4ー052 ~ 慌しいあれこれ
どうするんですかって言われてもなぁ…。
エメラルドって画像や映像でしか見たこと無いけど、それに匹敵するくらいの綺麗な瞳でにこにこ微笑んでいるウィンディ。つい俺も微笑みで応えてしまうね。これは。
本人の受け答えはさっきのテンちゃんやリンちゃんとの会話からするとしっかりしているんだから、本人の希望次第だろう。ついてくると言うのならどうぞというのが俺のいつもの考え方だ。
しかしこのウィンディについては少し事情が異なる。
この子って、クリスさんの剣に宿っていた風の精霊さんなわけで、それがいなくなった剣は、元の魔法剣としての能力が無くなってしまうんじゃないか?、という問題。
俺に剣を貸して、戻ってきたら中に居た精霊さんが居なくなって能力が無くなった、なんて事になったら責任問題だ。それはクリスさんも困るだろうけど、俺も困る。
とりあえずそのへんの事を尋ねてみるか…。
- えーっと、ウィンディちゃん、
「はい!」
名前を言ったら勢いよく返事をしてふわっと机を飛び越えて突っ込んできた!
予備動作がほとんど無かったせいで驚いた。
- わ!
って、軽っ!
それなりの衝撃を覚悟したんだけど、予想していたよりも断然軽い。例えるなら女児型の風船が飛んできた程度の衝撃だった。
だから魔力の動きがほんの少ししか感じ取れなかったのか。
まぁテンちゃんとリンちゃんっていう魔力の塊が近くにいるせいでもある。普段から感知のフィルタリングで除外していても、全部無視しているわけじゃないからね。でっかい光源2つの間で普通の光源に変化があってもわかりにくいというようなもんだ。
「あっ!」
「こ、これ!」
「ご主人さまご主人さまご主人さまー」
突然だったのでリンちゃんとテンちゃんにとっても意表を突かれたんだろう。急いで机を回り込んで来た。
俺は抱き支えなくてもいい軽さのウィンディが全身で俺にしがみつき、首の横に顔をうずめているせいでふわふわの髪が俺の顔にかかるのを片手で除けてから、ふたりがやってくる方向に手のひらを向けた。
- リンちゃん、この子なんでこんなに軽いの?
「…それはその…」
「姿形はそのまま写し取っておるが、受肉をさせたわけでは無いのじゃ」
どう言えばいいのかちょっと考える仕草をしたリンちゃんに代わり、テンちゃんが答えた。
「あのね、ご主人さま。この状態は長く持たないの。だから今だけこうさせて?、お願い」
お願いといいながら答えを聞くつもりは無さそうで、また俺の首筋に顔を伏せてすりすりを再開した。実にくすぐったい。なのでウィンディの後頭部を押さえるように撫でた。
- …リンちゃん、どれぐらいもつの?
「事情を確認するだけでしたので、1時間くらいかと…」
- 時間が来たらどうなるの?
「仮の姿が拡散して消えます。あ、ウィンディ自体に問題はありません」
「通常であれば何か依り代が必要なのじゃ」
「はい、ですが剣がありますので」
「そこに戻るだけなのじゃ」
- なるほど。
「ただ名が付いただけではなく、ヴェントス#$%&を授かってしまったのじゃ。ならもう存在は確立しておるし、将来的に条件が満たされれば受肉も可能なのじゃ…」
「…はぁ…、全く厄介です…」
授かってしまった?、厄介?
- テンちゃん?、さっき確認してたけど、そのヴェントスなんとかって?
「風の精霊にもいくつかあるのじゃ…、ヴェントスが、その、最も扱える魔力が大きいのじゃ」
「今はまだ授かって間もないので大したことはありませんが、歪んで成長したヴェントスは大規模な自然災害を起こせます」
- え?
「この子がそうならない事を祈るのじゃ」
「わたし、ご主人さまを困らせるような事はしません」
俺の首筋から少し顔を離し、熱に浮かされたような目で見てそう言った。
整った顔が可愛らしくていいんだけど、顔が近いなぁ…。
「そうか。タケル様よ、其方の責任は重大なのじゃ」
え?、俺?、名付けて懐かれてしまったからか…?
あれで名付けになってしまったのは迂闊だったとは思うけど、あの流れは仕方ないとも思うんだよ、俺は。もうこれ以上の言い訳はしないけどさ。
「そうですね、まぁ、もう今更という気がしないでも無いですね。お姉さまも居ますし」
「む?、それはどういう意味なのじゃ」
「両方の意味ですよ、お姉さま」
「それではまるで私が厄介者だと言っているのと同じなのじゃ、訂正するのじゃ」
「まるで、ではありませんよ、昔ひとりのヴェントスと戦って数千あった島嶼が海に沈んだって聞きましたよ?」
「う…、そ、それは…」
「そのせいでそこにしか生息していなかった多くの動植物が絶滅したそうじゃないですか」
「あ…、う…」
とんでもない話を聞いてしまった気がするけど、このへんで止めよう。俺が聞きたく無いからじゃないぞ?、テンちゃんが涙目になってるからだぞ?
