4ー063 ~ カズの出立・ミリィとピヨの移動・メルの近況
西門近くにある乗り合い馬車の停留所は、上空から見ても分かりやすい。
俺はその裏手にある倉庫の脇にすとんと降り立った。
この倉庫は馬車の補修用品などがあり、馬車をメンテナンスできるだけの広さもある大きさがあり、木材や革、それと油などの少し独特な匂いが倉庫脇にも漂っていた。
そこを抜け、だいたい建物の裏手にある井戸の横を抜けて表に向かう。
「わぁ、こ、こんにちわ!」
- え?、こんにちわ…?
つい反射的に返事しちゃったよ…。
井戸のところに男女が居たので、邪魔しないように井戸から遠い反対側を早足で抜けようとしたら女性のほうから驚いたように声を掛けられてしまった。
ちなみにこの女性は魔力量からして寮の子だろう。つまりは精霊さんだ。
しかしこの村、飛んできた時にも思ったけど、あちこちに寮の子たちが居るなぁ…。前より増えてるんじゃないか?、どうなってんだ?
「あ、カーラさん俺はこれで!」
若い男性のほうはそう言うが早いか、さっと右手を左胸にとんと当てた瞬間ダッシュで表の方へと走り去った。革鎧だったし、衛兵というかこの村にいる兵士は全員『勇者隊』らしいから、その誰かなんだろう。
「うん、また……、もう、逃げなくてもいいのに…」
- 何かごめんね、邪魔するつもりじゃなかったんだけど…。
「あ、大丈夫です、タケル様のせいじゃありませんから、私がびっくりして話しかけたせいですから…」
やっぱり俺のせいじゃんそれ。
すすっと半歩の距離まで近寄ってきたカーラさん。両手を胸元でにぎにぎして俺を見つめながら。目がきらきらしてる。ちょっと怖い。
- ごめん、ちょっと急いでるんで、ま、またね?
さっと片手を向けてから、逃げるように表に向かって逃げた。
後ろで何かぶつぶつ言ってたけど、気にしないで表の待合所の外に設えてあるベンチに座っているカズさんの所に急いだ。
ベンチのところに腰かけていたカズさんは、背もたれと壁に背中を預けて腕組みをし、首の角度のまま斜め上方の空を見上げていた。
そっちってもろに太陽があるんだけど、眩しくないんだろうか…。
- お待たせしました、カズさん?
「んぉ?、おお、俺も今来たところだからそんなに待ってないぞ、早かったな」
声を掛けると腕組みを解いてさっと立ち上がった。
このひとはハルトさんに体型が似てるというか、骨太で俺より背が高いので座っていてくれたほうが話しやすいんだけどなぁ、と思いながら、ポーチからリンちゃんに渡されたペンダントを取り出した。
- ええまぁ、これなんですけど、有効期間は今日から30日だそうで、それまでには余裕を持って地図の『川小屋』に行けますか?
「30日も掛からないと思うぞ、急げばツギの街からティルラ第一拠点の位置まで10日かそれぐらいで行けるはずだ。通った事の無い道だが、街道が整備されているからな」
カズさんは受け取ったペンダントを指先で持ってまじまじと見ながらそう言い、ベンチにぽんと置いていた布袋に向かって縛っている口を広げようとした。
- あ、それできれば肌身離さず着けていて下さい。『川小屋』でも決して外さないようにお願いします。
「え?、そんなに重要な物なのか…?」
ベンチの布袋に屈んだ姿勢のまま驚いた表情でこっちを見た。
- はい。重要なんです。だから決して無くさないで下さいね?
「お、おお…」
ゆっくりと、曲げていた腰を伸ばし、手に握り込んでいたペンダントを大事そうに、おそるおそる紐の部分に持ち替えて両手で広げながら、一瞬こっちを見た。
- 紐は普通の品ですよ、長さは足ります?
足りるとは思うけど、一応尋ねた。
だってこのひと、首が太いんだよ。胸板も分厚いしさ。何かそういう系統のスポーツでもやってたんじゃないかな。
「そ、そうか、足りる」
そう言ってすっと頭をくぐらせて首にかけ、シャツの襟元を引っ張って内側にしまい込んだ。
ペンダントトップが少し高い位置に収まったのが感知でわかった。そこなら邪魔にならないだろう。
そこにハンドベルのような音がカランカランと鳴り響き、俺とカズさんは驚いてそっちを見た。
「午後の便、そろそろ出発ですよー!!」
馬車からやや離れた後方で、男性がハンドベルをもう一度鳴らして同じことを言った。俺とカズさんが立っているすぐ横の開けっ放しの扉から、手荷物を持った人たちがぞろぞろと出てきて馬車の後方、乗りやすいように階段が設置されているところへと歩いて行く。
近くに居た、荷物を地面に置いてその横に座っていた人たちも立ち上がり、尻を手で軽く叩いてからその大きな荷物を背負った。彼らも乗るんだろう。
「じゃあ行く、いろいろ世話になったな、助かったよ」
カズさんはそう言って改めてベンチの布袋を手にした。
- どういたしまして。道中お気をつけて。
「ああ」
彼は軽く片手で合図をしてから馬車の後方へと歩いていった。
ちなみにこの乗合馬車は、大きめの荷馬車を改装したものなので後方から出入りするようになっている。箱馬車とは違って横に扉が無い。そして乗り心地はお察しだ。
床に座るタイプのものと、両サイドに長く椅子が取り付けられているものの2つがある。俺がリンちゃんと以前乗ったのは前者で、現在ここから出発するのは後者のようだ。前者は後者より少し小さいんだけどね。
そんな事を思っていると、踏み台を片付けようとしたひとがこちらに気付き、『乗らないんですか?』と、大声で言った。俺が『見送りに来ただけですから』と言うと彼はうんうんと頷いて踏み台を持ち上げてこっちに持ってきた。馬車の影に隠れて見えなかったがもうひとり居るのは分かっていたから驚きはしなかったが、しっかり作ってある踏み台なのに、意外と軽いのか、慣れた様子で彼らが待合所の横にそれを置くと、ムチの音がして馬車が地面と車輪の音を出しながら動き始めた。
一応冬だからか、幌の後ろは布で閉じられていて中は見えなかったが、何となく馬車が西門を抜けて行くのをぼーっと見送った。あの門、大きい扉は普段閉じられているからね。
「タケル様、さっきの方、お知り合いですか?」
何故かついてきて踏み台が置かれたところあたりに立っていたカーラさんが、こちらに歩み寄りながら言った。
- え?、うん、そうなるかな…。先輩だし…。どうして?
