5ー025 ~ ドゥーンさんたちとの話
「ぅほーっ、これは良い眺めなのじゃ!」
飛行甲板に上がるリフトに乗り、天井が開いて行くと、俺の結界越しではあるが見えてくる空は全体を贅沢に使った茜色と紺色のグラデーション。陽光は見える物全てを赤く染めようとし、空は青から紺闇が迫り塗り潰さんとする。それに従い、次第に見えてくる星々の織り成す模様。
テンちゃんは上体を反らし気味に、俺の右腕を支えにしてその空を見上げ、楽しそうだ。バランスを崩さないよう足に力を入れながら、そうですね、と同意しておく。
ああ、向こうを出たのが早朝だったから、こっちは夕暮れなのか。
リフトが完全に甲板へと上がったので、見えているのはまるでプラネタリウムで見たような半球状の夕焼け空、それも雲ひとつ見えない完全なものだ。
視線を遮るものなんて、甲板に立って先端が青く点滅している柱と、官制塔のような建物ぐらいしか無い。
「ん~、何かな…わ、すっごい綺麗な空かな!」
ポケットの蓋を押しのけて、ミリィがひょこっと頭を出した。起きたのか。それとも起きていてテンちゃんの声が気になったのか。
「うむ。これはなかなか見れるものでは無いのじゃ…」
「あたしも初めてかな‥」
うっとりという表現がぴったりの表情で西の方、いま俺がそちらを向いて立っているからなんだけど、俺の腕に頭を凭れかけてむにゅぅぅと両手で持っていただけだったのを抱え直すテンちゃん。
すごい感触に気を取られそうなのを何とか耐えているとポケットからミリィがふよふよと飛び上がってきた。
「あっちの方から暗くなって‥、こっちが赤くてすごいかな‥」
すすっと指差しながら進んで、反対も同じようにしてる。
- 初めてなの?、ミリィ。
声を掛けるとゆっくり俺の顔の前に来たので左手でキャッチしようとすると、その親指を掴んだので、それに合わせて手の角度を変えてミリィが座りやすいようにした。
「うん、夕暮れが時々すごく赤くなるのは知ってたかな。いつも森の中だから全部は見たこと無かったかな」
なるほど、そういう事か。
ハツの家に居た時は、そう言えばあまり外に出て無かったんだっけ。
- じゃあそろそろ飛ぶから、ポケットに入っててね。
「はーい」
ふわっと浮いてしゅるんとポケットへ、器用に素早く潜り込むミリィ。
何度もやって慣れたのもあるだろうけど、前より動きがスマートなのは、魔力操作が格段に上達したせいもあるんだろう。前は手で蓋を持ち上げていたのを風属性魔法で操作してたよ。一瞬だったけど自然な魔力の動きだった。
そうしてポケットの縁を両手で持ち、蓋を器用に一部だけポケットに潜り込ませるようにして、その間からひょこっと頭を覗かせたのを確認してから、ポケットのあたりを保護して、索敵魔法のピンを撃って、飛び立った。
「おお‥」
甲板上、母艦に保護されている範囲を超え、とりあえず近い側の横へと移動。
下は雲の海というか…。
- 何これ…。
いや、雲の海は雲の海なんだけどね。
まるで広大な平原に綿でも敷き詰めたかのようで、それが茜色に染まっているのがすごく幻想的だ。タイミングが良いのか悪いのか…。
西の方、つまり太陽が沈む方向は今のところかなり赤い。その光と反射に母艦やこちら側が包まれているせいであんな風に見えていたんだな。
よく見るとその雲は北側から白い大河のように流れている。わかりにくいけど波もある。たぶんその行く先は魔砂漠の中心あたりだろうか。
もしかして、魔塵処理のために大量の水で流して集めて、というとんでもない規模の事をやってるんじゃないか?、精霊さんたちの事だしあながち荒唐無稽とも言い切れないなーなんて思ったけど、そんな想像をしている場合じゃ無い。
改めて東の方からどんどん暗くなって行く雲の大河を見渡した。
ん?、いまあっちの方で光ったぞ?、あ、すぐそこも光った。遅れてスゲー音がした。
さっきは気付かなかったけど、考えてみりゃこれだけ雲が集まって動いてるならありえる。
つまりこれって、時々雷が走っているって事だよな?、この中を降りていくのか?、いまから…。
ちょっと結界障壁を倍にしておこう。
倍にして耐えられるんだろうか…、ちょっと不安になってきたな。
大丈夫かな…、なんて思いながらも下方へもう一度索敵魔法を使い、地形を確認した。だって目じゃなんも見えんのだよ。
それも見ている間にどんどん闇に染まっていく雲なんだ。
二人とも足元の雲を見下ろして『うわー』とか『すごーい』とか暢気に言ってるけど、今からそこへ降りていくんだとわかってるんだろうか?