- リンちゃん、そのへんにしてあげて。
「はい、タケルさま」
- それでさ、この子、ウィンディは剣に戻るんだよね?、その剣はクリスさんに返さなくちゃいけないんだけど、大丈夫なのかな?
「ウィンディ次第ですね」
「あの人種は剣の扱いが上手だったけど、ご主人さまから離れたく無いです…、ご主人さま、あの剣を使ってください」
いやそれを俺が決めるわけには…。
- んー…、クリスさんの剣なんで勝手にできないんだ…、それに僕は剣が下手だから、使わないんだよ…、ごめんね。
「そんなぁ…」
「泣くと消えるのが早くなるのじゃ」
「う…」
今にも泣きそうだったのを、テンちゃんがすっと言った言葉で堪えたようだ。
- もし、あの剣からこの子が抜けたままだとして、剣の扱いというか能力ってやっぱり無くなっちゃうかな?
「当然、消えるのじゃ、あ、少し待つのじゃ」
テンちゃんはそう言ってテーブルに向き直り、無造作に置かれていた剣の留め金を外し、するっと鞘から剣を抜いてそのままテーブルの上に並べるように置き、覗き込むようにして見た。
「…なるほど、依り代として相当な年月を経ておったようなのじゃ。これなら多少は下がるが中身が居らずとも剣の能力を使えん事も無い、はずなのじゃ」
- それってどの程度下がりそう?
「んー、元がどれくらい風属性魔法を扱えたのかがわからんので説明が難しいが、中身の補助が無くなる故、魔力操作を全て使い手がする必要があると言えばその度合いが伝わろうか?」
「風属性魔法がとても扱いやすくなる触媒の役割ができる良い剣、と言ったところでしょうね」
「そうとも言えるのじゃ」
- えっと、ウィンディ?
「はい」
- 剣に居たとき、魔法の発動ってどうしてた?
「はい、頂いた魔力から余った量で、適当にやってました」
がくっ。
適当に、ってw
- 例えばどんな感じ?
「ちょっとだったら風の渦で、たくさんだったらたっぷり風の渦です」
どっちも風の渦じゃないか。
いや待てよ?、クリスさんが剣を振って飛んできた風刃は曲がって来たけど、あれってもしかして魔力で生まれた風の渦が斬撃に沿って風刃って魔法になったもので、回転してるからそれで結果的に曲がったって事だったのかな…?
それと、ハルトさんが言ってた竜巻って、『たっぷり風の渦』と言えなくも無い。
つまりはどっちも風の渦で合ってる。
- そっか、風の渦かー、それって今でもできる?
「はい、できます!」
「タケルさまっ!?」
「其方何を!?」
- あ、ここじゃダメだからね?、だからちょっと外に出ようか。
「はい、お外、楽しみです。ご主人さま大好きです」
ここじゃダメと言ったらリンちゃんとテンちゃんは平静を取り戻し、一歩俺に近寄って上げかけていた手をおろした。
ウィンディはしがみついている手足にきゅっと力を入れて首筋に顔をうずめ直した。
俺は不自然にならないように、その彼女の身体を抱き支えているような位置に両手を当て、部屋の外に歩きながら、剣も持って行ったほうがいいかなと思い、半分振り返る姿勢でリンちゃんに呼び掛けた。
- リンちゃん、悪いけどその剣、鞘に納めて持ってきてくれる?
「はい、タケルさま」
それにひとつ頷き、すたすたと部屋を出た。
なんでリンちゃんかというとすぐ目の前に居たからって理由だ。
部屋の外、いつもはまばらにひとが居る程度だろう作戦室は、さっきよりは人数が減っている様子だった。それでもいつもよりは多いんだろうけどね。
作戦台に近寄ると、ささっとハルトさんの正面を空けてくれた。
「おぉ?、タケル殿?、その子は…?」
- 説明は後でします。ハルトさん、このへんで広い場所ってありますか?
「広さにもよるが…、軽い訓練程度の広さでいいならこの砦からハムラーデル側に出たところだろう。もっと広い場所というのなら、先週まで駐屯していた場所だな」
- わかりました、ちょっと行ってきます。
小さく目礼をして外に向かうと、何故かその入り口までの間のひとたちがささっと道を空けてくれた。
何だろう?、さっきからどうも腫物にでも触るみたいな目線を感じるなぁ、何かあったのかな?、気にしてもしょうがなさそうだし、今はこっちの用事が先だから、道を空けてもらえるのは都合がいいけどさ。
後ろには剣を納めた鞘にぐるぐる巻きの剣帯を抱きしめるように少し斜めに抱えたリンちゃん、その後ろにテンちゃんが無言でついてきている。
そのまますたすたと砦の裏手、ハムラーデル側からすると正面だろうけど、そちら側に出た。
ちなみに、トルイザン側には空堀があって、跳ね橋が架けられている。今は有事では無いのでその橋は下ろされていて通れる状態のはずだ。
7日間の大雨のとき、カエデさんが『水の動きが何かヘンだった』って言っていたのは、雨水がその空堀に溜まらずに流れて出て行っていたのを見たからだ。そりゃそんなの目撃したら目を疑うだろうね。それを何かヘンで済ませるカエデさんも大概だと思うけど。
この場所はそれなりに森が切り開かれていて整地されているので、軽い訓練どころか、小学校の運動場よりありそうな広さから、数百人ぐらい集まれるんじゃないかと思う。一体どんな『軽い訓練』なんだろうね?、想定の基準がわからん。
でもこれぐらいあるならここでいいだろう。
- ウィンディ、風の渦、ちょっと試してもらっていいかな?
