4ー042 ~ 村への散歩
しばらく庭のテーブルセットの所に座って魔法の訓練をしていたら、リンちゃんとテンちゃんが庭に出てきた。こっちに来るようだ。見ると目が合ってふたりともにこっと微笑んだ。可愛い。癒される。いつもこうだといいんだけどなぁ、なんて思ってたらテンちゃんが、テーブルの上でくるくる回ってるのを見て言う。
「何をしておるのかと思えば…」
「お姉さま、これはタケルさまが編み出された画期的な訓練法なんですよ?」
「何と!?、この一見無駄な遊びにしか見えないこれがか!?」
何だか傷ついたような気がする。
これは、中心に土魔法で作ったピンポン玉サイズの球体を浮かせて自転しているかのように回し、その周囲に衛星のように楕円軌道と円軌道合わせて8つのビー玉サイズの各種形状の物体をぶつからないような軌道で回しているものだ。
勇者病を超えてから8つぐらいなら結構余裕でやれるようになったんだよ。単純に回す場合だと、ひとつずつ増やしてって60個ぐらいからもう自分でもわけがわからなくなって失敗した。いや実は目で見て制御すると十数個が限界なんだけど、視覚的じゃなく魔力感知で制御するようにしたら、これが結構いけるんだと気付いたんでやってみたらそうだったってわけ。
で、ただ回すだけじゃ芸が無いから、軌道を楕円にしたり自転させてみたり、ビー玉サイズのほうを三角おにぎりや金平糖みたいな形にしてみたり金魚っぽくしてとか、遊びの要素を取り入れてみたりもしてる。金魚は泳ぐように制御するのは非常に大変なので、今回は動かさずに向きだけを制御して、小さな魚…、というか中に醤油でも入ってそうな形なんだけど、そんなおもちゃみたいなのを回してる。
「お姉さまにはそう見えるかも知れませんが、この遊びのような訓練が驚くほど効率よく学べるので、今や里でも採り入れられて次の学校教科書に載りますし、模型が教材になる予定なんです」
「そうなのか?、しかし妙な形のものを回して訓練に…?、ん?、これなど魚に見えるのじゃ。やはり遊んでいるようにしか見えないのじゃ」
リンちゃんはちらっと俺を見て、しょうがないひとですねというような目をしたけど、すぐにテンちゃんを見て答えた。
いやまぁ、遊び半分なのは否定しないけどね。でも学校教科書と教材って…、もうどうにでもしてくれって心境になるなぁ…。
「それだけタケルさまには余裕があるという事ですよ、お姉さま」
「なるほど、それで訓練になるのか…?、確かに昨日やっておった訓練に比べると複雑さが桁違いなのじゃ…」
ふむふむ、うんうんと言いながらテーブルの上で回しているのを見つめる精霊姉妹。
何だかそうまじまじと見られると照れ臭くなってきたし、訓練だという話で落ち着いたようだからそろそろ『どうしたの?』ぐらい言っても良さそうだ。
- それで、どうしたの?、テンちゃん。
「ん?、いや退屈な話になったので出てきたのじゃ。リンには尋ねないのか?」
と、リンちゃんを見るテンちゃん。リンちゃんのほうは取り繕ったように俺の左後ろへとささっと移動して何事も無かったかのように立って微笑みを浮かべた。
- んー、リンちゃんが僕に用事があるときはすぐに言いますし、言わない時はこうして近くに居るのが普通なんで…。
左後ろじゃなく隣に座ったりする事もあるけどね。
「そうか。私も用があるわけでは無かったのじゃが…、そうじゃ、タケル様よ、吾と村ででーとするのじゃ」
「お姉さま!?」
「良いではないか。どうせ暇を持て余しておったのじゃろう?、それに何やら面白そうなのじゃ。村を案内するのじゃ、タケル様」
- はい、
「あ、あたしも行きますよ?、お姉さま」
「もちろん構わないのじゃ。だぶるでーとなのじゃ」
ダブルデートってそういうのじゃ無いと思うけど、訂正するほどのものでもないからいいか。
- それはいいけど、村って2つありますよ?、どっちです?
「む?、お土産屋がどうのと聞いたのじゃが…」
「それはどちらの村にもあるみたいですよ?」
そうなのか…、手広くやってるなぁ…。
それにしてもその話、誰に聞いたんだろう…?、って、リンちゃんは知ってたのか…。
まぁどっちでもいいなら、俺も別にどっちでも…、ん?、ロミさんが庭に出てきたぞ。
ロミさんは庭に出ると俺を見て、目線が合うとにこっと微笑んでくれた。
リンちゃんたちもさっきそうしてくれたけど、やっぱりこういうのってちょっと嬉しいよね。まぁロミさんの場合は何か頼みとか用事とか、目的があっての事だろうけどさ。
そのロミさんは数歩で俺の前でテーブルの上に浮いてくるくる回っている複数の球体(物体)に気付いたのか、一瞬驚いたような表情で足をとめ、それから一呼吸おいてまた歩み寄ってきた。
「タケルさん、お願いがあるのだけど、その前に、」
- はい?