前に母艦から降下したときは確か上空8000mと言ってたけど、今これ15kmちょいってとこか。隠蔽の投影がされているから目では見えないけど母艦からは400m ってところだから、15500m ぐらいの高度だったんだな。
前と高度が違うなら、そう言って欲しかったな…。できれば天候も。
表面は滑らかな流れに見えたけど、近づくにつれて細かくきらきらしているのがわかる。まるで氷の粒が混じっているようだ。薄暗くなってきたからそういうちょっとした光が目立つんだろう。ただ漂っているのではなく、雲の中の上下運動によるものなのかな?
いや、そんな事よりこれ、結界の外って氷点下だよな、それもマイナス何十度っていうような…。
気分的にはおそるおそる、でものんびりしていられる状況では全く無いのでそこそこの速さで雲に突入。圧力差で『ボ!』と音がした。
テンちゃんもミリィも、驚いたような声を上げたが、どこか楽しそうに聞こえた。暢気なもんだ。
操作してるこっちは不安なのに…。でもまぁ、信頼してくれていると思っておこう。
飛行結界の先端は予想通りというか氷の層ができた。
と言っても結界表面って金属やガラスとは違い、魔力による強固な力場だし、速度もあって前は圧縮されるので氷の層はすぐに壊れて散り、新しくできては散る感じだ。
過冷却状態の水に衝撃が加わって氷に変化しているのかも知れない。
ま、どうせ前なんて何にも見えない。白かったというか赤かったんだけど、雲の中を進めばもう真っ暗だ。時間的にもね。
テンちゃんはふぅと息を吐いて俺の腕を抱きしめてべったりくっつき、ミリィは詰まら無さそうにポケットに潜り込んでフタを閉じてしまった。
景色的にはもういいところが無いから、そうする気持ちもわからなくは無いけど、こっちは結構大変だったりする。
真下に抜けたいんだけど、めちゃくちゃ押し流されるんだよ。
それと、時々響いてくる雷鳴ね。
幸い近くで光ったりはしていない。
というのも、中に入って少ししてわかったんだけど、この雲、ウィノアさんの魔力で移動してるから雷が発生しそうな場所がわかるんだよ、俺には。
魔力の濃淡に差がある箇所で発生しているんじゃないか?、って予想が当たったおかげで雷を避けて降下中ってわけ。
いや、すぐ近くで雷が発生したら避けられないと思う。発生する前に濃淡を感知しながら通り抜けて…、あ、これ誘導してくれてるんじゃないか?
- ありがとう、ウィノアさん。
『ふふ、お気付きでしたか、でも下層の方では誘導できなくなります。できるだけタケル様のお近くには発生しないように致しますが、保証は致し兼ねます。申し訳ありません』
小さく呟いたのに、首飾りから返答された。『いえ、充分です、助かります』と返しておく。
地表に近づくと魔塵の影響を受けるかも知れないって前に言ってたからね。そういう理由なんだろう。
テンちゃんが抱きしめている俺の右腕をきゅっと軽く締めた。
見ると不敵な笑みを浮かべて俺を見上げている。わかってますよという意味で頷くと、また俺の腕に頭を預けた。たぶん気を遣って何も言わないでおいてくれたんだろう。
テンちゃんが何か言うとウィノアさんと口論になり兼ねないからなぁ…。
そうしているうちにそろそろ雲を抜けるところだ。
飛行結界の外は雨だ。雲の中でもさっきから水の中を進んでいるような錯覚すら覚えるほどで、結界で跳ね飛ばす水しぶきを感知しながらの降下だった。
雲を抜けたので速度を少し上げた。索敵魔法を使って位置を再確認。結構流されたようだ。目的地の港町セルミドアまでなんと240kmほどもある。針路をそちらへと向けた。
流されたのは東の方で、魔砂漠の中心方向に運ばれたわけでは無いようだ。
まぁ、雲の流れではなく、ウィノアさんの魔力による誘導に沿って移動したせいだろうね。
あ、この雨いつまで続くのかな、聞いておけばよかったよ…。
●○●○●○●
ハツの家に到着。
大地の精霊ドゥーンさんの保護結界があり、雨も通さないようで表面を水が流れ落ちていた。見た目には水のドームのようだ。わかりやすいな。
いつものようにぬるっと抜けて中に入り、家の前に着地、飛行結界を解除した。
玄関に向かって左手には、俺が作ったのよりひと回り大きい物置小屋があり、その前に4名の……これ、ハニワ兵か?、洋服屋さんのマネキンみたいなのが右手を左胸に添えて、全員並んで首だけこっち向けてじっと見てるんだけど…。