「はい、ご主人さま」
そう返事をし、緩めた俺の腕からするっと抜けてふわっと地面に降り立った。
そして軽く広げて構えた両手の間を見下ろすようにして魔力を放出、操作をした。
彼女の両手の間、地面あたりに一瞬だけ鋭い旋風が生まれ、その余波で彼女の服と髪が煽られ、翻った。それによって後ろの俺に身体ごと押されて下がった彼女を受け止めて支えた。軽いもんね。そりゃそうなる。
- 今のが風の渦?
「はい」
背中の俺を見上げるようにしてにっこりと、得意げに返事をした。
その頭を撫でながら褒める事にした。
- 綺麗な魔力操作だったよ。
でもお世辞じゃ無い。実際そうだった。
以前、バルカル合同開拓地にある川小屋でシオリさんたちにちらっと話をしたが、風魔法で空気を動かす場合、その一部を操作すれば周囲がついてくる性質があるんだ。とは言え、ただ漫然と動点を散らせばいいのではなく、そこにはきちんと法則がある。
この子が今行使した『風の渦』の魔法は、その法則に従って最も効果的に動点を配置していた。動かす速度や規模、それによって変化するものを、巧く扱っていたと言える。俺も勉強になった。
「うふふっ」
頭を撫でられているからか俺を見上げてはいないが、軽く身体を支えていたもう片手を両手できゅっと抱きしめ、嬉しそうに笑っていた。
- じゃあ次は『たっぷり風の渦』をちょっとやってみてくれる?
「はい、でも…」
- 何?
「魔力をください」
ああ、そうか。
「待つのじゃ」
「タケルさま、待ってください」
では、と魔力を与えようとする寸前、後ろのふたりから待ったがかかった。
- ん?
俺が振り向いて理由を尋ねようとしたが、ふたりはそのまま俺に近づいた。と言っても3歩分だけど。
リンちゃんだけがさらにウィンディの前にきて、膝に剣を持っていないほうの手をあてて屈み、覗き込むようにして話しかけた。
「ウィンディ、貴女は今、タケルさまから自然に漏れている魔力を得ているはずですね?」
「はい、リンさま」
その間にテンちゃんが俺の袖を引き、ウィンディの頭から手を下ろさせた。
「それはどんな感じです?」
「気持ちよくて幸せです!」
「そうですね、わかります。ですが――」
一瞬そこで切り、微笑みを消して真顔になり、注意をする口調になるリンちゃん。
「――タケルさまが魔力を譲渡する場合、その数千倍、数万倍、場合によってはそれ以上の濃密さで魔力が注ぎ込まれます。今の貴女ではそれに耐えられません」
「……!?」
ウィンディが息を呑んだのがわかった。
俺も息を呑みたかった。そんな無茶をするつもりは全然無いんだけど…。
「それに、今の貴女の仮の身体は私の魔法で形成された、一時的なものです。魔力を補充するのであれば、私から送るほうがいいでしょう」
「…わかりました。リンさま、お願いします」
「物分かりの良い子は好ましいですね、ではタケルさま、お手を離して下さい」
- あっはい。
いつもとちょっと口調の違うリンちゃんに、有無を言わせないような圧力をその微笑みに感じ、さっとウィンディから手を離し、それに合わせてテンちゃんに腕を引かれるまま3歩下がった。
ちゃっかりその右腕をむにゅーっと抱えられた。毎度の幸せが右腕から伝わってくる。慣れたいけど慣れたくない、そんな感じ。
俺がそんな幸福に気を取られている間に、リンちゃんはちらっとこちらに一瞬だけ目線を送ったが、ウィンディの手を取って魔力を譲渡しているのが感じとれた。
「これくらいでいいですか?」
「十分です、リンさま」
「タケルさまもお待ちです。やりなさい」
「はい」
さっきのとは違い、ウィンディが両手を抱えるような感じで斜めにふわっと上げて上体を少し逸らし気味の見上げる姿勢となり、広場の中央上空に魔力が収束し始めた。魔力操作が素早く、展開が早い。俺も集中してそれを観察した。
すると、広場上空、感知目測で凡そ1000m付近からものっそい魔力の渦が降りてきた。それに伴ってこの砦前の広場が風の筒に捕らえられた気がした。
「む…?」
「あれは…」
「あ、あれっ?」
- これってウィンディじゃないよね?