「いえ、あの…、リン様のペンダントをお渡ししておられましたので…」
ずっと見てたのは知ってたけど…。
- リンちゃんのペンダントってわかるの?
「えっその…、今はモモさんが居られませんので、ペンダントを発行するならリン様かなと…」
なるほど、魔力感知じゃなく推測って事ね。
- そういう事ね、じゃあ僕は勇者食堂にお金の支払いに行くけど…?
「あ!、あのっ、お供しても…いいですか?」
んー、無下に断りにくい雰囲気だなぁ…、まぁそれぐらいならいいか。
- いいけど、途中どこにも寄らないよ?
「はい!」
ぱぁっと表情を明るくしてすすっと近寄ってきた。
俺が歩き出すと隣を半歩の距離で歩き、ついてくる。
歩き出してしばらくは無言だったけど、勇者食堂が見える距離になると彼女が言った。
「私たちのグループもあの食堂のお手伝いをするんですよ?」
- へー?、本業のほうはいいの?
「人数がちょっと増えたので、シフトに余裕ができてお休みも増えたんです」
それでこの村に来てる寮の子たちが増えたってことね。
- そっか、カーラさん、だっけ?
「名前を憶えて下さったんですか…」
俺が彼女を見てそう言うと、立ち止まって胸元で両手を重ねて握り、祈るように目を潤ませて頬を染めて…。え?、何この反応。
- さっきの兵士のひとはいいの?、僕と一緒なのを見られたりしたらまずいんじゃない?
仕方ないので俺も足を止めたが、すると勇者食堂の入り口からケリーさんが飛び出してきて俺の手をさっと取った。俺が避けようかどうしようかと迷ってる隙に。
「タケル様ー!、お待ちしてましたー!、さぁさ、こちらへ!」
- あ、いやお金を払いにきただけだから。
「ちょっとケリー!、タケル様が困ってらっしゃるじゃないの!」
「あれ?、カーラ?、なんでここに?」
「なんでって、タケル様のお供で来たのよ」
「え!?、何でカーラがタケル様のお供なのよ!」
「ふふん、いいでしょう?」
そりゃ確かにお供していいですかとは言われたけど。何か微妙に意味が変わってないか?
言おうかどうしようかと思ってたら、勇者食堂からさらに2人が出てきた。
「ケリー!、ってタケル様!?、ちょっと何やってるのよお店の前で」
マリーさんがケリーさんに注意をしながら俺の手を掴んでいる手を放させた。
「あの、済みませんケリーがまたご迷惑を」
リリーさんが半歩より近い距離で言う。
ちょっと近いなぁ…。
- あ、うん、とりあえずお店に入ろうか。
俺はそれから逃げるように店へと早足で入った。だって遠目でこちらの様子を立ち止まって見ているひとたちがちらほら居るんだよ…、体裁が悪いなんてもんじゃ無い。
昼時が終わっているからか、店の中にはお客さんは居なかった。
「らっしゃっせー」
「いらっしゃいませー」
厨房の方から声がした。
一応、入り口のあたりは厨房から見えるようで、声がした方を反射的に見ると、料理の受け渡しカウンター越しにこちらを見ている厳つい顔の男性と、ノーラさんが見えた。頭巾とマスクをしてるので、目しか見えないけど。確かに男性は目つきが鋭く太い眉がきりっと直線的だ。背後に立つと撃たれそうな感じの劇画調。
ノーラさんの方は対照的で、にこっと笑みを浮かべているのがわかった。
「もう、ケリーってば、ホントに掲示板に書いちゃうよ?」
「止めて、タケル様が来たと思ったらすぐそこで立ち止まったから迎えに行っただけじゃない」
「だったら騒いでないですぐにお連れすればいいでしょ」
「だって、カーラがタケル様のお供だって言うんだもん」
「「え?」」
「お供していいって言われたのよ」
「「カーラ!?」」
ついて来たのか…。
- ここに来る用事があるって言ったら、お供していいかって聞かれたんでいいよって言っただけだからね?