無表情で瞬きもせずじっと首だけこっち向けてるのが俺たちを追うように動くのがね…、不気味というかシュールというか何と言うか…、いや、とりあえず片手を上げて合図をしたあとは気にしないようにしよう。ハニワ兵だってわかってるんだしさ。
玄関を見ると扉がそっと開き、ドゥーンさんが外を覗うようにしてから扉をさらに開き、出てきた。
- こんばんわ。お久しぶりです。
「そうじゃの、ヴェントスのところ以来じゃの。よう来なすった。ヌル様もの」
「ふん、歓迎されぬよりはまし、ということにしておくのじゃ、ドゥーンよ」
ついでのように言われたのが気に入らないんだろうね。
「それは…いや、とりあえず中に入りなされ」
余計な言い方をしてしまったとでも思ったのか、テンちゃんから目を逸らし、ちらっと俺を見て立ち位置を外から扉を支えるようにし、手で中を示した。
家の前で話を続けても仕方ないので、ひとつ頷いて歩きだすと、扉の中、入ってすぐのところにアーレナさんが両手を軽く広げて立っていて、その後ろに並ぶハツとメイリルさん、それと有翅族の5名が前に出ないようにしているように見えた。手の向きがね、こっち向いて無いからね。
あ、そうか、テンちゃんに触れないようにするためか。
そのテンちゃんは俺の右肘を軽く持ってくっついてるからね。
そこにハツたちが、もし前の時のように飛びついてきたらテンちゃんに触れてしまいそうだ。
もちろん、テンちゃんだってわかってるだろうから、そうなる直前に離れてくれるとは思うけども。
「ほれ、アンタたちは席に着きな」
俺たちが入口に差し掛かると、アーレナさんが俺に小さく頷いてから後ろのふたりを見て言った。
「でも…」
「でもじゃないさね、言う事をお聞き」
「はい」
前に見たのより少し大きくなっているテーブルの向こう側へとハツたちが行くのと、俺たちが中に入るのが同じぐらいになった。
ハツたちが並んで座った横、テーブルの上に有翅族たち用のテーブルと背もたれの無い椅子が置かれていて、彼女たち5名はそれぞれその椅子を動かして所狭しと身を寄せ合い、向こう側の辺に並んで座っている。背中の翅がごちゃっとなってて窮屈そうだ。
あ、これよく見たらテーブル2つを並べてくっつけてあるのか。
前は2人用ぐらいの小さなテーブルと、書き物をするぐらいのテーブルの2つがあったはず。でもいまは食卓と言っていいぐらいの4人用のテーブルが2つ、それがまとめられていた。
アーレナさんに手で示されたので、ハツたちの向かいに座った。座る前にポケットに合図をして出てきたミリィを手に乗せて俺の左前のところに立たせると、ドゥーンさんが小さな椅子とテーブルをミリィの前に置いてくれた。
そのドゥーンさんは俺の左側の辺に、アーレナさんは右側の辺に着いた。
「まぁ、その、何じゃ、元気そうじゃな、タケル様、ヌル様」
ドゥーンさんから様付きで呼ばれるのはどうにも居心地が良くないんだけどなぁ、と思いながら、頷いた。
- はい、皆さんもお元気そうで。
そう言ってそれぞれを見る。
ハツとメイリルさんは嬉しそうにうんうんと頷いて、有翅族の5名は俺とミリィをちらちら見てちょっと不安そうだけど、黒い翅のひとだけは口元は笑みを浮かべていたけど目つきが何かを考えているような感じだ。
「それで、わざわざ来られたのはあの話かね?」
あの話‥?
- え?、余裕ができたら顔を見せに来いって言ってませんでしたっけ?
「何じゃ、するとあの話でヌル様を連れて儂らに忠告をしに来たのでは無いんじゃな…?」
「ふん、忠告が欲しいならしてやらんでもないのじゃ」
「ドゥーン、アンタがしっかりしないと話がそっちに行ってしまうさね。済まないね、タケル様。お茶も出さずに」
そう言って手をひらひらさせて立ち上がるアーレナさん。
良かった、さすがはアーレナさんだ。話がおかしな方向に行くところだった。
ハツたちの笑みも消えて不安そうになってたからね。
しかしどういう意味のジェスチャーなんだろうね?
親戚のおばちゃんもよくやってたように思うけど。謎のひらひらだな。
「あ、ボクがやります」
「いいんだよ、座ってな。ほれドゥーン、アンタも手伝いな」
「ああ」
- …えっと、外に出られないみたいだけど、元気そうで良かったよ。
「はい、雨でもドゥーンさんや師匠のおかげで、家の前や裏庭には出られますから」
ん?、雨の事じゃなかったんだけど、まぁいいか。
- いつから雨なの?