ウィンディのほうは思ってたのと違う現象が途中で発生したため、魔法構築を中断したようだ。彼女が収束させた魔力は散ってしまったのがわかったが、空から降りてきた魔力はそのまま落下してきた。
「あれっ?、受肉してる!?」
それは俺たちの目の前にくるっと踊り終わりのように横回転で着地したかと思うと、ウィンディを見下ろしてそんな事を言った。
「はぁ…、また厄介な…」
溜息をつくリンちゃん。
「え!?、光の姫様!?」
それにしてもリンちゃんってやっぱり有名なんだな。精霊さんの業界では。
もちろんこの着地してきた、見かけは高校生ぐらい?、いやもうちょっと大人だろうか?、と迷うぐらいの、何でかインド映画にでも出てきそうな踊り子みたいなひらひら透け透けの衣装で、ズボンは足首で縛るたっぷりとしたものだ。腰に革袋が2つくっついてる以外は、欠伸をしたらどこかのツボから出てきそうなそんな感じだと思ってくれていい。タンバリンが似合いそうだ。ズボンも透け透けだけど。
「ヴェスターの使いか、何と耳が早い事なのじゃ…」
そう言うテンちゃんはちょっと苦い表情だった。ヴェスターさんって誰?
「わっ!?、ヌル様!?、聞いてませんよヴェントス様ぁぁぁ…」
その場でがっくりと膝と両手を地面につける踊り子括弧仮括弧閉じさん。いわゆる『orz』の姿勢だった。
場の緊張感が霧散しちゃったので、そろそろ俺も話していいかなと。
- あの…、どちらさんですか?、僕はタケルといいますが…。
問いかけるとひょこっと正座姿勢になった。ぱぱっと両手についた砂を払ってそのまま揉み手をするような手の恰好で愛想笑いを浮かべている。
「あっ、ご丁寧にどうもです、ファーはゼファーリィ=ヴェントス#$%&です。ファーはヴェントス様に言われて、新たにヴェントスの名を授けられた子を迎えに来ました」
なるほど?
つまりはヴェントスファミリーの新たなる子を迎えに来たって事ね?
その視線に釣られるように俺もウィンディを見ると、こちらを見て不安そうな表情になっていた。ふわっと飛んで来そうな雰囲気だったけど、それをしないのはリンちゃんに肘のところを持たれているからだろう。
- さっき、この子が受肉してるって驚いてるみたいでしたけど、
「あ!、そうなんですよ聞いて下さいよ旦那様、ファーはね、ただ迎えに行くだけの簡単なお仕事だって言われて来たんですよ、そしたらどうですか、超大物がお二人もいらっしゃるじゃないですか!、道理でやたら見つけやすかったわけですよはぁぁぁ…」
言うだけ言って胸元の揉み手と肩をがっくりと下ろして俯くファーさん。ファーさんでいいのかな、ゼファーリィさん。どうでもいいけどやたら早口だな、この子。いやこの精霊さん。
- えっと、ファーさん、でいいのかな…?
「はい、よろしくお願いします旦那様!」
がばっと顔を上げてまた揉み手状態。何なのこれ…。
- いやその旦那様って、僕の事?
「はい、旦那様。旦那様の事はウチらの業界でも有名ですから!、失礼の無いようにするのは当然です、ファーの事はさん付けなんて要りませんのでファーでも何でもお好きなように呼んで下さい!、何なら踊って見せろといわれれば喜んで踊ります!」
ウチらの業界って…。
さっきは冗談のつもりで精霊さんの業界なんて考えたけど、本当にそんな表現をされるとは思わなかったよ…。
- あ、いや踊らなくていいので。この子を連れて行かれちゃうと困るんだけど、連れてって何するのか良かったら教えてくれないかな?
「ぇー…、あ、ファーも詳しくは聞いて無いんですけどぉ、ファーの考えでいいですか?」
踊りたかったのか?、確かに服装もそれっぽいけどさ。まぁそれはいいか。
- うん。
「たぶんですけどぉ、受肉させたり教育したりだと思うんですよ、それをしないで勝手気ままに育っちゃったりすると怖いひとが来て消されるんです、昔そんな事があったとかでー、あ」
- あ?
「たったた大変失礼を致しましたぁ!、つい口が滑ってしまっただけですごめんなさい消さないで下さいお願いしますこの通りですからぁ!」
三つ指をついた綺麗な土下座だった。
「ふん、いいから話を進めるのじゃ」
「わかりました!、お許し頂けたようですので続けますとそれ以来ヴェントスファミリーではそういう方針ですのでその子もそうする予定だと思いますハイ!」
また上体をさっと起こして揉み手になった。何という変わり身。こういうのって風の精霊さんの性質だったりするのかな?
