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4ー062 ~ クリスの様子・カズの復活

 『勇者の宿』に入る直前に、筋向いの店からぞろぞろと出てきた『勇者隊』のひとたちに気付いた。雰囲気から判断しなくても看板と暖簾(のれん)でそこが飲食店だとわかった。どうやら昼食を摂っていたようだ。


 そんなとこに飲食店なんてあったっけ?、と思ったが、それよりもその店の名前、『勇者食堂』って何なんだよ…。


 向こうも俺に気付いたようで、その気付いたひとから順にお店の出入口の両側に分かれ、さっと姿勢を正して敬礼された。

 予想してなかったわけじゃないけどちょっと驚いたので、『こんにちわ、あの、どうか楽にして下さい』と言いながら両手のジェスチャーをして歩み寄った。


 「おっ、何事かと思ったらタックじゃねぇか。使者が来るにはだいぶ早いがどうした?」


 最後に出てきた見覚えのある兵士さんが俺を見るなり言う。


 「た、隊長、」

 「あ?、いいんだよ、本人がいいって言ってんだから」

 「しかし…」


- あ、気にしないで普通に話して下さいって僕が頼んだんですよ。


 「ほらな」


 得意げに言う隊長さん。えっと、確かグリーンさんだったっけ?


 「それでタックも昼飯か?、ここは最近できたんだけどよ、結構美味いぞ?、別嬪(べっぴん)さん揃いだしよ、ははは」


- そうなんですか、僕は昼食は済ませちゃったんでまた今度食べに来ます。


 「そりゃ残念だな、言っとくが中の()に手出しは厳禁だぞ?、縛られて放り出されて出入り禁止になっちまうからな!、あっはっは」


 そうだろうね、たぶん飲食してるうちの何名か、それと給仕だろうか、そんな動きをしてる寮の子が居るのが魔力感知でわかったからね。普通の兵士さんレベルが束になっても敵わないだろう。給仕の子たち、何か腰にロープの束みたいなの装備してるし。


 「隊長…」

 「っと、そうだな。ここで話してると邪魔になっちまう、悪いなタック、話あるならあっちで聞くから来てくれるか?」


- あっはい。


 勇者隊の兵士さんたちが入り口に並んでるのを見て、お店に近寄ろうかどうしようかって躊躇(ためら)っている数人をちらっと見て、移動しながら言うグリーンさんに続いてぞろぞろと皆さんが移動を始めた。

 俺もそれに続いた。もともと『勇者の宿』に行くつもりだったからね。






 「それで、どうした?」


 入れ替わりに4名が『勇者の宿』から出て行って、1Fの待機スペースの所で各々が席に着き、俺もグリンさんの向かいに座ると彼が言った。クリスさんの剣は席の横に立てかけた。

 あ、そうそう、その交代のときに『グリン隊長』って聞こえたんで、グリーンさんじゃなくてグリンさんだったって思い出した。惜しい。


- 先日、クリスさんが帰還したと思うんですが…。


 と、壁の上の方に取り付けられている石板のところを見上げながら言うと、彼も釣られるように見上げながらすぐに答えが返ってきた。


 「ありゃあ俺が今まで見た中じゃあ一番酷かったな」


 に始まり、


 「怪我が酷いんじゃなくてな、いや驚いたの何の、餓え死にした(ヤツ)でもあんな風にはならんだろうってぐらい骨と皮で、肉なんてほとんどついて無かったんだぞ?」


 と、続き、


 「それも皮だってかさかさでよ、触ったらぼろっと崩れそうだったんで怖くて触れねぇ。仕方ねぇから布だけでもかけといてやろうって思ったんだけど、それもできねぇ。とにかく最初は何もできねぇで様子見るしか無かったんだ」


 ここで宿のひとが木製のジョッキと豆の乗ったお皿を持ってきたので一時中断。

 俺の前にもそのジョッキが置かれたので、一応手にとって匂いを嗅いでみたが水のようだった。

 だよね、前にも水だって聞いた気がするし、ここで待機してるのも任務だって言ってたからお酒なわけが無い。

 グリンさんもそのジョッキを口元に持って行き、口を湿らせてから話を再開した。


 「それがどうよ、たった1日でよ、腹んとこや手足に肉がついてきてたんだよ」


- そりゃ凄いですね…。


 驚きの回復力だ。

 と言うか今回のクリスさんの場合は復元力と言ったほうがいいかも知れない。元がミイラみたいなもんだったからね。


 「おぅよ、曲げたら折れんじゃねぇかって怖くて服着せらんなかったのによぉ、まだ着せちゃいねぇけどな、もうちょっと様子見ねぇとよ…」


 そりゃ怖い。ぽろっと取れちゃったら怖いなんてもんじゃないしなぁ…。

 ほんっと、兜の面頬を上げたときは俺も声を上げそうになったぐらい驚いたよ。よくまぁこんな状態で生きてるのかって。目なんて開けられないみたいだったし、唇はかさかさで割れてたし…。


 「そんで今朝よ、ちょっと腕んとこに触れてみたら弾力があったんで、やっと布を掛けるぐらいなら大丈夫だろうって状態になったんだ。それでもまだがりっがりだけどな、あの様子だと2・3日すりゃあ服を着せられそうだが、目覚めるまでにゃまだまだかかりそうだな」


- そうですか…、あ、これクリスさんの剣なんですが、こちらで預かってもらえますか?