「先々週の始めだったかな…?、でも毎日こうじゃないんですよ」
- そうなんだ。
「雨じゃない日は、エクイテス商会のひとが配達してくれるんです」
「次は3日後にお願いします、って言って、雨じゃない日を教えてます」
にこにこ笑顔で言うハツとメイリルさん。
それにしてもメイリルさんは病的に痩せてたけど、いまは血色も良くなって健康そうだ。相変わらず可愛らしい獣耳がくすくす笑うたびに揺れているのがいいね。
「うんうん、ふふっ、それでいつも配達の日が雨じゃないのを不思議がってるの」
「雨じゃなくて良かったですねーって言うと、そうですねーって言いながら不思議そうにしてるのが面白いんです」
何だそりゃw
そりゃまぁ、降らせてるのはウィノアさんだし、予定を組んでるのは上で作業してる光の精霊さんたちだろうからね。
そうかそうかと楽しそうに話すふたりに相槌を打って話を聞いた。
それで外にいたハニワ兵たちには名前があるのも知った。道理で微妙に造形が違ってたわけだ。なるほど。
ミリィも楽しそうに時々話に混ざってる。
ハツとメイリルさんはミリィの言葉を半分ぐらい理解しているようで、通じてない部分は補足したけど通訳はミリィにだけすれば良くなっていた。
そのあたりの、魔力感知の訓練を頑張ったらしい話も聞いた。
メイリルさんの左手側、こちらから向かって右側だけど、そこの有翅族たちが大人しいのが気になるところだけど、まぁこっちが落ち着いたら話してくるだろう。何だかそんな雰囲気でちらちら俺を見てるんだよね。
「天気の予定はほれ、そこの制御盤でわかるんじゃよ」
途中で飲み物を配りながらドゥーンさんが補足してくれて、あとは黙って座り、ハツたちの話を一緒に聞きながらちびちび飲んでいた。お酒じゃないよね、同じ物のはず。
その飲み物、お茶と言いつつ出されたのは冷たいドリンクだった。
ミリィたちには有翅族用のガラスジョッキと、ショットグラスサイズの水差しが置かれている。
頂きますと言って口元に持ってきたけど、何だろうこれ?、知らない香りだ。
蜂蜜に近いようなクセのある香りと何かの植物の汁だろうか…?
「あ、これカクトン水です。町の西側で栽培してるんです。エクイテス商会のひとが時々運んできてくれるんですよ」
俺が首を傾げていたのを見てか、ハツが説明してくれた。
町の西側っていうと、サボテンみたいな多肉植物が畑みたいになってたっけ。あれか。
- へー、あれこういう味なんだ…。
「それと、ハツの実を挽いた粉がちょっと入ってます」
「ハツ粉です」
「か、身体にいいんですよ !?」
何故かちょっと頬を染めて言うハツ。
名前が同じだからって別に君の粉だとか思わないよ?
●○●○●○●
「さて、あの子らも眠った事じゃし、少し話をするかの」
と、ドゥーンさんがよっこらしょという雰囲気で座り、俺たちも席に着いた。
ハツたちは眠る前にアーレナさんの指導を受けるのが日課らしいけど、今日は俺たちが来たのでお休みらしく、ハツたちが競うように話すペースが落ちてきたところでアーレナさんが『そろそろ眠りな』と、支度をして奥の部屋へと引っ込ませたってわけ。
何故かミリィもハツについて行った。俺からハンドタオルとクッションを受け取ってふよふよ飛んでったよ。時差とか関係無いのかな、どんだけ眠るつもりなんだろう。
ディアナさんたちが残っているのはやっぱり話に関係するからだろうね。
ああそうそう、ハツたちの話にでてきたのでディアナさんの名前を思い出せたんだよ。
それで、ドゥーンさんが話を始める前にと、ディアナさんたちが改めて挨拶したいと言って順番に名乗ってくれたってわけ。今更ではあるけどね。
有翅族の5名はそのディアナさんを筆頭に、端がちょっと青紫色をした白いシジミみたいな翅のエイナさん、小ぶりで薄い緑色で半透明の翅のニミナさん。このふたりは明るいニンジン色の髪だ。
残るふたりのうち、肩まであるレンガ色の髪がふわっとしていて糸トンボのような翅なのがトリアさん。同じくふわっとしている黄色っぽい茶髪で活発そうな短めの髪型、翅は一番小さくてまるっこくて透明、ミツバチのような翅とでも言えばいいんだろうか、ハエとか言ったら怒られるだろうね、それがレモアさんだそうだ。
ハツの話にちらっと出ていた名前が、ここでやっと誰が誰だったと結びついた。
もうほんと今更なんだけどね。
「それでの、考えて見てはくれたのかの?」
いくら俺でも、つい先日リンちゃんから聞いた話の事だとわかる。
- それなんですけどね、ミリィだってあちらの外で自由にしているわけじゃないんですよ。
「そうなのかの?」
- はい。それにミリィは追放されたり仲違いをして出てきたわけじゃないんです。いつでもあの村に帰れるんですよ。
「お前さんが連れ歩いとるのは?」
別に連れ歩いているわけじゃないんだけどなぁ…。
- あの子が面白がってついて来ちゃったんですよ。イヤとも言えませんし、本人は楽しそうですから、帰る気になるまで預かっているってだけなんです。
それにね、と続けてから確認をした。ドゥーンさんもアーレナさんも頷いたので続ける。
- あちらは獣の特徴が無い人種しか居ません。なので人目に付かないようにしていますし、普段は僕の家の周りまでです。僕の家は森の中ですからね、人目には付かないんですよ。
だからあちらの住民たちに受け入れられているのでは無いんですよと念を押しておく。
まぁあちらでミリィの存在を知っているのは、先輩勇者たちと光の精霊さんたち、それとメルさん、サイモンさんたちだけだからね。
- だいぶ昔の記録ですが獣人族の男性が流れ着いた事があったらしいのですが、見世物にされたり使役されたりと奴隷のような扱いで、そう長くは生きられなかったんだそうです。
「気の毒にのぅ…」
「ひどい話さね…」
目を伏せるふたりに合わせて、俺もひと呼吸おいた。
- もちろん理解あるひとたちも居ますよ。でもそうじゃないひとが存在する事は否定できないんです。
「ああ…、理解はしておるよ」
「周囲から奇異の目で見られよう事も、わかってるさね。だから私は反対したのさ。しかしこの爺ぃの気持ちも理解できちまってね…」
アーレナさんからすると、複雑な気持ちのまま消極的賛成だったって事か。
それでもし俺が全員受け入れてくれるなら、ってのもあったのだろう。
- ハツもメイリルさんもさっきの話からすると、ここでエクイテス商会のひとたちと良好なつながりができていますよね?、だったらこのままここか町に住む方向で考えた方がいいんじゃないでしょうか?