- そうですか。事情はわかりました。ですけどこちらもこの剣が抜け殻になってしまうのはあまり歓迎できないんですよ。
「あ、ちょっと拝見してもいいですか?」
- あ、どうぞ?
リンちゃんに目配せをして、剣帯でぐるぐる巻きになってるままの鞘ごと渡してもらった。
「あ、どうも光の姫様ありがとうございます」
リンちゃんはそれに軽く頷いてまたウィンディの隣に下がった。
ファーさんは剣帯を解き、留め金を外してするっと剣を抜いて検分し始めた。
「ふーん、とても美しい剣です。この剣って居心地良さそうですね。でしたらどうでしょう、代わりの者を宿らせますのでその子は連れてってもいいでしょうか?」
- 代わりの者って、まさかファーさんが?
「いえいえ、ファーにはお仕事もありますので剣に宿るわけには参りませんです。それにファーだと剣の容量が足りません。具体的には宿れません。残念です」
何だか本当に残念そうだ。良くわからない感覚だな。
- ウィンディの代わりの精霊さんが宿って、剣が変わったりしません?
「それは大丈夫でしょう。ファーが保証します。では早速」
こちらの返事を待たずに右手で柄を持った剣の峰を睨むようにしたかと思うと魔力がそこに収束した。一瞬、カッと光ったように思ったけどそれは魔力的なものだろう。目に残像が残ったりはしなかった。
「これで名も無き風の精霊が宿りました。ふぅ、(これでファーもお仕事ができる女だとアピールできました)」
後半はぶつぶつ言ってたけどとにかく嵐の剣はウィンディが居た時の状態に戻ったんだろう。
- 名も無き風の精霊、ですか。
「タケルさま、ダメですよ」
「そうなのじゃ、またウィンディのようなのが生まれてしまうのじゃ」
- あっはい、注意します。
「あ、この鞘ですけどこれ魔道具ですよね?、このままでは過剰に周囲の魔力を吸収し続けてしまいませんか?」
「ああ、そうなのじゃ。それは懸念しておったのじゃ」
「今気付きましたんですが、こちらの塗装の剥げ具合と模様から推測するとその吸収力を押さえる魔法陣が描かれていたんじゃないでしょうか?、それが何らかの原因で壊れたのが最近のようですので同じようにすれば安全になると思いますです」
「ふむ、そうじゃな。ではリンよ、頼めるか?」
その最近破壊された原因そのものが白々しく言った。
「はい、お姉さま」
リンちゃんはそれに返事をしながらファーさんからまず鞘を受け取り、剣帯をまたくるくる巻いてからエプロンのポケットにしまい、それから剣を受け取った。
- あ、リンちゃん、忘れてたんだけどこれの修理もお願いしていいかな?
と、ポーチから、アリエラさんから預かっていた魔法の鞄を取り出してリンちゃんに渡した。
「これは…?」
- 魔法の鞄らしくてね、ある事情で壊れちゃったんだよ。できれば直してもらえるとありがたいんだけど、どうかな?
「ええ、壊れた魔法の鞄だという事は見ればわかりますが…、そうではなくこれはかなり古い物です。外側は何度も補修されていますが…」
- 無理かな…、できれば2・3日で直るといいんだけど。
「お急ぎなんですね。わかりました、ではこの剣を…、くれぐれも名付けなんてしないで下さいね?」
鞄を肩に提げ、剣を手渡して人差し指を1本立てて念を押すように言われた。
- あっはい。それは重々。
「では行ってきます」
え?
と、声に出す前に、早口で詠唱をしたリンちゃんがしゅばっと消えた。
「わぁ、さすが光の姫様です。ファーではあんな風にはできません、あ、旦那様その剣、本当にお願いしますよ?、またお仕事増やされちゃたまんないですので」
- はい、お仕事増やさないように注意します。
だから手から魔力を漏らさないように制御してるんですって。
でもこの剣、よく切れそうだから鞘が無いのは不安だなぁ…。
「ああファーは旦那様に何て事を!、伏して失礼をお詫びしますですこの通り!」
- いえ、こちらこそ、剣の問題を解決してもらったみたいでありがとうございます。
「えへっ、感謝されちゃいましたです、あ、そろそろ立ってもいいですか?、その子、よく見たら受肉は仮の身体ですね、薄れてきてます。急がないと解けちゃいますですよ」
- ウィンディ、安心して。このお姉さんは君が風の精霊として正しく成長できる所から迎えに来てくれただけだから。それでウィンディが学んで成長してくれるほうが僕も嬉しいんだ。わかってくれるね?
