4ー095 ~ 昼食会
「おかえりなさいませ、タケル様、ヌル様、リン様」
「「おかえりなさいませ」」
という訳で、『森の家』に戻ってきたんだけど、庭のところにリンちゃんの転移で来たら、いきなり目に入ったのがずらっと並んでお辞儀する精霊さんたちだったんだ。
- あ、はい、ただいま戻りました…。
モモさんを筆頭に、その後ろにはいつもの3名、ミドリさんとアオさんとベニさんが居て、その向かって右手側には燻製小屋って名前の食品加工工場の責任者ミルクさん、寮長のブランさん、逆側には聖なるアンデッズ劇団の責任者…、あ、キュイヴさんが居る。
その隣にも3名並んでいて、2列目と3列目にもずらっと…、全然知らない精霊さんたちだ。
ちょっとビビった。いや、今もビビってる。
だってみんな頭上げないんだもん。雰囲気がピリっとしてる感じ。こういうの苦手なんだけどな…。
モモさん以外の3名だけはいつものメイド服っぽい姿で、ずらっと並んでいる人たちも正装だった。モモさんだけは以前見たスーツっぽい雰囲気の服装だったけど。
ちなみに光の精霊さんたちの正装は、光の精霊さんの里で見た生成りの制服姿だ。ネクタイの無いスーツみたいなものだけど、チュニックの裾が少しあって腰をベルトで留めている。基本はズボンだけど、スカートのひともいる。
あの時は上着を着ているひとは居なかったけど、今日は上着着用のようだ。まぁ、里に比べてここは少し肌寒いからね。
あとで聞いたんだけど、モモさんたちが着ていた黒いスーツは、何でも俺の配下用にデザインされた服のサンプル版だったらしい。
生成りの制服は、行政などの役所用でもあるので、俺の配下の分はそのうち色を変えたほうが良いんじゃないかって話が出てるとか何とか、そういう事情があるんだってさ。
俺がいつもダークグレイだから、それに準じた色にするか、黒にするか、それとも濃紺がいいかとかそんなので決めあぐねているらしい。
何がいいですか?、と尋ねられたけど、そんなの俺に訊かないで欲しい。
正直どうでもいい。
というかデザインだの色合いだの言われてもわからん。
リンちゃんは到着してすぐにテンちゃんの梱包を解いて、ささっとエプロンのポケットに畳んで丸めて突っ込んでから、俺の左隣に立った。テンちゃんもほぼ同時に右側に立つ。
「ただいま戻りました。皆、面を上げなさい」
リンちゃんがそう言うと、やっとお辞儀状態から全員が姿勢を正した。モモさんは薄く微笑んでいるけど、他は真剣な表情だった。
テンちゃんはうんうんと頷くだけで何も言わなかった。
「忙しい中、ご苦労様でした。ではモモさん」
「はい、昼食会はそちらの演劇練習場にて、1時間後に始まります。それまでは敷地内であればご自由にして頂いて構いません。本宅であるこちらと、稼働中の工場内には立ち入らないようにお願いします」
「「はい」」
やっぱり工場だよね、燻製小屋って名前だけどさ。
モモさんも今そう言ってるし。
「ではタケル様、こちらでご準備を」
- え?
「さぁタケルさま」
- あっはい…。
リンちゃんに手を引っ張られ、モモさんたちがガードするように道を空けた間を通ってリビングのところから中に入った。あ、外から見えないようにカーテンが閉じられてる。珍しいというか見たのは初めてじゃないかな。
俺の後ろにはテンちゃんとファーさんが無言で続き、その後ろにはモモさんたちと、キュイヴさんだけが続いて入って来て、ベニさんがささっと扉を閉めてカーテンを整えた。
- リンちゃん、準備って?
「ずっと延期になってたタケルさまへの挨拶の機会を、今日の昼食会ですることに急遽決まってしまったんです」
それならそうとロミさんのお城の部屋から転移してくる時に言って欲しかったよ…。
あんなにずらっと並んでたら何事かと思うじゃないか。
- それであんなに並んでたわけね。リンちゃんはいつ知ったの?