そうなんだよ、エクイテス商会なら、あの町で結構有力者っぽいし、もしあの町でダメならもっと栄えた町でもいいと思う。
「それがのぅ、メイリルはともかく、ハツの方は火混じりじゃからのぅ…」
「そうさね。この地での一般的な人種とは寿命が違うんだよ」
- そうなんですか?
と言うと、頷くふたり。
- うーん、それでもこの地で生きて行く方がいいと思うんですよ。不都合が起きたらその時にまた考える、という方向でも。
「タケル様のところでは、やはり無理なのかの?」
- 無理という訳じゃ無いんですけど、あっちには獣の尻尾や耳があるひとなんて居ませんからね。僕と一緒に行動するとなると、どうしても人目に付きますし、僕の家から出られないのでは、何のために受け入れたかわかりませんよ?
「あの子たちはタケル様の言うように、ここで繋がりを得ているのだから、このまま見守った方が良いと思うねアタシゃ」
「そうさのぅ…、ではこの子たちはどうかのぅ?」
と、ずっと大人しく座って話を聞いているディアナさんたちを手で示した。
控え目な雰囲気なのは、さっきミリィの話をしたからだろうね。住民たちに受け入れられていたわけじゃ無いって知ったから。
- 有翅族がどんな目で見られるかがわからないわけじゃないなら、ディアナさんたちは村で受け入れてもらうほうがいいと思うんですよ。
「しかしそれは……」
言いかけた途中でドゥーンさんがビクっとした。扉の障壁をミリィが叩いたからだ。
「小さいのが起きてきよったか…」
小さく呟いて扉のところに行こうと立ち上がるドゥーンさん。
「なら、お茶でも淹れるかね…」
それに合わせてアーレナさんも立つ。
お茶なら俺が、と言おうと思ったけど、考えてみたら俺たちのほうがお客さんの立場だった。
そんな俺ににこっと笑みを向けるテンちゃんに気付いた。
これは褒めてくれたのかも知れない。可愛い。癒される。
その間にドゥーンさんは障壁を解除して扉を開け、すぐに隙間からミリィがこっちにすっ飛んできた。
「壁作ってこそこそするのは良くないかな!」
「あーいや済まんの、子供らには聞かせにくい話だったんでのぅ…」
ドゥーンさんがミリィの後ろから謝ったのでミリィがビクっとしてからしゅんと勢いを無くし、ドゥーンさんの方を向いてその場で空中正座した。
「あ、大事なお話だったかな、でしょうか…」
「少し、のぅ…」
「ごめんなさい」
空中土下座ってやつだな。
- んでミリィ、どうしたの?
「ハツちゃんは眠っちゃったし、夜なのにあたし全然眠れないかな。だから戻って来たかな」
そりゃそうだろうね。だって俺たちからすりゃ朝起きて朝ごはんを食べてからこっちに来たわけで、ミリィなんて食後にすぐ俺のポケットで寝てたし、寝すぎだろ。
でもハツたちと1時間ちょい話してたというかほぼ聞いてただけなんだけど、そんなだったんで時間の感覚がおかしくなってたのかも知れない。
たぶん、それと夜の雰囲気に釣られてハツについてっただけだったんだろうね。
- そかそか、じゃあ、そこに座って一緒に話を聞いてていいよ。
無関係ってわけじゃないだろうからね。
「はーい、あ、でもお腹が空いたかな…?」
珍しく疑問形?
あ、そうか。俺たちからすればそろそろ昼食…?、にはまだ早いだろw
危うく騙されるところだった。
でもまぁ、いいか。
- 何かつまめるものを出しましょうか?
