普通に戻ったように見えたベニさんだったが、にこっと笑みを浮かべた頬が少し赤かった。
それと、目が合った瞬間さっと逸らされた。
まぁ咄嗟に言い訳みたいに名前を挙げちゃったせいもあるんだろう。
次話5-030は2023年01月27日(金)の予定です。
(事情により1週延期しました)
●今回の登場人物・固有名詞
お風呂:
なぜか本作品によく登場する。
入浴はしてますよ?
タケル:
本編の主人公。12人の勇者のひとり。
気を遣ってるやらいないやら。
今回はある意味仕方がない。しかも続きそう。
リンちゃん:
光の精霊。
リーノムルクシア=ルミノ#&%$。
アリシアの娘。タケルに仕えている。
水着ショー後半にに居ませんでしたね。
テンちゃん:
闇の精霊。
テーネブリシア=ヌールム#&%$。
後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。
リンの姉。年の差がものっそい。
水着ショーに居なかったのにはいくつかの理由があります。
ファーさん:
ゼファーリィ=ヴェントス#$%&。
風の精霊。
有能でポンコツという稀有な素材。
風の精霊の里では高位の存在なんですよ、これでも。
尊敬の対象なんですよ、これでも。
つまりタケルに縁のない芸事に堪能という…。
生かされない不遇な配置という事に。
今回名前のみの登場。
タケルがプールに行けませんからねー。
ウィノアさん:
水の精霊。
ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。
一にして全、全にして一、という特殊な存在。
タケルの首飾りに分体が宿っている。
今回ちょっと出演。首飾りからの声だけですが。
アリシアさん:
光の精霊の長。
全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊。
だいたい名前くらいしか登場しませんが一応。
モモさん:
光の精霊。
『森の家』を管理する4人のひとり。
食品部門全体の統括をしている。
いわゆるメイド長みたいなものもやってます。
スタイルすごいですからねー。
でもセリフ無し。
ミドリさん、アオさん、ベニさん:
光の精霊。
モモと同じく『森の家』を管理する4人のひとり。
食品部門の幹部。モモの補佐をしている。
ハルトさん:
12人の勇者のひとり。現在最古参。
勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。
ハムラーデル王国所属。
およそ100年前にこの世界に転移してきた。
『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。
今回名前のみの登場。
カエデさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号10番。シノハラ=カエデ。
勇者歴30年だが、気持ちが若い。
でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。
まさか参加するとは…。
あ、実は普通の水着もちゃっかり貰ってます。
露出控え目で地味な色のものです。
素材からして光の精霊さん産のものは
一般的な人種のものと差がありすぎるのです。
ジローさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号3番。イノグチ=ジロウ。
ハムラーデル王国所属。
砂漠の塔に派遣されて長い。
2章でちらっと2度ほど名前があがり、
次に名前が出てくるのが4章030話でした。
ヤンキーらしいw
今回出番無し。
なかなか登場までいかないですね。
クリスさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号5番。クリス=スミノフ。
現存する勇者たちの中で、4番目に古参。
『嵐の剣』という物騒な剣の持ち主。
カエデたちには砕けた口調になります。
彼も字がきれいな方です。毛筆のみですが。
まぁ、立場を弁えてますからね。
ロミさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。
現存する勇者たちの中で、3番目に古参。
現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。
クリスとはこの世界に転移してきた時に少し話した程度だが、
互いに気にかける程度の仲間意識はある。
今回出番無し。
シオリさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号7番。クリバヤシ=シオリ。
現存する勇者たちの中で、2番目に古参。
『裁きの杖』という物騒な杖の使い手。
現在はロスタニア所属。
勇者姫シリーズと言えばこのひと。カエデは大ファン。
今回出番無し。
サクラさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号1番。トオヤマ=サクラ。
ティルラ王国所属。
勇者としての先輩であるシオリに、
いろいろ教わったので、一種の師弟関係にある。
