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4ー055 ~ ベルクザバへ

 ヒースなんとかさんが話してくれた所によると、竜神教はかなり強引に、ほぼ改革と言ってもいいような事にあれこれと口を出し、推し進めているんだそうだ。


 そういや昨日、竜神教が国内で勢いづいて、あれこれ口出しをし始めたと言ってたように思う。


 伝統や慣例を無視して竜神の威光と威容を背景に、巫女だけが聞くことのできる『お言葉』によって、だ。


 ヒースなんとかさん――もう面倒なので『おひい様』と呼ばれてるようだし、俺もおひいさんって呼ぼうかな――は、それが胡散(うさん)臭いと言っていたけど、魔法的な氷漬けになってるドラゴンみたいなでっかい竜が巫女にだけ話すなんて、本当かどうかわからないし俺も胡散(うさん)臭いと思う。


 そのおひいさんの隣のクラリエさんは、暗い表情でいくつか補足説明してくれていた。

 そのご神体の事や、どういう仕組みなのか全くわからない設置型の大きな魔道具の事、他の宗教への嫌がらせめいた施策が始まった事、などなど。


 そんな魔道具、もう光の精霊さんの遺物でしょうよ。

 ここじゃ言わないけども。


 なら、あとでリンちゃん経由で古参の方々に尋ねてもらうか、テンちゃんが知ってたら話を聞いてみようか。


 それによっては竜神教を失脚させ、何もかもそれのせいにしてしまう事ができれば、このヒースなんとかさんは助かる可能性が見えてくる。


 そういう事を軽く(ほの)めかすと、話し手のクラリエさんの表情が何だか活気が出たと言うか、目に光が戻ったような雰囲気になり、饒舌(じょうぜつ)になった。


 そうそう、クラリエさんの父親が現在のクレイオール家当主なんだそうだけど、そのひとが竜神教に傾倒しちゃって、光闇教で位が上の方であるクラリエさんを何かと呼び出していろいろうるさかったんだそうだ。


 彼女は別に家を継げる立場じゃないし、兄も弟も居る。魔導師の才能があったので、どうせ政略結婚させられて先方の家に縛り付けられる運命ならと、魔導師への道に進んだ時に継承権を放棄し、家を出たんだそうだ。


 ついでに話してくれたのは、名前に『ノル』がついているのは継承権を放棄したという意味らしい。これがついているひとは通常、独立したと見做されるもので、実家と距離を置き、互いに良い意味でも悪い意味でも(るい)を及ぼさないんだと。

 まぁそれでも親子や兄弟の情ってもんはあるから、実家との付き合いが完全に消えてしまうわけではないんだろう。


 と、思ったんだが饒舌になったクラリエさんは、『立場上、断れませんので』とか、『あの優しかった兄までが』とか、実家からの呼び出しに関して辟易(へきえき)している様子で、すごく嫌そうに言っていた。


 ま、まぁほら、ひとそれぞれご家庭の事情とかあるからね。

 でもそういう愚痴を、俺に言われてもなぁ…。


 合間に竜神教の話が混ざってるせいで、まるっきり無視するわけにも行かないし、正直たまらん。


 頼むから要点だけ話して欲しい。クラリエさんの実家の内情なんてどうでもいいので。


 と、言えたらなぁ…。






 その話の中で、ボーセイド王国についても少し触れていた。


 頻度は少ないが、ゴーンザン王国が海岸線伝いに船で交易をしている事。

 ゴーンザン王国では竜神教と海神教の2つで国民の9割を占めているとか。

 残りは土着の民間伝承のようなもので火の神を崇める宗教、それと、ベルクザン側から伝わった精霊信仰が形を変えた、水神を(まつ)るものなんだそうだ。


 そこらへんは実は吸収合併のような形になっていたりもして、竜神とやらは水を司っていたり火を司っていたりと、竜神も一柱(ひとはしら)では無いんだと。ややこしい。


 まぁこのへんの話は軽く触れた程度だったし、俺も今のところは詳しく知りたいわけではない。


 竜神教という宗教は、ボーセイド側から伝来したという説が有力だけど、ベルクザンの竜神教というか主教を名乗る人物はそれを否定しているんだそうだ。


 とにかくだいたい理解したのは、竜神教は結構古くからあるが、各国で少しずつ異なっているんだって事。それぞれ同じ名称だけど、独立までは行かないにせよ別物と考えても良さそうだ。


