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4ー017 ~ ミリィ再登場・闇属性

 勇者会議とカエデさんが言っていた、ハルトさんとそのカエデさんと俺の打ち合わせでは、俺には特にハルトさんたちからの指示や要望というのは無かった。


 「タケル殿はこうして地図を作ってくれたり、自主的に鳥型の魔物についての処理を請け負ってくれたりしている。こちらから下手に行動を制限するよりも、タケル殿の自由に行動してもらった方がいいのではないか?」

 「そうですよ。あたしたちとはやり方が全然違いますもん。お互いにこうして情報交換するのは必要ですけど、それ以外は自由にやってもらった方がいいです」


 一緒に巡回して欲しいとか、斥候隊を見てやってくれとかが無いので、少し拍子抜けな気分だが、そう伝えると、このように2人から言われてしまった。


 まぁ、ハルトさんもカエデさんも、魔物が来たという報告によって兵士たちと防衛行動に出るのと、ハルトさんは時々その斥候隊と一緒に出る事もあるという程度で、スケジュールが決まっているわけでは無いらしい。


 というわけで、とりあえずは朝にハルトさんたちは当日の方針を決めたり確認したりするそうで、それが終わってから少し話す機会を作ろうという、やんわりとした決まりができた。

 それ以外でも、何か変化があれば報告をして欲しい、こちらから呼ぶ場合もあるがよろしく頼むと言われた。


 それで会議が終わって、本部の小さな会議室を出て作戦室を通って外にでるとカエデさんが付いてきてて、『あー、川小屋のお風呂に入りたいなー』とわざとらしく棒読みで言ってから俺から数歩の距離までわざわざ近寄って、『ちらっ』とか言うんだよ。

 何だよその微妙な距離…。


 仕方なくというか気持ちはわかるので、リンちゃんの作った小屋へと連れて行くことになった。そうして歩き始めると、ハルトさんも出てきて、俺たちに駆け足で追いついてきた。


 さっき、どうやって連絡をするのかと思ってたけど、歩きながらカエデさんが俺の天幕というか家で寝泊りしていいかって話になり、そういえばカエデさんの部屋って無かったなと思って、一応リンちゃんが管理しているので確認はするけど、たぶん大丈夫じゃないかなと答えるとすごく喜んでいた。


 ハルトさんにも確認すると、彼は本部横に自分の天幕があるそうで『それは魅力的だが本部に近くないといろいろと不都合があるからな…』と、苦笑いをして言っていた。






 そんな話をしながら小屋の近くまで兵士さんたちの天幕を縫うように通ってくると、『わー、家ができてる!』と、カエデさんが走って行き、毎度のように布を垂らしてあるだけの入り口から中へ入ろうとしたが、入れないようだ。


 「あれ?、あれ?、入れませんよ?、タケルさん」


 と、入り口の障壁に手で触れて困ったような表情でこっちを見ている。

 そりゃあ登録してなければ入れないよなぁ、と思った俺は、思えば随分とリンちゃんたち光の精霊さん方式に慣れてしまったようだ。


 ところでお宅の娘さん、子供みたいな事してますけどいいんですか?、という意味をちょっとだけ込めてハルトさんを見たけど、彼は苦笑いをして耳の前のところにある古い傷痕を人差し指で軽く掻いていた。


 そういえば傷痕って、『勇者の宿』に強制帰還した場合には残らずキレイに消えるってサクラさんだったかが言っていたけど、ハルトさんは顔や腕に古傷のような痕が残っている。

 それは、帰還することなく長いこと戦えているって事だ。


 「ああ、そうだぞ。だからこの傷痕は言うなれば勲章のようなものなんだ。もし『勇者の宿』に帰還してしまえば全て消えてしまうものだからな。以前そうなった時、周囲から傷痕が無いだのキレイになりましたね、だの、中には若返りましたか?、などと皮肉を言う者が居たからな。故意に傷をつけるような事はしていないが、どうもこの『フレイムソード』というのは扱いが難しい所があってだな、ちょっとしたかすり傷でも負おうものならこうして熱波によって傷痕が残りやすくなってしまうのだ」


 前に川小屋にハルトさんが居たとき、ちらっと傷痕の話をしたらそう言っていたっけ。あ、ここって林というか森だから、『フレイムソード』の威力を発揮できないんだっけ。

 今までのハルトさんでも、『フレイムソード』で斬撃を飛ばしたり武力(魔力)を込めて斬るときは集団戦では加減しないと周囲が燃えたりして被害が出るって言ってた。

 メルさんが使う『サンダースピア』もそうだけど、伝説の武器だもんなぁ、威力がありすぎるってのも問題だ。






 とにかく、2人には外で待っててもらって、俺だけで家の中に入り、リンちゃんを呼んできた。そしてハルトさんとカエデさんに、仮認証用のペンダントを渡してもらい、中で登録処理をしてもらった。