 と、横に立てかけていた剣を渡した。


 「お?、勇者クリスの剣…?、ってーと、嵐の剣か!」


 そうグリンさんが言った途端、部屋の雰囲気がざわっとなって視線が集まった。と言っても他には5名しか居ないんだけども。一瞬何だと思ったけど、思えばこの剣って国宝級だもんな、そりゃそういう反応にもなるだろうと納得した。


- はい、そうです。クリスさんが復活したらすぐに渡してあげて欲しいんですよ。


 「そうか…、だいたいこういうのは所属国が管理するもんなんだがなぁ…、まぁ持って来ちまったもんはしょうがねぇ、預かっとくよ。おい、これ詰所に持ってって厳重に管理しろって伝えてくれ」

 「はっ」


 言われた兵士さんは丁重に剣を受け取ると、カウンターのところで布を貰って大事そうに包み、それを抱えて走って行った。


 「それにしてもどうして勇者クリスの剣をタックが?」


- クリスさんがこっちに飛ばされる直前に会ってたんですよ。


 「なるほど、それで剣が残っちまったって事か」


 直前に会ってたのは正しい。ウソは言ってない。

 剣については正確には違うんだけど、だいたいそれでいいと思う。


- ええ、そういう感じです。


 と返事をして、クリスさんって何番なのか聞いてなかったなぁと、もう一度石板に目をやった。

 石板の光る石は、5番のところが赤くて、6番が白く、11番が緑色だった。


 それを見ながら尋ねればいいか。


- ところでクリスさんって何番でしたっけ?


 「ん?、何だ知らずに見てたのか?、ははは、今赤い5番がそうだぞ?」


 と、お皿から豆を掴んで口に放り込み、ぼりぼり音を立てて噛み砕き、持ったままのジョッキから水をぐいっと飲んでテーブルにゴンと置いた。

 飲み込むのが早いけど、美味しそうに食べるひとだなぁと、俺も豆をひとつ摘まんで口に入れた。


 …堅い、堅すぎて噛めない…、塩味がついてる。


 「うぉっ、点滅し始めやがった、おい!、6番の担当は誰だ!」


 噛めなくて口の中で転がしてるとグリンさんが叫んだ。

 石板を見るとさっきと違って6番が白くゆっくりと点滅していた。点滅というより明暗を繰り返す感じだった。調光器で遊んでる子供がやってるみたいな感じ。


 「俺です!、取って来ます!」


 さっと立ち上がった体格(がたい)のいい兵士さんが急いで奥へ行った。


 「おぅ!」


 それに返事をしてグリンさんともうひとりが立ち上がり、階段の近くまで行った。


- あの、6番って、


 「勇者カズ様です。ロスタニアで倒れられたそうですが、詳しくは存じません。詰所に行けば資料がありますが、それよりもご本人に尋ねられたほうが良いでしょう」


 近くの兵士さんに尋ねたところそう言われた。


- そういうのって気軽に聞けるもんなんですか?


 俺は直後に訊かれたら答えに困ると思う。あまりいい気はしないだろうし。


 「あ、それもそうですね、勇者様によりますし勇者様同士のご関係次第でした。勇者カズ様とご友誼があれば、あ、失礼な事を申し上げました。お許し下さい」


- あ、いえ、どうか普通に話して下さい。僕はそういうの気にしませんので。


 確かに、同じ勇者でも初対面のそれも後輩に、挨拶したあといきなり何で倒れたか、どんな失敗だったかなんて訊かれたく無いだろうね。


 例えばカエデさんだとして、ハルトさんから言われれば反省材料として答えると思う。同じくカエデさんだとして、ネリさんから言われたらたぶん喧嘩になるね。あ、でも話すか微妙なとこだね。


 そんな事を考えていると奥からさっきの兵士さんが革鞘に納まった剣と布袋を持ってきたようだ。グリンさんはカウンターの所で店のひとから小さな革袋を受け取っているところだった。

 ああ、支給品を取りに行ってたんだな。それと100ゴールド。


 グリンさんたち3名が階段を上がって行くのを目で追いながら、そう言えば最近お金を使ったりした覚えが無いなぁ、なんて思っていた。


 もう慣れちゃったけど、お金の単位がゴールドだから、最初は金貨かって勘違いしたもんだ。たった1年足らずだけど何だか懐かしい。


 あれ?、そういえば俺がラスヤータ大陸で爆発に巻き込まれてここに飛ばされ、復帰した時の100ゴールドってどうしたっけ?