「なぁんだー」
「そういう事…」
「紛らわしい言い方しないでよね!」
「何よ、勝手に勘違いしたのはケリーでしょ」
「ふたりとも、タケル様の前でいつまで見苦しい事を続けるつもり?」
マリーさんが呆れたように注意をすると、ふたりがぐっと黙った。
「タケル様、お会計はこちらです」
お盆に伝票を乗せてすいっと割り込むようにこちらへ見せながら、リリーさんが横からいった。相変わらずリリーさんは何だか微妙に距離が近い気がする。
俺は『あっはい』と言いながら目線を反らし、ポーチから財布を取り出して……、何だこれ…、思ってたのよりでかくて重いんだけど財布だよな?、と、半信半疑で底を支えながら腹部で支えるようにして口紐を開くと、小さな革袋に包まれてるのが幾つもあり、その下にばら銭というか貨幣があるようだったので、手近なテーブルの上に一旦置いて、大小ある小さな革袋を取り出して並べてから、手を突っ込んで底の貨幣をひと掴み取り出した。
「わ、タケル様そんなに要りませんよぅ」
- あ、いや邪魔だったんで取り出しただけで、
「そうじゃなくてその手のお金ですよぉ」
え?、と手を開いて見るとでかい銀色と小さい金色がじゃらっとある。
小さい銀色もあるけど、まず目についたのがそれだった。
- あれ?、銅貨が無いな…。
一旦手の中のそれらを財布に戻し、中身がよく見えるようにしながらじゃらっと取り出したり戻したりして探したが、銅貨が無い。
「うわー、お金持ちですね、タケル様」
「こっちの小さい袋じゃないですか?」
- あ、そうかも。
小さい方の口紐を解いて中身を取り出すと銅貨が32枚入っていた。
一応、大きい方のひとつを確認すると100枚のようだ。別の大きい方を持ち上げて重さを比べてみるとだいたい同じなので、大きい方には100枚ずつ入っているという事だろう。そりゃこんなにまとめてあれば重いしでかいわけだ…。
リンちゃんに尋ねてから来れば良かったなぁ…。
「じゃあこちらの小さい方からお代を頂きますね」
リリーさんがそう言うと、テーブルに置いたトレイの上に、銅貨を25枚数えて乗せて持って行った。
そう言えばさっきの伝票にはステーキが12ゴールドでシチューが10ゴールド、税金が2ゴールドでサービス料が1ゴールドって書かれてたっけ。サービス料って何だ?
システムがよくわからないけどまぁいいか。
「タケル様、この大きな銀貨のひとって誰なんですか?」
- え?
言われてそちらを見ると、大きな財布袋からいつの間に取り出して並べたのか、テーブルの上には銀貨・大銀貨・金貨が1枚ずつ並べてあって、数字じゃ無い方の面が上になっていた。それをのぞき込む女の子たち、かっこ精霊さんかっこ閉じ。
- 誰だろうね?、村のひとたちなら知ってるんじゃないかな?
「タケル様はご存じ無いんですか?」
- うん、知らない。他のの図柄も何なのか知らないから、聞かないでね?
と言いながら財布を片付けていった。
「タケル様、お財布をこんな風にするのってあまり良くないと思うんですけど…」
カーラさんが心配そうに言う。
- あー、普段ほとんど財布なんて使わなかったからね、だいたいリンちゃん任せだったし…。
「「あー…」」
納得したような、残念なものを見るような表情で言われた。
どういう意味なんだろう?、だいたいわかるけど。
俺も複雑に思いつつ、ポーチに財布をしまい、ふと思ってポーチに手を入れたまま財布と念じてみると、今しまった物の他、光の精霊さんの里で貰った財布やそれ以外にもいくつかあり、金貨だけの袋や大金貨の袋、白金貨なんてものまであった。
いや多すぎるんだけど、何でこんなにあるんだろう?
「どうされました?」
マリーさんが俺の表情の変化を見たのか、そう尋ねた。
- いや別に、自分でも意外とお金持ってたんだなって。
「そんなの、タケル様なんですから当然ですよ」
「そうですよ、さっきお金持ちですねって言ったのはここのお金の話ですよ?」
「うんうん、寮にもタケル様の本いっぱいあります」
「だよね、料理とかお菓子とか、あれで勉強してる子たくさんいるよね」
「あたし毎週楽しみだもん」
「あ、『タケル様も絶賛! ~今週のおやつ~』?」
「そうそうそれそれ!」
「来週はプチシューだって!」
「え?、何それ」
「カーラ知らないの?、今朝掲示板に出てたよ?」
「そうなの!?、急いで帰って見なくちゃ!、あ!、タケル様お先に失礼します!」
- あっはい、えっと、何その今週のおやつ、って…。
「寮のおやつメニューですよ」
「定番のもあるんですけど、毎週追加されるんです」
- へー、いやそのタケル様も絶賛ってとこ。
「タケル様がどういう感想を言ったかって書いてあるんですよ」
何だそりゃ、そんなの知らんぞ?
- 感想なんて言ったっけ…?、あ、そう言えば毎回どうですかとか聞かれてたような…。
「じゃあやっぱりあれは本当の事なんですね!」
そう言って盛り上がる子たちを、俺は複雑な思いで見ていた。
だってなぁ、あれはとか言われてもどんな風に書かれているのか俺は知らないんだから…。
●○●○●○●
『森の家』に戻ると、出迎えてくれたのはベニさんとファーさんだった。
ファーさんはお昼に見た服装のまま、その上に普通のエプロンを着けていた。例のメイド服はまだできてないんだろう。できてたら驚くね。
「おかえりなさいませ、タケル様」
というのを聞いて頷き、ただいまと返した。
「リン様は今しがたお出掛けになったところです」
- あ、そなの?、何か言ってた?
「川小屋へ行くと。すぐ戻るような事を仰ってました」
- そうなんだ。他のひとたちは?
