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1ー026 ~ 仮称神殿

 さて2層だ。

 あの不気味なもやもやを通り抜けると、そこは遺跡のような石畳の床がある、石造りの小部屋だった。


 別にあのもやもやは転移するとかそういうのではなく、そこにある門みたいなものっぽい。

 サイモンさんがそう言ってた。


 でもうっすらと向こう側が見えていたし、2層の側からも、あっち側に洞窟の景色が見えている。

 んじゃこのもやもやは一体何なんだ?、まぁいいや、考えてもわからん。






 お決まりのアクティブソナーでマッピングだよ。ここからは仕掛け罠も増え、元の世界にあった巨大迷路のようなそんな雰囲気のダンジョンになる。

 遺跡、って呼ばれてるように、石壁や崩れかけた壁などがあったりする。言ってみりゃ石造りの街を廃墟にしたようなもんだ。


 道幅は広いところもあれば細いところもあるし、壁に登るのは崩れる危険もあって、近くを通ると崩れる壁というような罠もあるらしい。


 そういう、物理的に壊れそうとかいうのは、魔力検知ではよくわからないんだよね。(ひび)があるのは分かるんだけど、それが罠としての皹なのか、皹があっても壊れないところなのか、という区別がつかないんだ。


 なのでそこはエッダさん頼みになる。よかったね!、出番ですよ!


 洞窟のように通路が決まっているわけじゃないところがまた厄介で、先に進むのにも、魔物がやってくるのにも、あるいは避けるにも、通れるルートがいろいろ考えられるのだから、どこをどう通るという判断をするのも斥候やリーダーの役割だ。


 と、まぁ普通なら悩ましいところなんだろうけど、今のように詳細な俯瞰地図があれば話は別だ。

 それに、障害物で向こうからは見えなくても、こちらからはパッシブソナー的に魔力を感知しているわけだから、斥候役は罠のことに集中すればいいわけだ。


 それも落とし穴や仕掛けなどが地図に記されているわけで、それ以外の、崩れる壁などが分かればいい。

 相当楽に進めると思う。


 ところでこの2層だが、1層に居たトカゲも居るが、ヘビのでっかいのも居ることがわかった。

 それを伝えた。


 「それってどれぐらいの長さがある?」


- 感知だと、15mから30mぐらい、ですかね。


 「人の上半身がついてる?」


- ついてないと思います。頭部はヘビのでっかいのですし。


 「頭は1つ?」


- 1つですね、奥の方に3つのやつがいますが、他は1つばかりです。


 「ボスかな、たぶんヒドラか…、厄介だな。しかもでかすぎる」


 へー、いるんだヒドラ。超回復とか持ってるのかな、持ってたらやだな。

 物語とかでは定番ですよね、ヒドラ。見たこと無いけどさ。


 あ、トカゲが1匹ヘビに食われた。

 ダンジョンって敵同士戦ったりしないんじゃないの?


 この世界ではするのかな…?






●○●○●○●






 「この部分は、遺跡の中心部かな、形からすると神殿か平城(ひらじろ)のような雰囲気だが」


- そうですね、その中に頭3つのヘビが居ますね。


 「とりあえずはそこに向かうか」


 ということで、中央寄りのルートを通ることになった。まっすぐ抜ける道があるわけではないので、瓦礫や壁を避けながらだ。


- あ、ここってかなり高いところに天井がありますね、ざっと20mぐらいでしょうか。


 「ああ、それが?」


- もしかして飛行する魔物が居たりしませんか?


 「今までにはそういう報告は無かったと聞いているが…」


- もしかしたらって思ったので。上にも注意するようにします。


 「そうか、頼む」


 何かね、こういうときのカンって当たるもんだよね。物語とかだとだいたい伏線みたいな感じでさ。フラグがこっそり立っちゃったみたいな。






●○●○●○●






- 前方200m!、でかいのが来ます!、30m級です!、発見されてます!