 2人とも、川小屋のときにもしてもらった事なので、特に何も言わずに諾々と従って登録処理を終えることができた。


 カエデさんが先に入浴するらしい。着替えは本部に荷物を置いたままのようで、取りに戻るという彼女に適当な服を渡した。まぁ上から革鎧を着けるので多少ぶかぶかでも問題は無いだろう。それでいいみたいだし。


 で、いま来てる服をお風呂で洗っていいかと尋ねられたので、リンちゃんを見る。


 「裏に洗濯機がありますよ。カエデさんなら使い方もご存知でしょう?」

 「わ、使ってもいいんですか!?、やったー、ありがとうございます!」

 「おい、カエデ…」

 「だってあれ使うとすっごくキレイになるし、いい匂いがするんですよ?」

 「ほう?、そんなのがあるのか?」

 「あれ?、ハルトさんだって川小屋で洗濯してたじゃないですか」

 「いや、俺は裏の河原で洗ってから干していたんだ」

 「え…?」


 川で洗濯してたのか…。

 言われてみれば、騎士団の人たちも川小屋とは離れた場所、橋の下とかそんな所に洗濯場を作って洗ってたっけ。


- カエデさん、説明しなかったんですか?


 「だって、ハルトさんのほうが先だったんですよ?」


 あ、そういえばそうだった。


 「だったらもう知ってるって思うじゃないですかー」


- そうですね。あ、もしかしてハルトさんに誰もそういうの伝えて無かったって事?


 「どっちかって言うと、タケルさんが説明してないのがおかしいと思う」

 「ああ、まぁ過ぎた事だ、今日教わればいい」


- あっはい、済みません、じゃあこの後ででも。


 「ああ、頼む」

 「じゃ、あたしお風呂行ってくるね」






 と、立ち話になっていたが、リビングのソファーのところで水を入れたコップを置いたまま、じっと座っているテンちゃんのほうへ近づいた。

 が、ハルトさんは脱衣所の入り口脇のホームコア操作盤のところから動いていない。


- どうしたんです?、ハルトさんもこっちで座りませんか?


 「ん、ああ、その、いいのか?」


 何だろう?、でもそこ、扉の向こうでカエデさんが脱いでるはずだし、そう思ったから離れたんだけど…。


- そこ、脱衣所の前ですから。


 どういう意味かわからなかったので、移動した理由を伝えた。


 「あ、ああ、そうだな…」


 と、3歩ほどこちらに近寄り、また足をとめた。ちょうど食卓とこちらのテーブルとの間のところだ。


- そこで立たれていても何ですから、とにかく座ってください。


 向かいのソファーを手で示すと、何だかやや緊張ぎみの様子で大きい身体を縮めるようにして座った。そこへリンちゃんがささっと給水器から水を汲んでテーブルに置き、俺の隣、テンちゃんとは逆側で俺を2人で挟むような位置に座った。


 「ありがとうございます。頂きます」


 と言ってガラスのコップを手にして水を一気に飲んだ。

 ハルトさんが丁寧な言葉遣いをしたのって、ああ、川小屋のときにウィノアさんが出てきて、それに驚いたあとに一度聞いたっけ。

 それでか。リンちゃんとテンちゃんが精霊さんだから。

 でもなぁ、そのへんはもう慣れてくださいとしか言えないんだけどなぁ…。というかわざわざそう言わなくてもいいかな、って思ってるので、見なかった事にして話をしようと思う。






- 実はですね、さっきの会議で話そうかとも思ったんですが、鳥型の魔物への対処で、ひとり、こちらに協力者を呼ぼうって思ったんですよ。


 そう話を切り出したのは、本部にある会議室では話せない事だからだ。

 部屋の外に兵士さんが立ってたし、扉も付いてなかったからね、仕切り布だけじゃ中での話は外に筒抜けだもんね。


 「そ、その方も精霊様なのか…?」


 と、俺の左右で澄ました顔をして座っている2人へと視線を動かして言う。


- いえ、そうでは無く、別の種族の人種(ひとしゅ)の子なんですよ。


 「ふむ。タケル殿が必要と考えて人を呼ぶのは構わないが、別の種族とは?」


- カエデさんは川小屋で一度紹介したんですが、これくらいの小さな、有翅族(ゆうしぞく)っていう(はね)を持った種族の子なんです。


 両手で高さ20cmぐらいを示しながら説明をする。


 「おお、そのような種族も居るのだな。しかしこの大陸では見たことも聞いたこともない。そのような珍しい種族を人目に晒して大丈夫だろうか…?」


 さすが、勇者歴100年近いからか、そういう所にすぐに気付いてくれると話が早くていいね。

 たぶん、さっきの会議で言えなかった理由も察してくれたと思う。


- そのへんは上手くやりますよ。


 「そうか、ならいい」


- やっぱりそういう話って過去にあったんですか?


