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4ー089 ~ 瘴気の森の今後・コウとロミ・ホーラードでのシオリ

 ロミさんが戻って来たので、現在わかっている事、というかもうほとんど解決したようなもんなんだけど、それを()(つま)んで説明した。

 戻って来たときまた不機嫌そうだったので、またあれこれ文句を聞かされる前に先手を打った、とも言うね。


 「そんな昔の怨念だなんてね…、元の世界でもいくつか何百年も怨念が災禍(さいか)を振り撒いたなんて話があったけれど、魔法があって精霊様が存在するこの世界では現実味が全然違うわね…」


- そうですね…。


 言われてみれば確かに。

 元の世界でだと、平安時代などの昔ならともかく、現代では非科学的だけど気味が悪いから供養しておこうかとかという程度で、はっきりと怨念やオカルト的なものが立証されていたわけでは無かった。


 ところがこの世界では、魔力なんてものが存在するし魔法はあって精霊さんが実在していて、つい昨日まで件の怨念が原因で瘴気を振り撒き災禍を引き起こしていた現実がある。

 そんなバカな、眉唾だと笑い飛ばすような事はできないんだ。


- その怨念はもう浄化されましたし、瘴気の原因と対処、という当初の目的はこれで果たせたわけなんです。


 「そうね…、そういう事になるわね…」


 ロミさんは俺の言葉をどう受け取ったのか、コウ先輩への不満もどこへやら、寂しそうな声と表情で言った。


- まだ少し後始末が残っているのでそれまではここに居ますが、その後始末を終えても『瘴気の森』全てが浄化されるわけでは無いんです。


 「ええ。そこまでタケルさんに求めてはいないのだけど…、その言い方だと何があるの?」


- えっとですね、瘴気に冒された植物、あ、あくまであの森の範囲でですけど、それら植物と、僕が倒して埋めた残骸も?、だよね?、全て光の精霊さんのほうで処理して頂けるんだそうです。


 「え?、つまりあの森が更地になるという事なの?」


 ロミさんは意外だったのだろう、俺と両隣に座っているリンちゃんとテンちゃんのふたりを交互に、視線を彷徨(さまよ)わせながら言った。


 「更地というか、残るのは瘴気が染み込んだ土壌と岩や石、それと穴の開いた土地です、整地はしませんので」


 リンちゃんが言い、


 「どのみち瘴気に冒されておる木材や植物など使い物にならぬのじゃ、其方らからしても損をするわけではなかろ?」


 テンちゃんがぶっちゃけたように言った。


 「お姉さま、我々が得をするかのような言い方をしないで下さいよ…」

 「ふむ、確かにの。では言い直そう。ロミよ、其方らでは瘴気に冒された植物など処分に困るだけなのじゃ。我々のほうで手間をかけて分解処理をする故、精々感謝すると良いのじゃ。これでよいか?」

 「お姉さま…」


- まぁまぁふたりとも。とにかくロミさん、土壌の浄化には結構時間がかかると思いますけど、余計な植物類が無くなるのはむしろいい事だと思って下さい。


 「え、ええ。そうね。テン様に言われて納得したわ。ありがとうございます、テン様、リン様」

 「うむ」

 「もう、お姉さま…」

 「ふん、さんざん愚痴を聞かされたお返しなのじゃ」


 なるほど、そういう事ね。


 「す、すみませんでした…」

 「いいんですよ、ロミさん。お姉さまだっていつも言ってるじゃないですか、タケルさまが甘んじて受け入れているならそれに従うのが私たち精霊だって」

 「む、それはそうなのじゃが、行き過ぎを咎める程度の事はしてもよいと思うのじゃ」

 「全く、ああ言えばこう言う…」


- まぁまぁふたりとも。ロミさんもその、お手柔らかにお願いします。


 「ごめんなさいね、ありがとう」


- はい、それでその、後の事なんですが、提案があるんだよね?、リンちゃん。


 「あ、そうでした。あの土地はしばらく瘴気濃度が普通の人種(ひとしゅ)には耐えられない環境になることが予想されるのです」

 「はい、そうすぐに利用可能になるとは思っていませんでしたが…」

 「数百年分の瘴気ですから、自然に任せて拡散または浄化分解されるには放置状態で同等の年月がかかると思われます」

 「そんなにかかるのですね…」

 「はい、そこで提案なのですが、普通の人種(ひとしゅ)は入れなくても、ヴェルマンテチェソリスたちは入れるのです」

 「そうなのですか?」


 意外な名称がでてきたからか、ロミさんは驚いたように目を見開いた。


 「彼らでも完全に安全とは言い難いのですが、土壌の浄化をする魔道具を設置しますので、その管理を彼らに任せようと考えています。構いませんか?」

 「あの、それは私の一存で決めてしまってもいいのでしょうか?」

 「ロミさんにはある程度説明しましたが、彼らは我々には逆らう事は有り得ませんので大丈夫です。それと、周辺に生えているあのハーブの変種を、適度に移殖するようにも指示をします。それでも何百年が何十年かに短縮される程度でしょうね」