「おお?」
元の席に着こうとするドゥーンさん。
「ドゥーン、アンタまさか…」
アーレナさんがさっと振り向いてドゥーンさんに厳しい目を向けた。
- あ、いや、お酒のおつまみって意味じゃなくてですね、クッキーなどのお茶請けって意味ですよ?
「そうじゃの…」
「そうかね」
明らかにがっかりしているドゥーンさん。
とりあえずと、大皿を用意してもらってクッキーなどのお茶請けをポーチからいくつも出してざらっと適当に積んでおいた。
お茶を淹れ直して戻って来たアーレナさんの目が、『多く無いかね?』と言っている気がする。
でもミリィたち有翅族の食べる量って俺たちよりも多いと思うので山盛りにしたわけで、むしろこれで足りるのかちょっと自信がない。
ところでお茶は普通にお茶だった。良かった。
あのカクなんとかっていうドリンクは甘いからね。甘い物に甘い飲み物はどうかと思うんだ、俺は。
それはそうとあのドリンク、実はお酒にする前の段階のものらしい。そのお酒はあの町の特産品なんだってさ。
んでその前段階のは少量生産あの町限定で、子供向けのドリンクなんだそうだ。まぁどうでもいいね。
「食べていいのかな?」
- どうぞ?
と言うとミリィだけじゃなく、ディアナさんたちも大皿の周囲に陣取り、食べ始めた。
食べなれているミリィは笑顔でがつがつ食べ、ディアナさんたちは『おお、これは…!』とか、『美味ですね姫様』とか『これも美味しい』とか小声で言っていたが、こちらの話が再開すると黙々と、そして食べるペースが少し落ちた。
- それで、ドゥーンさんからあの村へ知らせる方法ってあるんですか?
「実はの、あの村の結界具の隣に通信用魔道具を置いといたんじゃ」
「そんな用意をしとくなんて、過保護も極まれりさね…」
「全くなのじゃ、それでタケル様に責任を押し付けようとは聞いて呆れる話なのじゃ」
「責任を押し付けようなどとは思うとらん!」
「自分が保護した村に問題を持ち込むのが嫌でタケル様に話を持ってきたのじゃろう?、どう違うのじゃ」
「それは…」
そこでディアナさんが小さく手を挙げて合図をしていたので『どうぞ』と許可をした。
別に俺の許可なんて要らないんだけどね。
ぱっぱっとクッキーの粉を払って立ち上がったディアナさん。
前は確か黒い服装だったと思うけど、今はクリーム色の清楚な感じの服装だ。
腰の所を黒いベルトで軽く締めていて、元の世界の夏服というか学生のようだ。
髪の手入れができているせいか、前よりも若返ってみえるし。
「ドゥーン様から以前お伺い致しましたが、私はともかく、この者たちは村に縁者が居ないのです。それにもう住むところは無いでしょう。万が一受け入れて貰えたとしても、家はすぐには建ちません。それに私たちは今更頭を下げてまであの村に帰りたいとは思っていないのです」
ディアナさんが丁寧な話し方をすると違和感があるなぁ…。
まぁ、精霊様相手だから、そうしてるんだろうけども。
で、そういう話があって、ドゥーンさんが俺のところに話を持ってきたってことはわかった。
- そうだったんですか…。
なかなか難しいなぁ。
つまりドゥーンさんが大地の精霊権限(?)で、村に命令したとしても、受け入れられはするだろうけどギクシャクした気まずい関係のままだろうって事か。
ディアナさんは綺麗な姿勢で立ったままで、他の4名は手を止めて見守っている。
でもクッキーの粉だらけなのであまり見栄えは良くない。
とりあえず考えるかと、お茶に手を伸ばして少し飲んだ。
ドゥーンさんたちも同じように湯飲みを手にずずっと飲んでいる。
テンちゃんも隣でお茶を飲んだ。
少しの間、その音と、ミリィが大皿の前でボリボリとクッキーを齧る音だけがしていた。
どうでもいいけどずっと食べてるミリィ、のど詰まったりしないのかな?