 布袋に入ってたのは、今着てるのと同じ精霊さん仕様の服だし、剣をもらった記憶も無いな…、まぁあの時はリンちゃんが居たんだから入れ替えたりしたんだろう。


 そう考えると俺ってやっぱり、かなり恵まれてるよなぁ…。

 リンちゃんたち精霊さん様様(さまさま)だ。


- あれ?、なんで3人?、いつもひとりだけだったような…。


 いつも、なんて言うほど倒れて無いけどね。


 「お部屋に入るのは1人ですが、扉の外に2人、待機するんですよ」


 独り言のように呟いたのが聞こえたんだろう、さっき答えてくれた兵士さんが言った。


- そうだったんですね。


 意外と知らない事が多いなと思った。






 しばらく塩味もしなくなった豆を口の中で転がしていると、まずグリンさんたち3人、ぞろぞろと階段を降りてきてそれぞれ席に着いた。


 「おお、何だタック、まだ居たのか」


- はい。折角なので挨拶しておこうかなって。


 「ははは、それもそうだな、(じき)に降りてくるだろう」


 そりゃだって、『ついさっきまで勇者タックが居た』なんてカズさんに言われたら、まるで俺が会いたくないから逃げたみたいに取られかねないじゃないか。

 急ぎの用事でもあるならともかく、それぐらいは待つって。


 でも一応聞いておこうかな。


- カズさんはどんな様子でした?


 「ん?、ああ、おい」


 グリンさんは豆を取ろうとした手をぴたっと止めて後ろを振り向き、さっきカズさんの担当だと言った兵士さんに手で合図をした。


 「はい?」

 「勇者カズさんがどんな様子だったかってタックがきいてる。お前から言ってくれ」

 「はい。特におかしな点はありませんでしたが…、そうですね、一緒に落ちた兵の事を気にかけておられるようでした」

 「そうか…」

 「あとはロスタニア国境とティルラ国境の状況を尋ねられましたので、こちらには詳しい事までは伝わってはいませんが、安全になったらしいですよと答えておきました」

 「その話ならこのタックのほうが俺たちより詳しいだろうな、ははは、何せ立役者だ」

 「ははは、そうですね」


- いやちょっとやめて下さいよ、立役者とか、


 「しかしそう伝わってるぞ?」


- ハルトさんやシオリさん、サクラさんやネリさん、それと現地の兵士さんたちが協力してくれたおかげなんですから、あ、挨拶してきます。


 ちょうどカズさんが階段を降りてくるのがわかったので席を立ってカウンターのところに逃げた。


 後ろで何かこそこそ言ってるけど気にしないでおこう。

 こっそり口の中の豆を手に出してポケットに入れた。だって口に物を入れたまま挨拶するのは失礼だろ?


- こんにちわ、初めまして。勇者番号4番、ナカヤマ=タケルです。タケルと呼んでください。


 久しぶりの勇者挨拶な気がする。ロミさん以来かな。

 だんだんとこういう挨拶をする機会も減っていくんだろうね。人数が限られてるし。


 「おお、最後の空席が埋まったのか、勇者番号6番、サワダ=ヨシカズだ。カズと呼ばれているからそう呼んでくれ。悪いが俺は急いでロスタニアに戻らなくてはならないんだ」


 短めのさっぱりとしたスポーツマンのような印象で、がっちりした体格、日焼けした顔。腕まくりをしているのでその腕も日焼けをしていて筋肉質である事が見て取れる。


- そうですか、現在のロスタニア、ティルラ国境の向こう側について多少はお知らせできると思うのですが、お急ぎでしたらお引止めするのも何ですね。道中お気をつけて。


 「ん、何?、そうなのか?、なら腹も減ってるんで食いながら話を聞いてもいいか?、さっき聞いたんだがすぐそこに美味い食堂ができたらしいじゃないか、そこでいいな?」


 と言いながら返事も待たずにつかつかとしっかりした足取りで歩き始め、俺の肩をがしっとすれ違いざまに掴むようにして押すカズさん。


 うわぁ、もろにこれは体育会系ってやつだ。後輩に遠慮が無い。


 「何だお前、全然鍛え方が足りないんじゃないか?、これじゃあすぐ死ぬぞ?、店は…、あれか、分かりやすいな」


 若干引きつつも押されるままさっきの『勇者食堂』に連れ込まれた。

 俺まだ一緒に食事する事に同意してないんだけど…。


 「らっしゃっせー」

 「いらっしゃいませー」

 「いらっしゃいませ~、わー、タケル様♪、来て下さったんですかー、ささ、奥があいてますよ、みんなー!、タケル様が来て下さったわよー!」

 「「わぁぁ」」


- え、ちょ…、


 「何だ…?、常連だったのか?」


 自分の隣からさっと俺が引っ張られて行ったのに目を丸くしながらぽかんとした表情で呟くカズさん。


- い、いえ、初めてですって、わ、ちょ、引っ張らないで。


 確かこの子はケリーだったっけか、前にこの子たちが配達した帰りに偶然出くわして。少し話した覚えがある。


 「ささ、お連れ様もこちらへどうぞ!」

 「どうぞどうぞー」

 「あ、おい」


 俺たちとすれ違いにやってきた給仕服の、えっと、確かリリーとマリーだっけ、そのふたりから両手を取られ、引かれるままに後ろからやってくるカズさん。顔が赤いように見えるんだけど、もしかして女性に免疫が無いタイプか?