 ロミさんはリンちゃんの言葉を噛みしめるような表情をして聞き、大きく頷いた。


 「ありがとうございます。充分でございます」


- リンちゃん、今ある結界柱って、内部を浄化してるんだよね?


 「はい、そうですけど、あれはあくまで地上に作用するものでしかないので、地中深くまで染み込んでいる瘴気に対しては無力なんです」


 あー、そういう事か。


- でもあれを撤去しちゃうと地面から拡散した瘴気が他所に漏れるんでしょ?


 「そうですけど、それは以前と変わりがありませんよ?、むしろ以前より少ないくらいなんですから…」


 それもそうか。新たに高濃度の瘴気が生み出され、例の結界から染み出す事が無くなったんだから、以前よりは少なくて当然か。


- あー…


 「それにあの結界を維持するには連絡艇がずっとあそこに居て制御し続けなくてはなりません」


 あー、連絡艇も居たんだった。


- なるほど…。


 「中にいる者たちは交代でずっと維持管理と監視をしているんです、少しは気にかけてあげて下さらないとと彼らが報われませんよ?」


- はい、すみません。


 正直忘れてました。


 「謝らないで下さい。とりあえずタケルさまからの感謝と労いの言葉は伝えてありますので」


 えー、またリンちゃん勝手にそんな事してたのか…、いいんだけどさ。

 いいんだけど、そんな事するから光の精霊さんたちの間では俺が聖人君子で恐ろしいほどの偉大な人物になっちゃってるんじゃないのか?


- ああうん、ありがとう。


 「はい、どういたしまして」


 当然です、と笑顔で胸を張るリンちゃん。


- あ、ですからその、ロミさんには現地の人たちへの通達と、ヴェルマン教でしたっけ、彼らがあの周辺で作業をする許可というかその手の手配をお願いしたいんですよ。


 「あ、そうでしたね。あたしからもお願いします」

 「はい、それくらいでしたらすぐにでも。ですが通達には少々お時間が…」


 と、俺をちらっと見るロミさん。


- いいですよ、配達くらいします。


 「ふふっ、ありがとう、タケルさん」


 現地の問題に目途が立ったからか、いろんな意味での『ありがとう』なのだろう。

 そんな優しい笑みでの言葉だった。






●○●○●○●






 「まだそんなところを書き写しているのぉ?、貴方文字を書くのが遅いんじゃなぁい?」


 うるせーよ。俺は剣を握るのが仕事なんだよ。


 メシを食い終わってのんびり休憩しようかと思ったら、ロミが来た。

 食後の茶でも相手してくれんのかと思って内心ちょっと喜んだが違ったようだ。

 どうやら()かしに来たらしい。


 揶揄(からか)うような視線、薄く笑みを浮かべて書き写している途中のまま置いていたものを覗き込み、そのまま俺を見る角度…。

 毎回思うがこれで誘ってるってんじゃねーんだから恐ろしい女だぜ。


- 写しながら理解してるからな。ただ写してるだけじゃねーんだ。それにこの量だ、あと数日かかるだろうな。


 「ふぅん…、ところでそれ、あまりうちの子たちに無理を言わないでね?」


 くそっ、相変わらず可愛い仕草しやがって…。


 ロミが横のテーブルを片付けている女官が移動台に乗せている皿の量を見て言った。


- ここの食事ぁ俺には少ねーんだよ、ベガースんとこじゃここの倍は出すぞ?


 「他の戦士団に比べて食費が多いのはそのせいじゃなくって?」


- 収入に差があるからな、それに人数だって多い。たくさん作ればそれだけ食費だって多くなるもんだろ?


 「私は一人当たりの量を言っているのだけどぉ?」


- ま、まぁ気を付けるように言っておく。


 「そうして頂戴?」


 これは忠告ってこったろう。無視すると次は正式に勧告が下り、調査が入る事になっちまう。


- ああ。ところであいつはいねーのか?


