4ー009 ~ リンちゃんの姉
皆がお風呂に入っている間、俺は部屋に戻って机の前の椅子に座り、暇つぶしに手の平の上でいつものように球体を作ってくるくると回していると、リンちゃんが脱衣所から出てこっちに歩いて来た。
ミリィとピヨは、やっぱり俺についてるダンジョン臭がイヤなのか俺の部屋からリンちゃんの部屋へ行って裏に出たまま戻ってきていない。2人(?)とも、結構イヤそうな顔してたもんなぁ、ピヨは気を遣ってたけどさ。
見ると視線が合ったリンちゃんの片手が電話のジェスチャーをしている。
相変わらず聞き取れない早さで喋っていてさっぱりわからんが。
「タケルさま、ご提案のポーチですが、やはり難しいようです」
- あ、そうなの、
「そこでまず検査具を、あ、届きましたね」
じゃあ仕方ないね、と言おうとしたら続きがあった。それどころかリンちゃんの部屋に小さな箱が3つ届いた。すたすたと歩いてリンちゃんがその箱を持ってきた。
- 検査具って?
「一度彼女たちの魔力を測ってこれに記録させるんです」
と、一旦机に置き、ひとつを開けて中身がこちらに見えるように傾けた。
- へー?
箱の中に綿のような緩衝材だろうか、そこに鎮座している大きめの石鹸みたいな物体があった。そんなもん見ただけでどんなのかなんて解かる訳がない。まぁ、魔道具だってことはわかるけどさ。
「こちらで記録をしてから訓練用の道具をお渡しして、それからですね」
- 何だか手続きがややこしいんだね。
「魔力感知で別空間内の把握が、魔力操作でその空間内の操作技術が求められますからね。安全に扱うためには相応に高いレベルが必須なんです」
- な、なるほど…。
リンちゃんは何故か俺をじっと2秒見てからため息をついた。
「はぁ…、あまり自覚がないみたいですが、タケルさまがおかしいんですよ…?」
そんなこと言われてもね…。
「それと、魔法の袋のためだという事は伏せて説明しますので、タケルさまもうっかり漏らさないようにお願いします」
期待させて結局できなかった場合を考えて、ってことか。
- う、うん、わかった。それで訓練用の道具ってどんなのなの?
「いくつかあるんですが、おそらく文字が読めなくてもできるパズルゲームになると思います。要は把握と操作ができればいいのですから」
- へー、なるほど。僕にも同じのを用意してもらうってできないかな?
「それは構いませんが、タケルさまには必要ないと思いますよ?」
- でも面白そうじゃない?
「んー、どんなのを想像なさっているか分かりませんが、期待するほど面白いものでは無いと思いますけど…?」
- そうなの?
「はい。タケルさまならすぐ解いてしまって、つまらなく感じてしまうのではないかと」
- ふむ…。
パズルゲームができる魔道具に興味がわいたんだけどなぁ…。
「そんな難しいパズルじゃないんですよ?、どちらかというと小さな子供でもできるようなものですね。あくまで目的は空間把握と空間操作の訓練なんですから、パズル自体を難解にしてどうするんですか」
- そういう事ね。でも内容を知ってれば、彼女たちに助言なりなんなりできるかなって。
「んー…、そうですか?、必要無いとは思いますけど、そう仰るのでしたらタケルさまの分も一応ご用意するよう頼んでみます」
- うん、よろしく。ところでその検査具だけど、新たに僕の分を注文しなくていいのかな。
「タケルさまの分はもうあちらに登録されているので検査具は必要ありませんよ」
- 登録されてるの?、いつの間に…?