「それって、貴方が?」
- それって、これですか?
と、くるくる回しているのを指差した。
「そう。何なのこれ…?」
- 基本的には昨日みんなでやってたのと同じなんですよ?
「昨日はもっと数も少なかったし、球体だったと思ったのだけど…?」
そりゃあ差がありすぎるのは良く無いからなんだけど、もうちょっと言い方を変えなくちゃね。
- 昨日のはお手本ですし、基本的な動きしかしてなかったんですよ。
「そうだったのね…、ならこれは…?」
- これは、細かな制御の訓練といいますか…、まぁそんな感じです。
暇つぶしなんだけどね。これは言わないほうが良さそうだ。
「ひとつお魚みたいな形にみえるのだけど、訓練なの?」
やっぱり訓練には見えないんだろうか…、リンちゃんもテンちゃんも黙ってるけど目が『ほらやっぱり』って言ってる気がする。
- あ、ちょっと止めますね。これですか?
「そうそれよ、え?、これって水だったの?」
- そうですよ、その形を維持してます。
「なんて器用な…」
- 球体を維持するのと大して変わりませんよ?
「そんなわけ…」
- だから単体ならこうして動かせるんですよ。
と、ロミさんの目の前へすいーっとそれらしく泳ぐように動かした。といっても醤油の容器サイズで鰭も小さいのでわかりにくい。
「え…?」
- あ、やっぱりわかりにくいですね、わかりやすい魚にしましょうか。
金魚を大きくしてエンゼルフィッシュのような形に変更、そしてゆらゆらと動かして見せた。
ロミさんは口を半開きにしてその魚をじっと見ている。そして精霊姉妹は呆れたように目を少し眇めた。
- こういう風にもできますよ。
と、雀ぐらいの鳥にしてはばたかせた。
実は鳥ぐらいになると自然に見えるようにするには結構大変だったりする。だからさっきまでテーブルの上に浮いて静止していた複数の物体はこっそり分解したりぽいっと地面に落として解除してる。
「…すごいわ…、すごいとしか言いようがないけど、これほどになると魔力が使われているって事しかわからないわ…」
「全く、其方は…」
「人形を動かす遊びはありますが、それを水でするのはタケルさまかウィノアぐらいですよ…」
「リンよ、それは勘違いなのじゃ」
「え?」
「其方はおそらく水の精霊伝記で知ったのではないか?」
「はい、そうですけど…?」
「あの記述は文学的修辞が多いものなのじゃ。あの者はこんな手間をかけたりはしないのじゃ」
「そうなんですか?」
「忘れたのか?、あれはめったに姿を現さない特殊な存在なのじゃ。それは普段は態々形の体裁を繕わないという事なのじゃ。宿っておるそこら中の水は全部が分体でありそれら全てがアクアなのじゃ。形など噴水で飛び散っておるのを見た者が勝手にそう思い込んだだけなのじゃ。考えても見よ、たまたま見ているだけの相手にあの者が体裁を気にする事などあるまい?」
「なるほど…」
何やら俺の後ろでふたりが水の精霊さんの話をしてるみたいだけど、なるほど、形を人型にしたりするのは体裁というか相手への礼儀と思って良さそうだ。すると俺の前に出るときだいたいちゃんと人型なのはそういう意味だったって事だ。そう考えると俺のウィノアさんへの態度も…、いや、やっぱりあんなもんで良かった気がする。
だってなぁ…、あ、ロミさんの目が泳いでる。こっちはこっちで話を進めようか。とりあえず水の小鳥は解除して、と。
- あー、まぁ飛行中に他の事をいろいろしようと思うと、こういう訓練も必要なんですよ。
と、言い訳めいたごまかしを言っておいた。
「そ、そう。飛ぶのって難しいのね…」
- ただ浮かび上がって移動するってだけならここまで複雑な制御は必要ありませんよ?
「そうなの?」
- はい。昨日メルさんがしていたような、2つか3つぐらいの制御ができれば浮かんで飛べます。慣れない間はそれなりに魔力は使いますし疲れるでしょうけど、単純に飛ぶだけならそれほど難しくは無いんですよ。
「と、タケルさまは仰いますが、安定して飛ぶというだけでも複数の繊細な同時制御をする事になります。安全に、という条件を加えるとさらに倍増する事になりますので、タケルさまのように飛ぶためにはかなりの訓練と覚悟が必要です」
「そうなのじゃ。簡単にやっておるように見えておるやも知れんがとんでもないのじゃ」
「そうなんですね…」
そんな事を言われると俺は何も言えなくなってしまうじゃないか。
- えーっと、それでロミさんのお願いって?