魔力感知ではリビングにテンちゃんとロミさんが居て、ミドリさんは燻製小屋、アオさんは寮にいるようだ。
「テン様とロミ様はあちらに、ミドリさんは燻製小屋で打ち合わせ中で、アオさんは寮の被服室です」
- なるほど。ベニさんもお仕事があるなら戻っていいですよ。
「ありがとうございます。今はファーさんにキッチンの説明をしているところでした」
「覚える事が一杯ですけどファーは頑張りますです旦那様」
見るとエプロンのポケットにメモ帳らしきものとペンが差してあった。
- そう、無理しないでね。
「はい!」
「タケル様が入ったら、続きをしますよファーさん」
「はい」
そういうふたりを横目に見ながら中に入った。
ソファーのテンちゃんとロミさんのところに行くと、前にアオさんとミドリさんがやっていた、俺も詰将棋のようなパズルをアオさんから出された事のある、チェスのようなボードゲームをテーブルに置き、ふたりが頭を付き合わせているのが見えた。
「おかえりなのじゃ」
「おかえりなさい」
俺はただいまと言って給水器で水を汲み、テンちゃんが手でぽんぽんと隣を軽く叩いたのを見て、そこに座った。
「タケルさんはこういうのはしないの?」
と、ロミさん。
- いやー、こういうのは苦手なんですよ。
「へー?、貴方にも苦手なものがあるのねぇ?」
面白そうに言われた。
- 実は苦手なものって結構あるんですよ。
「そうなの?、例えば?」
ずんずん迫ってくる女性とか。なんて言えないね。
- 近接戦闘とか。
「それは私も苦手だわぁ、同じね。ふふっ」
- そうですね。まぁ僕の場合はメルさんに手ほどきしてもらったんですけど、ちょっと剣を振って無かったら基本の型まで忘れちゃってて、叱られたりしましたね。ははは。
「メルさんって、あのメルリアーヴェル王女?」
- はい。
「あのお姫様って、確か達人級じゃなかったかしら?」
- そうらしいですね。すごいですよね、あの年齢で。
「そうだけど、普通はそんなクラスのひとに手ほどきなんてしてもらえないわよ?」
- そうですね。そうききました。あとで。
「なのにそんな、基本を忘れて叱られるなんて、余程ダメなのね」
俺もそう思う。普通の弟子なら向いてないからと破門されても仕方ないね。
- ですね、素人同然でそこらの兵士にも負けるらしいですよ、僕は。
「まぁ、あははは」
冗談だと思ったんだろうか、ロミさんは片手で口元を隠して明るく笑った。
「其方には近接戦闘の技術なんぞ必要無いのじゃ、ほれロミよ、其方の番なのじゃ」
「はい、うーん…、さすがテン様、厳しい手を…」
と、考え始めるロミさん。
俺も盤面を覗き込んだが、さっぱりわからなかった。
- このゲームって昔からあったの?
「ん?、吾が知っておるのと少し違うが、この手のものは時代によって少し変化する事もあるものなのじゃ。それはそれで一興なのじゃ」
- へー、ってこれいつ覚えたの?
「これは昼食後に、そこの棚にあったのをロミが出してきての、ベニたちに動かし方を尋ねておったのじゃ。吾も横で聞いておったので、試しにと相手をしておるのじゃ」
- え?、んじゃふたりとも今日覚えたてってこと?
「なのじゃ」
「そうなのよ」
なのにまるで熟練者同士の対戦のような雰囲気なのか…。
盤面は全然俺にはわからんので実際のところはどうなのか判断つかないけどね。
- へー…。
ロミさんが静かに考えているのを邪魔しないように、俺は静かに水をちびちびと飲んだ。
テンちゃんも今日は俺の腕を取って抱きしめたりはせずに、同じように身を乗り出しそうな姿勢で盤面を見て、考えていた。
半分ぐらい水を飲み、盤面を見るふたりを見ていたが、全然動きも無いし、見ていてもしょうがないのでコップをテーブルに置き、腕組みをしながらそっとソファーに背中を預けて目を閉じた。
何だかこういう静かな時間を過ごすのは珍しいなぁ、なんて思いながら。
「「おかえりなさいませリン様」」
「ただいま戻りました」
「お世話になります、私めはピヨと申します。よろしくお願いします」
「ミリィです、初めまして、お世話になります」
という声で目が覚めた。居眠りになっていたようだ。
「こちらこそですよ私は風の精霊ゼファーリィ=ヴェントス#$%&です、ファーと呼んでくださいですよ可愛い風の者と有翅族のミリィ」
「私めは半端者でございますれば、か、風の者などと畏れ多いです」
「風の精霊様は有翅族をご存じなのですか?」
食卓と台所の間のところで立ったまま挨拶が進んでいる。
「風は多くを包んで取り込み運ぶものなのですよ。たとえ小さな梢を揺らす風でも、草花を揺らす程度の風でも、何もかもを吹き飛ばす程の大きな風でも、風は風、それぞれに役割と仕事があるものなのですよ。そこに貴賤は無いのでありますよ、ピヨ」
「ありがたきお言葉に感謝致しますファー様…」
「ファー様…」
何だかファーさんが別人のようだ。ピヨもミリィも感動で目がうるうるしてる。
口調も早さを抑え気味だし、ほんとにあれはファーさんなのか?