次話5-026は2022年10月21日(金)の予定です。
20221021:衍字削除。 触れてしまいそううだ ⇒ 触れてしまいそうだ
(誤字報告感謝です。)
20221021:抜け補完。 あの知らせる方法 ⇒ あの村へ知らせる方法
20230105:表現訂正。 大皿の周囲を囲んで ⇒ 大皿の前で
20250508:話の流れ的に訂正。 先週 ⇒ 先々週
20250508:だけじゃなかったので追加。
(追加分)、それとメルさん、サイモンさんたち
●今回の登場人物・固有名詞
お風呂:
なぜか本作品によく登場する。
しかしここのところ入浴シーンが少ないような…。
タケル:
本編の主人公。12人の勇者のひとり。
鈍いって自覚があったんですね。
リンちゃん:
光の精霊。
リーノムルクシア=ルミノ#&%$。
アリシアの娘。タケルに仕えている。
今回名前のみの登場。
用事の消化中。
終わったら母艦で待機です。
テンちゃん:
闇の精霊。
テーネブリシア=ヌールム#&%$。
後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。
リンの姉。年の差がものっそい。
ちくっと言うけどあとは大人しい。
事を荒立てないようにと気を遣ってます。これでも。
ファーさん:
ゼファーリィ=ヴェントス#$%&。
風の精霊。
有能でポンコツという稀有な素材。
風の精霊の里では高位の存在なんですよ、これでも。
尊敬の対象なんですよ、これでも。
つまりタケルに縁のない芸事に堪能という…。
生かされない不遇な配置という事に。
今回出番無し。
ウィノアさん:
水の精霊。
ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。
一にして全、全にして一、という特殊な存在。
タケルの首飾りに分体が宿っている。
今回ちょっと出演。と言っていいと思う。
アリシアさん:
光の精霊の長。
全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊。
だいたい名前くらいしか登場しませんが一応。
モモさん:
光の精霊。
『森の家』を管理する4人のひとり。
食品部門全体の統括をしている。
今回出番無し。
ミドリさん、アオさん、ベニさん:
光の精霊。
モモと同じく『森の家』を管理する4人のひとり。
食品部門の幹部。モモの補佐をしている。
今回出番無し。
ハルトさん:
12人の勇者のひとり。現在最古参。
勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。
ハムラーデル王国所属。
およそ100年前にこの世界に転移してきた。
『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。
今回出番無し。
カエデさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号10番。シノハラ=カエデ。
勇者歴30年だが、気持ちが若い。
でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。
クリスに鍛錬を見てもらえて上機嫌。
声がでかいのはハムラーデルのデフォルトです。
森の家で鍛錬中。
今回出番無し。
ジローさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号3番。イノグチ=ジロウ。
ハムラーデル王国所属。
砂漠の塔に派遣されて長い。
2章でちらっと2度ほど名前があがり、
次に名前が出てくるのが4章030話でした。
ヤンキーらしいw
今回出番無し。
なかなか登場までいかないですね。
クリスさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号5番。クリス=スミノフ。
現存する勇者たちの中で、4番目に古参。
『嵐の剣』という物騒な剣の持ち主。
森の家で鍛錬中。
今回出番無し。
ロミさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。
現存する勇者たちの中で、3番目に古参。
現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。
クリスとはこの世界に転移してきた時に少し話した程度だが、
互いに気にかける程度の仲間意識はある。
今回出番無し。
シオリさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号7番。クリバヤシ=シオリ。
現存する勇者たちの中で、2番目に古参。
『裁きの杖』という物騒な杖の使い手。
現在はロスタニア所属。
勇者姫シリーズと言えばこのひと。カエデは大ファン。
今回出番無し。
サクラさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号1番。トオヤマ=サクラ。
ティルラ王国所属。
勇者としての先輩であるシオリに、
いろいろ教わったので、一種の師弟関係にある。
勇者としての任務の延長で、
元魔物侵略地域、現バルカル合同開拓地に居ます。
今回出番無し。
ネリさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号12番。ネリマ=ベッカー=ヘレン。
ティルラ王国所属。
サクラと同様。
魔力操作・魔力感知について、勇者の中では
タケルを除けば一番よくできる。
結界の足場を使った戦闘がメルに遠く及ばないのは、
メルが達人級の剣士であることと、
そもそも身体能力や身体強化はメルのほうが圧倒的に上だから。
今回出番無し。
カズさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号6番。サワダ=ヨシカズ。
ロスタニア所属らしい。今の所。
体育会系(笑)。性格は真面目。
呆けていたのは、勇者食堂にいた、