「あ、そうね、それを言いに来たのだったわ」
ロミさんは一旦『勇者の宿』の向かいの店――名前聞いておくんだったね――に手紙を複数と言伝を頼む用事があるらしい。手紙は昨晩書いたんだそうだ。ここの筆記用具で。いいのかなぁ…?、まぁ問題があるならリンちゃんが何か言ってるだろう。
そこで俺に送って行って欲しいそうだ。と言うのも、来るときは飛んで来てしまったので森を抜ける道がわからないから、らしい。だけど、以前ならともかく今は食品の配達を頻繁にやってくれているので道ができている。途中にいくつか特殊な結界があるので登録のないひとはたどり着けないらしいけど、もうロミさんも登録済みだから普通に行き来ができるはずなのだが…。
そうそう、現在のこの森って、至る所にセンサーが配置されてるらしくってね、登録のないひとが入ってくると方向がわからなくなって穏便に森の外まで誘導されるようになっているんだってさ。何だか元の世界のゲームなんかにありそうな森だよね、それ。俺は当然ながら登録されているので特殊な結界ってのがどんななのか見た事がない。だから、『…らしい』としか言えないんだけどね。
それにしてはちょっと大げさな気がしないでもない。一応はここが見つかると騒ぎになりそうだから隠すためというのが建前、そう、建前になっちゃったんだよ。
モモさんとリンちゃんが言うには、寮の子たちを守るためだからいくら厳重にしてもし足りないぐらいだそうだ。現に今までもう何度も、勇者の宿の村と東の森のダンジョン村の両方から若い男性が森に侵入してきたんだってさ。中には狩りや採取をするふりを装って寮の子たちの住処を突き止めようとしたのもいたそうな。
いやそれって本当にそうだったのか…?、大した獲物は居ない森だけど、寧ろそれだからこそ、この世界に来てすぐの俺がそうだったように、本当に狩りや採取をしようとして来たんじゃないのか…?
と思ったけど、モモさんとリンちゃんの迫力ある言い方に押されて言えなかった。
もう俺にはどうしようもないね。『そうですか…』と言うしか無かったし。
つまりこの森は、村周辺や街道沿いのあたりは大丈夫だけど、この『森の家』の施設がある中心部に近くなるにつれて、いわゆる『迷いの森』状態になっちゃってるって事になる。
そりゃあここが見つかるとえらい事になりそうだってのはわかる。設備的にも寮の子たちに関してもそうだけど、ちょっと前だとアンデッズが居たわけで…、彼らは森をうろちょろしたりはしなかったそうだけどね、でも芝居小屋というか訓練場と演劇関係者と彼らの寮の周りを散歩したりはしてたそうだ。そんなの見つかったら騒ぎどころじゃなく討伐隊が来るぐらいの大騒ぎになるね。大変だ。絶対見つかっちゃダメだね。今は公演中だからアンデッズは居ないけどさ。
あ、アンデッズの事を考えたら建前でも無いじゃん。
でも寮の子たちが村で受け入れられてるのにアンデッズが見つかって疑われたり排斥されたりするようになったら困るとかそういうのを考えれば、寮の子たちを守るため、ってのは間違いでは無いね。
だって、色恋に目が眩んで目当ての子を目指して情熱を燃やし、森に入ったらアンデッドが居た!、なんて事になったら大変なんてもんじゃないだろう。モモさんの言うように寮の子たちの安全と平和のためにも隠蔽工作は厳重にしなくちゃいけないだろう。なるほど、納得した。
そんなとこをメルさんは走り込みとか言って走り回ってたのか…。いろいろとんでもないな。
メルさんはどこまで知ってるんだろうね…?、ちょっと怖くて聞けないけど、メルさんが何も言って来ないし許可証を出したのは彼女らしいし、ここの領主代行より上の立場だし…、あれ?、んじゃいいのか…。
そういやもうメルさんはアンデッズの事まで知ってるんだよね…?、演劇見たんだしさ。
走り回ってたなら、寮や工場の事も知ってそうだし…、そうか、よし、メルさんは全部知ってるって事だ。だったらもう気にしない事にしよう。そうしよう。
「あら、歩いて行くの?」
送って行くぐらいは構わないとロミさんに言い、モモさんへリンちゃんが連絡をしてから4人でとことこと勇者の宿の村へと歩き始めると、ロミさんが不思議そうに問いかけてきた。
- え?、道を覚えたいって話じゃ無かったんですか?
「それはあるけれど…、帰りは送ってくれないのかしら…?」
「タケルさまは私たちと村で用事があるのです」
「そうなのじゃ、悪いが帰りは別なのじゃ」
という事なんだ。
先にテンちゃんがダブルデートって意味は違うけど、村を見て回りたいって言ったのに『はい』って言っちゃったからね。
「そうだったのですね、すみませんお忙しいのに…」
ロミさんは俺に言ったのにテンちゃんから返事をされたので恐縮したように頭を下げた。
「何、急ぎというわけでは無いのじゃ、ついでに其方を送るぐらいは構わないのじゃ」
「帰りはミドリさんたちが一緒ですので大丈夫ですよ、ロミさん」
- だ、そうです。
どうやらリンちゃんがモモさんへ連絡をしたのは、俺たちが出かける事を伝えただけじゃ無いようだ。ん?、今『ミドリさんたち』って言った?
「お気遣い頂いて恐縮です」
- ミドリさんたち?