「…はい、ご主人さま」
そう言うとウィンディは、正座したままのファーさんのところにとことこと近づいて、ぺこりと頭を下げた。立ったままのウィンディと正座状態のファーさんで頭の位置がややウィンディのほうが高い程度の差なのでちょうどいいね。
「ファーお姉ちゃん、よろしくお願いします」
「こちらこそ、ウィンディちゃんって言うんですね。それにしてもお姉ちゃん…、何この子すっごい可愛いし言葉もはっきりしてるんですけど!?、生まれたてじゃなかったんですか!?、あ、仮受肉でしたね、一応そこそこの依り代なら持って来てますがこのまま行きましょうまだ急げば間に合いそうです」
よっこいしょという雰囲気で立ち上がり、ウィンディに『おてて繋いでいい?』って尋ねて差し出された手を取ってから俺に振り向いた。
「旦那様、何かあったら大声でファーを呼んでくださいです。どこからでも駆け付けますです!」
そう言うとすごい勢いで飛び上がり、低空の雲を巻き込む勢いで抜け、そこから弧を描くように飛び去って行った。
- 返事ぐらいさせてくれても…。
「本当に、全く慌しいのじゃ…」
俺が呟いた言葉に同意するように、テンちゃんも俺の隣で空を見上げ、呟いた。
それにしても大声でファーさんを呼べとか、ゴルフじゃないんだからさ…。
●○●○●○●
結局、剣は元に戻ったらしいけど、ウィンディの教育期間がどれぐらいなのかとか、そこらへんの情報がさっぱりのままだったと、作戦室へ報告に戻る途中で気が付いた。
- 風の精霊さんの教育ってどれぐらいかかるんでしょうね?
「さぁ?、ヴェスターたちも隠れ住むようになってしまって、詳しい事はわからないのじゃ」
- へー…?
「何じゃその目は、私のせいでは無いのじゃ」
- あ、いやそんなつもりで見たわけでは…。
「ならいいのじゃ。ヴェスターたちヴェントスの名を持つ者らの、その大きな力はこの星の環境を安定させるのに一役買っておるのじゃ」
- それがファーさんの言ってたお仕事ってこと?
「んー、そのはずなんじゃが…、どうにもあの連中は勝手気まま自由にやってしまうのじゃ。ヴェントスたちは昔ほどでは無くなったとは聞くが…、まぁ大抵は後始末で苦労するのが光や地に水の者なのじゃ、のぅアクアよ」
『…はい、仰せの通りでございます』
そう言えばウィンディにしがみつかれていた時も、今までなら介入してきそうなもんだけど、何もしなかったな。
「何じゃ、一度吹き飛ばされて怖気付いたか」
『恐れ入ります』
「しかしまぁあれは本意では無かったのじゃ、悪かったと思っておるのじゃ」
『勿体のうございます』
「ふん、まだ呼び掛けに答えるだけましと思うておくのじゃ。それはそうとタケル様よ」
- はい?
「そちらの者たちが警戒しておるのじゃ」
見ると作戦室入り口に6名も並んでこちらをあからさまに警戒していた。
あ、抜き身の剣を持ってるからか!
- あ、これはちょっと鞘の調整をしてもらっている間の事なので、他意はありませんから!
「はい、タケル様の雰囲気からして大丈夫だとは思いますが、一応抜き身の剣を手にされていましたので。できればそのような場合は布を巻くなどのお気遣いをして頂けると幸いです」
- そうですね、これは気が付きませんでした。では早速。
「お待ちください、事情は分かりましたのでこちらでお預かりします。よろしいでしょうか?」
こちらに手を差し出して近づく兵士さんに剣を下に向けて柄を差し出した。
- あっはい、どうぞ。
「ご協力、ご理解に感謝します。ではどうぞ中へお入り下さい」
そうして案内されるような感じで作戦台のところまで誘導された。
「いろいろ聞きたい事はあるが、まず抜き身の剣を持ったまま砦内をうろつくのは感心しないと言っておこう」
- はい、すみませんでした。
「俺がいくら大丈夫だと言っても、アリザンとの戦争が始まるかどうかというタイミングなのだ、皆も少々過敏になっているからな」
なるほど、それで入り口からここまで、誰ともすれ違ったりしなかったのか。通り道を空けるように指示しておいてくれたんだな。無用な諍いが起こらないように。
- はい。
「理解してくれたようなのでそれはいい。ではまず鞘の話から聞いてもいいか?」
そう言われ、鞘が魔道具であること、現状では必要以上に魔力を集めてしまう事、もしかすると触れているひとが魔力を吸われ続けて体調を崩しかねない事を話した。
俺とかリンちゃん、テンちゃんは魔力量が多いし回復量もそれ相応に十分あるので問題にならないが、ひとによってはそうなりそうだからね。
それを抑えてもらう処置をするためにリンちゃんに預けたと説明した。
「そうか。ではそれまでこちらで預かるが、構わないだろうか?」
- はい、寧ろこちらからお願いしようかと思ってたんですよ。仮の革鞘などを用意してもらうか、剣を預かってもらえるならそのほうがいいかなって。
「わかった。では責任をもって預かろう」
お願いしますと言ってから、さっきの子供、ウィンディの話をした。
外で起きた、ファーさんが突然やってきた事や、剣に宿る精霊が変わったことも。
驚かれ、呆れられ、そのあと…。
「うーむ、さすがはタケル殿と言う事だろうか…、それで納得してしまうのは俺自身もタケル殿に慣れてきたと思っていいのだろうな…」
と、何とも褒められているのか愚痴なのかよくわからない言い方をされた。
「俺は明後日出立する事が決まった。本来であれば黒鎧、いやクリスの宿る人形か、それを使役していた者らをこちらに捕らえ、アリザンへ同行させるのが筋ではあるが、その者らにトルイザンの王族が居るなら話が変わってくる」
- はい。
「なのでそれらはベルクザンへ安全に返し、その見返りとしてアリザンに対しての謀略であったと公表してもらうよう、説得をお願いしたい」
なるほど、って、俺か?