 「ああ、いや、俺が知っているのも直接ではなく話に聞いただけだが、かなり昔、動物の耳と尻尾を持った種族が海に流れ着いたらしい」


 そうハルトさんが話してくれたのは、やっぱり物珍しさから捕まえられ、売られ、見世物にされるという酷い話だった。当時は奴隷制もあったようだし、その手の人身売買は普通の人でも食い詰めるだの犯罪者だのとさまざまな理由によって、よくある話ではあったそうだ。


 「この大陸では俺やタケル殿のような普通の人間しか居ないからな、小人や妖精のような大きさの人は、欲に目が(くら)むような連中にとっては格好の獲物だろう」


 ラスヤータ大陸でもそうだったからね。こっちでもそういうのは変わらないだろうね。言葉が通じる獣人族(けもぞく)ですらそうだったんだ。言葉も通じないというなら尚更だ。


- そうでしょうね。でも一応、来てもらったらハルトさんにも紹介しておきたいので話をしたんです。


 「そうだな。俺も知っておいたほうがいいだろう。わかった。いつ頃になりそうだ?」


- はい、まぁ明日にでも。


 「早いな。いや、問題無い。襲撃が無ければだが」


- そうですね、その襲撃ってどの程度の頻度なんです?、今日のようなのはそう頻繁にというわけじゃ無さそうですが。


 「ああ。今回のような連携をされたのは初めてだ。頻度というのは前にも言ったが、今回でそれは当てにならんだろう。単なる予測だが、おそらく散発的な襲撃は無いかも知れんと考えている」


 効果的だった、って事かな。


- 今回って全滅させたんでしたっけ?


 「いや、後方で指揮をしていたらしい個体を全体で数体、取り逃がしたという報告を受けている」


- じゃあ情報を持ち帰ったと考えたほうが良さそうですね。


 「そうだな、同意見だ。それ故、今後は連携をとる集団による襲撃になると俺たちは考えている」


- なるほど。


 「騎士団にも鳥型の魔物の働きについて話をしておいた。彼らも今後は注意を向けてくれる事だろうが、今までの目撃例が少なすぎるのが気がかりなのだ。タケル殿から預かった地図に記された鳥型の数はそれに比べて多すぎる。余程(うま)く隠れ潜んでいるのだろうな、それを何とかできればいいのだが…」


 うん、そうだよね。あれだけの数が居るんだから、今まで鳥型の魔物を多く見ていたなら気付いていても不思議じゃなかった。


 「鳥型は今まで居なかったという先入観もあったんだろうがな」


- そうですね。


 まぁそのために、ミリィを呼んできて欲しいわけで。誰にってリンちゃんにだけどさ。そこはあとでリンちゃんに頼むつもり。


 とまぁハルトさんとそういう話や、あとは魔力の鍛錬――ってハルトさんの言ね――のやり方だとか、探知魔法が使えるようになったとか、『フレイムソード』の扱いがしやすくなり、威力が上がってしまったのでここで戦う時には周囲を燃やさないように抑えるのが苦労するようになってしまった話などをしていると、カエデさんが脱衣所から出てきた。


 「あがりました、次どうぞですよ、ハルトさん」

 「ん?、ああ、タケル殿は?」


- あ、使い方はわかりますか?、あ、これ着替えです。ちょっと小さいかもしれませんが。


 手持ちの衣類、まぁ中古だのエクイテス商会だので入手したものだけど、大きめのものをポーチから取り出しててわたした。


 「川小屋で教わったからな、ああ、ありがとう、うん、たぶんこれなら大丈夫だ」


 ハルトさんはそれを両手で広げて、着れると判断したようだ。


- そうですか、僕はちょっとリンちゃんたちに話もあるので、おひとりでどうぞ。


 「ん、そうか?、では頂いてくるとしよう」


 足取り軽く、カエデさんが脱衣所の前をあけた横を通って入っていった。


 「ふふっ、まともなお風呂、実はあたしよりハルトさんのほうが楽しみだったんですよ?」


 と、カエデさんがこそこそと近寄ってきて、口元に手を添えて言った。

 何というか、仕草が古いなぁ。昭和のおばちゃんか。言わないけど。






 「っぷはー、お風呂あがりにこのお水はいいですねー!、あ!、晩御飯ってここで食べていいんですよね!?」


 給水器の前で腰に片手をあてて、ガラスのコップに汲んだ水を一気に飲み干してから俺の向かいでテーブルに両手をついて身を乗り出すようにして言った。


- あっはい、僕たちも食べるんですから、そりゃ別になんてしませんって。


 若干身を引いて背もたれに逃げるような姿勢で答えた。


 「良かったー、これから毎日タケルさんちのご飯が食べれてお風呂に入れるんですね…」


 身を起こして両手を胸の前で組んで、斜め上を見上げるようにして言うカエデさん。

 やっぱり仕草が古いと思う。






●○●○●○●






 ハルトさんが入浴をしている間に、ミリィを連れてきて欲しいとリンちゃんに伝えてから、カエデさんが回復魔法についていろいろと質問してきたのでそれに答え、そしてカエデさんが思い出したように洗濯をしに裏へ行き、リンちゃんは夕食の支度で台所へと行った。