 それで、今回ベルクザンの竜神教は、いままで立場としては弱かったのが、ご神体が神殿地下深くに見つかったので、ゴーンザンの竜神教を凌ぐほどの勢いが付き始めたらしい。


 そしてゴーンザンから竜神教関係者が続々とベルクザンに入り込んできて活動が活発化し、国内での勢力もそれによって拡大し、国の上層部に食い込んできたため、増々図にのっているとの事だ。


 そりゃまぁ隣国ゴーンザンがバックについてるみたいなもんだからね、扱いも慎重になるし、上層部も信者としてとりこまれてしまえば国政や軍事に口出しもするようになるってもんだろうね。


 「そういった事の無いように、7代前のベルクザン王は複数の宗教への入信を奨励したのですが…」


 入りやすくしたのが今回は裏目にでちゃったってことか。


 そんなこんなでいろいろと、愚痴がほとんどだったような気がするが、話を聞けたので少し状況もわかってきたし、こちらはこちらで精霊さんたちに確認したい事もできたというわけで、一度戻って検討してみますと言ってその場を後にした。






●○●○●○●






 戻って昼食を食べ、食後のティータイムでそれらの話をした。


 それがさ、食事が終わってリンちゃんが食器類を台所に運んでいる間に、テンちゃんがまずソファーのほうに移動し、ロミさんがなぜかそれに続いたんだよね。そんでリンちゃんが台所から戻ってきて、ソファーのほうにお茶を用意するんだもんよ。


 だから俺もそっちに移動した。椅子が柔らかいほうが寛げるからいいんだけどね。何なんだよ…。


 それでソファーに近づくとぽんぽんと隣を軽く叩いて指示されたのでそこに座った。座ると立っていたリンちゃんがその隣に座った。うん、わかってたよ。


 じっと黙って待たれている雰囲気で、でも視線がちらちらと俺を見てるんだもんなぁ…。つまり午前中に話してきた内容を報告しろって事なんだろうなと思い、話を始めた。

 いいんだけどさ、何だかなぁ…。






 とりあえずは順にと、竜神教のご神体と言われているらしい氷漬けの竜があるという所まで話した。


 「まぁ、見てみたいわぁ♪」


 それに反応をしたのはロミさんだった。


 「だって、大義名分があるのでしょう?、なら堂々と検分できるいい機会じゃなぁい?、長生きしててもそんな珍しい物、見れないんだもの。ねぇ、いいでしょう?」


 大義名分てw

 あるのか?


 それってこっち側からはそうだけど、あちら側は納得するもんじゃないだろうに。


 「竜族に関わりがあるかも知れませんし、あたしも見てみたいですタケルさま。お姉さまもそう思いません?」


 どう答えたもんかと思ってたらリンちゃんが乗っかってきた。


 「え?、あー、そう、じゃな」


 話を振られるとは思って無かったような反応?

 それともまた違う事を考えてたとか?


 「何だか煮え切りませんね、あ、まさかお姉さま心当たりが?」

 「い、いや、そんな事は無いのじゃ」

 「本当ですか?、タケルさまからも何か言って下さい」


- え?、俺?、テンちゃん、何か知ってるなら予備知識として知っておきたいから、教えてくれないかな?


 「…それがその、私が思っている物なのかどうか詳しい事がわからないと何とも言えないのじゃ。済まぬ」


- それもそうだよね。現地でなんとか実物を見てから、って事かな。


 「そうなのじゃ。ここでいろいろ暴露して、もし違っていたら恥ずかしいのじゃ」


 暴露って言っちゃってるけど、いいか。


- んー、まぁテンちゃんがそう言うなら聞かないよ。それでその氷漬けにしている魔導機械というか設備なんだけど、思うに光の精霊さんは確実に関わってるんじゃないかな?


 話が出たついでだし、リンちゃん経由で尋ねてもらおうか。


 「ええ、そうでしょうね、そういう意味でも一度見ておきたいと思ってるんですが…、あ、そうですね、聞いてみます」


 そう言うとリンちゃんは席を立って片手を例の電話らしいジェスチャーの形にして早口で話し始めた。


 前々からちょっと気になってたんだけど、どうしてそのジェスチャーなんだろう。

 いやまぁ通話中だという事がわかりやすいからいいんだけどさ。俺からすると、どうも古いんだよなぁ…、ってかさ、光の精霊さんにそんな有線だのの電話、受話器がでっかい電話器ってあったのか?、謎だなぁ…、別にどうでもいい謎だけど。