一目惚れしちゃった娘が精霊様だと感づいたから。
今回出番無し。
ホーラード王国:
勇者の宿がある、1章からの舞台。
名称が出たのは2章から。
2章の冒頭に説明がある。
メルさん:
ホーラード王国第二王女。
2章から登場。
リンに気に入られており、時々やりとりをしていたりする。
王城の彼女の寝室に転移石板がある。
今回は名前のみの登場。
寮の子たち:
タケルの家とされている『森の家』その隣の、
燻製小屋という名前の食品工場に勤める精霊さんたちの事。
寮生活をしているが、自由時間は結構多いので生活を楽しんでいるようです。
これでも光の精霊さんですから、
普通の人種とは比較にならない魔力量があります。
これまで名前が登場したのはアーコなど数名ですが、
寮には200人ほど居ます。
サイモンさん:
1章の後半に登場した、ツギの街を拠点に活動する、
冒険者チーム『鷹の爪』のリーダー。
4名しかいないが、それなりにツギの街では有名。
『森の家』には魔法職であるプラムと共にちょくちょくやってくる。
今回はプラムとエッダが王都に行ったので、
暇になったクラッドと共にやってきた。
魔法はまだ少しの身体強化と初級魔法の一部だけ。
無詠唱はできないので詠唱が必要。
クラッドよりは器用な分、略式詠唱でもできる事がある。
森の家でクリスたちと鍛錬中。
クラッドさん:
サイモンと同じく『鷹の爪』のメンバー。
大楯を扱い、小剣または剣を使う。
いわゆる盾役、タンクってやつですね。
魔法はまだ少しの身体強化と初級魔法の一部だけ。
無詠唱はできないので詠唱が必要。
森の家でクリスたちと鍛錬中。
ファダクさん:
光の精霊。
アリシアの配下。航空母艦アールベルクでの統括責任者。
決してヒマでは無いんですよ、このひと。
母艦アールベルク:
光の精霊さんが扱う何隻かある航空母艦のひとつ。
魔砂漠の魔塵処理作業のため、
魔砂漠中央あたりの上空8kmに停泊している。
母艦というだけあってでっかい。
ドゥーンさん:
大地の精霊。
世界に5人しか居ない大地の精霊のひとり。
ラスヤータ大陸を担当する。
気弱な面ばっか出てますね。
テンの前だからというのも大いにあります。
アーレナさん:
大地の精霊。
ラスヤータ大陸から北西に広範囲にある島嶼を担当する。
魔砂漠正常化作業を地下から手伝っている。
実は結構びくびくしてます。テンが怖いのです。
アンデッズ:
明るいアンデッドを目指す変な集団。
タケル曰く『聖なるアンデッド』。
そこから劇団『聖なるアンデッズ』という名称になったらしい。
光の精霊の里にて公演中のため、森の家には居ない。
関連グッズなどが販売されており、寮の休憩室などに飾られているらしい。
ミロケヤ王国:
ラスヤータ大陸の北半分以上を占める獣人族の国。
王都はゾーヤで、ラスヤータ大陸中央部にある。
結構でかいが人の住むところは多くないので人口はそこそこ。
タケルによる紹介が本文にありましたね。
港町セルミドア:
エクイテス商会のある港町。
ハツの家はこの町から東に少し外れた防砂林の海側あたりにある。
エクイテス商会:
港町セルミドアから王都ゾーヤまでの街道で、
何軒かの店を持つそこそこ大きな商会。
主に日用雑貨を扱っている。
詳しくは3章を。
この5章001話でも登場してます。
ハツ:
詳しくは3章を。
手抜きじゃないよ?
メイ:
メイリル元王女。
詳しくは3章を。
有翅族:
身長20cm前後の種族。
背中に昆虫のような翅を持つ。
種族特性として、魔法が使えて空を飛べる。
翅は生え変わったりするもので、
毎回同じ形状のものが生えるとは限らない。
ディアナさん:
3章008・9話に登場した、有翅族の長老の娘。
月光のような白っぽい髪に、赤茶色の瞳。
黒鳳蝶のような羽。
初回登場時から黒いワンピースだったが、
いまは腰に黒いベルトでゆったり留める、
清楚なクリーム色のワンピースを着ている。
種族固有の魔法で人型サイズに変身できる。
そう言えばこのひとを紹介するのって、3章009話以来…?
ディ…なんとかさん。とタケルは名前を忘れかけていたが、
思い出してもらったようですね。
ディアナのとりまき:
当然だが有翅族。
4人とも見かけの年齢は10代から20代とそれぞれだが、
ディアナと一緒に50年前に村を出たのだから実年齢はお察し。
ディアナの事を姫様と呼ぶ。
それぞれの名前が実は5章001話で出ていたのに
紹介を忘れていたのでここに記載しておきます。
エイナ:
端がちょっと青紫色をした白いシジミみたいな翅。
髪はニミナと同じく明るいニンジン色で、
普段は首の後ろでまとめ、布で包んで簪で固定。
ディオナの筆頭世話役。手先が器用。
ニミナ:
小ぶりで薄い緑色で半透明の翅。
髪はエイナと同じく明るいニンジン色で、
普段は編み込みをして後ろでまとめ、簪で固定。
ディオナの世話役その2。エイナの妹だったりする。
トリア:
細長くて透明な翅。糸トンボみたいな感じ。
肩まであるレンガ色のふんわりヘアー。
4人中一番大人しい性格。胸が一番大きい。
レモア:
ふわっとしている黄色っぽい茶髪で活発そうな短めの髪型。
翅は5名中一番小さくてまるっこくて透明、
ミツバチのような翅。
ハツ曰く、「いつもちゃっかり得してるみたい」。
背丈が小さい事は別に気にしていない。飛べるからね。
でもミリィより胸が小さい事は気にしている。
なので、ミリィに少しだけ対抗心を持つが、
一応大人的な余裕はある。
※ 作者補足
この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、
あとがきの欄に記入しています。
本文の文字数にはカウントされていません。
あと、作者のコメント的な紹介があったり、
手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には
無関係だったりすることもあります。
ご注意ください。
しかし今回あとがき部分多過ぎ…?
もうちょっと減らす方がいいような気がしてきました。