「はい、今朝の配達はミドリさんなんです。寮の子たちも一緒なので、ミドリさんたち、と」
- なるほど。
「ミドリさん…、というとあのほんのり黄緑色の髪の…」
- はい。
あ、小さく呟いただけなのに返事しちゃった。
「ふふっ、聞こえてしまったのね」
- すみません、つい。
「ううん、いいの。髪の色で名前が覚えやすい、って思っただけなの」
「呼びやすい愛称を名乗っているだけで、ミドリさんが色の名前なのはたまたまなんです」
- え?、そうなの?
「はい、ミドリさんとアオさんはそうですね」
- へー…。
そうだったのか…、てっきり髪色で覚えやすく、わかりやすくしてくれたのかと…。あれ?
- ミドリさんとアオさんだけ?
「そうですよ?、あたしはリンですけど、リン色なんてありませんし、モモさんもベニさんも色の名前では…、あ、もしかしてタケルさまにとっては色の名前なんですか?」
おおぅ、まさか桃色や紅色というのが精霊さんに無い色名だったとは思わなかったよ…。
- あ、うん。ロミさんもそう思ったんじゃないですか?
「ええ、そうですね。そう思っていました」
「そうだったんですか…、リン色はどんな色なんですか?」
- あ、リン色は意味がいろいろあって実際の色もたくさんあるからどんな色というのは説明しづらいかも…。
「そうなんですか?」
「それは知らなかったわ」
あら、ロミさんも知らないのか。いや、知らなくても不思議じゃ無い。
俺だってたまたま集会所に来ていた子が読んだ本に『燐色』という単語があったとかで、どんな色かを尋ねられなかったら調べてないし、知らなかった。
その本では『燐色に光る眼』と、燐光という意味で使われていたので淡く光る青や緑という表現だったんだけど、『燐色』というと他の色である可能性もあるからややこしいんだ。これを説明するには燐という物質の化学的性質がどうのこうので実に白黄赤茶紫黒と、様々な色がある。そこに先の青や緑が加わるわけで、そうすると8色だ。クレヨンのセットができそうなぐらいだね。
- そうなんだよ、だからリンちゃんが色の名前だとは考えてなかったよ。
「へー…」
「物知りなのね…」
「テン色というのはあるのか?」
- え?、テンちゃんの場合は名前の最初をとっただけだから…。
「そうか…、いや、不満があるわけでは無いのじゃ。これはこれで気に入っておるのじゃ」
- それは良かった。
それからモモ色がどんなだとか、ベニ色がどんなだとかの話をした。『燻製小屋』って名前の食品工場の作業責任者、ミルクさんのそのミルク色とか、寮長ブランさんの髪色が茶色でブラウンに近いとか、こないだ劇団『聖なるアンデッズ』の責任者になったキュイヴさんの髪色が銅色で、元の世界のある国ではキュイヴルだったかな、そう呼ばれているとかそんな話をした。
実はこれを知ったのは集会所に来てた子の母親がその国出身だったからなんだけどね。そういう理由でもなければそんなの知らないって。キュイヴさんの名前で思い出したぐらいだし。
「なるほど、髪色に合ってると思われていたのも納得です」
リンちゃんは感心したように言っていたが、モモ、つまり桃の事を説明するのが一番苦労した。だってそんな果物がこの世界に無いんだよ。味や香りが似ているのはそれぞれあるんだけど、その物ってのは無い。そんでもって実際のモモさんの髪って、金髪に淡くピンクをかけたみたいな色だから、俺やロミさんからするとホントに桃そのものなんだよね。光の加減で色が変わるから、密集しているとピンク色が強めになるし、ふわっと広がると薄くなるから尚更ね。
でも完全に同じ色というわけじゃないというのも言っておいた。ミドリさんも緑じゃなく淡い黄緑だし、アオさんだって青っぽいってだけで青じゃなく水色っぽいからね。
そういう話の中で、光の精霊さんたちの髪がほんのりぼんやり光ってるって話も出た。
ロミさんは、『やっぱりそうだったんですね』と、気づいていた様子だった。
これも、当人の魔力量次第なんだそうだ。だから魔力量の多いひとはちゃんと幼い頃に魔力放出を抑える事をまず覚えさせられるとかなんとか。
「お姉さまは寝ぼけて忘れてしまってましたけどね」
「う…」
寮の子たちは光の精霊さん基準で言うと普通レベルらしい。だから普段は髪が光ったりはしないんだと。でも明るい色の子が多いので、光があたれば輝いて見える。でもそれはこの世界だと普通の人種も、髪が傷んでいたり汚れたりしていなければ同じなので、村をうろついていても光の精霊さんだとバレたりしないようだ。
- そういえば夜に、モモさんやベニさんの髪がほんのり光ってたっけ…。
「モモさんたちは魔力量が多いんですよ」
- へー…。
「あ、魔力量が多い者が重要な役職に就いているのは事実ですが、全てがそうではありませんよ?」
「昔は家柄や魔力量が地位や身分となる事もあったのじゃ」
「はい、昔は、です。今はそういう事はありません」
- まぁ精霊さんにも長い歴史があるって事なんだろうね。ところでそろそろ東門だけど、リンちゃんとテンちゃんは通行証あるの?