 「あいつ?」


- タケルだよ。


 「あぁ、彼なら『瘴気の森』に行ってるわ?、知ってるでしょう?」


- ああ、あっちで会った。とんでもねーやつだった。


 「ふぅん?、認めてるのね、彼のこと」


- 何か聞いたのか?、あいつから。


 「手が止まってるわよぉ?」


 顔を上げて尋ねたらそんな事を言われた。いたずらっぽい笑みで。


- いいじゃねーか、ちょっとくらい。ロミに見られてっと集中しづれーんだよ。


 「珍しく模擬戦をしようって言わなかったみたいじゃなぁい?」


 ちぇっ、無視かよ…。


- ああ、あいつすげー強ぇみてーだからな。突然消えやがるし突然現れやがる。障壁魔法もとんでもねー。そんなやつと模擬戦なんてしてみろ、立場がねーじゃねーか。


 「ちゃんと見てるのねぇ?」


- 先にベギラムの奴がちょっかい掛けてたからな。


 「聞いたわぁ、ちゃんと仲立ちしたんでしょぅ?」


- そりゃな。それくらいはするさ。ここに来る前にあいつ、俺んとこに現れたんだがよ。


 「うん?」


- あいつ、水の上に立ってたぜ?


 「へー?」


 驚かねーのかよ…。


- 知ってたのか?


 「彼ならそれくらいするでしょうね」


- そっか、あの森を任せるぐれぇ(ぐらい)だもんな、知ってても不思議はねぇか…。あいつ、ここから通ってんだろ?


 「そうよぉ?」


- 部屋ぁあんのか?


 「…何が聞きたいのぉ?」


 当然の事を聞くなって事かよ…。


- あいつにぁサバ読んだが、俺でも片道半日近くかかんだよ、一体どんだけ速ぇんだ?、あいつ。ロミは、


 「10分だったわぁ」


- はぁ?


 「ここから『瘴気の森』まで、片道10分ぐらいだったって言ってるのよ?」


 馬車でとことこ10時間の道のりを?、たった10分だと?


- 待て待て、ん?、だった?、ロミお前あいつに背負われたってのか!?


 俺だってそんな事ぁまだだってのによぉ!?


 「そんな事しないわよぅ?」


- じゃあどうやって知ったってんだ?


 「な・い・しょ♪」


- …あのなぁ…


 ヤベぇ、くらっと来ちまった。


 だってよぉ、ちょっと顔を寄せるような仕草を見せたかと思ったらそう言って人差し指を口元に持ってってよ?、ちょっと首を傾けていたずらっぽい笑みで斜め上を見るような視線で言うんだぜ?、俺じゃなきゃどうにかなっちまってるだろうな。


 「とにかく彼はそれくらいの移動速度なの、簡単には真似ができない事だから気にしなくてもいいわぁ」


- ああ、わかった。精霊様に手伝ってもらってるってのは知ってたか?


 「…彼がそう言ったのね。そうよ。知ってるわ」


 ロミの表情から笑みが消えた。

 そういう真剣な眼差しがさっきまでのと違って美しさが引き立つぜ…。


- いつから知ってた?、ロミはそれをすぐに信じられたのか?


 「コウ、貴方疑ってるの?」


- いや、今は信じてる。信じざるを得ねぇもんを目の前で見てっからな。


 「『瘴気の森』を囲む結界柱を見たんだったわね」


- ああ、あんな大規模なもん、ひとりでどうにかできるこっちゃねぇからな。それに、あいつは先輩勇者にぁ嘘はつかねぇって言ってた。俺ぁそれを疑ってねぇ。


 「そう。ひと月ほど前ね」


- あん?


 「彼に精霊様がついてるって知ったのが、よ」


- ひと月…?、だと?、待て、そう言えばロミ、お前ホーラードに行ってたって、この時期にどうやってひと月で帰って来れるってんだよ。


 「お前…?」


 目が少し細まり、冷たい光を発した。


- ああすまん、つい言っちまっただけだ。


 「まぁいいわ。じゃあついでだから言ってあげる。ひと月ほど前。私は彼と一緒にここに一度戻って来てるの。彼に精霊様のご加護があるのを知ったのはその時だわ」


 冷たい目線のまま、少し顎をあげて言うその表情は、玉座でよく見かけた表情だ。

 ぞくぞくするぜ、全くどんな表情をしても魅力的だってのが参っちまう。

 たまんねーけど、今のは聞き流すにぁとんでもねぇ情報だ。


 この部屋や俺に用意された部屋に付けられた女官や侍従たちにいろいろ聞いた事の裏付けがとれたぜ…、おそらくロミにはバレてんだろうな。だから言ったんだろうよ。


 そういえばそれくらいの頃に、森の方ですげー音と地響きが何度かあったが…。


- そん時、あいつと一緒に森に入ったのか?