 「タケルさま、仰るように我々が関わっている物件のようでした。といってもかなり昔のもので、当時の関係者はもう居ないんだそうです」


- え?、そなの?、居ないって、…その…。


 「タケル様よ」


 言い澱んでいるとテンちゃんが俺の肘のあたりに軽く手を添え、真面目な口調で呼び掛けた。


- はい。


 「純粋に精霊種である(われ)や光の長たるアリシア様と一部の部下たち、他にも水の者や地の者もなのじゃが、寿命というものは無い」


- はい。


 何となくそうなんじゃないかな、ぐらいには思ってたよ。


 「逆に言えばそれ以外の者らには寿命があるという事なのじゃ」

 「長短に相応の差はありますが、(くだん)の物件のように数万年ともなると持ちません。だいたい100年から数百年が普通なんです」


 リンちゃんが言った。思わずリンちゃんがさっきのテンちゃんの発言に居なかった事に気付いてリンちゃんを振り返った。


 「あ、あたしはまだ幼い部類ですし…、その…」

 「リンはちと特殊である故、説明が難しいのじゃ、とりあえず今は置いて置くのじゃ」


 くいくいっとテンちゃんに肘のところを引かれた。


- あっはい。


 「お姉さまに特殊と言われるのは何だか妙な気がします」

 「これ、真面目な話だったのじゃ、茶化(ちゃか)すで無いのじゃ」

 「すみません」

 「では続けるのじゃ」

 「はい。記録によると、当時は――」






 リンちゃんの説明によると、その氷漬けの竜は、大昔、この惑星の環境を整備している時代に地上を闊歩(かっぽ)していた生物のうちの一種なんだと。当時の研究者の1グループがあちこちで標本を採取し研究するという活動をしていたらしくて、それの忘れ物なんだそうだ。

 

 どちらかというと竜族でも魔物でも無く、大型爬虫類のカテゴリーという事らしい。言ってみりゃ恐竜のようなもんか。


 なんだそりゃ…。

 という事は当然そんな爬虫類が人語を話せるはずもないし、理解できるわけが無い。


 つまり、竜神教の巫女はインチキだって事になる。


 タネが割れてしまえば何て事の無い、ほんと、なんだそりゃ、ってオチだ。


 光の精霊さん側としては、当時の研究者たちはもう居ないし、よくまぁそんなのが残っていたものだと通話先の精霊さん(ひと)に感心されたんだってさ。


 で、現地の人種(ひとしゅ)に見つかってしまったなら、回収するにも処理をするにもひと工夫必要となるので、現地周辺から人種(ひとしゅ)を避難させて欲しいとの事。


 いあいあ、無茶を言うなよ…。どないせーと。


 ちなみにその恐竜、氷漬け状態を解けば息を吹き返す可能性は、確率的には低いがあるんだと。しかし当時と現在とでは大気成分の組成が異なるので、万が一息を吹き返してもすぐに死ぬだろうと。


 なので、丸ごと転送してしまってから処理したいんだってさ。それで人払いが必要と。

 そんなのベルクザンの彼女たちに頼めないだろうし…、結局俺たちが行くしか無さそうだ。


- えっと、リンちゃん、


 「はい」


- アリシアさんに、テンちゃんの魔法をさ、神殿区画をすっぽり包む程度の範囲で使用する許可をもらってくれないかな?


 「え!?、タケルさま?」

 「其方、私に何をさせるつもりなのじゃ…」


 両側で肘を引っ張らないでくれないかなぁ、どっち向けばいいんだよ。


- んー、テンちゃんならさ、現地で人払いの結界を張れるでしょ?、それと、中に居る人を追い出すような感じの効果つきで。


 「それはできん事は無いのじゃが…」


 と言いながら背中を丸めてリンちゃんの方を覗き見るテンちゃん。


 「それでしたら魔道具が送られてきますのでそれをお使いください」


 その視線にちらっと目線をやってから俺を見て答えるリンちゃん。


- え?、送られてくるの?


 「はい、先ほどそのように」


- それって僕が断るかもしれないのに?


 「ええ。もしタケルさまがご協力して頂けるのであれば使って下さいとの事でした」


- なるほど…。


 「それでタケルさま」


- うん?


 「お姉さまの使用許可を得て欲しいと仰られたという事は、ご協力して頂けると報告していいのでしょうか?」

 「んん?」


- ああ、テンちゃん何?