 メルさんはまだ安静らしい。リンちゃんが言ってた。

 でもその本人は、自室でトレーニングみたいな事やってるけどいいのかな?

 え?、いやほら魔力感知でさ、妙に動いてるから何だろうとよく見たらスクワットみたいな運動してたんだよ。

 まぁそれだけ元気になったなら安心ではあるね。


 何せ魔力の枯渇状態ってつらいからねー、俺の場合は『勇者病』と同時だったんで比較しづらいけどさ。

 夕食にはもう普通にでて来れそうで良かった。






 俺とテンちゃんの2人がリビングのソファーに並んで残った。まぁ台所のリンちゃんからは位置によっては見えるんだけども。

 それでちょっと気になってた事をきいてみた。


- テンちゃんって闇の精霊さんだよね?


 「ん、そうじゃが?」


 改めてどうしたのじゃ?、とでも言いそうな表情に、ここまで澄まし顔で黙ってたけど話しかけたのが嬉しいのか、少し楽しそうな声色で答えるテンちゃん。

 こういう反応をされるとこっちも何だか楽しくなるね。


- 光の精霊さんたちとは相性良くなかったりしないの?


 「ん?、そんな事はないぞ?、性格的に合う合わないはあろうが、そんなものは人種(ひとしゅ)同士、動物同士でもあるものじゃろ?」


- そうだけどさ、属性的な相性ってのがあるのかなって。


 「ああ、4属性や光と闇の相克(そうこく)の事じゃな?」


- そうそうそれそれ。


 「確かに自然現象として火を消すには水、水を吸い取るのは地、といったような相克を考えることは魔力操作の初歩においては想像しやすく重要じゃな」


- 初歩においては?


 「うむ、タケル様よ、少し考えてみれば良い。地が水を吸うとは言っても限度があろう?、海や湖、池は地の上にあるのじゃしの。それに水が火を消すといっても同様じゃ」


 確かに、火が大きすぎるといくら水をかけてもダメな場合がある。風が火を大きくするといっても風が強過ぎれば火は消える。


- なるほど、単純に自然現象で考えるものではないってことね。


 「そういう事じゃ、光と闇で言えば、むしろ互いがあるから互いがある。光があるから闇が生じ、闇があればそこに光があるものじゃ。これも自然現象の観点じゃが、わかりやすかろ?」


- うん、単純に光や闇、火や水などの言葉を当てはめているだけで、実際はもっとややこしいんだっけ。


 「其方はかなり属性について理解しておるようじゃな」


 テンちゃんはにっこりと微笑んだ。


 そう、光属性っていうのは単純な光だけの話ではなく、時空そのものを意味したりもする。火属性が単純に熱く燃える現象ではなく温度という分子のエネルギーを操作するもので、風属性が運動エネルギーに働きかけるもの、そして土属性が重力を操作するものであるのと同じだ。


 水属性は、まだいまいちよくわからないんだけど、ウィノアさんとの今までの会話や技術を教わった時のことを思えば、物質の状態を操作したり特定したりするのに適している属性のような気がする。

 実際、ウィノアさんが行使する魔法って別に水属性に限らないしな。あのひと肉体無いし。


 なので属性ってのは便宜上そう言っているだけのもので、重なっている部分もある。

 例えば風属性や水属性の魔力だけで温度を操作することもできる。操作した結果、現象的にそうなるのを利用しているだけだから温度を操作するなら火属性魔法を使ったほうが楽だし効率がいいってだけだ。


- じゃあ闇属性ってのは何なの?


 「む?、其方も(われ)と接触したことでおぼろげには理解できているんじゃろ?」


- んー、まぁ言葉では難しいんだけど闇というよりは虚無というような感じかなと。


 「うむ、では虚無の虚とは何じゃ?」


- え?、うつろだから中身が無い…?