 そして一番奥の席に連れて行かれた。意外と広いな、この店。6名は座れるテーブル席だし、長椅子だし…、元の世界のファミレスがこんなだったかなってぐらいの、余裕のあるテーブル席だった。

 そして何故か隣に座って腰でぐいっと押された。ぴったりくっついてくる。仕事はいいのか?


 「あっ、ケリー!、仕事してよ」

 「ちょっとぐらいいいじゃないの」

 「ほら、お水持って来て、最初に案内した子の役目でしょ」

 「はーい…」


 ケリーで合ってた。

 そのケリーさんは、俺の向かいにカズさんを案内したマリー?、リリー?、どっちがどっちかちょっとわからないけど、その子にそう言われてしぶしぶ席を立った。


 「今日のおすすめはステーキですよー」

 「あと、シチューもおすすめです」

 「それと、給仕の子へのお触り厳禁です」

 「でもタケル様なら触っていいですよ♪」


 と、ケリーさんがさっき座ってたスペースにするりと身体を滑り込ませるように座り、俺の腕を抱きしめてぴたっとくっついた。


 「あ、リリーずるい!」


 そう言ってマリーさんだろう、リリーさんの手を引っ張ってどかせた。

 ちょっと展開が早くてどうしていいやらわからん。


 「あははー」

 「もう、何やってんのよふたりとも。仕事しなさいよー」


 お水を持って来て俺とカズさんの前に置くケリーさん。


- あの、何でここで働いてるの?


 「あ、お昼だけですよー、店主は普通のおじさんでいいひとなんですけど、腕はいいのに顔が怖くて愛想が無いとかで、あ、ここあの串焼きチェーンの関係者みたいなんですよ、それで食材とかレシピとか融通するようになったんですけど、お客さんが来ないって悩んでてー、それでお昼だけみんなが交代でお手伝いする事にしたんですー」


- へー…。


 「らっしゃっせー」

 「いらっしゃいませー」


 厨房のほうから声が聞こえた。さっきと同じしわがれたおじさんの声と、若い子の声だった。


 「「いらっしゃいませー」」


 リリーさんとマリーさんが入り口の方に早足で向かった。


 「いらっしゃいませー!、それでタケル様、お連れ様、ご注文どうしましょう?」


 ケリーさんは入り口の方に向かって可愛く叫んでから、こっちににっこりと営業スマイルでそう言った。






 「なぁおい、お前あの子らとどういう関係だ…?」


 結局おすすめのステーキとシチューの両方を注文したカズさんは、しばらく水をちびちび飲んでいたが、木製のジョッキをそっとテーブルに置くと、腕組みをするように両肘をテーブルにつき、身を乗り出して小声で俺に尋ねた。


- どういうって、僕の家の近所に住んでる子たち、ですかね…?


 まさか精霊さんたちですとか言えない。


 「それにしてはやけに懐かれてたじゃないか」


- それはまぁ、以前ちょっと助けた事がありまして、そのせいじゃないでしょうか。


 助けたとは言えないかも知れないけど、職場ができたのが俺のおかげ(せい)だとか言ってたし、そう考えればウソは言ってない。と、思う。


 「そうか、そういう事なら…、……それでお前はどの子が好みなんだ?」


 納得したのかと思ったら少し目を伏せてから、すっと顔を上げてそんな事を言った。顔が赤いんだけど大丈夫かな…、復活直後にカゼひいたとかそんなのは無いと思うけど。


- え?、好みとかは別に…、何でそんな事きくんです?


 「へ?、あ、いや…」


 カズさんは耳まで赤くして身を引いて頭を掻いた。

 え?、まさかこのひと、さっきの3人のうち誰かにひと目惚れか?


- カズさん、もしかして、


 「いや!、いいんだ!、それよりろ、ロスタニアがどうなったか聞くって話だったよな!、いやー暑いな、残暑かな!」


 そう言って片手で扇ぎ、もう片手はシャツの胸元をちょいと持ってぱたぱたとやってる。

 今って冬のはずなんですよ?、カズさん…。


 いくら基礎代謝が高くても、『勇者の宿』のお仕着せシャツとズボン1枚だけの服装では寒いはずなのに…。

 まぁいいか、この手のひとにそういう突っ込みいれるとろくな事にならないだろうからスルーしよう。


- まず、魔物侵略地域って呼ばれてた場所は、現在、バルカル合同開拓地って名称になってまして、ロスタニア、ティルラ、ハムラーデルの3国の共同で開拓と開発の真っ最中です。


 「え?、バルカル…?」


- 合同開拓地です。


 「ま、魔物は…?」


- 周辺の山林などに従来の魔物が出る事があるぐらい、だそうです。


 「ダンジョン…、は?」


- ありません。


 「へ…?」


- あ、もしかしたら島に残っているかも知れませんが、脅威度は低いと思います。


 「まさか俺をかついでいるんじゃ…」


- 先輩勇者にそんなウソ言ってどうするんですか。


 「そうだな…、じゃあ俺は、」

 「お待たせしましたー、ステーキとシチューのお客様ー」


 そこにケリーさんが料理をお盆に載せて持ってきた。

 そして返事を待たずにカズさんの前にそっと置いた。


 「こちら、お熱いですから注意して下さいねー」

 「あ、ああ」


 木皿の上に鉄皿が乗っていて、ステーキがジューと言っていた。

 『森の家』でも食べた事があるステーキの供し方だ、食べる時にミディアムレアぐらいで、だんだん焼け具合が深くなる。鉄皿はただの鉄皿じゃなく、実は魔道具だ。


- カズさん、それどんどん焼けて行きますから、早めに食べ始めて下さい。僕のを待たなくてもいいので。


 「え?、お、おお、そうなのか…」


 そう言って戸惑いつつも肉にナイフを入れた。

 さほど力を入れた様子もなく、すっとナイフが入った。


 おお?、結構いいお肉じゃないか?