 「いあその、私の使用許可というところにちと引っかかっただけなのじゃ」

 「お姉さまを使っていいかというお話でしたので間違ってませんよ?」

 「そう言われてみればそうなのかも知れぬのじゃが…」


 ああ、言い方が悪いんだよリンちゃん…。


- テンちゃんの魔法ね。ちょっと言葉が足りなかったね、リンちゃん。とにかくまぁ協力する事になると思うよ。ついでにトルイザンのひとたちも送り届ければいいかなって思うしさ。


 「わかりました、ではそう伝えますね」


 と言うとまた席を立ち、ソファーの後ろへ回って背中を向け、片手は例の電話のジェスチャーをしたリンちゃん。


 話は終わったというような雰囲気で、俺の腕に軽く手をひっかけていただけだったのに力をちょっと入れて、もたれかかってむにゅっと腕を抱きしめるテンちゃん。それを何となく見る俺。


 「ん?、何じゃ?」


- あ、いや、テンちゃんの出番が無くなったけど、いいのかなって。


 すると、微笑みを深くしてにこーっと笑いながら、抱きしめた腕を揺らした。むにゅむにゅと。そこは素晴らしくて幸せな感触なんだけど、気が散るなぁ…。


 「ふふん、其方は(われ)が活躍するほうが良いのか?、其方がそう望むのなら(われ)は気合をいれて――」

 「気合を入れなくていいですからね、お姉さまはできるだけ大人しくしていてください。事を大きくしないためにもその方が良いんです、とにかく離れて下さい、くっつき過ぎです」


 と、後ろから背もたれ越しに、リンちゃんの両手が俺とテンちゃんの隙間に潜り込んでぐいっと引き離した。

 ソファーの上でころんとひっくり返り、反動で上げた足の片方がテーブルの端にゴンと当たった。あ、痛い場所だそこ。


 「痛たたた、全く馬鹿力なのじゃ、おお痛い、もちっと加減してくれても良さそうなのじゃ…」


 横向けに寝転がって丸まり、向こう(ずね)をさするテンちゃん。

 結構な音がしたもんなぁ、そりゃ痛いだろう。


 「っくふっ…」


 いままで黙っていたロミさんが向かいでついに噴き出した。


 「失礼致しました」


 片手で口元を隠し、笑いを堪えている妙な笑顔のまま、視線が集まったロミさんは言った。


 「ところでタケルさん、私も連れて行ってくれるんですよね?」


 その手を優雅な動きでテーブルにつき、少しだけ身を乗り出すようにして首を少し(かし)げながら笑顔で言う仕草は可愛いんだけど、声にちょっと迫力を感じた。






●○●○●○●






 結局、断れずにロミさんも同行する事になってしまった。

 当然、テンちゃんとリンちゃんも一緒なわけで…、そうするとロミさんが耐えられないからテンちゃんはこの小さい姿のまんまだって事になる。


 すると、だよ。

 仮の小屋で待機してもらっているトルイザンのひとたちは一緒に行けないんだ。


 魔力圧に耐えられないからどのみちテンちゃんが居るとダメなんだけども、テンちゃんが小さい姿を彼女たちには絶対見られたくないんだそうだ。


 そう思うとロミさんがどうのではなく、テンちゃんが一緒な時点でトルイザンのひとたちを連れて行く事はできないのか…。


 そういうわけなので、いつもの飛行魔法テンちゃん式バージョンで飛び、待機してもらっている小屋へ到着。例によって黒い球体のまま浮いててもらい、俺だけが彼女たちの居る小屋に降りて、場所その他を詳しく聞いてくる事になった。


 あ、ロミさんはリンちゃんから外套と靴を渡されて、それを装備してる。

 テンちゃんバージョンの結界から身を護る程度ならそれでいいんだそうだ。


 今回はテンちゃん”式”バージョンなので、装備しなくても大丈夫なんだけど、一応の安全をというリンちゃんからの提案だ。


 ちなみに、俺は気にして無かったんだけど、テンちゃんバージョンの飛行結界が、最初にここに来た時に漆黒と表現されていたのは、周囲に水の精霊ウィノアさんの魔力による霧水の操作がされていたのと、光が上から差し込む形になっていたため、白い背景に浮かぶ影という形で認識されていたからだろうと、ここまで飛んでくる間に説明された。


 一定以下の魔力感知力のひとにとっては、テンちゃんバージョンだろうがテンちゃん式だろうが消えたように感じるのは同じだけど、光を遮ったりしていれば、勘のいいひとならそこに何かがあると感じるかも知れないらしい。