 「「「「!」」」」


 俺が叫ぶと返事を惜しむかのように素早くクラッドさんが前に、その後ろ両側にサイモンさんとエッダさん、その少し後方にプラムさん、と並ぶ。


- 150m!、壁から離れましょう!、少し下がって!


 「後ろの壁際まで下がるぞ!」


 たぶん前の壁はヘビの体当たりで崩れるだろう。そう思って言うと、サイモンさんも同意したのかフォーメーションを維持したまま少し下がる。

 その壁まで100mほどの距離をとった。


- 100m!、来ます!


 言うが早いか壁がもろくも崩れた。そして見えるヘビ、太い!、でかい!、

 間に障害物がなくなったからか、鎌首をもたげようとしている。


- 魔法、撃ちます!


 でかい氷の刃をつくり、風の魔力で覆って撃ち出す。ターン!!、ってすごい音がした。


 あ、ちょっとやりすぎた。加減すればよかったか?

 みなさん耳を押さえている。俺も耳がまだキーンって言ってるよ。ははは。

 なーんも聞こえん。


 しばらくして、耳が復活、あ、リンちゃんが治してくれたのね。ありがとう。


 「……あ、あのな…」

 「……タケル君……」

 「…タケルさん、やりすぎ」

 「…さすがですタケル様」


 だってちょうど鎌首を持ち上げてくれたんだし、狙いやすかったんだよ、頭部のすぐ後ろんとこ。


- あ、いや、上手く行ってよかったです!


 「だからって一撃かよ…?」

 「首のところできれいに切断されてますね」

 「ヘビの首ってどこからどこまでなんだろうね?」

 「頭の後ろはだいたい首みたいなもんだろ?」

 「一体どれだけの魔力を込めればあんな風に…」


 いやほんと、何と言っていいのやら、ごめんなさい。


 「ところでこれ、どうすんの?」

 「いい皮してんなこれ」

 「剥ぐ…のか?、これを?、すごい量の皮がとれそうだけどさ」


 みんなこっちを見てる。

 ああ、はい、そのまま持って帰れるかが心配なんですね?


- 入るか試してみます。


 入った。スゲーな魔法のポーチ。

 みなさんもう驚かないのね。俺はびっくりだよ?






 そんなこんなで襲ってくるヘビは全部倒した。ヘビは目がいいのかピット器官っていうんだっけ?、赤外線とか見えるやつ、あれの感度がいいのかよくわからないけど、結構遠くからこっちを見つけて襲ってくる。


 そんでこっちにヘビがくるから追われて、間にいるトカゲも来る。まぁ、小型から大型犬サイズなので、こっちに来るついでに襲ってくるようなのだけ『鷹の爪』のみなさんがさくっと処理してた。


 少し距離がある左右を抜けていくトカゲは無視した。だってそれどころじゃないじゃん?、まっすぐでかいヘビが来るんだから。


 それで特に苦労といえば道に困ったぐらいで、神殿っぽいのが見えてきた。


 なんせヘビが壁崩しちゃうんで、神殿方向じゃない方向にヘビが作った道ができる。

 そうすると、その両脇は壁や瓦礫が崩れて通り辛くなる。なので神殿に向かうのに苦労する、というわけだ。






●○●○●○●






 少し開けた感じで瓦礫や壁がない、神殿の前庭?、なのかな、そこをゆっくり近寄っていくと、神殿の上から何かが飛び立った。


 あ、こっちくるぞ!?


 ああ!、遺跡だよ!、ガーゴイルだよ!、こいつか飛ぶ魔物!

 やっぱりフラグ立ってたよ!


 そうでもないのか。普通に遺跡には居るよね。


 え?、そんなの普通じゃ無いだろって?、あ、うん。元の世界にそんなの居たらえらい騒ぎになっちゃうね。石像はあったりするけど、動かないよね。

 昔のイギリスとかで動いただのなんだのって話があるけど、酔っ払いが影を見間違えたとか、手抜きしてぐらついてたのが落ちてきたとか、大方(おおかた)そんなもんじゃないのかな。

 え?、禁酒法の時代?、あーそんなのもあったねー、そんで酔っ払ったって言えないから目撃したと強弁した?、そんなん知らんわ!!