「あたしがタケルさまに仕えると決まった時ですね。そうでないとあたしの鞄への登録ができませんし」
話がややこしいが、リンちゃんの鞄の盗難防止機能への登録の事だ。
- あ、そうだったんだ。あれ?、あの頃ってまだ魔法が使えなかったんだけど。
「母さまがタケルさまの魔力を感知してらしたので、それで登録したみたいですよ」
- な、なるほど…。
そう言えば勇者って名乗って無いのに俺が勇者って知ってたもんなぁ、見習いだけど。
アリシアさんがどうやって俺の魔力を記録してたのかはわからない。もしかしたらいろいろ魔道具を身につけていて、それで記録されていたとか、そういうのかも知れないね。まぁ最古の精霊さんらしいし、何ができてもおかしくないんだけどさ。
「ではタケルさまが入浴されている間にでも検査具を使ってもらって、あちらに送っておきますね」
リンちゃんはそう言って、箱をリビングに持って行った。
しばらくしてサクラさんが脱衣所から出て、俺の番になり、言ってたように検査具の説明をしてから使ってもらい、それを里に送ったようだ。
『これからリン様の姉君に会われるのですか…』
俺が頭を洗っていると湯船からウィノアさんが言った。
- そうですけど…、何です?
何か含みのある言い方だと思ったので一応訊いてみた。
『いいえ?、別に?』
- ウィノアさんはどんな精霊さんかご存知なんですか?
『……そうですね。特殊な存在と』
と、少し間をあけてから、特殊な存在の代表格であるウィノアさんが言う。
- 特殊、ですか。他には?
『お会いすればわかりますよ?』
そりゃそうなんだけどね。
あんな言い方をされたら気になるじゃないか。でもこれは話してくれそうにないな。
- そうですね。
『ふふっ、気になりますか?』
これだよ…、ひとが聞き出すのを諦めたらこうだ。全くもう…。
- 会えばわかるんでしょ?
ちぇ、返事もせずに湯船に沈んでったよ…。何なんだよ…。
結局それからウィノアさんは出て来なかった。
俺ものんびりする時間は無いので、洗い終えたあと湯船には浸からずに出て手早く身支度を済ませた。
そして皆を連れて、改めて島の遺跡へと向かった。
●○●○●○●
『くーっくっく、よくぞ来た。闇に誘われし勇者よ』
扉のない遺跡の入り口に入ると四畳半ぐらいの部屋があり、上がアーチ状のこれまた扉のない境をくぐると、大きなホールのような空間に出た。向こう側に5段ほどの幅広い階段があり、その上がまるでステージのようになっている。ステージには黒檀のような真っ黒い重厚なテーブル、そして豪華な意匠の黒い椅子があり、そのうちのひとつに腰掛けていたのだろう、すっと音もなく立ち上がったのが声の主だ。
椅子から立ち上がるときに何か不自然だったような、大きさが変わったように見えたんだけど、一瞬だったし目の錯覚かな。
なんせ彼女の周囲はものすごく複雑な魔法が絡み合っていて、正直よくわからん。
『光あれば影がある。影とは即ち闇。因って光は闇を生じる』
「どこから声が…?」
と皆が口々に言い、きょろきょろした。
『辿れば無から光が生まれた。無とは即ち闇。因って闇は光を生じる。故に光は闇を生み、闇は光を生む。世の理』
コツ、コツと時折足音が響く。まるで演劇か何かのようにステージの上を話しながら一歩、また一歩と、両手を広げたり縮めたりしながらゆっくりと歩む声の主。
それにしてもすっげぇ美人だ、ってかアリシアさんに似てる気がする。
「足音…?」
「音が反響していてどこなのかわかりませんね」
確かにこのホールでは声が反響するみたいで、場所がわかりにくいね。
この声には魔力が乗っているからよく響くんだろうか?
『光を見ると眩むが光は汝を見る、闇を見ても見えぬが闇は汝を見る。覗こうとする者は覗かれている』
そして中央やや手前に到着したのか足を止めた。
何だか目が合った気がして、俺はこの中二病的なセリフが微笑ましかったのもあって曖昧な笑みを浮かべたんだけど、向こうはそれをどう受け取ったのか、にこっと微笑んだ。
俺はそれを合図と受け取った。
- ステージの上に居ますよ。
俺が視線を据えて言うと、皆もステージの上を探すように見た。
「ほう、よくぞ見破った」
そう言って声の主が姿を現すが、顔面に隠蔽魔法だろうか、それが残っていて、顔だけが黒く見えない状態だった。さっきより魔力を抑えていないようで存在感がすごい。
黒髪で黒いゴシックドレス。襟は高く黒い手袋をしているので肌の露出が無い。胸を強調するようなデザインで細いウェストはぴったりとしている。そこから下はふわりとバルーン状に広がるスカートだった。床までのスカートは黒いシルエットになっており僅かに見える足には黒いヒールを履いているように見えた。つまり全身真っ黒けだ。
でも俺には顔がうっすらと見えている。
まるで色違いのアリシアさんがそこにいた。似てるなんてもんじゃないな、瓜二つだ。2Pカラーかと思えるほどそっくりだった。
ああ、だから顔を隠しているのかな。リンちゃんを連れてきちゃったから。
声の主が段差のところまでくるのをついじっと見てしまった。
じっと見てると何か違和感がある。具体的にはその存在感の中心がお腹あたりにあるんだ。そして魔力感知を併用して魔力の同期をして見ると黒い中に小さな人が居るように感じた。え?