 「中身と言うならその(うつわ)はどうじゃ?、ちと意地悪か?」


- あ、いえ…。


 うーん、たしかに(うつろ)とは『空ろ』とも表現できるし、(から)という意味だ。中身が無い。では中身と表現するのであれば()れ物、つまり容器という概念が存在する事になる。ならば虚無とは何なのか。中身が無い容器の事なのか、それは『有る』物ではないか、となる。

 こういう哲学的な話って苦手なんだよなぁ、わけがわからん。わかったように思えてもわかってないしさー。


 「ふふ、悩んでおるな。ではもし、闇が『無』であるなら(われ)が司るものは何も無いという事になろう?」


- そうだけど実際にテンちゃんは居るんだし、司るものもあるわけだよね。


 「そうじゃな、概念的には『無が有る』という言い方もできよう。『無』という概念を認めて発展した数学のような学問もあるな」


- うん。


 「これらは概念的なものであり、宗教観や学問それぞれによって見解が異なっていることもありえる。では魔法的、魔力的な話としてはどうじゃ?」


- あー、そっか……、え?、でも、え?、いや、えー…?


 対のものとは言っても負ではない。そこは数学とは違うんだと言われた。

 光を吸収するモノがあるとする。それを魔法で生み出す場合を考える。

 生み出すのだから魔力が消費される。

 光を吸収した場合その光は魔力に変換される。そしてそのモノの維持に使われる。

 吸収された光よりもそのモノの維持のほうが消費が多いのでそのうち消える。

 消えないようにするためには外から魔力を補わなければならない。


 数値的に解かりやすいように負の値を使うこともあるが、これら魔法現象はすべて正の値で表せるし、消費する魔力は全て正の魔力だ。


 ならば、この例の中で闇の精霊が司るモノとは何か?


 物体が存在するということそのものではないか?

 と、考えてちょっと身震いがした。


 「くっくっく、気付いたようじゃな」


- しかしそれだとあまりにも…。


 「あまりにも、何なのじゃ?」


- だって根源的過ぎるじゃないですか、


 「何を言う、光も火も風も水も地も、皆、根源的なものを司っておるではないか」


- そう言われてみればそうかも知れないけど…。


 「魔法属性などどれが欠けてもこの世界が成り立たないものなのじゃ。ゆえに根源的であり、だからこそ基本属性と呼ばれておるのじゃ」


- なるほど…。


 「そして其方も気付いたように、闇属性というのは膨大なエネルギーを生みだせるものでもあるのじゃ。それは他の属性もそういう面はある。じゃが闇属性はそれ以上なのじゃ。もちろん対価も大きいがそれは非常に危険であり、軽々に扱って良いものではないのじゃ」


- そうですね…。


 「だからアリシア様はこれを広めることを禁止し、(われ)を隔離したのじゃ。人種(ひとしゅ)や一般の精霊たちが魔法は5属性であると考えておるのもそう広め教え導いたからなのじゃ」


- そっか…、あ、テンちゃんを他のひとに紹介するときに光の精霊って言えばいいって言ってたよね?


 「そうじゃな」


- でもテンちゃん最初に会ったとき、堂々と『闇を司る精霊』って名乗りを上げてたよね?


 「それは、其方にはそう名乗ってもよいと許しが出ておったからなのじゃ。嬉しかったんじゃぞ?、そのように本当の名乗りを上げられる相手なんて其方ぐらいなのじゃ、一部のものは知っておるし名乗る必要なんぞ無いのじゃし、初めて本当の名乗りができたんじゃ、嬉しかったんじゃ…」