感動の場面のようなので何も言わないけど。
リンちゃんもベニさんも真顔のまま黙っているところを見ると、そういう場面は邪魔をしないお約束でもあるんじゃないかという気になるね。
「そしてミリィ、大地の者が保護した稀有な種族、有翅族は私たちも知っていますよ」
「嬉しいです、ファー様」
座り直して左を見ると、居眠りをする前と変わらないテンちゃんとロミさんが居た。
そろそろいいかと思い、邪魔をしないようにそっと立ち上がって、コップを給水器の横に片付けてから、リンちゃんたちの方へ行った。
- おかえり、『川小屋』に届けてきてくれたの?、ありがとう。
「いいえ、食料などを届けるついでがありましたので。それでですね、」
- そのふたりを連れてきた件?
「はい、あちらにちょうど居られたサクラさんたちと相談したんです。どうせあちらに居ても、この者たちは外に出られませんし、それならこちらに居たほうが、多少なりとも結界範囲であれば自由にさせられます。そのほうがこの者たちにとっても良いんじゃないかという話になりまして」
- そっか。まぁそうだよね、ネリさんなんか寂しがったんじゃない?
「そうですね、最初は『癒しがー』と反対されましたけど、最終的には納得してもらえました」
- あはは、癒しかー、わからなくも無いね。だったら結構会話ができるようになってたんじゃない?
「はい、サクラさんの方はまだ聞き取りもほんの少しでまだまだでしたが、ネリさんの方は弱いながらも声に魔力を乗せることができるようになってきていまして、聞き取りのほうはほぼ意味が伝わっているところまで上達していて驚きましたよ」
- なるほど、いい先生になってたんだ、ミリィも、ピヨも。
リンちゃんのやや斜め後ろで控えるように浮いていた両者を見て、手招きするとぱぁっと表情を綻ばせてすっ飛んできた。それを見たファーさんが少し驚いているような表情になっていた。
ミリィは左手で毎度のように空中キャッチし、ピヨはそんな事をしなくてもちゃんと減速して右手の上に乗り、そのまま胸元に抱えてやると嬉しそうに擦り寄った。
何かまた少しでっかくなっているような気がする。冬だからもこもこしてるせいでそう感じるだけかも知れないけど。
「あっ、久しぶりの感覚かな!、でももうちょっと広げて欲しいかな!」
ぺちぺちと叩くミリィの言う通りにして左手を緩く開いてやると、親指と人差し指の間に跨って親指を抱きしめた。
- ピヨもミリィも、飛び方が前よりも洗練されてるね。訓練、よく頑張ったみたいね。
実際、ふたりとも魔力操作がかなり繊細になっていて、以前より粗さが無くなっているように感じた。
「はい、リン様に言われたように、タケル様の訓練方法を取り入れてミリィさんと一緒に訓練しました」
「ピヨちゃんさまと頑張ったかなー、わかってくれて嬉しいかなー」
「はいはい、ふたりとも、お部屋に案内しますからね。ベニ、タケル様のお部屋へ」
「はい、ピヨちゃん、ミリィちゃん、こちらへ」
「「はい」」
俺からふわっと離れてベニさんの方へ飛んで行くピヨとミリィ。
うん、やっぱり飛び方の魔力操作がきれいになってるね。光る粉のエフェクトをつけたくなるぐらいだ。
しかし何で俺の部屋なんだ…?、いいけどさ…。
「タケルさまもあまりピヨを甘やかさないで下さい」
- あっはい。でもまぁあれぐらい、いいじゃない?、俺も癒されるし。
「わかりますけど、程々にお願いします」
- さっきちらっと聞こえたけど、ファーさんは受け入れてるって事?
「ピヨの事ですか?、ファーとも話をしてみたんですが、風の者としてはそういうものらしいです」
と、リンちゃんがファーさんを見た。
「はいですファーたち風の者は昔の戦乱で多くの者をその…、失う事になった事がありましてですね、もちろんファミリー毎に対立する事は今でもあるんでございますが眷属や名を与えられていない者も含めて大切に受け入れるような方針に代わったのでございますよ旦那様」
どうでもいいけど何で俺と話す時にはいちいち揉み手をするんだろうこのひとは。
- へー、まぁとにかくピヨを受け入れてもらえるならいいよ、ありがとう、仲良くしてあげてね。どっちもうちの子みたいなもんなので。
「はいそれはもう旦那様の所の大切な御仲間でございますしリン様にも指導せよとのご指示を頂いておりますのでしっかり仲良くやりますですはい」
- そう、ピヨは風の半精霊みたいだし、ファーさんに指導してもらえるなら有難いね。
「ですが旦那様あのお二人はずいぶん魔力操作が洗練されているように見えましたですよ?、リン様から予めお二人の年齢などをお聞きしておりましたですピヨもですがあの有翅族のミリィって子には驚きましたですよ一体どんな訓練をすればあのような」
話しながらじわじわと俺に寄ってくるファーさんをここでリンちゃんが引っ張って止めた。ちょっと助かった。ありがとうリンちゃん。
「ファー」
「はいです」
「落ち着きなさい」
「申し訳ありませんです」
- そのへんも追々知る事になるから。
「わかりましたです旦那様」
- うん、それでリンちゃん、それじゃあ似顔絵の件もサクラさんたちに話してくれた?
「はい、いつ頃到着するかを気にされてましたが、サクラさんやネリさんも会ってみたいと言ってましたので、問題は無いかと」
- なるほど、ならあっちは大丈夫と。あ、何か問題とか聞いてない?