「タケルさま、それを今頃言われるんですか?」
「そうなのじゃ。出る前に言うべきなのじゃ」
「ふふっ」
それもそうだ。
- 門が近くなってから思い出したんだよ…。
「ちゃんと持っておるのじゃ」
- そっか、だったら大丈夫だね。
「別に無くても通れるみたいですよ?」
- そうなの?
「はい、一緒に居る誰かが持ってれば通れるそうですし、無くても忘れたって言って通った子も居たみたいです」
ザルだな…。
そんなんでいいのか?
とまぁそんな風に話しながら東門を通り抜けた。
通行証のチェックなんて無かった。俺とロミさんだけが、勇者の鑑札を見せただけだった。
「一応、形式ですので」
と詰所の外に出ていた兵士さんは言っていたけど、そこは『規則ですので』って言うとこじゃないのかな…?、形式だったのか…。
今回は、勇者カップルとか詰所の奥でこそこそ言われるような事も無かった。
そして中心に向かうに従ってそこそこ人通りが増えてくる道を歩き、『勇者の宿』の前でロミさんは向かいの店に、俺たちはそのまま西門のほうへと向かった。
西門のほうが栄えてるというか、露店が並んでるんだよ。テンちゃんもそっちに興味がありそうだったからね。
●○●○●○●
「全く、リン様というひとがありながら、何て浮気な人…、リン様やモモさんはどうして平気なのかわからないわ…」
寮の子たちが『勇者の宿』の村でタケル様を、それも最近時々耳にするお土産露店の前に居るのを見たと言っていた。
その店は、女性への手軽なプレゼントを売る店らしく、寮の子たちにとっては注目の店なのだそうだ。もちろん彼女たちは自分で買う事はせずに、どの男性が誰に贈るのかというのをこっそり調べて、寮の子たちが誰とっていう情報に一喜一憂するのが最近の寮内の流行になっていた。
そこにタケル様が居た、という情報は瞬く間に寮内を染め上げた。
「ねね、タケル様はやっぱりリン様へのお土産にするのかな」
「まさかぁ、だってリン様にだったらあんな安物は合わないでしょ」
「だったら別の人にぃ…、なんてね」
「案外そうなのかも」
「「えええ!?」」
「「きゃぁぁ」」
「しーっ!、声が大きいよ!」
「あ、ごめん」
「それでそれで?」
「タケル様が誰にプレゼントするんだって話」
ここで聞き耳を立てている私に気付かれてしまい、彼女らはそそくさと場所を変えてしまったので続きは聞けなかった。
私たち幹部は、基本、タケル様のご自宅でモモさんたちと食事を摂るが、それ以外のおやつタイムや休憩には寮内の喫茶室や食堂を利用する事もある。
私は年齢が近い子の多い寮内や工場で仕事をする事が多いのだけど、たぶんモモさんがそういう気を回してくれているのだと思っている。
それで時々寮内の子たちと話す機会もあり、仲良くなっているつもりだったのだけど、やはり軽々しく噂話に参加させてはもらえないのだと実感して、少し寂しい思いがした。
それを、タケル様への不満という形にしてしまっているんだと、自覚はしているのだけれど、先も呟いたように優柔不断で他の女性と仲良くなったりくっついたりする話を耳にすると、やっぱり許せないという気持ちはあった。
そしてそこに続報が届き、寮内が騒がしくなったのよ。
「ね、聞いた?、タケル様の話」
「え?、武装したひとに囲まれたって話?」
「その武装していたひとたちに派手な衣装の女の人が居たのよ」
「えっ、それ知らない」
「そのひとと近くの店に入って行ったみたい」
「「きゃぁぁ」」
そこに別の子がやってきた。
「何騒いでんのよ」
「タケル様の噂、きいた?」
「派手な女のひとと手を繋いで飛び立ったって話ならあっちで聞いたわよ?」
「え?、お店に入ったって話じゃないの?」
「それ古い情報よ?」
「ええー?」
派手なひとというのはおそらく同じ人物の事だろう。
タケル様はその人物と一緒に店に入り、すぐに出てきて一緒に飛び立ったって事?
それにしても寮の子たちは一体、村で何をしてるんでしょうね?