 と言って俺に抱きついた。


 「あの時も言うたのじゃが、何度でも言うのじゃ。真実、心から嬉しかったのじゃ…」


 これは安易に『わかるよ』なんて言えない。

 テンちゃんの孤独、と単純に言っていいのかはわからないけどさ、眷属も居たしアリシアさんだってちょくちょく来てたみたいだし。

 でも、他者と触れ合える機会も、触れ合うこと自体すらできずに、闇属性ってだけで(おそ)れ疎まれたりしていたわけで…、ちょっと俺には想像もできないよ…。


 台所でリンちゃんがこっちの様子を見たのか、小さく溜息をついているのが見えた。


 左側は腕ごと抱きつかれているので、右手で頭をぽんぽんとあやすように撫でるしかなかった。


 あ、ハルトさんが浴室から脱衣所に出たようだ。

 カエデさんも洗濯ものを干し終えて、こちらに向かっている。


 テンちゃんもそれに気付いたようで、抱きついている力を緩めてすっと離れた。






●○●○●○●






 「川小屋の時にも思ったが、こうも設備が整っていると、離れがたいものがあるな」


 そう笑いながらハルトさんは脱衣所から出てすぐに言った。

 そしてそのまま俺に近づいて身をかがめてこそっと言う。


 「このズボンの後ろ、上のところに穴があるぞ?」


 あー、エクイテス商会の服だったかー。


- すみません、尻尾のあるひと用のを渡しちゃったみたいです。でも大きいのがそれしかなくて…。


 「ははは、そういう事だったか。確かに言われてみれば尻尾があればちょうどの位置だ。何、このようにチュニックと鎧で隠れてしまうからな、問題は無いぞ」


 後ろ側を見せてくれたが、確かにちゃんと隠れていた。


 「それに、戻れば俺の着替えもある。不都合は無い」

 「何の不都合ですかー?」


 そこにカエデさんが表から戻ってきた。

 あ、そっか、川小屋が最初そうだったように、裏口って台所にしか無いから、表側に回ってきたのか。


 「いや、何でもない」

 「えー?、あたしには内緒なんですかー?、男同士でやらしいなー」


 やらしいってw

 テンちゃんも隣にいるんだけど。


 「ハルトさん、お食事はどうされますか?」


 台所から食卓に食器を運んできたリンちゃんが問いかけた。


 「おお、私にも頂けるのでしょうか?」


 ハルトさんの丁寧語はどうにも聞きなれないな。


 「タケルさま」


- あっはい、こちらで食べて行ってもいいならどうぞ?


 「だそうです」

 「そ、そうですか、では有り難く」


 そして準備を整えたリンちゃんが皆に席に着くように促して、メルさんを呼びに行き、揃って夕食になった。

 カエデさんがおかわりをしたのを見て、ハルトさんも遠慮をやめておかわりをし、結構2人ともたっぷり食べていた。食べながら、メルさんが聞き役で2人が戦闘の話をしていて、俺とリンちゃん、テンちゃんの3人はふんふんと頷きながらほぼ話すことが無かった。


 デザートはフルーツのケーキだった。何のフルーツかは知らないけど、クリームにフルーツの風味がしてて、オレンジ色だった。美味しかった。カエデさんはそりゃもう大満足で、『はー、タケルさんちの子に生まれたかった』と、わけのわからん事を呟いていた。

 ハルトさんは、『俺、いや私は甘いものはあまり…』と出された時にはぼそっと呟いたが、ひと口食べて、『失礼しました、これは素晴らしいものですな』と、目を細めて美味しそうに食べきった。


 そして食後に洗濯機の説明をハルトさんにして、着ていた服を洗濯機にかけ、その間に適当な話をして数分、干す前のものを手にハルトさんは本部のほうに帰って行った。


 「ううむ、カエデが言うようにいい香りだ…、それに湿っているという程度にまで乾いているな…」


 と、洗濯機の威力に感心しきりだった。






●○●○●○●






 翌朝、リンちゃんがミリィを連れてきた。


 ミリィは俺たち普通の人種(ひとしゅ)には聞き取れない超高音域の音を聞く事ができる。それによって、鳥型の魔物とトカゲたちの通信の存在と位置がわかれば攻略に役立つんじゃないかって考えたのが連れてきてもらった理由だ。


 位置まではわからなくても構わない、そこらへんはこちらで感知するからね。

 当然、その通信内容までは解からないと思うけど、別に内容を判断して欲しいわけでも翻訳して欲しいわけでも無いので、それも問題無い。


 リンちゃんの手に乗っていたミリィが、俺を見るなり『あ、タケルさーん、呼んでくれてありがとーかなー!』って叫びながら俺の顔面へとまっすぐにすっ飛んで来たので途中でキャッチ。そして以前のように左手に乗せると、ミリィはそうやっていたように左手の親指に抱きつき、親指と人差し指の間に座った。

 ミリィ単独だと手のひらを上に向けなくていいのが楽だったりする。


 「えへへー、ひさしぶりかなー、この感触。お気に入りかなー」


 何なんだ。

 という目で見ながら、『久しぶりって程でもないんじゃない?』と言っておく。


 「そうかなー?、あ、あたしに頼みがあるってリン様に聞いたかな?」


- あ、うん、その前にミリィ、(はね)は?


 そう。連れてきてもらったミリィには羽が無かったんだ。

 昨日、ハルトさんに『有翅族(ゆうしぞく)っていう(はね)を持った種族』って説明したのに…。


 「取っちゃったかな。えっとね…」


 と、ミリィが話す。


 何でも、朝ちょっと給水器の水――レモン風味だけど、この世界ではレモンじゃないので似たような果実で香りがつけられている水――を汲んでいたら、起きてきてリビングに来たシオリさんに、悲鳴を上げられたらしい。


 「大きな虫がお水のところにいる!、とサクラさんに伝えに言ったようです」


 と、リンちゃんが補足。


 「そりゃあたしたち有翅族(ゆうしぞく)は虫みたいな(はね)があるのが普通かな。でもあんな嫌そうに悲鳴を上げられたら言葉が通じなくてもわかるかな…」


 なるほど。


- そっか、ごめんね。(はね)が生えたときにみんなにちゃんとお披露目しておけばそういう事がなかったよね。


 「ううん、タケルさんは悪くないかな」


- それで、取っちゃったの?