 ややこしいが、観察者や環境などの条件によって、見え方が変わるという事なんだろう。






 「竜神神殿の場所でございますか…、お預けしております鞄に地図があるのですが、生憎と手元にはございませんので…」


 小屋の前で声をかけ、中で尋ねるとそう言われた。恐縮しているのが手に取るようにわかる。


- あ、だいたいの特徴とか、おおよその場所か位置でいいので、簡単に言ってもらえればそれでなんとかなると思いますからそうお気になさらず。


 「然様でございますか?、それでしたら何とか…、その…、厚かましいお願いでございますが、筆記用具などございましたら…」


- あっはい、どうぞ。


 これは俺もうっかりしていた。口頭で説明されるだけよりも、何か書いてもらった方が良いよね。

 いそいでポーチから取り出して手渡した。


 「これはまたとても薄く…、何の皮なのでしょう…?」


- あ、気にしないようにお願いします。


 ついうっかりラスヤータ大陸のエクイテス商会で貰った植物紙を手渡してしまった。

 いかんな、羊皮紙より手軽で便利なのでそっちを使うクセがついちゃってるんだ。

 まぁ、渡しちゃったのは仕方がない。


 ついでにペンは光の精霊さん製だった、これもうっかりやってしまった。

 それについても言われたけど同様に気にしないように言った。


 まぁ、元の世界で言う先の細いフェルトペンみたいなもんだし、こっちの世界でも一応万年筆みたいなものは存在するから大丈夫。たぶん。


 「わかりました」


- あ、えっと、王都、ベルクザバでしたっけ、それの特徴ある建物からお願いします。何せ行った事が無いので…。


 せっせと1枚目の紙に、頭を寄せ合ってこそこそと話しながら地図を書いてくれているのを見ながらそう言った。


 「でしたら、道案内に誰かお付け致しましょうか?」


- あ、それは助かるのですが、実はその、僕だけじゃないんですよ、だから一緒にというのは…。


 「何と!、御神様が(わたくし)どもの街をご覧になるのでございますか!?」


 っと、おひいさんが立ち上がった。それにつられてか座ったままだったけど全員が姿勢を正して両手を胸に…、あ、クラリエさんペン先が服に付きそう…。


- ええ、まぁ…。


 「クラリエ、できるだけ正確に書くんだよ!、お前たちもよくよく思い出すんだ!」

 「「はい!!」」


- あ、いや、だいたいでいいんですよ?、あ、それと、黒鎧じゃなくてクリスさんの身体が安置されている場所もできればお願いします。


 「わかりました」


 それからたっぷり50分は待たされた。

 途中で紙が足りませんと言われたので追加で5枚渡した。それを3度。最初に10枚渡してあったのに…。

 いまさっき『わかりました』って言ってたのは場所の追加であって、だいたいでいいって方じゃ無かったようだ。

 書き損じとか、適当でいいのでと言ったのに、『御神様もご覧になる地図ですから』と、聞いちゃくれなかった。というか気合いと気迫で言われたので俺も『そうですか』と言うしか無かった。






 そして手渡された大作(たいさく)3枚と解説文書3枚、失敗作19枚をポーチにしまい、小屋を出た。失敗作の回収にもひと悶着あったが、ちょっと威圧気味に回収を告げると素直に渡してくれて助かった。

 一応ちゃんと、出掛けにおおよその方向は聞いておいたんだよ。途中のランドマークというか山や湖とかもね。


 「おかえりなさいませタケルさま」

 「やけに時間が掛かったのじゃ」


 空中の飛行結界に戻ると、結界の床にソファーとテーブルが置かれていて、そこに3人とも座ってお茶を飲んでいたらしく、立ち上がって俺を迎えてくれた。

 リンちゃんはお辞儀をしたあと、その茶器やテーブルとソファーをエプロンのポケットに片付けている。


- テンちゃんが見るんだからって彼女たちが地図の作成を頑張ったせいですよ。


 その様子をちらっと見ながら答えた。


 「そうなのか、ご苦労なのじゃ」


 それをテンちゃんが伝えてあげるとあのひとたち涙を流して喜ぶと思うよ?

 まぁ、今はしなくてもいいと思うけど。時間かかりそうだし。


- じゃ、ちょっと急ぎますよ。


 と言うとリンちゃんは素早く俺の腰にしがみついた。






 「タケルさん、これ、植物紙よね?」


 途中、片手に解説文書を持って読みながら、もう片手の地図を見て方向の確認をしながら飛び続けていると、テンちゃんが『私にも見せるのじゃ』と、俺の腕を引っ張ったので渡した。