 「おお、何だこれ、すごいな…」


 切れ目のところから汁が滴り、鉄皿の上におちてジューと言う音が少し増えた。

 フォークに刺さっている肉を、押し込むように頬張るカズさん。

 ひと口がでかいなぁ…。さすがは体育会系。(※)


 「んんん…!」


 目を見開いている。満足そうだ。良かった。

 その目がだんだんと普通の目になり、そして月が欠けて行くようにすーっと閉じられ、まるで飲み込むのを惜しむかのようにゆっくりと味わっているのが見ていてもわかった。フォークもナイフも持ったまま。


 「美味い…、こんなに美味い肉は初めてだ…」


- 焼け具合が進んでいくので、次のひと口はまた風味が変わりますよ。


 「おお、そうか」

 「お待たせしましたー、タケル様特別仕様、ケリーのラブラブ卵焼きでーす、えへへー、隣、失礼しますね♪」


- え?


 今ラブラブとか聞こえたぞ?


 何か軽いものをとは言ったけど、そんな恥ずかしい名前の料理を注文した覚えは無い。無いったら無い。


 お皿の上にはオムレツが乗っていて、ハートが赤い、これケチャップか?、あったのかケチャップ、それで可愛く描かれていた。


 「この赤いのはえーっと、タケル様がトマトソースって言ってたものを再現したものらしいです。こういう時赤いのってきれいですよねー」


 あー、あれか、ピザの時に作ったやつか。

 実はあの時ちょっと失敗して水が少なかったんだよなぁ、許容範囲ではあったんだけどね。なのに好評だった。

 まぁ、味が濃いほうが良かったんだろうね。俺はもっと酸味があって薄味のほうが好きなんだけども。でもチーズじゃないけどチーズっぽい何かの風味と合ってたからあれはあれで美味しかったのは認める。

 ちなみに野菜の名前は知らない。だってみんな違う名前を言うんだもんなぁ、いちいち全部覚えられないって。


 と、思い出しているとケリーさんがスプーンを手にして、ケチャップじゃなかった、トマトソースのハートマークをスプーンの底で伸ばして塗り、細長いレモン型だった真ん中の横からスプーンでひと口分すくった。


 「はい、タケル様、あーん♪」


- え?、いやちょっと何で?


 ほら、向かいでカズさんが目を丸くして動きを止めてるじゃないか。


 「タケル様だけのサービスなんですよぉ、ラブラブって言ったじゃないですかー」

 「あーっ!、ケリー何してんのよ!」

 「え?、あっ!、ずるい!」


 たぶんマリーさんだろう、気づいてこっちに来るのを見て何事かと追いかけてきたリリーさんのふたり。


 「いいじゃない、だんだんお客さん減ってるんだしー」


 と言って手に持ったスプーンをぱくっと口に入れた。

 え?、いやそれ俺のじゃなかったのか?、何で食べたよ…、いいけどさ…。


 「良くないわよ、ケリーがタケル様を困らせてるって寮の掲示板に書くわよ?」


 マリーさんだと思うけど、腰に手を当ててケリーさんを叱っている。斜め後ろでリリーさんも同じポーズだ。こちらは頬を膨らませてる。微笑ましい。


 「え、それ困るー」

 「でしょ?、ベニさんやモモさんならまだしも、リン様が知ったらどうなると思う?」

 「ど、どうなる、かな…?」

 「外出禁止ならまだいいほうかもよ?」

 「えー…」

 「えーじゃないの、ほら立って、タケル様、お騒がせしました。その卵焼きはサービスです。ノーラが頑張って作ったものですからあとで感想なんか伝えて頂けると喜びます。お連れ様もお騒がせしたことをお詫びします、あとで飲み物をお持ちしますのでごゆっくりどうぞ」


- うん、はい…。


 どうでもいいけど、スプーンは置いて行って欲しかった。






 それから1分ほどでマリーさんがスプーンとドリンクを持ってきた。『ケリーが済みません』と謝ってたけど、気にしないように言っておいた。


 ついでに少し話も聞いた。

 それでやっとマリーさんとリリーさんの区別がついた。髪色がオレンジに近くて鳶色の目がくりっとしているのがマリーさん。並ぶと髪色が少し明るくて色白、目の色が茶色なのがリリーさんだった。合ってて良かった。