 「その時はサクラって人が来て、(なだ)めてたかな。その後すぐに謝ってくれたかな。でももうひとりの髪が黄色い色のひと、」


- ネリさんね。


 「そう、そのネリさんもあまりいい感じじゃなかったし、あたしは結構かっこよくて気に入ってたけど、よその種族にとっては受け入れられにくい(はね)だったのかな、って思って、うん、取っちゃったかな」


 あの眼状紋(がんじょうもん)、かっこいいっていう感覚なのか。


- そんなすぐに取れるもんなの?


 「痛いけど、あたしの回復魔法でも治せる程度だし、ぐいーって引っ張ったらぶちって取れるかな」


- そっか…。


 それは痛そうだけど、やっぱり痛いのか。

 と、何とも言えない少し引きつったような笑みをしてしまった。


 「(はね)が無いほうがタケルさんにさっきみたいに掴まれるし、こっちのほうがいいかな、あはは」


 まぁ、(はね)があると、無造作に掴んじゃまずそうだからね。くしゃってなってしまって元に戻らなくなるかも知れないし、(はね)が傷んだら悪いし。


- まぁ、僕も(はね)に気を遣わなくて済むかな。


 「でしょ?、だって何となく(はね)が生えたあと、こうしてタケルさんが手に乗せてくれたりしなくなってたかな。ちょっと距離が開いた印象だったかな」


 そうしたつもりは無かったんだけど、無意識にそうしてたのを感じ取ってたのか…。


- そうだったんだ。んでさ、テンちゃん、


 と、俺の部屋に入らずに入り口の暖簾(のれん)のところでちらちらとこっちを覗っていたテンちゃんを呼ぶ。


 「お?、やっと出番か?」


 出番て。

 嬉しそうにやってきた。まるで弾むような足取りで、そのせいですごい揺れてた。またそこに視線を動かすとあとで何を言われるかわからないので、見ていないフリをしたけど…、はい、リンちゃんにもテンちゃんにもバレてるな、これは。

 リンちゃんは半眼になってるし、テンちゃんは笑みが深くなったよ…。

 それならもういっそのこと、本能に従ってちゃんとその部分を見たほうがいいんだろうか…?、って、そうじゃなくて!


- うん、テンちゃんに会った時にやってた隠蔽って、ミリィを包んだりできる?


 「できるのじゃ」


- それってミリィの行動には問題無い?


 「問題…?、というのは、ん…、そうじゃな、その間その子は外に放出する魔法が使えなくなるのじゃ。それと、私と其方には見えると思うが他の者からはおそらく見えなくなるのじゃ」


- 飛行は?


 「それは問題無いのじゃ」

 「タケルさま」


 そこへリンちゃんが割って入った。


- ん?


 「察するに、ミリィちゃんをタケルさまがお連れするのに他の者から見えないようにする事と、彼女が単独で自分の身を多少でも守れるようにという事を両立すればいいのですね?」


- あ、うん、そう。


 「では、隠蔽の魔道具をお貸ししますので、そちらでどうでしょう?」

 「む、私の出番が無くなるのじゃ」

 「お姉さまの方法では彼女が危険に晒されます。おそらく防御もですが攻撃もできないじゃないですか」

 「そうじゃが、光の隠蔽具では複雑な動きをした場合に背景とのズレがあるのじゃ」

 「そうですが、それを言うならお姉さまの魔法では明るいところで見た場合、黒い靄になってしまいますよ?」

 「あれはそもそも他者からの認識を反らすための魔法なのじゃ、これぐらいの大きさなら近くに浮いていても気付かれぬのじゃ」

 「小さいから問題無いというなら、それは魔道具でも同じですよ」


 おっとと、そろそろとめよう。


- あー、ちょっと待って2人とも。


 「はい」

 「うむ」


- とりあえず片方ずつ試してみてからにしない?


 「はい」

 「わかったのじゃ」


- じゃ、カエデさんとメルさんもリビングに出てきたみたいだし、朝ごはんを食べてからにしようか。


 という事で、俺はミリィを手に、位置的にテンちゃん、俺、リンちゃんの順に部屋を出て、リンちゃんは台所へ、その他は2人が座るソファーに近づいた。

 メルさんは朝からひと風呂浴びたのかな、妙にさっぱりしている感じがする。


- おはよう、ミリィを連れてきてもらったんで、知ってると思うけど一応ね。


 「「おはようございます」」


 返事をもらいながら、俺はミリィを乗せた手を少し前に出した。


 「あ、ミリィちゃん、あの蛾みたいな羽は?」


 蛾みたいな、って…。

 ミリィにカエデさんの言葉が通じなくて良かったと心底思った。






次話4-018は2020年07月24日(金)の予定です。


20200723:誤字訂正。 不通 ⇒ 普通  照会 ⇒ 商会

20200723:漢字に。 てわたした ⇒ 手渡した



●今回の登場人物・固有名詞


 お風呂:

   なぜか本作品によく登場する。

   あくまで日常のワンシーン。

   今回は入浴あったけど描写無し。残念。


 タケル:

   本編の主人公。12人の勇者のひとり。


 リンちゃん:

   光の精霊。

   リーノムルクシア=ルミノ#&%$。

   アリシアの娘。タケルに仕えている。

   カエデの部屋を増やしたり、

   自分の部屋をタケルの部屋続きの部屋にしたりと好き勝手やってる。


 アリシアさん:

   光の精霊の長。

   全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊(ひと)

   だいたい出番なし。

   今回は名前だけは登場。


 テンちゃん:

   闇の精霊。

   テーネブリシア=ヌールム#&%$。

   後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。

   リンちゃんの姉。年の差がものっそい。

   タケルとテンは現状ノーパンコンビ。

   リンより背丈が少し小さいのに胸が元のサイズだから

   すごくおっきく見える。とにかくでかい。

   タケルとの絆が深まったと思っている。

   リンのように続き部屋にして欲しいが、

   ホームコアの操作方法がわからないのと、権限がないので我慢。


 ウィノアさん:

   水の精霊。

   ウィノア=アクア#$%&。後ろの部分は精霊語。

   一にして全、全にして一、という特殊な存在。

   今回出番なし。名前は出るんですけどね。


 ミリィ:

   食欲種族とタケルが思っている有翅族(ゆうしぞく)の娘。

   身長20cmほど。

   せっかく生えてた(はね)が無くなって、

   また無翅族じゃん。


 メルさん:

   ホーラード王国第二王女。いわゆる姫騎士。

   騎乗している場面が2章の最初にしかないが、騎士。

   剣の腕は達人級。

   『サンダースピア』という物騒な槍の使い手。

   身体強化に関しては現状で人間種トップの実力。

   実はこっそり早朝未明に起きて外で剣を振っていた。

   そして汗を流してからリビングで寛いでいたりする。


 ハルトさん:

   12人の勇者のひとり。現在最古参。

   ハムラーデル王国所属。

   およそ100年前にこの世界に転移してきた。

   現在はハムラーデル王国と東に国境を接するトルイザン連合王国、

   その国境防衛拠点に居る。

   『フレイムソード』という物騒な剣の所持者。

   ひさびさのちゃんとした入浴に食事と結構満足していたようだ。

   洗濯機を初めて知った。


 カエデさん:

   12人の勇者のひとり。

   この世界に転移してきて勇者生活に馴染めず心が壊れそうだったが、

   ハルトに救われて以来、彼の元で何とか戦えるようになった。

   勇者歴30年だが、気持ちが若い。

   でも言動はタケルからするとちょっと古臭い。


 ネリさん:

   12人の勇者のひとり。

   ティルラ王国所属。

   カエデとのアレでちょくちょく名前が登場すると思う。


 サクラさん:

   12人の勇者のひとり。

   ティルラ王国所属。


 シオリさん:

   12人の勇者のひとり。

   『裁きの杖(ジャッジメントケーン)』という物騒な杖の使い手。

   現存する勇者たちの中で、ハルトの次に古参。

   ロスタニア所属。


 ハムラーデルのトルイザン連合との国境防衛地に作った小屋:

   長い。そのうち短い名前がつけられると思う。

   平屋の4LDKという贅沢な天幕(笑)。裏庭もあるよ。

   これを天幕と呼んでいいのだろうか。

   5LDKになった。


 トルイザン連合王国:

   ハムラーデル王国の東に位置する連合王国。

   3つの王国があり、数年ごとに持ち回りで首相を決めていた。

   クリスという勇者が所属しているらしい(2章後半)。


 川小屋:

   2章でリンが土魔法で建てた平屋の大きな家。

   ここもホームコアが取り付けられていて、

   便利で生活がしやすい住宅となっている。

   カルバス川の分岐近くにあるので、川小屋と呼ばれている。

   詳しくは2章と3章を。


 エクイテス商会:

   3章でタケルと交流のできたそこそこの規模の商会。

   詳しくは3章を。


 獣人族(けもぞく)

   3章に登場した現地の人種(ひとしゅ)

   獣の耳や尻尾を備える特徴を持つ。

   詳しくは3章を。


 ※ 作者補足

   この登場人物・固有名詞紹介の部分全ては、

   あとがきの欄に記入しています。

   本文の文字数にはカウントされていません。

   あと、作者のコメント的な紹介があったり、

   手抜きをしたり、詳細に書かれているけど本文には

   無関係だったりすることもあります。

   ご注意ください。



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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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