「お城の部屋から転移する直前です。今から行きますと連絡をしたらモモさんが…」
と、モモさんを見るリンちゃん。
「申し訳ありません。私は里で会議中だったのですが、リン様から昼食はこちらでされると伺いまして、それならこちらで昼食会にすればという話になってしまったのです」
「え、あの時モモさんここじゃなかったんですか?」
「リン様、エスキュリオスを経由されましたよね?」
「あー…、そうでした…。それで…」
「はい、それで、こうなりました。キュイヴは昼食会の前にタケル様にひと言お礼が言いたいそうです」
今度は視線がキュイヴさんに集まった。
というか入ってすぐのスペースってそんなに広いわけじゃ無いので、モモさんたちは場所を空けてキュイヴさんが俺の前に来れるようにした。
リンちゃんは俺の隣、テンちゃんは後ろに立ったままで、ファーさんはいつの間にかベニさんの居る隅っこに移動していた。
いつの間にかってわけじゃないな。ベニさんが扉を閉めてすぐソファーのある方に行ってファーさんを手招きしてたのを感知してたし。
ついでに言うと、ミリィとピヨは俺の部屋に居るようだった。
「タケル様、聖なるアンデッズ劇団の演劇はあの後も大盛況でございまして、現在はあれから幾つかのパートを追加し、第2演劇場で公演が続いており、そちらでも大好評を頂いております」
満面の笑顔で歩み寄るキュイヴさん。
一応言っておくけど長身美男子、いわゆるイケメンだ。ぱっと見た感じでは30代ぐらいに見えるかっこいいひとなんだけど、まぁたぶん実年齢は相当上なんだろうね。
- そ、そうですか。それは良かったです。
そんなのに慣れてない俺は下がろうとしたけど、背中を精霊姉妹に支えられていて下がれなかった。
「演劇部史上最高の集客率と売り上げでして、この機会にどうしても責任者としてタケル様にはお礼のひと言でもお伝えしたかったのです。ありがとうございます」
近いのに目の前で頭を下げられた。
キュイヴさんの銅色の髪が目の前だ。
ちなみに演劇部というのは光の精霊さん政府の1部署だからそういう名称なだけで、クラブ活動のようなものでは無い。紛らわしいけどね。
- あ、はい…、その、どうも…。
「それでは私はすぐにまた里の方に戻らねばなりませんので、御前を失礼する事をお許し下さい」
- はい。
顔を上げてきらっと白い歯を見せる笑みとともに華麗にターンして、ミドリさんが開けた扉から颯爽と出て行った。
うーん、絵になる精霊さんだなぁ…。髪も銅色に輝いているし…。
- 何だか圧倒されちゃったよ…、ろくに返事もできなかったけどあれで良かったのかな…?
ちょっと照れ隠しみたいに隣のリンちゃんを見た。
「まぁいいんじゃないですか?、圧倒されていたのは彼の方だと思いますけど…」
え?、あんなに華麗な仕草だったのに?
- そうなの?
「はい、あたしには精一杯気を張っているように見えましたよ?」
気を張っていた…?、あ、ふたりが居たからか?
- リンちゃんとテンちゃんが居たからじゃなく?