 ちなみにケリーさんは黄土色の髪で目が緑色、ノーラさんはクリーム色の髪で目が赤茶色だ。ノーラさんは厨房に立つので頭巾で髪が見えないけどそうらしい。


 で、この店は休日になった子たちのうち、班ごとに担当が回るようになっているようで、4人は16班Aグループなんだそうだ。1班は8名で、それぞれの班にはA・Bのグループがあり、1グループ4名とか。次にここの手伝いをするのは15日後、つまり月に2度しか回って来ないんだそうだ。

 寮の全員が手伝いをするわけじゃないのでそれぐらいの周期になってるとか何とか。


 その間、マリーさんは俺を見て話していたんだけど、向かいのカズさんが呆けた顔でずっとマリーさんを見続けてんのよ。


 そして次は15日後だって聞いたカズさんが肩を落として情けない顔になっていた。


 それで気付いた。

 さっき顔が赤かったのは気のせいじゃ無く、カズさんはマリーさんにひと目惚れしちゃったんだろうと。


 でもなぁ…、これ、気付かないふりをした方がいいんだろうなぁ…。

 だってマリーさんは精霊さんだし…、と言ってもテンちゃんやウィノアさんのような純粋な精霊種ってわけでは無いらしいけどね。

 カズさんは一応勇者だけど、マリーさんが恋愛対象として見れるのかどうか…、うん、まぁ俺があれこれ悩むような事じゃ無いよな。当人同士の問題だし、俺が間に入るのは正直めんどくさい。


 だから知らない、俺は何も知らないぞ、っと。






 マリーさんが去ったあと、しばらく無言で食べていたカズさんだった。冷めかけてしまったシチューも黙々と食べ、俺は気付かないふりをし続けて、同じように黙って冷めた卵焼き、これどう見てもオムレツなんだけどね、それを食べた。


 そのオムレツだけど、中には味付けられた刻んだ野菜と肉の炒め物が少し入っていて、味のアクセントになっており、冷めても美味しく食べる事ができた。


 ドリンクはオレンジっぽい柑橘類の酸味と香りがついたハーブティ、の、微炭酸バージョンだった。泡生水(ほうじょうすい)だけどね、ここでは。近日中にメニューに載るんだそうだ。


 「…なぁおい…」


- 話の続きをしましょうか。


 「あ、ああ、そうだな…」


 食べ終わってから意を決したかのように、でも自信が無さそうに何かを言いかけたカズさんへ、話が余計な方向に行かないようにきっぱりと言うと、素直に同意してくれて助かった。

 紹介しろとかしつこく言われたら面倒(イヤ)だなって思ってたので、カズさんがそんな性格じゃなくて良かったと心から思う。


- カズさんはロスタニア所属って聞いてますけど、


 と視線で問いかけるように言うと、


 「ああ、今の所はそのつもりだ」


 と同意したので続ける。


- 現在、シオリさんが用事でホーラードの王都アッチダへ行ってるんですよ。いつ戻るかは詳しく聞いてませんが、今からアッチダへ向かっても入れ違いになる可能性がありますので、カズさんはロスタニアの国境防衛拠点へ向かうほうがいいでしょう。


 「そうか…、シオリ様が防衛拠点を離れても大丈夫なぐらい、安全になったんだな」


- そういう事です。それでですね、この地図が元魔物侵略地域の全域なんですが、


 そう言いながらポーチから取り出した地図をテーブルに広げてカズさんが見やすいように北側を俺の方に向けた。


 「え?、こんな地図が?」


- まぁこの地図は少し前のものなので、現在はもっと開発が進んでいたり橋が架かっていたり、村ができていたりするみたいなので、これとはだいぶ違っていると思いますけど、道や位置関係はだいたいこれで見れますので、これで説明しますね。


 「あ、ああ」


- こちらから向かうなら、このティルラ国境の元第1防衛拠点へと向かい、あ、ここまでの道順はわかりますよね?、街道に沿って行くだけらしいですけど。


 「ああ、わかると思う」


- それは良かった。ここからこの道を通って、ロスタニア国境防衛拠点のほうまで街道が作られるらしいので、それを通れば山越えの道を通らずに行けます。


 魔物侵略地域だった頃は、ティルラからロスタニアの拠点へ行くにはぐるーっと遠回りをして、山越えの細い街道を通らなくちゃならなかったらしい。

 ティルラから連絡隊が向かったのもその道なんだそうだ。だから日数が掛かってたわけだね。


 「これは助かるな…」


- そして、ここに『川小屋』って呼んでますけど、勇者たちが使ってる家があるんですよ。


 「勇者たち?」


- はい、現在はシオリさんとサクラさん、あとはネリさんですね。その3名が使ってます。


 「おお、そうなのか」


- それでですね、あとでこの家に入れる装備をお渡ししますけど、行く途中でサクラさんかネリさんにでも、最新の情報を聞いておいたほうがいいんじゃないかって思うんですよ。


 「なるほど、それはそうだな。いきなりロスタニアに戻るよりも、途中で詳しい情報が聞けるのならそのほうがいいだろう。シオリ様が居ないのならサクラ先輩やネリ先輩にも挨拶しておきたいしな」


- ちなみに、おふたりに会った事は?