と思ったのでたまたま近くを歩いていた子に尋ねてみた。
「え?、あたしたち自由時間は村で遊んでますよ?」
「遊んでるって…?」
「はい、だってリン様やモモ様の計らいで、村で使えるお金に両替してくれてたじゃないですか。それって村に行ってもいいよって意味だって寮長も言ってましたしぃ、村の人たちって優しくしてくれますし、里じゃ聞けないようないろんな話が聞けたりして楽しいですよ?」
「そうなの?、でも危険じゃないの?」
「危険?、どうしてです?」
「だって武装した人種の男性でしょ…?」
予め調査したところ、2つの村はどちらも女性の比率が恐ろしく低い事がわかっている。特に若い女性や子供が全く居なかったのだ。この時は集計をしたモモさんや調査をしたアオさんも驚いていたくらいだった。
「あはは、ベニさん考えすぎですよぉ、皆さんすっごく優しいですよ?、いつもにこにこしてますし、困ってたらすぐ助けてくれるんです。食事や飲み物だって奢ってくれたりして、暗くならないうちに帰れる時間にはちゃんと門の外へ送ってくれたりしますよ?、心配しすぎですよぉ」
「で、でももし何かあったら…」
「大丈夫ですって。だってあたしたちこれでも選抜試験を通過した光の精霊の端くれですよ?、そりゃあリン様やベニさん程じゃないですけど、そこらの人種には負けませんって」
「それはそうだけど…」
「心配して下さってるんですかぁ?、今ちょっとベニさんの事、見直しました」
「え?」
「ベニさんって、いつも何かに不満がありそうな感じでぇ、何かぴりぴりしてるっていうか、近寄りがたかったんですよ」
「……」
「タケル様の事も、何だかあまり良く思ってないみたいだったしぃ、あたしたちみんなタケル様に感謝してるのに、ベニさんだけ何か違うっていうかぁ、幹部なのに変っていうかぁ、だからそういうひとなのかなって思ってたんですよぉ」
そういうひと、って…。
「でも、ちゃんとあたしたちの事、心配して下さってたんだなって思ってー、あ!、そうだベニさん」
「え?」
「タケル様の魔力、落ち着いて一度ちゃんと感じてみたらいいと思いますよぉ?」
「え…?」
「じゃ、あたしこれからお仕事なのでー」
すぐ近くで立って不安そうな顔をして待っていたイーコと共に、アーコはささっと私から離れて駆けて行った。
「タケル様の魔力…、ね…」
この時の私はアーコが言った意味を正しく理解できていなかった。
「ベニ、タケル様を呼びに行きますよ」
「はい」
そうモモさんに言われて脱衣所に付いて行くと、モモさんは衣服を脱ぎ始めた。
「モモさん?、呼びに来たのでは…?」
「ついでにご一緒させてもらえそうなのよ、いい機会だからあなたも一緒に入りなさいな」
「え?、中はタケル様とテン様ですよね?、畏れ多いですよ!?、あたしなんかが…」
「ベニ、あなたはタケル様がどういうお方なのか、考えた事はあって?」
「え…」
真剣な顔と目線で私を見るモモさんに気圧されて、私は言葉を失った。
「あなたはタケル様の事をあまり良く思って無いでしょう?、どうして私やリン様がタケル様に甘いんだろうって、そう思ってない?」
「……」
「ヌル様はそれを気にしておられたわ。タケル様の優しいお気遣いを知らないのは光の精霊として不幸だと」
モモさんがテン様の事をヌル様と呼んでるのは、テン様は私たち光の精霊の長であるアリシア様と並ぶほどの存在だから、畏れ多いので古来の呼び方をしているんだと聞いた。テン様という呼び方は、タケル様がつけたらしく、テン様ご自身が容認しておられるので私やミドリさんたちはテン様と呼ぶ事を許してもらえているんだってことも。
「不幸…」
「あなたはまだ若いから気付かないのかも知れないけど、せっかくヌル様が与えて下さったいい機会なのだから、一緒に入りなさいな」
「わ…、わかりました…」
有無を言わせない雰囲気のモモさんに、私は否定する言葉を持たず、モモさんと一緒に脱いで浴室の扉の前で待つ事になりました。
程なく扉に張られていた結界が解除され、モモさんが扉に手をかけて開け、桶を手に笑顔で浴室へと足を踏み入れたのです。
「うふっ、タケル様、ヌル様、失礼しますね?」
とても嬉しそうなモモさんの声。
でもそれに続いて浴室へと入った私はそんな理由など考える余裕なんて無かった。
浴室には濃密な魔力が漂っていたからだ。
「し、失礼します…」
普段感じる事の無い、幸せな魔力…、私はそう言うのがやっとだった。
「うむ。かけ湯をして入るのじゃ」
「はい」
「…はい…」
目が眩むほど、自分が全裸だという事を忘れてしまいそうだった。
モモさんの動きを真似ながら何とか自分を保つのが一杯一杯の私は、このまま幸せに蕩けてしまいそうな感覚に抗っていた。
そこに入浴時の気の緩みがあったのだろう、幸せな気分でお湯に沈んだんだとモモさんから聞かされた。
そうなんです。気付いたら部屋に寝かされていて、目を開けるとモモさんが済まなそうな表情で心配そうに私を見ていたのです。
「ごめんなさい、あなたには耐えられなかったみたいね」
「あたし、どうなっちゃったんですか?」
「簡単に言うと、タケル様の魔力で幸せになって気を失ったのよ」
「え…?」
確かにあのお風呂はすごく幸せだった。まるで夢見心地で自分がどうしているのかがわからなくなっていた。お風呂に浸かると今まで感じた事の無い多幸感に包まれた事までは朧気に覚えている。
「わかったでしょう?、あれがタケル様の魔力なの」