 とにかく片っ端から倒した。重さと翼のサイズから言って、空力で飛んでいるわけじゃないだろうし、別に翼を狙うとか無関係に、どうせ石でできてるんだから、石弾固めてぶつけまくればいいや、って散弾銃も真っ青なぐらい、とにかく撃ちまくった。


 おかげで結構疲れた。魔力?、そっちは平気。


 目と首と腕が疲れた。


 だって上向きっぱなしでキョロキョロしながら狙いも適当にドカドカ撃つんだぜ?、制御すんのに手を向けないと数が多すぎて辛かったんだよ。






 そしてズカズカと神殿へ。罰当たり?、いやどんな神様が(まつ)られているか知らないし、神殿ってことでいいやって話になっただけだから、神殿じゃないかもしれないし。

 まぁとにかく神殿ってことで話を進める。


 そしてヒドラが居た。


 「何だか、あのヒドラ、やけに弱ってるように見えない?」

 「しょぼくれてますね。見るからに」

 「元気ないですね」

 「今こっちのほうチラっと見たけどまた目をつぶったような…」

 「何か、年老いてやる気がない番犬みたいな…」


 みなさん好き勝手言ってるなぁ…、確かにそういう雰囲気なんだけどさ。


 そうなんだよ、前方100mほど先に鎮座してるヒドラ。それがもうやる気ねぇの。

 見てて哀れになるぐらいシワシワで、ここから見える背中?、ヘビの背中ってどこからどこまで?、まぁいいや、上側んとこね、なんかうっすらとホコリがかぶさってんのね。

 そんで、ヒドラの標準体型がどんななのか知らないけど、見た感じ痩せててめちゃくちゃ細い、って印象。


 わかるかな?、外のやる気マンマンのガーゴイルをさ、50体ぐらいいたかも?

 ちょっと大げさにサバ読んだ数字かもだけど、それぐらい許してよ。

 とにかく少なくとも30体は居た。これは確実!

 でも30体ってこたぁないだろう、俺が撃ち落としたのですらそれぐらいだし、リンちゃんもなんかこっそり倒してたし。


 話を戻してやりなおし。


 わかるかな?、外のやる気マンマンのガーゴイルがたくさんいて、苦労して、ん?、そんな苦労した覚えは…、おっと、また話が逸れてしまう所だった。

 とにかく苦労して倒して、さぁボスだ、ヒドラだ!、強敵だぜ!、ひと当てしてヤバかったら逃げよう、みたいなさ、気合と緊張で、100m手前まで来たわけよ。

 そしたら奥に鎮座する超有名ボスモンスター、ヒドラがだよ?、しょぼくれてて痩せててやる気ねーのよ?


 これ、どう思うよ?


- どうしたもんでしょうね?、でも襲って来ませんね。反応薄いっていうか無いっていうか。


 「俺、今まで冒険者やってきて、こんなやる気のない魔物を見たの初めてだよ…」

 「一応尋ねますけど、ヒドラですよね?、ここ来るとき、頭3つあるってタケルさんに確認したけど、2つしか見えませんね」


- ひとつはここから見えない向こう側で、口開けっ放しで横になってるみたい。


 「え?」

 「生きてるんですか?」

 「そりゃ頭1つだけ死んでる、っておかしいだろう?」

 「学院で見た資料では、頭をひとつ潰してもまた復活してしまう、復活する前に全部の頭を潰さないと倒せない、って書かれていたような…」

 「だったらひとつだけ死んでるわけねーわな。きっと寝てんだろ?」

 「寝てるってったら今あれ全部寝てるよ?」

 「それぞれ寝相にも個性があるってことでしょうか…?」


 一体このひとたちは何を真面目な顔をして話し合っているんだろう?

 ヒドラの寝相とか知らんわ!、どーでもいいわ!