 「いいえ、森の中になんて入ってないわ」


- そっか、ならいい。


 考えすぎか…。


- それでどうやって短期間で移動したってんだ?、また内緒か?


 「精霊様に運んでもらったのよ」


- そうかよ…。


 ちぇ、はぐらかしやがった…。


 「コウ」


- なんだよ。


 「悪い事は言わないから、タケルさんの事を詮索するのは止めておいたほうがいいわよ?」


 ロミはそういうと、すっと立ちあがって早足で部屋を出て行った。


- え?、ああ。


 タケル『さん』だと…?






●○●○●○●






- な…、なんですって…!?


 私が驚いたように演じているのは言うまでもありません。

 予めメル様がそうなるであろう事として、私に直接伝えてくれていたからです。

 おそらくこの時の私の顔は、愛想笑いをより深くしたものといつも心がけている優しそうにみえる慈愛の笑みとを行ったり来たりしていた事でしょう。


 譲渡式という、本来ならそのような無理が通るはずもない馬鹿げた式典が催される事となったのは、このホーラード王国イアルタン教会がホーラード王たちを説得できたからでも、教会の威光が王権より上だったからでも何でも無いのです。


 『アクア様がこのような些事にご介入されるとは思えないので、タケル様が何かされたのでしょう。シオリ様もそう思いませんか?』


 そう問われ、私もそう思いますと答えました。


 全く、タケルさんというひとは、精霊様が私たちに働きかけるという事が、どれほどの騒ぎに至るのかという事を忘れているのではと疑いたくなりますね。彼が言えば水の精霊アクア様も、そして光の精霊テン様やリン様たちも、喜んでその御手をお貸し下さるのですから、イアルタン教の信者でもある私としては、彼には言動に気を付けて頂きたいと常々思います。


 メル様と視線を交わし、同じ気持ちだったのでしょう、互いに苦笑まじりで頷き合ったのは5日ほど前の事でしたね。


 譲渡式というのは、メル様の『奇跡の祭壇』を教会に譲渡する式典に付けられた単純な名称です。

 『奇跡の祭壇』というのは、メル様の寝室に置かれたあのタケルさんが作られたアクア様のガラス像を含めたささやかな祭壇の事。

 私はそのガラス像がメル様のもとにある事は知りませんでしたが、ガラス像の事は勇者サクラたちから聞いていました。高さ30cmぐらいのもので、アクア様そっくりに作られたとても美しい像であると。


 その話を聞いた時には何と畏れ多い事をと呆れましたが、他ならぬアクア様がとてもお喜びになられていたそうで、それなら何も問題は無いのだと思い直しました。


 思えばタケルさんのところに居た短い間に、私も精霊様の存在と、アクア様が気軽に顕現されていた事にかなり感覚が麻痺してしまっていたようです。






 ところでいま目の前にいる者は、その譲渡式に参列したロスタニアのホーラード駐在大使です。


 「私は後列中ほどに居たのですが、それはもう言葉には言い表せない程の美しさと神々しさに心が震え続けで、私は涙を拭うのも忘れて只管(ひたすら)に心から祈りを捧げていましたよ…」


- それは僥倖でしたね…。


 私の思いとは無関係に、彼がアクア様の顕現されたお姿を目にする事ができたのは幸運な事です。

 心を切り替え、優しい笑みに変えてそう言うと、彼はその場に片膝を着き、右手を胸に添えて感謝を述べました。


 私は少々羨望を抱きながらもそれに応え、彼が大使らしからぬ(つたな)い、そして同じ形容が何度も現れるアクア様への賛辞を聞いていました。






 私がその式典に参列しなかった、いえ、できなかったのには2つの理由があります。


 ひとつは、私はロスタニアでこそ王に並ぶ地位と認められていますが、対外的にはロスタニア所属の勇者です。もちろん勇者として人々を護る存在という事で相応の扱いを受けていますが、政治的に何か権限があるわけでも口出しができるわけでも無いのです。

 ロスタニアではただ私が長期に(わた)り国境を護り続けた象徴である事から、王や民の尊敬を集め、国政や国の行事に多少関与できるというだけなのです。


 もうひとつは、同じくロスタニアのイアルタン教では私は名誉司教という肩書を持っており、司教と同等の位階でそのように扱われていますが、実はそれは全てのイアルタン教で同じというわけでは無いのです。


 イアルタン教は、大きく分けてロスタニア派とティルラ派があります。

 それはそれぞれに総本山という教会が存在するからなのですが、それには長い歴史が背景にあるもので、どちらが正しいというものではありません。


 ですがそれによって、ロスタニアにある名誉司教や名誉司祭という位階はティルラ派には認められておらず、逆にティルラ派にある大司教という地位や枢機卿による合議制は、ロスタニア派にはありません。