「あれが…?、そんな、モモさんはあんなのに耐えられたんですか!?」
そう問いかけるとモモさんは静かに目を閉じて、ゆっくりと首を横に振った。
「タケル様のすぐ隣だったの。抗えなくてタケル様にしがみついていたわ。あなたが気を失わなかったら離れられなかった…」
「そんな、モモさんでも…」
「ごめんなさい、あなたを誘ったのは私のミスだったわ…、いいえ、ヌル様の誘いに乗ってしまった私が悪かったのよ。リン様が今まで私たちとタケル様の間に入って、こういう事の無いようにして下さっていたのね…、今日気付いてしまったわ。リン様に申し訳なく思うわ…」
「で、でも、あのお湯はとても幸せでした。あれがタケル様の魔力というのなら、あたしを気遣って下さるお気持ちがものすごく伝わってきて、慈しんで下さってるのがいやって程わかったんです、モモさんだってそう感じたんじゃないですか?」
「そうね、私もそう感じたわ。リン様から以前聞いてはいたけれど、あそこまでだとは思わなかったわ…」
「聞いてたんですか…」
「ええ…」
あれほどの魔力、それも自分を愛し慈しんでくれる強大で抗えないほどの魔力…。
一体、タケル様ってどれほどの存在なのだろう…。
「アリシア様が、タケル様ってお呼びするのもわかる気がしてきました。魔力に敏感な水の精霊もタケル様に付き従っているみたいですし…」
「そうね、でもリン様が仰るには、タケル様は崇められたりするのを嫌がるんだそうよ」
「あ、わかる気がします。普段があんなですからね…」
「あんな、ってあなた…」
「だって、今まで通り普通にするしか無いじゃないですか」
そう言いながらベッドで半身を起こし、足を横に出して起き上がろうとしました。
「そうね、ベニの言う通り、そうする他は無いわね、もう大丈夫なの?」
「はい、お手数をお掛けしました。大丈夫です」
「そう?、なら心配しているでしょうから、リビングに行きましょうか」
「はい」
その後、リビングに行ったはいいけれど、タケル様に『もういいんですか?』と問われてお顔を見た途端、お風呂で溺れそうになってしまった事や、全裸を見られてしまったんだって思ってしまい、恥ずかしさやさっきの話が頭をぐるぐると巡ってしまってまともに答えられませんでした。
それを後でモモさんに呆れながら突かれてしまいました…。
聖なるアンデッズ劇団の演劇はとても素晴らしいものでした。
予め台本を読ませてもらっていたけれど、やはり実際にそれが劇になるとああも違うのだと感動しました。
すぐ近くでアオさんがおなかを抑えて椅子から落ち、床で笑い転げていたので少しは冷静になれましたが、それが無ければもっと笑い、驚き、感動していたことでしょう。
アンデッドという見た目なのにあんなにも親身になって彼らの行く末を案じ、道まで示されたタケル様…。
ご自分も大変な目に遭ってまで、禁忌の地を開放されたのです。
私は何も知りませんでした。知ろうともしなかったのです。
タケル様がご帰還され、私たちのいる『森の家』に戻られた時、青ざめた顔でリン様に支えられながらも水の精霊の事を案じられ、お礼を言っておられました。
数日寝込まれ、ご自分では動けない状態だったそうです。
そんなだったのに、動けるようになってすぐにアンデッドたちの所へと戻り、彼らの道を考え、こうして彼らが幸せに生きて行ける場を作ったタケル様…、何て慈悲深く、お優しいのでしょう。
少し冷静に考えてみると、裏事情を少し知る私ですら彼、いいえ、タケル様というお方がどのようなお方なのかがわかります。
私は今までタケル様の事をいい加減な人種ぐらいにしか思っていませんでした。どうしてリン様やモモさん、そしてアリシア様までがタケル様に敬意を示されているのか、考えようともしませんでした。
『森の家』と呼ばれるこの家に帰ってきてから、着替えを終えてすぐに私がしたことは、モモさんがまとめてくれた資料を見る事でした。
そこには私も知らなかった、タケル様の偉業が細かく書かれていたのです。しかも、私たちが敵対する竜族への対処手段を考案し、実際にそれを使われていたり、私たち光の精霊が手を出せなかった場所へ大規模な戦果を挙げていることも記されていたのです。
それだけではありませんでした。私が知っていたのは食品工場関係の事だけだったんだと気付かされたのです。ほんの1年にも足りない間に、一体どれほどの偉業を為されたのでしょう、本当にひとりの、それも人種がした事なのか疑いたくなる程でした。
皆が着替え終わり、タケル様が頂いてきたという美味しいお茶を頂きました。
お茶が美味しくて場が浮かれた雰囲気だったのもあり、私は少し気になっていた、あの演劇は事実をもとにした創作ではないかという疑いを思い出し、演出が過剰だったのもあって、タケル様に直接お尋ねしてしまったんです。
そして、ついタケル様が動けなくなってしまった姿を思い出してしまい、タケル様にいままでの態度を謝ろうと思ったのです。
そしてタケル様の近くまで行き、謝りながら抱き着いてしまいました。自分でも驚きました。
しかしタケル様は慌てる事なく、私に落ち着くように言って下さり、優しく手をとってお言葉を下さったんです。
「大丈夫ですよ、ベニさんは悪くないから」
手首からタケル様の慈愛の気持ちが伝わってきました。
ああ、何て優しい魔力なんでしょう。
今までタケル様にあまりいい態度で接してこなかったのに、全てが許された気がしました。
こんな私でも受け入れて下さるんですね、と、溢れる涙にも構わずタケル様に飛びつきました。