「それもあるでしょうけど、タケルさまの目の前ですからね…」
「うむ、些か近寄り過ぎたのじゃ」
「そうですね」
- えっと、そうなの?、寮の子たちや他の精霊さんはそんなこと無かったけど…。
「魔力に対する耐性の違いですよ。さ、タケルさま、そんなことを言ってる時間が惜しいので、まずはお風呂へどうぞです」
- え?、あっはい。
ぐいぐい押されて脱衣所に放り込まれてしまった。
こんな昼間っから…、なんて今更だし、ご準備をなんて言ってたから着替えろって事なんだろう。
精霊姉妹が一緒に入らないだけましだと思う事にしよう。
●○●○●○●
『あら、浸からないのですか?』
手早くささっと洗って出ようとしたら、湯船から上半身が生えてるウィノアさんから言われた。洗ってる間に生えてたんだけどね。何も言われなかったんで気付かない振りをしてたってわけ。
背中向けてたからと言うか、まぁいつも言ってるように、俺の周囲の水は全部ウィノアさんなので、いちいち気にしてもしょうがないんだよ。慣れたというより慣れるしか無かったわけで、話しかけて来ないなら顕現していようがいまいが変わらないからね。
- ええ。何か急いでるみたいでしたし、ゆっくり浸かる時間は無さそうなので、また夜にでも入りますよ。
ここのお風呂は設備がいいからね。
でもあの寝転べるところは眠りそうだからもう使わないつもり。
気持ち良かったのは良かったんだけどなぁ…、起きたら誰か居たりしそうなのがね…。
『わかりました。お待ちしていますね』
別に待たなくても貴女ずっとこの首飾りで一緒じゃないですか…。
とは言わずに頷くだけにしておいた。
だって脱衣所でリンちゃんが待ってんだよ…。
「もう少しごゆっくりされても良かったんですよ?、タケルさま」
- そう?、でも後が支えてるとそういう気分にもなれないよ?
「すみません」
- まぁいいよ、それが着替え?、あ、前と魔法が違うね。
手渡されたバスタオルで身体を拭きながら、軽く温風を巻くようにして身体を乾かし、台の上に畳んでおいてある着替えを見ると、いつもと編み込むように掛けられている魔法が少し違う事に気が付いた。
「はい、キュイヴのように耐性が弱い者もいますので」
リンちゃんは気を遣ってくれて横を向いて答えた。
- ああ、テンちゃんにしてもらったんだ。
テンちゃんの服に掛かっている魔法に少し似てる気がした。
「わかるんですか?」
- 魔力が同じだからね。前のは消えてるし。
防刃とか防水とかいろいろついてたのが、全部テンちゃんの魔法になってればそりゃ気付くさ。
「あ、お姉さまにも同調できたんでしたね…」
- うん、それもあるけど、これだけ一緒に居れば覚えるよ。
「そうですか…」
- だからリンちゃんのもわかるよ。
「そうなんですか?、ふふ、機会があったらこっそりやってみますね」
嬉しそうだけど、お手柔らかに願いたいね。
- そう言えば、アンデッズの演劇場って、第1演劇場じゃなかったっけ?
「はい?、今は第2ですよ?、第1演劇場は新年のセレモニーで使われる事が決まってますので、その準備などもありますから、早めに第2に場所を移したんです」
セレモニーね。
- なるほど。
「予測はついていたんですけど演劇部の一部の者を納得させる目論見もありまして、第1の予定の隙間に入れたんですよ。お母様が」
- へー…。
そりゃアリシアさんが言えば無理やりにでも割り込めるだろうね。
「それで、初演から7日で過去の記録を次々と塗り替えるほどでして、第2のほうが収容人数も舞台の大きさもありますし、そちらを使っていた劇団がちょうど終わったタイミングでしたので、第2のほうの予定を変更してアンデッズに使わせてもらえるようになったんですよ」
- へー、なんでリンちゃん不満そうなの?
「不満では無いんですが、全部お母様の目論見通りになってるなと…」
- アリシアさんの?
「はい」
- でもアンデッズを劇団にするって話はあの何とかいう母艦で決まった事だよね?
「はい、アールベルクです。その話が出た時に『タケル様のおかげで演劇部が活性化するわね』と…」
あの時点で劇場の使用予定まで計算に入れてたってのか…。
- さすがというしかないね。あ、じゃあ売り上げってキュイヴさんが言ってたのって…。
「そうなんですよ、もうアンデッズの関連商品があるんですよ…」
リンちゃんは苦笑いで肩を落とした。
- 関連商品って、人形とか?
「はい、人形も大小いくつか種類がありまして、寮の子たちにも結構売れてるんですよ。ここのリビングにも飾ろうかなんて話がでたくらいで…」
- えー?
「あ、それはさすがに止めさせました。25体分も飾ってられませんから」
- あー、全員分あるんだ…。
「はい…」
そんなに売れるほど作られてるのか…。
- あれ?、幽霊とかどうしてんの?
「いくら何でも物質を透過するような人形は作れませんので、普通の人形です」
- だよね?