勇者としての任務の延長で、
元魔物侵略地域、現バルカル合同開拓地に居ます。
今回出番無し。
ネリさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号12番。ネリマ=ベッカー=ヘレン。
ティルラ王国所属。
サクラと同様。
魔力操作・魔力感知について、勇者の中では
タケルを除けば一番よくできる。
結界の足場を使った戦闘がメルに遠く及ばないのは、
メルが達人級の剣士であることと、
そもそも身体能力や身体強化はメルのほうが圧倒的に上だから。
今回出番無し。
カズさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号6番。サワダ=ヨシカズ。
ロスタニア所属らしい。今の所。
体育会系(笑)。性格は真面目。
今回出番無し。
寮の子たち:
タケルの家とされている『森の家』その隣の、
燻製小屋という名前の食品工場に勤める精霊さんたちの事。
寮生活をしているが、自由時間は結構多いので生活を楽しんでいるようです。
これでも光の精霊さんですから、
普通の人種とは比較にならない魔力量があります。
これまで名前が登場したのはアーコなど数名ですが、
寮には200人ほど居ます。
サイモンさん:
1章の後半に登場した、ツギの街を拠点に活動する、
冒険者チーム『鷹の爪』のリーダー。
4名しかいないが、それなりにツギの街では有名。
『森の家』には魔法職であるプラムと共にちょくちょくやってくる。
今回はプラムとエッダが王都に行ったので、
暇になったクラッドと共にやってきた。
魔法はまだ少しの身体強化と初級魔法の一部だけ。
無詠唱はできないので詠唱が必要。
クラッドよりは器用な分、略式詠唱でもできる事がある。
これでしばらく出番がありません。
クラッドさん:
サイモンと同じく『鷹の爪』のメンバー。
大楯を扱い、小剣または剣を使う。
いわゆる盾役、タンクってやつですね。
魔法はまだ少しの身体強化と初級魔法の一部だけ。
無詠唱はできないので詠唱が必要。
これでしばらく出番がありません。
ハツ:
詳しくは3章を。
森の家にしばらく居ることになりました。
タケルが相手をしていないのではなく、
ミリィが連れまわしているせい。
メイリルさん:
メイリル元王女。詳しくは3章で。
ハツからはメイと呼ばれてます。
森の家にしばらく居ることになりました。
ハツと一緒に居ます。
ピヨ:
風の半精霊というレア存在。
見かけはでっかいアヒルサイズの巨大ヒヨコ。
だから頭部が鳥類にあり得ないぐらい大きい。
2章の途中から登場。
ミリィ:
3章から登場した、有翅族の娘。
わけあって背中の翅が無いが、それでも有翅族。
詳しくは3章を。
有翅族:
身長20cm前後の種族。
背中に昆虫のような翅を持つ。
種族特性として、魔法が使えて空を飛べる。
翅は生え変わったりするもので、
毎回同じ形状のものが生えるとは限らない。
ディアナさん:
3章008・9話に登場した、有翅族の長老の娘。
月光のような白っぽい髪に、赤茶色の瞳。
黒鳳蝶のような羽。
初回登場時から黒いワンピースだったが、
いまは腰に黒いベルトでゆったり留める、
清楚なクリーム色のワンピースを着ている。
種族固有の魔法で人型サイズに変身できる。
魔法に関して実力者でもあるので、ミリィの成長に気づいています。
ディアナのとりまき:
当然だが有翅族。
4人とも見かけの年齢は10代から20代とそれぞれだが、
ディアナと一緒に50年前に村を出たのだから実年齢はお察し。
ディアナの事を姫様と呼ぶ。
精霊さんだらけなので実はびくびくしています。
それぞれの名前が実は5章001話で出ていたのに
紹介を忘れていたのでここに記載しておきます。
エイナ:
端がちょっと青紫色をした白いシジミみたいな翅。
髪はニミナと同じく明るいニンジン色で、
普段は首の後ろでまとめ、布で包んで簪で固定。
ディアナの筆頭世話役。手先が器用。
ニミナ:
小ぶりで薄い緑色で半透明の翅。
髪はエイナと同じく明るいニンジン色で、
普段は編み込みをして後ろでまとめ、簪で固定。
ディアナの世話役その2。エイナの妹だったりする。
トリア:
細長くて透明な翅。糸トンボみたいな感じ。
肩まであるレンガ色のふんわりヘアー。
4人中一番大人しい性格。胸が一番大きい。
レモア:
ふわっとしている黄色っぽい茶髪で活発そうな短めの髪型。
翅は5名中一番小さくてまるっこくて透明、
ミツバチのような翅。
ハツ曰く、「いつもちゃっかり得してるみたい」。
背丈が小さい事は別に気にしていない。飛べるからね。
でもミリィより胸が小さい事は気にしている。
なので、ミリィに少しだけ対抗心を持つが、
一応大人的な余裕はある。
※ 作者補足
この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、
あとがきの欄に記入しています。
本文の文字数にはカウントされていません。
あと、作者のコメント的な紹介があったり、
手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には
無関係だったりすることもあります。
ご注意ください。