「其方がタケルじゃな?」
一瞬だったんで声をかけられて焦ってしまった。
- あっはい、そうです。初めまして。
何と呼びかけていいのか迷ったのでそれだけしか言わなかった。
「くっくっく、吾は闇を司る精霊、テーネブリシア=ヌールム#&%$じゃ。さぁ、其方らも順に名乗るのじゃ」
大きめの胸を張り、右手を広げて顔に3本の指を当て、左手の指を揃えてすっと右から左へと撫でるように動かし、スカートの横に腕を持っていくと手のひらをこちらに向けて迎えるようなポーズになった。
手袋をしたままだからどっちの手も黒いので、左手はともかく右手は顔にもっていくとたぶん俺以外にはよく見えてないんじゃないかな。
何となく残念臭が感じられる。
皆の視線を感じたのでまず俺から名乗り、次にリンちゃんが名乗った。
「光の精霊の長アリシア=ルミノ#&%$の命によりタケルさまにお仕えしております、アリシアが娘、リーノムルクシア=ルミノ#&%$と申します。初めまして、お姉様」
「うむ、其方の事は聞いておるのじゃ、では後ろの3人じゃ」
リンちゃんが軽く頭を下げ、お姉さんが次を促した。
サクラさん、ネリさん、そしてメルさんがそれぞれ名乗った。が、お腹に力を入れるような、一言一言をはっきりと切って言っていた。声が届かないって思ったのかな?、それとも何かに耐えている…?
お姉さんは彼女たちの言い方には特に何も言わず、『そうか人種の国か』と小さく言ってから、俺をちょいちょいと手招きした。
確認のために自分を指差して『僕ですか?』と問うと、『そうじゃ、早よう来るのじゃ』と言われ、仕方なく段差のところまで近寄った。
彼女は段差をすすっと降りてきて俺の手を取り、目の前でじっと見つめてきた。
どうも複数から見つめられているような感じがする。いや、ウィノアさんみたいに全体からではなく、さっき一瞬見えたお腹のあたりと、黒い靄で隠されている顔にある目との2箇所だけど。
とにかく上の視線に合わせないと不自然なのでそっちを見ることにした。
身長差がないので正面から見つめられるかたちになり、ちょっと照れくさいが視線を外しちゃダメな雰囲気だったので、俺も彼女の目を見返した。
「やはりな、其方は良い素質を持っておるのじゃ。しかしどうも其方は吾の目を見ているような気がするのじゃが…?」
- はい、見ていますよ。どうしてアリシアさんとそっくりなんですか?
「な、なんと?、其方は吾の顔が見えておるのか!?」
- はい。
「では最初から見ておったのか…?」
- はい。
最初から、というのがどこからなのかわからなかったけど、ステージの上に居るってホールに入った時から見ていたからね。
「う…、見られておったとは…、ま、まぁ吾も其方らが島に来るところから見ておったのじゃから?、お、お相子というやつなのじゃ」
俺の手を離し、一歩下がって俯き、両手で顔を覆ってから、閃いたかのように顔をあげて右手の人差し指を1本たてて振りながら言い訳をするみたいに言った。
魔力をあまり抑えていないのかずっと存在感は凄まじいんだけど、仕草がコミカルなのでぶち壊しだ。
- そうですね、お相子です。
と笑顔で言っておく。
「うん、それでどうしてママ、じゃなくてアリシア様とそっくりかという話じゃな、それは娘なのじゃから、似ているのは当然なのじゃ」
そんなレベルではないんだけどなぁ、まぁ、そういう事にしておくか。
- そうですね、当然ですね。
「それでその、其方は本当に吾がどこに居るのかわかるのか?」
- 最初から見えていたわけですし、おそらくは。
「そうか!、じゃあ吾が隠れる故、探して見せるのじゃ!、かくれんぼじゃな!」
と言って駆け出そうとするので急いで声をかけた。
- 場所の範囲を決めて下さらないと!