「特には…、魔道具の訓練も進んでいるようですし…」
- ああ、あれね。メルさんは大丈夫なのかな。
「メルさんの方も着々と進んでいると聞いています」
- あ、そうなんだ。王城に戻ってからどうしてるかな、ってちょっと気にしてたんだよ、その魔道具の事も含めて。
「タケルさまが心配するような事は…、あ、メルさんと言えば何故かメルさんの部屋に立派な祭壇ができてしまったので、こちらから転移するのに少し不都合が…」
- え?、どゆこと?
「あのですね――」
と、リンちゃんが話してくれたのは、メルさんの部屋に以前、転移用石板を設置した時に遡った事情だった。
長くなりそうなので食卓の席に着いて話を聞いた。途中からそっとベニさんやピヨとミリィまでが席について話を聞いていたが、邪魔をしたり口を挟んで来ないようなのでそのまま聞いていてもいいかと判断した。
別に内容的にはここに居るひとたちになら秘密でも無いからね。
それでリンちゃんの話によると、何でも、メルさんがその石板を設置した時に、カムフラージュのために、部屋に元からあった水盆や燭台、お供え用の台を、敷布を石板にかけてそこに設置し直したんだそうな。(※)
ちなみに、寝室に祭壇があるのは、就寝時や起床時に祈りを捧げるからで、教会の司祭が管理する祠とは異なる。
祠に設置されるような像は、通常は寝室には置かれないが、もっと小型のものが段階的に売られており、信者の家屋にはたいていそれがある。もっとも、そこそこ値が張るのである程度以上の裕福な者に限られる。それ以外は神殿の方向を示す札を部屋に貼って、その方角に祈るものだ。
で、だよ。
その時に、俺が前に聞いた時には何故か省略されてたみたいなんだけど、この『森の家』を中継した時、庭の隅に泉がある事を前から知っていたメルさんがちょっとお祈りを捧げたんだと。まぁ敬虔な信者だからね、さもありなん。
すると、泉から出てきたウィノアさんの手から、以前俺が作った小型のガラス製ウィノア像を渡されて、転移石板のカムフラージュに使えって言われたんだってさ。
「あたしもいいアイディアだと思ったんですよ?、その時は」
リンちゃんはそう言ったけど、いい加減、ウィノアさんが関わると絶対大事になるんだって事を学習してもらいたいものだと思った。
おそらくリンちゃんがそう思って口出しをしなかったから、見ていたモモさんたちも何も言わなかったんだろう。
そりゃ一見いい案に思えるだろうさ。祭壇があったらその下に何か隠されてるんじゃないかなんて、それも王女の部屋にだもん、誰も手出しなんてしないだろうよ。
でもさ、俺が作った石英ガラスに近い、それも本物の水の精霊を写し取った像だよ?、大事に発展しないと考えるほうがどうかしてる。つまりは、やりすぎだって事なんだ。俺が言うのも何だけどね。
像を置くなら神殿などで手に入る、家庭用の小さな石像か木彫りのものでいいんだよ。なんでウィノアさんも俺が作ったものを出してくるよ?
しかも誰も疑問に思わず、メルさんもそれを置くか?、もうちょっと考えればいいのに…。
とにかく、そんな、自画自賛するわけでは無いけど、立派な本物そっくりである水の精霊像が設置された祭壇がメルさんの部屋にできちゃったわけだ。
まぁウィノアさん本人を目にしたひとなんてそうそう居ないから、本物そっくりなのかどうかは普通のひとにはわからないとは思うけども。
それだけならいいんだ。
メルさんが不在であっても、部屋を整えたりする女官や侍女たちはその部屋に出入りしているわけだ。当然だよね。不在でも部屋の換気をしたり、主人がいつ戻って来てもいいように整えるのは普通の事だ。
それと、遠くへ行っていたはずの部屋の主人が急に戻って来て、祭壇を作り直すってのを見たか知っているはず。それはさぞ驚いた事だろう。
しかも、ガラス製の精巧なウィノア像を置いたのだからその驚きも倍増だったろう。
布を解いたときに手伝いを申し出た女官たちは、もしかしたら感嘆のため息をついたかも知れないね。と、これは余計な想像だった。
そんななので、メルさんが不在でも、王城内の敬虔な信者たち、もちろんメルさんの部屋、すなわちお姫様の部屋なのだから入室は王族以外は女性に限られるだろうけど、部屋の主が居ないのにしょっしゅう信者たちが出入りしてその祭壇に祈りを捧げるという不思議な現象となったらしい。
いや不思議でも何でもないか。最初はその女官たちから、だんだんと密やかに広がってったんだろうね。
そして、だよ。
そうなるとお供え物も形式的なものだけではなく、新鮮な果物や花などが毎日供えられるわけで、お気に入りの像が人気を博したのに気をよくしたウィノアさんがこっそりそれら花や果物を水の盆からにゅるっと手を出して持って行くという、信者にとっては感動に咽び泣くような奇跡がちょくちょく起きる場となってしまった。らしい。
ああうん、あの像凄く喜んでたもんなぁ、ウィノアさん。
メルさんも、まさか自室がそんな事になっているだなんて想像の斜め上だったらしく、戻ってからかなり焦ったんだってさ。
そりゃそうだろうね。
部屋の石板をカムフラージュするためにした事が、えらい事になってしまったメルさんの心情は察するに余りある。
で、部屋の主人が戻ってきたのだから、それも未婚の姫の部屋だ、これまでのように気軽…、では無いだろうけど、おいそれと簡単に部屋に入って祈りを捧げるなんて事ができなくなってしまったわけだ。
人間、一旦確保した生活レベルを下げるのは大変なのが普通だ。
今回でいうと、奇跡が起きるような祭壇に毎日お祈りを捧げ、宗教的心の安寧を得ていた信者たちは、その毎日のお祈りを別の場所に戻さなくてはならなくなったんだ。
すると、どうなるか。
そういう不満は、どこかに集まるようになっている。それはどこか、王城なら王様だろう。それと宗教的な事であるから、教会に集まるって仕組みだ。
隠蔽のためのものだから部屋にこっそり、だったはずが、部屋を移るのは無理があるので祭壇を移動させよという話になったらしい。
そこに口を挟むものがいた。教会だ。
どう言ってきたかというと、『奇跡を齎す祭壇を作った聖女』としてメルさんを巫女にしたいんだと。
聖女なのか巫女なのかどっちやねんと俺は聞いていて思ったけど、まぁそれは今はどっちでもいい。
とにかく教会側は、メルさんとその祭壇を寄越せと言ってきたわけだ。
それで現在メルさんとホーラード王族たちがどう返答するか悩んでいるところなんだってさ。
- それって大問題になってない?