「でも魔力を与えたら光ったり浮いたりするのがありますね」
- えー…。
どっか飛んでってしまったりしないんだろうか…?
「従来の商品と同じように演劇部で管理生産していますけど、キュイヴがそれをこっちで管理しようとしてまして、演劇部側と協議中です」
そんなもんまた俺の配下でどうのとか言われてもなぁ…。
- そこは前例に倣ったほうが良いんじゃ無いの?
「そうですよね…」
キュイヴさんのとこで管理するより、従来の流れで処理した方がいいと思うけどね。
俺が口出しするような話じゃ無いだろこれ。
- それで、着終わったんだけど。
「あ、そうでした。ミドリさんを呼んできますので」
そう言って早足で脱衣所を出て行った。
ミドリさんを呼ぶってことは、髪を切ったり調えたりするのか…。
まぁいいけど…。
●○●○●○●
予想通り、ミドリさんに少し髪を調えてもらい、リビングに出るとテンちゃんが食卓のところでお茶を飲んでいた。
テンちゃんはアンデッズの初演の時にしていた恰好というか、薄いヴェールを頭に着けていて、いつもよりさらに肌の露出が無い服装で、全身真っ黒になっていた。
今気付いたけど、そのヴェールにも魔力を抑える魔法が付加されているのがわかった。
ソファーの方ではファーさんの前にパンと水が置かれていて、テーブルの上で普通の食事をしているミリィとピヨから、『ファー様はそれだけなのですか?』なんて尋ねられているのが聞こえた。『少々事情があるのです』と答えてる。
まだ謹慎食なのか…?、アリースオムの帰り際には粗食じゃ無くなってたのに…。
モモさんはさっきと同じ服装だったけど、ミドリさんたちも着替えたのか、スーツ姿になっていた。まぁミドリさんはさっき髪を調えてもらった時に見てたんで知ってた。上着は脱いでたけど。
「ほう、いい感じに抑えられておるのじゃ。それならあの者らも耐えられよう」
「そうですね、お姉さまに頼んで正解でした」
- そんなにひどいの?、僕も魔力を抑える練習をしたほうが良いかな?
「んー、タケルさまがあの勇者病を経てから、さらに増えてますから、安全のためですよ」
安全て…。
どっちの安全なんだろう?、ちょっと不安になるな…。
- 『勇者の宿』のひとたちは大丈夫みたいだったけど…。
「人種に影響が出る程ではありませんから、大丈夫ですよ」
「うむ。あくまで一般の精霊に対しての話なのじゃ」
- そうなんだ。あ、寮の子たちも普通にしてたけど…?
「ほとんどは耐性がありますので心配は要らないんですが、今回は集まった幹部たちの一部に耐性が低い者がいるんです」
「精霊のほうが魔力に敏感なのじゃ」
- なるほど…。
そういう意味だったのか。
だからテンちゃんはヴェールまで装備してるし、肌の露出が無いようにしてるんだな。
「なので、その服は昼食会の間だけの一時的な措置だと思って下さい」
「あの、そろそろ行きませんと」
「そうですね。では行きましょう」
モモさんが声を掛けてこの話は終わり、ぞろぞろと演劇練習場のほうへと中庭を突っ切って歩いて行った。
●○●○●○●
昼食会と言っても、用意されていたテーブルに着いて、給仕された食事を食べ、食後に順番に俺たちの席へ挨拶に来た精霊さんたちに挨拶を返すだけだった。
と言っても、ひと言ふた言ぐらいは話したよ。『スパイダー』の開発責任者さんとかね。『小型』の開発者のひとも横にいて、お礼を言ったら感激してたよ。
隣のテンちゃんはちょっと小さくなってたけど。
あとは多重多目的結界のひとが目を輝かせて現在研究中の話をし始めたのをリンちゃんが止めたとか、魔波理論の研究者が以下同文とかあったけど、それくらいで、あまり時間も掛からずに終わり、最後に席を立って会場を出る時に、『今後とも宜しくお願いします』と言っただけで済んだ。助かった。
だって細かい理論とかの話をされても俺にはちんぷんかんぷんだからね。
余談だけど、昼食会の準備をしたのは寮で非番の子たちで、急いで招集、人海戦術みたいにして間に合わせたらしい。
それにかち合わないように、俺たちは中庭を突っ切ったんだってさ。
それと、幹部のひとたちはここの部屋や会議室を開放して待機所として使ってもらってたそうだ。今はアンデッズも居ないし劇場関係者も居ないし、部屋はたくさん余ってるから余裕とか言ってた。
それで俺が退室したあと、またモモさんが彼らを里に連れて戻り、残ってる議題を片付けたり、里での書類仕事をするらしい。
何でも、モモさんは元居た部署での引継ぎが一部残っているらしくて、今回の新年式典でその引継ぎが完了するんだそうだ。