 その地図を、ロミさんも覗き込んでそう言った。

 俺が真面目な表情――たぶん――をして見ているのを邪魔しないように黙ってくれていたところ、テンちゃんが話しかけたのでそこに乗っかったんだろう。


- あー、すみません。


 「どうして謝るの?、ふふっ」


- ついうっかりそっちを渡しちゃったんですよ。


 「アリースォム(うち)での開発を急がないと、タケルさんがついうっかりあちこちで広めてしまいそうね?」


- 次からは気を付けます。


 「そうしてくれると助かるわぁ」


- あ、でも急いで大量生産してくれると僕もありがたいです。


 「そうなの?」


- はい。その紙って補充の予定が無いんですよ。だからロミさんのところで作ってくれるほうがいいんです。


 「ふぅん、そういう事ならタケルさんには優先してたくさん渡して使ってもらうほうが良さそうね」


- あ、いえ、催促しているわけじゃなく、普通に買いますから。


 「だってタケルさんなら、ついうっかりあちこちで広めてくれそうだもの。うちも宣伝になるのだからどんどん使ってどんどん広めてくれるほうがいいのよ」


- なるほど、じゃあその時はお言葉に甘えます。


 「ふふっ、帰ってからの楽しみが増えたわぁ」


 楽しそうに言ってそっと俺の曲げている左肘に手を添えて寄り添った。

 まぁこれぐらいならいいか…。


 と思っていると、テンちゃんが前方を指差した。


 「おお、見えてきたのじゃ。あれではないか?、ベルクザンの王都とやらは」


 前方の眼下に大きな街が見えた。尖塔がある大きな建物もいくつか見える。

 距離もだいぶ近づいたので減速をして高度を下げていった。


 「いくら何でも速過ぎます、我々の飛行機械でもこれほどの速度じゃないはずなんですよ!?、タケルさま一体どれほど無茶な速度で飛んできたんですか!?」


 減速をしたからか、リンちゃんがしがみついていた顔をあげて背後で文句を言った。


- え?、いや、だからほら、急ぎますって…。


 「だからって限度ってものがありますよ!」


 後ろだから直接は見えないけど、リンちゃん、涙目になってたよ。


 「早く着いたのなら良いではないか」

 「お姉さま!」

 「其方は見ておらぬやも知れぬが、眼下に浮かぶ雲の上、何者にも邪魔されること無く蒼天を()き、雲間から垣間見える遥か下の地が流れ行く様は爽快であったのじゃ」


 そう表現されると急いで飛んだ甲斐があるね。

 ロミさんもうんうんと頷いてるし。

 まぁ実はまっすぐ飛んできたわけじゃなく、途中で微妙に方向修正をしたんで、少し遠回りだったりするけど、そのぶんを速度でカバーしたわけで…、だから結構な高度で飛んでたりする。その度にリンちゃんの腕がきゅっと締まったりしてたっけ。


 「うぅ、帰りはもう少しゆっくり飛んでくださいですぅ…」


 そう言ってまた俺の背中に顔をくっつけて腰にまわしている腕に力を入れた。






 「ここが、竜神教とやらの神殿か?」


- 特徴とこちらの注釈によるとそうですね。


 「ではリンよ、出番なのじゃ」

 「気が早いですよお姉さま、地面に設置するタイプなんです」

 「そうなのか、ではタケル様よ、降りるのじゃ」


- あ、ちょっと待って下さい。いま地図を作ってるとこで…。


 「地図ならここにあるではないか」


- そうじゃなくて、正確な地図をですね。はい、こんな感じですよ。リンちゃん、どこに設置するか印をつけてくれる?


 「はい、タケルさま」


 神殿上空からの分をリンちゃんに手渡した。


 「そっちのは?」


- こっちは王都全体で、これが王都周辺ですよ。


 「呆れた…、この短時間でこんなに…」

 「ふむ、王都全体のほうを見せるのじゃ」


 言われるままテンちゃんに手渡した。


 「タケルさま、この6か所でお願いします」


- はい、あ、設置するとき、ひとが居てもいいのかな?


 「大丈夫です、設置して起動すれば離れて行きますから」


- へー、範囲は?


 「それぞれが重なるようになっていますので、最初のひとつを起動すればこの神殿からも出て行く事でしょう」


- なるほど…。


 すげーな。


- あ、これって森の家にもあるやつ?


 「はい、それの強化版です」


 強化版かー、穏便にだったのが、穏便に迅速にってつくんだろうか。


- へー、まぁとりあえず最初は神殿の門の逆側のここから行くか…。


 「はい」


 と、するっと上空から移動して、いい感じに人気(ひとけ)があまり無い場所に降り立ち、リンちゃんから指示された地点に少し歩くと、道の端のところにリンちゃんがエプロンのポケットからずるっと取り出した腕ぐらいある杭をぶすっと地面に突き刺した。そしてその杭が少し縮み、いや、しっかり潜ったんだろう。ブブブとか音がしたよ。

 その上にリンちゃんが新たに取り出した丸い機械をがちっと嵌め、ぽちっと赤いボタンを押した。するとそのボタンが点滅し始めた。


 自爆とかしないよね?、大丈夫だよね?