 そしてこのホーラード王国はティルラ派なのです。


 ゆえに、私はホーラード王国のイアルタン教からすると、多数いるただの司祭でしかありません。

 つまりホーラードの王城で行われる王族と教会の式典に、他国の勇者であり単なる司祭でしか無い私は、参列する資格が無いのです。






 3日後、メル様がひょっこりとこのロスタニア大使館に現れました。

 この王女様はお供も連れず護衛も無しに単身うろちょろするのです。最初は驚きましたが、街の人たちも気軽にメル様に挨拶をしていた様子からすると、ここでは普通の事なのでしょう。

 それはもちろん、彼女が剣の達人級であり、今では無詠唱で魔法を、それも私よりも数段素早く正確に扱えるというとんでもない人物だからでもあるのでしょうね。


 「シオリ様、アクア様の素描の複写をお持ちしました」


- まぁ!、早速見せて下さいな。


 私が応接テーブルのほうへ歩きながらそう言うと、メル様はにっこりと微笑み、手にしていた筒状のものを留めていた革紐を解いてからテーブルの上に広げて見せてくれました。


- ほぅ…、これで素描…なのですか?


 「はい、ストラーデ姉様が描いた物はもう少し細かいのですが、そちらは彩色をするらしく、持ち出せませんでした」


- いえいえ、うちの者(大使)が大層賛美していたのを聞きましたが、これだけでも充分その様子が伝わってくるようです。


 「遅くなってすみません。いつもなら許可など関係なく出て来れるのですが、今回はなかなか難儀でして…」


 それはそうでしょうね。

 伝え聞くだけでも王城や教会のほうは大騒ぎだったそうですし、そんな状態で当事者であるメル様が単身で城下をうろちょろするわけには行かなかった事情も理解できます。

 護衛を連れていても、おそらく話を聞きたがる者たちに群がられ、騒ぎになっていた事でしょう。


- まだ3日ですけど、大丈夫でした?、こうして来てもらえたのは嬉しいのですけど…。


 「はい、と言いたい所ですが、実は途中ちょっと屋根伝いに移動したりはしましたね」


 そう言って笑い、私も『まぁ』と目を丸くしてから笑います。


- それで、式典ではどうだったのです?


 と、水差しから伏せてあったコップ2つに水を注ぎ、手で席を示すと、メル様はひとつ頷いて着座し、私もそれに合わせて向かいに座りました。


 「まずは譲渡式の始めから、ですね――」


 そう前置きをして話し始めました。






 ホーラード王国の第二王女メルリアーヴェル姫と私が、勇者タケル様の家とされている『森の家』というとんでもない規模の施設から、畏れ多くも光の精霊様であるリン様の転移魔法でお運び頂いたのは2度で、いえ、私が『川小屋』と呼ばれているタケルさんの別荘から『森の家』へとお運びして頂いたのを入れると3度でした。


 当初は一旦『森の家』でご挨拶をした後、そこに居るメル様がホーラード王国の王都アッチダ――現在私たちが居る所です――の、それもメル様の寝室だそうで、そこへとリン様の転移魔法で帰られるのに便乗させてもらうだけの予定でした。


 それが私の都合もあってハムラーデル王国とトルイザン連合王国の国境砦、その中庭にタケルさんが作った砦小屋という場所について行く事になり、そこで何十年かぶりに勇者ハルトと面会をしたあと、メル様共々このホーラードへとお運び頂いたのです。


 リン様は簡単に『ではこれで』とすぐに転移されて行きましたが、メル様がその場で私たちが転移してきた事に驚き、精霊様の奇跡だと泣き崩れて拝んでいた女官を宥め起こしてから、私の身体をすっぽり隠せる大きめのローブを用意させ、私はそれを着てメル様の誘導でこっそりと王城から抜け出したのです。


 思えば初めて会った時には何か妙な対抗心がありましたが、今では良好な関係になったものですね。


 もともと、私がここに来た理由は、タケルさんの所属を決める会議がここホーラードで行われるからで、勇者である私はそこに参加はできませんが、ロスタニア大使ほか、ロスタニアに関係する有力者たちに働きかける事で、タケルさんの希望であるホーラード王国への所属を確かなものにする事でした。