ついでに風の精霊ヴェントスの地で開催される品評会関連の手続きや書類仕事の一部を里のほうでやっていたので、ここんとこ里に詰めてたんだってさ。
リビングに戻ってソファーの方をみると、ファーさんだけがぽつんと座っていた。
ミリィとピヨは寮とこの家の間のところで遊んでいるようだ。
- ねぇリンちゃん、ファーさんの食事、普通にしてあげようよ。
「はい、…んー、そうですね」
- あとさ、もう許してあげていいんじゃないかな。
「そうですか?、年が変わるまでと思ってたんですが…」
あと10日ぐらいもあれを見続ける事になるのはちょっとなぁ…。
- でもほら、返却はしないんでしょ?
「はい」
- じゃあそう伝えてくるよ。
「待って下さい」
- それともリンちゃんから言う?
「いえ、そうではなく、もう伝わってます」
- え?
見ると、ソファーのところで立ち上がり、両手で口元を押さえてぽろぽろ涙を零していた。
「タケルさまの声には魔力が乗ってますから…」
- あれ?、抑えてたつもりだったんだけど、だめだった?
「少しは抑えられてました。あの勇者病以前のタケルさまなら、魔力が乗って無かったと思います」
そうだったのか…。
- やっぱり魔力を抑える練習をした方がいいかな…?
「どうでしょうね…?」
どうでしょうって…。
「精霊にしかわからないのじゃ」
「はい、その程度ですから今は問題ないかと…」
その精霊さんたちに、小声にしたつもりの言葉が丸聞こえなのはどうなんだ。
- ……。
「あの…」
- はい、どうしました?
話が段落したと見て、ミドリさんが心配そうな表情で声を掛けて来た。
「ファーに何かあったんでしょうか…?」
「ああはい、少々羽目を外して現地で迷惑を掛けたので、罰として謹慎させていたんですよ」
「そうだったんですか…、でもあの様子ですとかなり厳しい罰だったんじゃありません?」
「同じ事をしでかした現地の女官よりは軽いんですよ」
「そういう事情なのですね」
- でもまぁ、そろそろ許してあげようよっていま話してたとこなんですよ。
「ああ、それで…」
「タケルさまの声が聞こえてしまったようですし、仕方ありませんね」
リンちゃんはそう言うとつかつかとファーさんのところに行き、リンちゃんの部屋へとファーさんを連れて入っていった。
「これで少しは気が楽になるのじゃ」
それを何となく見送り、扉が閉まるとテンちゃんがぼそっと呟いた。
「まあ、テン様ったら」
「何じゃ、其方も気遣いをせずに済むのじゃ、良い事であろう?」
「それは否定しません。では私も着替えてきます」
あ、そっか。ベニさんやアオさんは着替えに2階へ上がって行ったのか。
- はい。あ、僕も着替えないと。
「そうじゃな。吾も着替えて来るとしよう」
何だかやっと、『森の家』の日常に戻れる気がした。
次話4-096は2022年01月21日(金)の予定です。
20220115:訂正。 光りの精霊 ⇒ 光の精霊 仕様予定 ⇒ 使用予定
●今回の登場人物・固有名詞
お風呂:
なぜか本作品によく登場する。
あくまで日常のワンシーン。
少しだけ。
タケル:
本編の主人公。12人の勇者のひとり。
さぁ次はどこに行くんでしょうね?w
リンちゃん:
光の精霊。
リーノムルクシア=ルミノ#&%$。
アリシアの娘。タケルに仕えている。
モモが里に戻っている間は、
板挟みをモモが代わりになっていたようですね。
テンちゃん:
闇の精霊。
テーネブリシア=ヌールム#&%$。
後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。
リンの姉。年の差がものっそい。
ファーが許されないと、少し居心地が悪かったようです。
ファーさん:
ゼファーリィ=ヴェントス#$%&。
風の精霊。
有能でポンコツという稀有な素材。
風の精霊の里では高位の存在なんですよ、これでも。
1500年も踊ってたんですからねー
タケルの認識はそこ止まりですけども。
ついに謹慎終了。
ウィノアさん:
水の精霊。
ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。
一にして全、全にして一、という特殊な存在。
今回少しだけ登場。
アリシアさん:
光の精霊の長。
全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊。
だいたい名前くらいしか登場しませんが一応。