 「ない」


- そうですか、んー、だったらいきなり入ったらびっくりするでしょうし…。


 「もちろんそんな無礼な真似はしないぞ?、ちゃんと外で待つから大丈夫だ」


- そうですか?、あ、似顔絵を描いてもいいですか?


 「似顔絵?、俺のか?」


- はい。


 ポーチから羊皮紙を取り出して両手で持ち、カズさんを見ながら焼き付けた。


 「お前そんな特技があるのか?、上手く描いてくれるなら構わないが、それをどうするんだ?、まさか俺に持って行けとか言わないだろうな?」


- 別経路で送るんですよ、こんな感じですけどこれでいいですか?


 焼き付けた羊皮紙をくるっとひっくり返して見せた。


 「え!?、おま、ちょ、何だそりゃ、どうなってんだ、何かの手品か?、まるで写真じゃないか!」


- 見たままを焼き付けただけです。問題無いならそれを送っておきますのであちらで驚かれる事はないと思います。


 「も、問題だらけじゃないか…」


- え、まずかったですか?、その絵。どこか直します?


 「いやそうじゃなくてだな…、はぁ、それでいい。送るというなら俺が着くより早いんだろう?」


- はい。それは保証します。


 「そうか…、なら俺はそろそろ行かないとな、一旦ツギの街へ寄らなくては路銀も無いし装備も心許ないからな、午後の馬車に間に合わないと途中で日が暮れてしまう」


- あ、そうなんですか、じゃあ急いで『川小屋』に入れる装備を持ってきますので、数分だけ待っててもらえますか?


 「ん?、なら西門近くの馬車の乗り口で待っててもいいか?」


- あ、そうですね、それでお願いします、じゃ、急いで行ってきます。


 「あ、待て、ここのお代はどうすれば?」


- 後で僕が払います、って言っておきます。あ、その地図は持ってって下さい。


 返事を待たずに席を立ち、途中でリリーさんにお代の話をして急いで店を出た。


 そのまま裏手まで回って飛び立ち、一路、『森の家』まで飛んだ。






●○●○●○●






 『森の家』の庭に降り立つと、中に居たリンちゃんがリビングの出入口を開けてくれた。


- ただいま。ちょうど良かった。リンちゃん、『川小屋』に入れるペンダントか何かある?


 「はい、ありますけど、何方かに許可が必要なんですか?」


- うん、勇者カズさんっていうひとがね、ロスタニアに戻る途中で『川小屋』に寄って、サクラさんたちから近況を聞きたいって。


 「そうですか?、タケルさまがそう仰るのでしたら異論はありませんけど、現在あそこにはピヨやミリィが居ますよね?、どうなさるんです?」


- あ…、忘れてた。


 「はぁ…、忘れてたじゃないですよ、んー、そのへんの説明もサクラさんたちに丸投げって事ですよね?、大丈夫なんですか?」


- あ、このひとなんだけどね、


 と、さっきの似顔絵をポーチから取り出して渡した。


- シオリさんは会った事があるみたいなんだけど、サクラさんやネリさんとは会った事が無いみたいで、この似顔絵を渡して伝えてくれないかなって。


 「んー…、お急ぎなんですか?」


- 今は急いでるけど、それは午後の馬車が出るからで…、カズさんが到着するまでには何日か掛かりそう。


 「でしたら、今はとりあえずこのペンダントを渡しておいて下さい。それを肌身離さず着けていれば入れます。外すと強制的に排除されますのでそこは注意して下さいね?」


 リンちゃんがエプロンのポケットからするっと取り出した、見慣れたペンダントを受け取った。

 しかし強制排除とはまた恐ろしいな。


- うん、わかった。伝えとくよ。


 「本来なら、登録後にはそれを回収するんですけど…、決して無くさないようにと、念を押して下さいね?、それと、そのペンダントの有効期間は30日です。有効期間を超えますと使えなくなります」


- え、そなの?、30日あれば大丈夫だとは思うけど…。


 「川小屋に入れなくなるだけですから」


- まぁしょうがないか。じゃあそう伝えるよ。ありがとう。


 「礼には及びませんよ、タケルさま」


 にこっと微笑むリンちゃんに軽く手を挙げて、カズさんのもとに向かった。






次話4-063は2021年06月04日(金)の予定です。


(作者注釈)

 ※ 「さすがは体育会系」というのはあくまで主人公タケルの意見です。

   作者の意見ではありません。ありませんからね?




●今回の登場人物・固有名詞


 お風呂:

   なぜか本作品によく登場する。

   あくまで日常のワンシーン。

   また入浴無し。


 タケル:

   本編の主人公。12人の勇者のひとり。

   余計な事は言わない主義?