「はい、メルさんの部屋に転移しようにも、常に誰かがその祭壇の近くに居りまして、いちいちウィノアにメルさんの部屋の様子を確かめてからでないと、あるいはメルさんにウィノアから転移予定時刻を伝えてもらってからでないと、転移もできず、連絡は専らウィノアに伝言を頼むという事になっているんですよ…」
え、そっち?
- あーいやそれも問題なんだろうけど、メルさん自身が困った事になってるんだよね?
「それは人種の問題ですので…」
あー、そうか精霊さんのスタンスってそうだった…。
- んー…、元はと言えばウィノアさんが原因なんだろうけど、ガラス像を設置するのを黙認しちゃったリンちゃんにもちょっとは責任あるよね?
「そう…、ですね、言われてみれば」
不服そうだなぁ…。
- さらに言うと、あの像を作った僕にも多少の責任はあると思う。
「そんな、タケルさまが責任を感じるような事では、」
- なので、ウィノアさん、メルさんに伝言、それとお願い。
『はい、どうぞ』
胸元の首飾りに呼び掛けるとすぐ返答があった。
やっぱりずっと聞いてたんだろう。
- 教会に祭壇を譲渡する場を設けて、王城側と教会側それぞれ一定数集めてそこで譲渡する事。そしてその場でウィノアさんが水盆から手を出してあの像を回収する事。
『回収してしまうのですか…?』
- そりゃだってその像のせいで困った事になってるんだから、取り上げてしまったほうがいいに決まってるじゃないですか。
『せっかくタケル様に作って頂いたお気に入りの像ですのに…』
- ウィノアさんがそれを出して来なければ、こんな騒ぎになってないんですよ。だからある程度使い走りぐらいして下さい。
『はい…、他ならぬタケル様がそう仰るのでしたら』
- 回収するときに、『諍いの元を断ちます』とでも言って下さいね。文言は相応に変えて下さっても構いませんが、僕の名前を出しちゃダメですよ?
『はい、承りました』
- …はぁ、これで落ち着いてくれればいいんですけどね…。しばらくは様子を見ていてくれますか?、ウィノアさん。
『わかりました』
- リンちゃんも、こういうのは漏らさず伝えてくれると助かるかな…。
「はい、気を付けます」
「ふむ、漸く話が終わったようなのじゃ、タケル様よ、その大きなヒヨコを吾とロミにも紹介するのじゃ」
テンちゃんがソファーのところから、立ち上がって手招きをしている。
- あっはい、ピヨ、ミリィ、行くよ?
「何かな…、お話は終わったかな…?」
テーブルの上に鎮座しているピヨに凭れて眠っていたミリィごと、ひょいっと両手で持ち上げてソファーのほうへ移動した。
途中でふわっとミリィが浮いたので、ピヨを抱っこ状態にした。
後ろからリンちゃん、ファーさん、ベニさんもついてきたけど。
- そっちは終わったんですか?
「ふふん、吾の3戦全勝なのじゃ」
「悔しいわ、でもテン様が相手なんだもの、仕方ないわ…」
疲れた様子でソファーに深く座り直し、だけど苦笑気味に微笑んでいるロミさん。
- さすがテンちゃん。ところでピヨの事、テンちゃんに紹介してなかったっけ?
「居たのは知っておるのじゃ、しかしあの時はいろいろあって有耶無耶になっておったのじゃ、ロミにピヨとミリィを紹介するのじゃからついでで良いのじゃ」
- そうだったんだ、ごめんね、あの時って川小屋でカエデさんも居たし、何かと慌しかったっけね。
「良いのじゃ、とにかくそちら側へ座るのじゃ」
あれ?、珍しく隣に座れって言わないな、と不思議に思いながらもロミさんの隣に腰かけた。
あ、お水を汲んでからにすれば良かったかな、と給水器をちらっと見たので察してくれたのか、そちら側にいたファーさんが言った。
「旦那様お水はいかがですか?」
気が利くじゃないか。と思い、気軽に返した。
- あ、ありがとう、もらえる?