そうしたらタケル様は私の腰に両手でその魔力を与えて下さったのです。
もう私は幸せで気が狂いそうになり、意識が朦朧としてしまいました。
お風呂では緊張もありましたが、あのような天にも昇るような気持ちになるほどの幸せ、これがタケル様の魔力なんですね。今思い出しても身震いがします。
アーコが言っていたのは本当でした。
でもアーコに、タケル様と一緒のお風呂に入ったとか魔力を直接頂いた、なんて言えるわけがありません。
部屋で目覚めた時、モモさんには厳重に口止めと注意をされましたし、やはり内緒にすべきでしょうね。
次話4-043は2021年01月15日(金)の予定です。
20210312:モモの発言で誤りがあったのを訂正。 テン様 ⇒ ヌル様
●今回の登場人物・固有名詞
お風呂:
なぜか本作品によく登場する。
あくまで日常のワンシーン。
今回入浴無し。
タケル:
本編の主人公。12人の勇者のひとり。
確かに優柔不断かも。
だいたい何でもタケルのせいですね。
リンちゃん:
光の精霊。
リーノムルクシア=ルミノ#&%$。
アリシアの娘。タケルに仕えている。
アリシアさん:
光の精霊の長。
全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊。
だいたい登場しませんが一応。
テンちゃん:
闇の精霊。
テーネブリシア=ヌールム#&%$。
後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。
リンちゃんの姉。年の差がものっそい。
ウィノアさん:
水の精霊。
ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。
一にして全、全にして一、という特殊な存在。
まだまだお仕事中。
名前のみの登場。
メルさん:
ホーラード王国第2王女。
いわゆる姫騎士だけど騎士らしいことを最近していない。
王女らしさは態度や行動にでているようですが。
いろいろ気苦労してますね。
基本、居ない時は外を走り回っています。
ダイエット作戦実行中。タケルには内緒。
情報いっぱい知りまくりですね。
ハルトさん:
12人の勇者のひとり。現在最古参。
勇者番号9番。オオミヤ=ハルト。
ハムラーデル王国所属。
およそ100年前にこの世界に転移してきた。
『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。
今回も登場無し。そろそろじゃないかな。
シオリさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号7番。クリバヤシ=シオリ。
現存する勇者たちの中で、2番目に古参。
『裁きの杖』という物騒な杖の使い手。
現在はロスタニア所属。
勇者姫シリーズと言えばこのひと。カエデは大ファン。
今回は出番無し。
ロミさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号2番。マサダ=ヒロミ。
現存する勇者たちの中で、3番目に古参。
現在はアリースオム皇国皇帝を名乗っている。
精霊姉妹に気を遣ってるのか大人しいですね。
クリスさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号5番。クリス=スミノフ。
現存する勇者たちの中で、4番目に古参。
だけどロミがなかなか起きなかったため、起きたのはクリスのほうが早い。
舞台がハムラーデル国境に移ると登場するかも知れないので一応。
コウさん:
12人の勇者のひとり。
勇者番号8番。ヨシカワ=コウイチ。
現存する勇者たちの中で、5番目に古参。
コウがこの世界に来た時には既に勇者たちは各国に散っていた。
アリースオム皇国所属。
今回は出番無し。
アリースオム皇国:
カルスト地形、石灰岩、そして温泉。
白と灰の地なんて言われてますね。
資源的にはどうなんですかね?
でも結構進んでる国らしい。
トルイザン連合王国:
ハムラーデル王国の東に位置する連合王国。
3つの王国があり、数年ごとに持ち回りで首相を決めていた。
クリスという勇者が所属している。
3つの王国は西から順に、アリザン・ベルクザン・ゴーンザンと言う。
こっちの話は大雨で停滞中。
森の家を管理している精霊さんたち:
モモを筆頭に、ミドリ、アオ、ベニの4名は幹部らしい。
今回はベニ視点のちょっとしたお話がありますね。
デレる前と後、ですね。
寮の子たち:
タケルの家とされている『森の家』その隣の、
燻製小屋という名前の食品工場に勤める精霊さんたちの事。
寮生活をしているが、自由時間は結構多いので生活を楽しんでいるようです。
これでも光の精霊さんですから、
普通の人種とは比較にならない魔力量があります。
これまで名前が登場したのはアーコなど数名ですが、
寮には200人ほど居ます。
※ 作者補足
この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、
あとがきの欄に記入しています。
本文の文字数にはカウントされていません。
あと、作者のコメント的な紹介があったり、
手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には
無関係だったりすることもあります。
ご注意ください。