まぁそりゃそうなるだろうね、俺が接触して説得し、待機してもらってるんだから。
渋々頷いた俺に、ハルトさんは真顔で頷き返して続けた。
「タケル殿にしか頼めないのだ。それと…、申し訳ないがロミにも説明しておいてはもらえまいか」
あー、これはハルトさん、すっかりロミさんとシオリさんに苦手意識もっちゃったんじゃないか?
- わかりました。
「そうか、ホーラードへはこちらから親書を送っておく。筋違いで済まんがよろしく頼む」
- はい、あ、ホーラードで行われる僕の所属の審議で、ハムラーデルが獲得したいと希望して一部貴族や有力者に働きかけようとしてるみたいなんですが、ご存じでした?
「な、何だと!?、済まん、俺の監督不行届だ、それも文書を出しておく」
いやハルトさんの監督責任なんて無いでしょ、と言いたいところだけど、まぁそこは突っ込まずにおいた。
- そうですか、剣の事も含めてお願いしますね。では、お騒がせしました。
何だか微妙な気分で作戦室を出た。
何ていうかさ、ロミさんへの説明はまぁ別にして、ベルクザンのひとたちについては、乗りかかった船みたいなもんで、説得やら多少の世話やらは俺がしなくちゃいけないだろうとは思っていたし、するつもりでいたんだよ。
でもそれを、どうしてハルトさんから指示され頼まれたみたいな形になるんだろうね?、どうもそこが微妙な気分なんだよ。
アリザンとベルクザンのややこしい事情は、トルイザン連合王国内の問題だ。そこにハムラーデルが巻き込まれるとしても、ベルクザンの王族が含まれているからとか、本来ならアリザンへ連行するとか、そんなの砦にいるハムラーデルの兵士たちが決めていい事なのか?
ましてや人種同士の争いには介入しないはずの勇者であるハルトさんが?
酒場や道端での喧嘩を仲裁するのとはわけが違うんだよ?
そりゃさ、勇者だってその前にひとりの人間だから、勇者である事のスタンスや考え方だって違いはあるだろうし、一番後輩の勇者である俺なんかがハルトさんみたいに100年近く勇者やってる大先輩に物申すのは、いくらなんでもできない。だから言わなかったんだけども。
気分的には誰かに相談したいし、相談するとするならロミさんが中庭小屋に居るんだから適任だろう。
でもなー、ロミさんもロミさんで固有の考えがあるだろうし、シオリさんといいロミさんといい、もちろんハルトさんもそこに含められると思うけど、最古参の3人って、それぞれに国への影響が大きいというかロミさんなんてその国のトップそのものじゃん?、だからどうにも相談相手として相応しいとは思えないんだよ…。
じゃあ誰に相談すりゃいいんだって話なんだが、リンちゃんやテンちゃんに言ってもただの愚痴になるし、ウィノアさんに言ったところで、また『|なるようにしかなりませんよ《Let it be》』って言われるだけのような気もする。
それを思い出すとちょっと気が楽になったような気がした。
「ふむ?、何か良い事でも思い出したか?」
俺を隣から見上げてにこっと微笑むテンちゃん。
ああ、こういうテンちゃんやリンちゃんを見ていると心が癒されるなぁ…。
次話4-053は2021年03月26日(金)の予定です。
(作者補足)
ウィンディは『たっぷり風の渦』を行使するためにリンからの魔力供給を
たっぷり分、受け取りました。
魔法は構築中に中断したため消費はしましたが、残っている分だけでも
仮体の寿命が延びています。
それによってファーが連れて行く途中で消える事が無かったのです。
20210319:訂正。 ポーチ ⇒ ポケット
20210326:誤字訂正を頂きました。ありがとうございます。 美妙 ⇒ 微妙
20220525:語順訂正。
(訂正前)するっと鞘から剣をそのままテーブルの上に並べるように抜いて
(訂正後)するっと鞘から剣を抜いてそのままテーブルの上に並べるように置き
●今回の登場人物・固有名詞
お風呂:
なぜか本作品によく登場する。
あくまで日常のワンシーン。
最近入浴描写が無いねー、今回も無かったんだが…。
タケル:
本編の主人公。12人の勇者のひとり。
何だかんだで振り回されていますね。
こういうの主人公らしいと思う。
リンちゃん:
光の精霊。
リーノムルクシア=ルミノ#&%$。
アリシアの娘。タケルに仕えている。
溜息いっぱい。
テンちゃん:
闇の精霊。
テーネブリシア=ヌールム#&%$。
後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。
リンの姉。年の差がものっそい。
実は剣を作戦台のところに取りに行ったとき、
リンに注意されるまでの一瞬、魔力を少し漏らしたため、
腫れ物に触るような態度を取られる事になったようだ。
ウィノアさん:
水の精霊。
ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。
一にして全、全にして一、という特殊な存在。
恐縮しまくりですね。
アリシアさん:
光の精霊の長。
全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊。
だいたい名前くらいしか登場しませんが一応。