   まぁだいたい首を突っ込んでも苦労するだけだよね。


 リンちゃん:

   光の精霊。

   リーノムルクシア=ルミノ#&%$。

   アリシアの娘。タケルに仕えている。

   最後にちょっとだけ登場。


 テンちゃん:

   闇の精霊。

   テーネブリシア=ヌールム#&%$。

   後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。

   リンの姉。年の差がものっそい。

   今回出番無し。


 ウィノアさん:

   水の精霊。

   ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。

   一にして全、全にして一、という特殊な存在。

   今回も登場せず。名前のみ。


 アリシアさん:

   光の精霊の長。

   全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊(ひと)

   だいたい名前くらいしか登場しませんが一応。


 森の家の精霊さんたち:

   モモを筆頭に、ミドリ、アオ、ベニの4名は幹部らしい。

   ミルクは隣に建てられた燻製小屋という名前の食品工場の作業管理責任者。

   ブランはそこで働く精霊さんたちのための寮の管理責任者。

   キュイヴは演劇関係施設と演劇関係の管理責任者。

   モモとベニは名前だけ登場。


 寮の子たち:

   タケルの家とされている『森の家』その隣の、

   燻製小屋という名前の食品工場に勤める精霊さんたちの事。

   寮生活をしているが、自由時間は結構多いので生活を楽しんでいるようです。

   これでも光の精霊さんですから、

   普通の人種(ひとしゅ)とは比較にならない魔力量があります。

   これまで名前が登場したのはアーコなど数名ですが、

   寮には200人ほど居ます。80名ほど増えたそうです。


 16班Aグループ:

   マリー、リリー、ケリー、ノーラの4名で構成されている。

   作業人数単位のほか、実は寮の部屋単位でもある。


 マリー:

   明るい印象の娘。結構しっかり者。

   この4名、16班Aのまとめ役。


 リリー:

   清楚で大人しい印象だけど、言う時は言う子。


 ケリー:

   ノーラとは幼馴染で、同じく行政庁通りにある店の娘。

   積極的な性格。調子に乗りやすい。


 ノーラ:

   里の行政庁通りにある魔法用具店の娘。

   ケリーとは幼馴染。性格はおとなしめ。


 ハルトさん:

   12人の勇者のひとり。現在最古参。

   勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。

   ハムラーデル王国所属。

   およそ100年前にこの世界に転移してきた。

   『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。

   今回たとえ話で名前が登場。


 カエデさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号10番。シノハラ=カエデ。

   この世界に転移してきて勇者生活に馴染めず心が壊れそうだったが、

   ハルトに救われて以来、彼の元で何とか戦えるようになった。

   勇者歴30年だが、気持ちが若い。

   でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。

   お使いで走ってます。

   ハルトもですが、そのうち出て来るのでここに残しています。

   今回たとえ話で名前が登場。


 ロミさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。

   現存する勇者たちの中で、3番目に古参。

   現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。

   今回は名前のみの登場。


 クリスさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号5番。クリス=スミノフ。

   現存する勇者たちの中で、4番目に古参。

   現在快復ターン中。

   状況説明で登場。


 アリースオム皇国:

   カルスト地形、石灰岩、そして温泉。

   白と灰の地なんて言われてますね。

   資源的にはどうなんですかね?

   でも結構進んでる国らしい。

   勇者ロミが治めている国。


 クロマル(ゼロ)さん:

   闇の眷属。テンのしもべ。

   試作品零号らしい。

   カンカンうるさい。

   テンのポケットに、カッティングが複雑で綺麗な石に宿っている。

   今回出番無し。


 ファーさん:

   ゼファーリィ=ヴェントス#$%&。

   風の精霊。

   相変わらずの早口。

   有能でポンコツという稀有な素材。

   今回出番無し。


 トールさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号11番。ミサキ=トオル。

   番号のみの登場。


 カズさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号6番。サワダ=ヨシカズ。

   ロスタニア所属らしい。今の所。

   体育会系(笑)。

   実際のところそれで合っているが、

   タケルの考える体育会系というイメージには偏見がある。


 バルカル合同開拓地:

   解説は本文参照。4章001話がおすすめ。

   旧名は『魔物侵略地域』

   さらに(さかのぼ)ると、

   南北それぞれがバルドス・バルデシア地域と呼ばれていた。


 カルバス川:

   同じく本文参照。4章001話がおすすめ。


 ホーラード:

   国の名前。ホーラード王国。

   『勇者の宿』が国の南西の端にある。

   魔物侵略地域には隣接していない。

   その王都はアッチダという。


 ティルラ:

   国の名前。ティルラ王国。

   魔物侵略地域の東に隣接している。

   ちなみに王都はケルタゴという。


 ハムラーデル:

   国の名前。ハムラーデル王国。

   魔物侵略地域の南に隣接しており、山岳地帯に国境がある。

   2つの山地の間にあった街道を防衛線としていた。

   ちなみに王都はアンデルスと言う。


 ロスタニア:

   国の名前。

   魔物侵略地域の北に隣接している。

   そちらは万年雪山脈と呼ばれる高い山々が自然の要害となっており、

   北東方向にロスタニア首都方面へ向かう街道があるため、

   その扇状地のような地形部分を国境防衛線としていた。

   1年の半分が寒いらしい。

   ちなみに王都はシヴァツクと言う。



 ※ 作者補足

   この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、

   あとがきの欄に記入しています。

   本文の文字数にはカウントされていません。

   あと、作者のコメント的な紹介があったり、

   手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には

   無関係だったりすることもあります。

   ご注意ください。


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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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