ハルトさん:
12人の勇者のひとり。現在最古参。
勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。
ハムラーデル王国所属。
およそ100年前にこの世界に転移してきた。
『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。
今回は登場せず。
カエデさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号10番。シノハラ=カエデ。
勇者歴30年だが、気持ちが若い。
でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。
お使い継続中でまた移動。
今回は出番無し。
ロミさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。
現存する勇者たちの中で、3番目に古参。
現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。
今回は出番無し。
コウさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号8番。ヨシカワ=コウイチ。
現存する勇者たちの中で、5番目に古参。
コウがこの世界に来た時には既に勇者たちは各国に散っていた。
アリースオム皇国所属。
今回は出番無し。
カズさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号6番。サワダ=ヨシカズ。
ロスタニア所属らしい。今の所。
体育会系(笑)。性格は真面目。
川小屋に到着したので登場人物に復帰。
今回は出番無し。
シオリさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号7番。クリバヤシ=シオリ。
現存する勇者たちの中で、2番目に古参。
『裁きの杖』という物騒な杖の使い手。
現在はロスタニア所属。
勇者姫シリーズと言えばこのひと。カエデは大ファン。
今回は出番無し。
サクラさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号1番。トオヤマ=サクラ。
ティルラ王国所属。
勇者としての先輩であるシオリに、
いろいろ教わったので、一種の師弟関係にある。
勇者としての任務の延長で、
元魔物侵略地域、現バルカル合同開拓地に居ます。
今回は出番無し。
ネリさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号12番。ネリマ=ベッカー=ヘレン。
ティルラ王国所属。
サクラと同様。
今回は出番無し。
アリースオム皇国:
カルスト地形、石灰岩、そして温泉。
白と灰の地なんて言われてますね。
資源的にはどうなんですかね?
でも結構進んでる国らしい。
勇者ロミが治めている国。
アリースオムの用事が済み、森の家に帰ってきました。
母艦アールベルク:
3章に登場した、光の精霊さんが扱う何隻かある航空母艦のひとつ。
統括責任者はファダクさん。
アンデッズ:
3章で登場した、前向きな性格のアンデッドたち。
この4章では『聖なるアンデッズ劇団』として公演を行った。
詳しくはそちらを。
森の家の精霊さんたち:
モモを筆頭に、ミドリ、アオ、ベニの4名は幹部らしい。
ミルクは隣に建てられた燻製小屋という名前の食品工場の作業管理責任者。
ブランはそこで働く精霊さんたちのための寮の管理責任者。
キュイヴは演劇関係施設と演劇関係の管理責任者。
今回は他にもそれぞれ担当の責任者たちが登場しています。
でも名前はでてきませんね。
タケルに覚える気が無いからでしょうか…。
寮の子たち:
タケルの家とされている『森の家』その隣の、
燻製小屋という名前の食品工場に勤める精霊さんたちの事。
寮には280人ほど居ます。
※ 作者補足
この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、
あとがきの欄に記入しています。
本文の文字数にはカウントされていません。
あと、作者のコメント的な紹介があったり、
手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には
無関係だったりすることもあります。
ご注意ください。