 メル様もタケル様のためならと、王女という立場から同様の働きかけをホーラード側からすると言っていました。


 私の方はそういう働きかけをし始めたのですが、彼女のほうはそうも行かない事情が起きていたのです。






 それが、勇者タケル所属国決定会議の延期と、そうなった理由である教会からの『奇跡の祭壇』の譲渡要請、さらにはメル様を奇跡の聖女と称し、巫女として教会に迎えたいという要請があったからなのだそうです。


 王城に戻ったメル様を待っていたのはその異常事態で、(ようや)く戻ったメル様にホーラード王以下王族たちや首脳たちは、これで事情を聞き教会への対応方針が決められると心痛の軽減を実感したのだとか。


 大げさに聞こえるかも知れませんが、王族の姫が教会へ送られるというのは、その姫が公にできない大きな罪を犯した場合か、不貞や密通により懐妊した場合、または、王権交代劇の悲劇として、というのが通例なのです。


 諸外国からすると、教会からの要請というような細かい話など、ただ体裁を繕うための言い訳としか見られません。

 故に、王城側にとっては大変な事態だったのです。


 ただし、延期になったからといってタケルさんの所属会議が無くなる訳ではありませんので、私の方は当初の予定通りに、ロスタニア大使と共にあちこちに出かけ、何人もの有力者に話をしましたが、教会関係者への接触は躊躇われたのは言うまでもありません。


 イアルタン教内部で、ロスタニア派とティルラ派に分かれていると言っても、地位の扱いが異なるだけで大筋は同じです。

 ですので、例えば代々教会内で高い地位に就く者を輩出している家などが、子女を総本山と呼ばれている大教会に数年預けるような事があります。


 このホーラード王国イアルタン教会でも、その例にもれず、私が所属するロスタニアイアルタン大聖堂、通称『氷の神殿』で修業をした者が幾人も居ます。


 それが現在ティルラ派で大司教という位階に就いているゼニスなのが皮肉なところではありますね。

 実は彼女、50年ほど前に私のもとで修業をしたのです。当時はまだ10代前半の素直で可愛らしく敬虔な信徒で、家柄を無闇に持ち出すような事もせず、『シオリお姉様』と私を慕ってくれていたものです。今では憎たらしい若作りのb…、いえ、口が過ぎました。


 今では彼女のほうが教会内の位階が高く、ロスタニア国内でなら対等に話しても問題はありませんが、ここはホーラード王国、私は勇者ではありますがただの司祭の身ですから、立場の差は(わきま)えなければなりません。


 まぁ過去に1度ですが会った時には昔の事をあれこれ言われたものです。こちらも彼女が修行時代の話をしてやり込めましたが、まぁ些細な事です。


 そのゼニス、いえ、ゼニス大司教が『奇跡の祭壇』譲渡式の担当となり、それ以下彼女の派閥はそちらで多忙であるため、面会してもその話ばかりでタケルさんの所属会議の話は耳に入らなかったようなのです。


 それが、譲渡式がアクア様の顕現と問題のガラス像が没収された事により中止となり、やっと本来の勇者タケル所属国決定会議に目途が…、と思ったのですが、昨日耳にした情報によると、主力派だったゼニス大司教の派閥が今回の件で失墜するのではないかという噂でした。


 私が複雑な心境なのは、知己の前途を懸念しての思いと、予めメル様から聞いていたとは言え、タケルさんのところで拝見したアクア様の装飾過多なご登場をこの目で見られなかった羨望が、釣り合いの取れない天秤を見ているようにふらふらと落ち着かなかったからなのです。






 勇者の所属国については、概ね勇者自身の希望が通るものです。普通なら。


 ところがタケルさんの場合は、見習い期間である1年足らずの間に成し遂げた実績が大きすぎるのです。それゆえ、ホーラード以外の各国が勇者タケルを獲得しようと裏で動いている様子が、この王都に来て同様の――ロスタニアは確保しようとはしていませんが――活動をしている私たちにはよく分かってしまったのです。


 現在、バルカル合同開拓地とその名を変える前は、魔物侵略地域と呼ばれていた場所。

 そこに国境を接する3国、ロスタニア、ティルラ、ハムラーデルのうち、ロスタニアを除いた2国にその傾向が強いのです。


 私がわざわざホーラードに来たのは、当事国として、そして勇者の立場から当事者として、タケルさんの希望を伝え、ロスタニアは彼の希望通りホーラードに所属するように働きかけるためです。


 ホーラード王国が自国に勇者を確保しようとしないのは、この国には『勇者の宿』があり、新しく生まれた勇者はこの国に所属しているものと見做すという暗黙の決まりがあるからです。所属国が未決定状態の勇者も、ホーラード王国に所属していると見做されます。