 なんかすごくシュールなんだが。


 「タケルさま、先ほどのガーゴイルとの戦闘で、タケルさまの撃った弾が、幾つかの柱を破壊していたんですが、その柱に魔力反応があったのをご存知でしたか?」


- ああ、流れ弾みたいに当たって1本倒れちゃってたね。そんときに魔力反応が消えたから、気にしなくていいや、って思ってたんだけど、何かあった?


 「はい、あれは結界を結ぶ装置でした。といっても、外側に対してではなく、内側に封じるためのものでした」


- 内側…、っていうとアレか?


 「はい。アレです。そしてガーゴイルはそれを守っていたと思われます」


- ふーむ。ん?、そういえばこの層にいたヘビ類って、トカゲ食べてたよな。もしかして、ヒドラもヘビみたいなもんだし、エサ食べないと弱るタイプなのかな?

 もしそうだとすると、結界とガーゴイルが居るせいで出られないヒドラは、ここに封じられてからずっと食べてなくて、もう気力がない…、とか…?


 「え?、どういうことだい?、タケル君」


- 2層に降りてからずっとこの層を魔力感知で見てたんですよ。そしたらここのヘビって、トカゲをエサにしてたんです。何匹かが食べてたんですよね。


 15mぐらいのは従来いた中型犬ぐらいのトカゲなら丸呑みできるだろう。1層にいたでかいトカゲはぎりぎりいけるかなって程度。30m級のはどれも余裕だろうね。

 そんでそこの不貞寝ふてねしてるヒドラは、もちろん30m級だ。

 外にいる30m級のにくらべるとしょぼしょぼのガリガリだけどね。

 全然迫力ねーの。


 「ふむ…、仮説としては納得が行くな」

 「で、どうすんだこれ?、倒すのか?、どうにもやる気が湧かないんだが」

 「外でトカゲとってきて与えてみる?」

 「討伐対象なのに元気にしてどうすんだよ」

 「いてっ、言ってみただけじゃん!」

 「でもなんだか哀れですよね…」

 「討伐しても、あの皮ではなぁ…」


 そうなんだよ。襲ってくるわけでもない、安全?、な魔物だし。倒しても宝箱なんて出ないし、剥ぎ取った素材が報酬みたいなもんだから、それがいかにもしょぼくれていて報酬が見込めないなら、もう放置でいいんじゃないのか?、っていう話だ。


 外の結界柱をもし修復できるのなら、封じたままでもいいような気もする。


- リンちゃん、外の結界って修復できそう?


 「幸い、と言ってよいかはわかりませんが、魔力の核となっている石は壊れていないようですので、もしかしたら直せるかもしれません」

 「なるほど、タケル君はアレを無理に倒さずに、外の結界を直して封じれば放っておいてもいいという意見か」


- 結界が直せなくてもあの調子ですよ?、プラムさんも言ってましたけど、なんだか哀れで…。


 「でもエサになるトカゲが入ってきたら食べて元気になっちゃったりしない?」

 「だよなぁ、元々危険度A級っていうような魔物だしな、でも今あんなだし…」


- はい。気が進みませんよね?、なので今回は放置するって方向で。あとはギルドに任せればいいかなって。


 「なるほど」


- それでギルドに任せたはいいけれど、そんときにアレが元気になっちゃってたらまずいんで、結界が直せるなら、って…。


 「リンちゃん次第って話か。結界を守るガーゴイルはどうする?」


- それも修復でき…ればいいかなと。期待薄ですが。ダメならハニワ兵でもつくって置いときますよ。


 「ハニ…?、ああ、あの不寝番の…」


ー はい、ゴーレム兵です。


 「そっか、とりあえずここに居ても仕方ない、外にでるか」


 ということで外にでた。

 しかし外に出たところで、ガーゴイルの残骸が散らばっているぐらいで、このあたりは見通しがいいし、することというとヘビやトカゲが来ないか警戒しつつ休憩するぐらいなもんだ。


 とりあえずテーブルでも作ってお茶にすっか。リンちゃんはせっせと何やら壊れた柱のところで調べてて忙しいっぽいし。





20180521 脱字修正。

20251207 少し加筆。誰から聞いたのかをわかりやすく。

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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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