「えへへ、そうだと思いましたですよ。ところでこれはどうすればいいのです?」
がくっとした。
次話4-064は2021年06月11日(金)の予定です。
(作者注釈)
※ メルの部屋に石板を設置した事情については、4章030話を参照です。
20210604:気になったので変更。 大き目のもので ⇒ 大きさがあり
衍字削除。 居た男女が居た ⇒ 男女が居た
助詞補完。 シャツ襟元 ⇒ シャツの襟元
20210609:妙な文章だったので訂正。なぜこんなのを見落としたのか…orz
(訂正前)部屋を整えるする女官や侍女たちはメルの部屋に
(訂正後)部屋を整えたりする女官や侍女たちはその部屋に
もうひとつ。こちらはタケル視点の呼び方と、ルビを振った修正。
(訂正前)気をよくしたウィノアが
(訂正後)気をよくしたウィノアさんが
20210830:複数訂正。内容には影響しませんが。
リリーが伝票をトレイに乗せて見せてきた時の描写に追加。
その直後の平文に追加。
言われてを見ると、 ⇒ 言われてそちらを見ると、
ロミから例えばと問われた時の、タケルの発言前にちょいと1文を追加。
ロミの発言に助詞を追加。 普通そんな ⇒ 普通はそんな
ファーの発言に助詞を追加。 何もかも吹き飛ばす ⇒ 何もかもを吹き飛ばす
ファーの発言に対するピヨとミリィの反応に追加。
●今回の登場人物・固有名詞
お風呂:
なぜか本作品によく登場する。
あくまで日常のワンシーン。
また入浴無し。
タケル:
本編の主人公。12人の勇者のひとり。
いろいろ大変ですね。ほんとに。
リンちゃん:
光の精霊。
リーノムルクシア=ルミノ#&%$。
アリシアの娘。タケルに仕えている。
いろいろ抱えてこちらも大変。
テンちゃん:
闇の精霊。
テーネブリシア=ヌールム#&%$。
後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。
リンの姉。年の差がものっそい。
さすがですね。
ウィノアさん:
水の精霊。
ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。
一にして全、全にして一、という特殊な存在。
今回はセリフあり。
タケルがどう思っているかがよくわかる回ですね。
アリシアさん:
光の精霊の長。
全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊。
だいたい名前くらいしか登場しませんが一応。
森の家の精霊さんたち:
モモを筆頭に、ミドリ、アオ、ベニの4名は幹部らしい。
ミルクは隣に建てられた燻製小屋という名前の食品工場の作業管理責任者。
ブランはそこで働く精霊さんたちのための寮の管理責任者。
キュイヴは演劇関係施設と演劇関係の管理責任者。
モモ、ミドリ、アオは名前だけ登場。
ベニは普通に登場してますね。
寮の子たち:
タケルの家とされている『森の家』その隣の、
燻製小屋という名前の食品工場に勤める精霊さんたちの事。
寮生活をしているが、自由時間は結構多いので生活を楽しんでいるようです。
これでも光の精霊さんですから、
普通の人種とは比較にならない魔力量があります。
これまで名前が登場したのはアーコなど数名ですが、
寮には200人ほど居ます。80名ほど増えたそうです。
16班Aグループ:
マリー、リリー、ケリー、ノーラの4名で構成されている。
作業人数単位のほか、実は寮の部屋単位でもある。
マリー:
明るい印象の娘。結構しっかり者。
この4名、16班Aのまとめ役。
リリー:
清楚で大人しい印象だけど、言う時は言う子。
ケリー:
ノーラとは幼馴染で、同じく行政庁通りにある店の娘。
積極的な性格。調子に乗りやすい。
ノーラ:
里の行政庁通りにある魔法用具店の娘。
ケリーとは幼馴染。性格はおとなしめ。
カーラ:
4章038話に名前だけちらっと登場した。
実はケリーとはライバル店の娘同士だったりする。
別の班のまとめ役。
ハルトさん:
12人の勇者のひとり。現在最古参。
勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。
ハムラーデル王国所属。
およそ100年前にこの世界に転移してきた。
『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。
今回名前だけ。
カエデさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号10番。シノハラ=カエデ。
この世界に転移してきて勇者生活に馴染めず心が壊れそうだったが、
ハルトに救われて以来、彼の元で何とか戦えるようになった。
勇者歴30年だが、気持ちが若い。
でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。
お使いで走ってます。
ハルトもですが、そのうち出て来るのでここに残しています。
今回名前だけ。
ロミさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。
現存する勇者たちの中で、3番目に古参。
現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。
実は将棋のようなものは得意。
今回は覚えたてという事もあるが、相手が悪い。
クリスさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号5番。クリス=スミノフ。
現存する勇者たちの中で、4番目に古参。
現在快復ターン中。
今回登場せず。
アリースオム皇国:
カルスト地形、石灰岩、そして温泉。
白と灰の地なんて言われてますね。
資源的にはどうなんですかね?
でも結構進んでる国らしい。
勇者ロミが治めている国。
クロマルさん:
闇の眷属。テンのしもべ。
試作品零号らしい。
カンカンうるさい。
テンのポケットに、カッティングが複雑で綺麗な石に宿っている。
今回も出番無し。
ファーさん:
ゼファーリィ=ヴェントス#$%&。
風の精霊。
相変わらずの早口。
有能でポンコツという稀有な素材。
精霊らしさを見せ、有能さを見せたと思ったらやっぱりw
カズさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号6番。サワダ=ヨシカズ。
ロスタニア所属らしい。今の所。
体育会系(笑)。
性格は真面目。
出発しましたね、これでしばらくは登場予定無し。のはず。
※ 作者補足
この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、
あとがきの欄に記入しています。
本文の文字数にはカウントされていません。
あと、作者のコメント的な紹介があったり、
手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には
無関係だったりすることもあります。
ご注意ください。