 過去の例として、ホーラード王国へ所属したいと希望した勇者は居ませんでした。

 既に鬼籍に入っている勇者ヨーダ、勇者カナの2人については、所属国決定会議を延期し続けていたに過ぎません。


 『そのほうが動きやすいからね、あはは』


 なんてヨーダさんは言っていましたね、そう言えば。

 カナさんはヨーダさんに追従していただけのようでしたが。


 勇者ハルとナツの事は私はよく知りません。ティルラに所属が決定したのは知っているのですが、それから間もなくボーセイド王国に派遣され、そこからの足取りが不明なままだとあの勇者ハルトが言っていたと勇者サクラから聞きました。

 ヨーダさんとカナさんの二人も、ボーセイド王国に行ってから未帰還となってしまったのですから、あるいはあの国には何か秘密があるのかも知れませんね。

 そのボーセイド王国はアリースオム地域の東にある大きな島とその南にあるガイネシア群島をまとめる島嶼(とうしょ)国で、勇者所属会議にはいつも参加を固辞しています。


 アリースオム皇国については、ホーラードは国として認めているようですが、ティルラとハムラーデルは明確に認めてはいませんね。

 ロスタニアは事情があって国交を謝絶しています。これもそのうち解決するといいのですが…。


 そのアリースオム皇国皇帝を名乗る勇者ロミの意見は、先日会って話した折に、タケルさんの希望通りホーラード王国に所属するように協力するという事でした。

 あのロミがそう動いてくれるのはかなり安心できる要素ですね。


 何故かというと、ここホーラードは険しい山を隔ててはいますが、アリースオムと国境を接していて、昔から民族交流が多いせいか、ホーラードにはアリースオム地域出身の国民が比較的多いからです。






 メル様が式典の様子を語り終え、そこで水をくいっと飲みました。

 この水はタケルさんの所にあった給水器の水と同様に、柑橘系の果汁を少し加えたものです。


 「ハッカンの果汁ですか?、いいですね、ふふっ、今日のうちの水はザッカンでしたよ」


- ザッカンというとロスタニアで言うタラカンですね。それも良さそうですね。


 そう言って微笑みを交わしました。






次話4-090は2021年12月10日(金)の予定です。


20211210:繰り返し表現の訂正。 あったものですが ⇒ ありましたが

20211210:シオリの心象表現を少し追加。

20220527:何だか妙だったので変更。

 (変更前)そこに運んで頂くのに便乗

 (変更後)そこへとリン様の転移魔法で帰られるのに便乗

20250506:助詞訂正。 には入れ ⇒ は入れ (2箇所)

20250822;誤字訂正。 騙り終え ⇒ 語り終え

 まだこんな誤変換が残っていたとは‥(涙)。



●今回の登場人物・固有名詞


 お風呂:

   なぜか本作品によく登場する。

   あくまで日常のワンシーン。

   今回も入浴シーン無し。最近ありませんねー、


 タケル:

   本編の主人公。12人の勇者のひとり。

   気遣う勇者w


 リンちゃん:

   光の精霊。

   リーノムルクシア=ルミノ#&%$。

   アリシアの娘。タケルに仕えている。

   タケルが、原因のひとつに光の精霊産の飛行機械がある事を

   ロミには話していない事を察しています。


 テンちゃん:

   闇の精霊。

   テーネブリシア=ヌールム#&%$。

   後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。

   リンの姉。年の差がものっそい。

   まぁ誰しも聞いていないフリをしていても、

   長く愚痴を聞かされていれば意趣返しのひとつも

   したくなろうってもんですよね。


 ファーさん:

   ゼファーリィ=ヴェントス#$%&。

   風の精霊。

   有能でポンコツという稀有な素材。

   風の精霊の里では高位の存在なんですよ、これでも。

   1500年も踊ってたんですからねー

   タケルの認識はそこ止まりですけども。

   返却の危機!?

   パンと水だけで謹慎中のため出番無し。


 ウィノアさん:

   水の精霊。

   ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。

   一にして全、全にして一、という特殊な存在。

   今回は名前のみの登場。


 アリシアさん:

   光の精霊の長。

   全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊(ひと)

   だいたい名前くらいしか登場しませんが一応。


 ハルトさん:

   12人の勇者のひとり。現在最古参。

   勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。

   ハムラーデル王国所属。

   およそ100年前にこの世界に転移してきた。

   『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。

   今回は名前のみの登場。


 カエデさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号10番。シノハラ=カエデ。

   勇者歴30年だが、気持ちが若い。

   でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。

   お使い継続中でまた移動。

   今回は出番無し。


 ロミさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。

   現存する勇者たちの中で、3番目に古参。

   現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。

   ストレスが溜まってるんでしょうか…?


 コウさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号8番。ヨシカワ=コウイチ。

   現存する勇者たちの中で、5番目に古参。

   コウがこの世界に来た時には既に勇者たちは各国に散っていた。

   アリースオム皇国所属。

   今回はBパートの主格。

   ロミにくらくらです。


 カズさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号6番。サワダ=ヨシカズ。

   ロスタニア所属らしい。今の所。

   体育会系(笑)。性格は真面目。

   川小屋に到着したので登場人物に復帰。

   今回は出番無し。


 シオリさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号7番。クリバヤシ=シオリ。

   現存する勇者たちの中で、2番目に古参。

   『裁きの杖(ジャッジメントケーン)』という物騒な杖の使い手。

   現在はロスタニア所属。

   勇者姫シリーズと言えばこのひと。カエデは大ファン。

   今回はCパートの主格。

   いろいろと事情を説明していますね。


 サクラさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号1番。トオヤマ=サクラ。

   ティルラ王国所属。

   勇者としての先輩であるシオリに、

   いろいろ教わったので、一種の師弟関係にある。

   勇者としての任務の延長で、

   元魔物侵略地域、現バルカル合同開拓地に居ます。

   今回は名前のみの登場。


 ネリさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号12番。ネリマ=ベッカー=ヘレン。

   ティルラ王国所属。

   サクラと同様。

   今回は出番無し。


 森の家:

   1章でタケルが物置小屋兼燻製小屋として作ったものを、

   リンが拡張して住めるようにしたタケルの自宅。

   現在は規模が大きくなっており、

   隣接する工場やそこで働く精霊たちの寮、

   演劇練習用施設なども含まれている。

   庭の片隅にウィノアの泉がある。


 川小屋:

   2章でリンが作った、当時は魔物侵略地域、

   現在はバルカル合同開拓地と名称が変わった地域にある、

   タケルの別荘。

   裏庭に5mぐらいの木とウィノアの泉がある。

   詳しくは2章を。


 アリースオム皇国:

   カルスト地形、石灰岩、そして温泉。

   白と灰の地なんて言われてますね。

   資源的にはどうなんですかね?

   でも結構進んでる国らしい。

   勇者ロミが治めている国。


 ベガース戦士団:

   コウと一緒に『瘴気の森』に派遣されている戦士団。

   話には出ていませんが、与えられたお仕事はちゃんとしています。

   Bパートでちらっとベギラム団長とこの名前が登場。


 母艦エスキュリオス:

   4章056話で登場した。

   ベルクザン王国内の竜神教神殿地下にあった、氷漬けの恐竜を、

   その装置ごと回収するために近くに来た母艦。

   4章065話で、『倉庫ごと回収』というのも、

   この母艦が近くに居たままだったから。

   統括責任者はベートリオ。

   補助艇が11機もでているけど搭乗員などには言及されません。

   哀しき裏方さんたちですね。

   裏方さんたちが後始末に精を出しています。


 メル:

   ホーラード王国第二王女。

   2章から登場した。

   今回はCパートにて登場。


 ソーレス:

   メルの父。ホーラード王。温厚な性格。

   平凡だが穏当で良い治世をすると評判は上々。

   ホーラード王として名前が登場。


 ストラーデ:

   メルの姉。第一王女。隣国ティルラに婚約者が居る。

   相手はティルラ王国王太子ハルパス。将来的にはティルラ王妃となる。

   演劇や歴史に戯曲、フィクションなどに幼少の頃より興味があり、

   いまやホーラード国内のみならずティルラなどの隣国の、

   芸能関係に幅広く影響を齎す存在。

   絵姿が最も多く売れているのは、その均整の取れたスタイルのため。

   愛称はスティ。


 ホーラード王国:

   勇者の宿がある、1章からの舞台。

   名称が出たのは2章から。

   2章の冒頭に説明がある。


 ゼニス大司教:

   ホーラード王国王都にあるイアルタン教会所属。

   そこそこの年齢です。

   大司教まで到達するにはそれなりの勤続年数がかかるものですから。

   僧職としての階級は最高位であるが、

   大司教や司教を経て枢機卿となり、

   教会を合議制により運営するので

   地位的には2番目となる。

   失脚するかもという噂が流れているらしい。



 ※ 作者補足

   この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、

   あとがきの欄に記入しています。

   本文の文字数にはカウントされていません。

   あと、作者のコメント的な紹介があったり、

   手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には

   無関係だったりすることもあります。

   ご注意ください。


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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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