ウィンディ:
ウィンディ=ヴェントス#&%$。
クリスが使っていた嵐の剣に
宿っていた風の精霊が名付けによって自我を確立したもの。
しばらくは教育のため、ヴェントス様の下へ行った。
ファーさん:
ゼファーリィ=ヴェントス#$%&。
ヴェントス様からウィンディを連れて来るように言われて、
迎えに来た風の精霊。
いきなりやってきて、風のように去って行った。
今回の題名、慌しいあれこれの代表。
ハルトさん:
12人の勇者のひとり。現在最古参。
勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。
ハムラーデル王国所属。
およそ100年前にこの世界に転移してきた。
『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。
ただの剣では決して無い嵐の剣を
抜き身で片手に持って砦に入ってきたタケルに、
焦り慌てた兵士たちがどうすればいいかと報告されて驚いた。
カエデさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号10番。シノハラ=カエデ。
この世界に転移してきて勇者生活に馴染めず心が壊れそうだったが、
ハルトに救われて以来、彼の元で何とか戦えるようになった。
勇者歴30年だが、気持ちが若い。
でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。
お使いで走ってます。
ゆえに今回もまた出番無し。
ロミさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。
現存する勇者たちの中で、3番目に古参。
現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。
今回は名前のみの登場。
クリスさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号5番。クリス=スミノフ。
現存する勇者たちの中で、4番目に古参。
だけどロミがなかなか起きなかったため、起きたのはクリスのほうが早い。
黒鎧には彼の意識が宿っているだけで、身体が入っている訳では無いらしい。
喋れないってつらいですよね。
待つしかないと諦めた様子。
よかったね、愛剣は無事です。
コウさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号8番。ヨシカワ=コウイチ。
現存する勇者たちの中で、5番目に古参。
コウがこの世界に来た時には既に勇者たちは各国に散っていた。
アリースオム皇国所属。
今回も出番無し。
アリースオム皇国:
カルスト地形、石灰岩、そして温泉。
白と灰の地なんて言われてますね。
資源的にはどうなんですかね?
でも結構進んでる国らしい。
トルイザン連合王国:
ハムラーデル王国の東に位置する連合王国。
3つの王国があり、数年ごとに持ち回りで首相を決めていた。
クリスという勇者が所属している。
3つの王国は西から順に、アリザン・ベルクザン・ゴーンザンと言う。
アリザン王国:
アリザンはイアルタン教ではない精霊信仰で統一されている国です。
他教を許さない宗教ですが、例外的に、
同じ教えが多くあり、経典が同じイアルタン教の存在を許しています。
ゆえに、イアルタン教の勇者であり古参のハルトに対しては、
尊敬と信頼があります。
ベルクザン王国:
宗教はいくつもあって、複数所属してもよいという国。
そのせいで、アリザン王国から目の敵にされています。
政治的にはそうではなく、ベルクザンからトルイザン連合王国としての
統一王を多く輩出していたり、国力自体もベルクザンの方が上であるため、
宗教問題が無ければベルクザンのほうが強いです。
軍事的にも文化的にも。
おひい様と呼ばれる女性:
ベルクザン王姉。ヒースクレイシオーラ=クレイア=ノルーヌ=ベルクトス。
彼女たちとひっくるめて登場したが出番無し。
クラリエ:
ベルクザン王国、筆頭魔道師。
クラリエ=ノル=クレイオール。
同じく、彼女たちとひっくるめて登場したが出番無し。
容姿の揃った5人の女性:
ベルクザン王国魔導士会所属の魔導士たち。
クラリエの部下。
アリエラ=ノル=バルフカガー
イイロラ=ノル=ジールケケナーリ
セリオーラ=ノル=パハーケサース
サラドナ=ノル=パーガル
チェキナ=ノル=ネヒンナ
『ノル』というのは、魔導士に登録され、元の家の継承権を
放棄したという意味で付くものです。
継承権を放棄していない魔導士も存在します。
※ 作者補足
この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、
あとがきの欄に記入しています。
本文の文字数にはカウントされていません。
あと、作者のコメント的な紹介があったり、
手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には
無関係だったりすることもあります。
ご注意ください。