 「次に行きましょう」


 にこっと笑みを浮かべて何事も無いように言うリンちゃんに頷き、全員をしゅるっと飛行結界で包んで浮かび上がった。もちろんテンちゃん式バージョンの飛行結界だ。一般人に見られていてもその場で消えたように見えたと思うけど、それまでにリンちゃんの人払い魔道機械が作動しているのでこっちを見ていたひとは居なかったと思う。

 だって起動したとたん、近隣の民家?、からも人がぞろぞろ出て、走ってったからね。すごいシュールな光景だ。避難訓練でもそう迅速には去らないだろうってぐらいに。


 次の地点を地図で確認する間にも、神殿の正門からぞろぞろと人々が出て行くし、民家からも商店らしき建物からも人々が出て行って離れて行く。


 お店っぽいとこ、あれ開けっ放しの商品置きっ放しだけどいいのかなぁ…。


 気付いたのは、設置地点に近いほど迅速に、逃げ出すような勢いで離れて行く事。

 遠い方は歩いて離れて行ってる。


 ふぅん、と感心しながらも、次の地点に到着。

 範囲が重なっているのでここら一帯はもう無人のようだった。


 リンちゃんがさっきと同じ手順で設置して、起動した。


 同様に、神殿の背後から順に設置していき、両側面、そして正面部分を最後に設置が完了した。


 もう途中から誰も居なくなっててちょっと怖い。

 効果すごすぎだろこれ。


 「タケルさま、内部の確認に行きましょう、タケルさま?」


- あっはい、中ね。はいはい。


 「其方、何を考えておったのじゃ?」


- あ、いや別に、誰もいないなーって…。


 「あの、これ私たちに効果が無いのはどうしてなんですか?」

 「ロミさんは『森の家』へ登録済みだからです」

 「え…?」

 「その登録情報が、今回設置した機械にも登録されているという事です」

 「…ありがとうございます…?」


 ロミさんはどうやらいまいちわかってないようだったけど、歩き始めて少しして小さく頷いていたので、理解が追い付いたようだ。






 そして開けっ放しの扉をくぐり、階段を下り、施錠されていた箇所もリンちゃんが強引に開け、階段を下りに下りてまた施錠されていた金属枠で頑丈そうな木製の両扉があり、その片側を開けると、少し肌寒さを感じる広い空間に出た。


 ……が…、そこにひとりの女性が扉に寄り掛かるように倒れていた。






次話4-056は2021年04月16日(金)の予定です。


20240417:赤いボタンに描写を追加。



●今回の登場人物・固有名詞


 お風呂:

   なぜか本作品によく登場する。

   あくまで日常のワンシーン。

   また入浴シーンが無いじゃないか。

   どうなってるんだ…。


 タケル:

   本編の主人公。12人の勇者のひとり。

   また厄介事か…?


 リンちゃん:

   光の精霊。

   リーノムルクシア=ルミノ#&%$。

   アリシアの娘。タケルに仕えている。

   ちなみに今回の速度はおよそマッハ3だと思われます。

   高度12kmでの速度なので時速でいうとおよそ3000kmかと。

   そりゃ文句のひとつも言いたくなりますね。


 テンちゃん:

   闇の精霊。

   テーネブリシア=ヌールム#&%$。

   後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。

   リンの姉。年の差がものっそい。

   速度の事より氷漬けの竜が気になってます。


 ウィノアさん:

   水の精霊。

   ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。

   一にして全、全にして一、という特殊な存在。

   今回は出番なし。名前のみ。


 アリシアさん:

   光の精霊の長。

   全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊(ひと)

   だいたい名前くらいしか登場しませんが一応。


 ウィンディ:

   ウィンディ=ヴェントス#&%$。

   クリスが使っていた嵐の剣(テンペストソード)

   宿っていた風の精霊が名付けによって自我を確立したもの。

   しばらくは教育のため、ヴェントス様の下へ行った。

   ファーの妹という位置づけになるらしい。

   今回出番なし。


 ファーさん:

   ゼファーリィ=ヴェントス#$%&。

   風の精霊。

   有能だけどポンコツ。

   今回出番なし。


 ハルトさん:

   12人の勇者のひとり。現在最古参。

   勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。

   ハムラーデル王国所属。

   およそ100年前にこの世界に転移してきた。

   『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。

   今回出番なし。


 カエデさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号10番。シノハラ=カエデ。

   この世界に転移してきて勇者生活に馴染めず心が壊れそうだったが、

   ハルトに救われて以来、彼の元で何とか戦えるようになった。

   勇者歴30年だが、気持ちが若い。

   でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。

   お使いで走ってます。

   ゆえに今回もまた出番無し。

   ハルトもですが、そのうち出て来るのでここに残しています。


 ロミさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。

   現存する勇者たちの中で、3番目に古参。

   現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。

   面白がってタケルに同行して、

   トルイザン連合王国の中央部、ベルクザン王国の

   王都ベルクザバまで来てしまいましたね。

   観光目的ではないし、表敬訪問でもないので密入国ですが。

   しかも、竜神教のご神体強奪作戦に参加してるんだから、

   考えてみるととんでもないですね。


 クリスさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号5番。クリス=スミノフ。

   現存する勇者たちの中で、4番目に古参。

   黒鎧には意識が封印されている状態。

   その鎧が壊れかけているため、思うように動けない。

   今回も名前のみの登場。というか横になってる。


 コウさん:

   12人の勇者のひとり。

   勇者番号8番。ヨシカワ=コウイチ。

   現存する勇者たちの中で、5番目に古参。

   コウがこの世界に来た時には既に勇者たちは各国に散っていた。

   アリースオム皇国所属。

   今回も出番無し。

   アリースオム編は次の章にわけたほうがいいのでは?

   するとここにコウを入れたままなのはどうなんだ?


 ラスヤータ大陸:

   3章でタケルが飛ばされていた場所。

   詳しくは3章を。


 エクイテス商会:

   3章に登場した生活用品雑貨などを扱う商会。

   今日もステキな品揃えです。

   詳しくは3章を。


 アリースオム皇国:

   カルスト地形、石灰岩、そして温泉。

   白と灰の地なんて言われてますね。

   資源的にはどうなんですかね?

   でも結構進んでる国らしい。

   しかしこの4章でもでてますし…、どうしたものか。


 トルイザン連合王国:

   ハムラーデル王国の東に位置する連合王国。

   3つの王国があり、数年ごとに持ち回りで首相を決めていた。

   外国から見ると、それぞれの王族はトルイザンの王族とも言えます。

   クリスという勇者が所属している。

   3つの王国は西から順に、アリザン・ベルクザン・ゴーンザンと言う。

   今回はベルクザンの王都ベルクザバへと、密入国。

   そして竜神教のご神体強奪作戦前半へ!

   勇者とは一体…。


 アリザン王国:

   アリザンはイアルタン教ではない精霊信仰で統一されている国です。

   他教を許さない宗教ですが、例外的に、

   同じ教えが多くあり、経典が同じイアルタン教の存在を許しています。

   ゆえに、イアルタン教の勇者であり古参のハルトに対しては、

   尊敬と信頼があります。

   まだアリザン王国に情報が届いていないので、動きはありません。


 ベルクザン王国:

   宗教はいくつもあって、複数所属してもよいという国。

   そのせいで、アリザン王国から目の敵にされています。

   ゴーンザン王が病床に就いていたため、規定によりベルクザン王が

   2期連続で首相となり統一王の肩書きをもつ事となった。

   アリザンはその意味でも不満をもっていた。

   タケルたちのせいで大変なことになりそうですね。


 おひい様と呼ばれる女性:

   ベルクザン王姉。ヒースクレイシオーラ=クレイア=ノルーヌ=ベルクトス。

   特に追加情報なし。


 クラリエ:

   ベルクザン王国、筆頭魔道師。

   クラリエ=ノル=クレイオール。

   ちょっと身の上話がでた程度ですね。


 容姿の揃った5人の女性:

   ベルクザン王国魔導士会所属の魔導士たち。

   クラリエの部下。

   アリエラ=ノル=バルフカガー

   イイロラ=ノル=ジールケケナーリ

   セリオーラ=ノル=パハーケサース

   サラドナ=ノル=パーガル

   チェキナ=ノル=ネヒンナ

   『ノル』というのは、魔導士に登録され、元の家の継承権を

   放棄したという意味で付くものです。

   継承権を放棄していない魔導士も存在します。

   この話が本編にもでましたね。今回。

   セリフは返事だけでしたが、実際はあーでもないこーでもないと、

   地図作成ではこそこそ話し合ってました。


 扉に寄り掛かって倒れていた女性:

   まぁ次回もでてきます。

   誰なんだ、ってそりゃアレでしょう。



 ※ 作者補足

   この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、

   あとがきの欄に記入しています。

   本文の文字数にはカウントされていません。

   あと、作者のコメント的な紹介があったり、

   手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には

   無関係だったりすることもあります。

   ご注意ください。



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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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