ぴたっと停止して、振り向いた。
「ん!、おお、そうじゃな、ではこの遺跡の地上部分、外には出ないという事でどうじゃ?」
- はい、ではそれで。僕は少し待ってから探せばいいんでしょうか?
「うむ、5分後に探し始めるがいいのじゃ!」
と言って駆け出す彼女は、ちらっと見えただけだがとても嬉しそうに見えた。
●○●○●○●
皆が立ったままだったので、そこに一旦戻ることにした。
「かくれんぼ、と聞こえましたが…?」
と、リンちゃんが尋ねた。
- うん、そうらしいよ、5分後に探し始めろだってさ。
とりあえず皆はここでお茶でもしててよ、とテーブルと椅子を作った。
リンちゃんがいつものようにエプロンドレスのポケットからテーブルクロスやティーセット、それとお茶請けのお菓子を取り出して並べた。いつもよりカップの位置が中央寄りなような…?
皆は、よたよたとまるで足が棒になっていたような足取りで席について座り、ため息をついた。サクラさんとメルさんは少し膝が震えていた。
- そんなに脚に力を入れてたんですか?
「……怖かったぁ…」
「はぁ…、タケルさん、よく平気であの方に近づけましたね」
「リン様が前で受け止めて下さり、立ったままで耐えるよう仰らなかったら膝を着いてました」
「もー必死で足腰を強化しないと力が抜けそうだったよー?」
3人ともテーブルに両肘というか肘から手までをついて上体を支えていた。ネリさんはともかくサクラさんとメルさんがそんな姿勢を取るのは珍しい。
ああ、それでリンちゃんはカップの位置を離して置いたのか。
- そんなに?
そんなに威圧感があったかな、と思いながら少し飲んだ。
俺の分はカップに半分の量だ。5分しかないからそれでちょうどいい。
リンちゃんは興味なさそうに、お姉さんが駆けて行った舞台袖の暗い部分をに目をやりながらカップを傾け、ぼそっと呟くように言った。
「タケルさまは鈍いんですよ…」
- えー?
リンちゃん…。
あ、もしかして姉妹なのに反応が薄かったから不満なのかな…?、向こうのほうが立場は上だし、リンちゃん自身もどうしていいやらわからないのかも知れないね。
「あたしたちのほうが鋭いってこと?、ですか?」
「いやそれは無いだろう、地図や索敵を考えれば」
リンちゃんの言葉に、精神的な疲れもあってか、戸惑うように言うネリさんとサクラさん。メルさんはカップを優雅に傾けているところだった。もう美しい姿勢になってる。王女スキルすごいな。
「あ、そういう意味ではありません。タケルさまは日々水の者の力を浴びていますし、大地の者の濃密な魔力で満たされた空間でも平気でしたから、慣れてしまっているんですよ。そういう意味で、鈍いと言ったんです」
何だか言い訳っぽく聞こえるけど、慣れてるのは確かだろうね。
「なるほど」
「抵抗力がある、という事でしょうか」
「そうですね」
「ところでリン様、先ほど『闇を司る』と聞こえたのですが…」
メルさんが少しためらいがちに問いかけた。
「そのままの意味ですよ」
「「え?」」
リンちゃんは事も無げに言い、皆が驚くのをよそに、
「タケルさま、そろそろでは?」
と俺を見て促した。
少し早い気もするが、確かにそろそろ探し始めないとね。なんせこの地上部分って結構広そうだからね。フロアも4階分ぐらいあるし。
- あ、そうだね、んじゃちょっと行ってくるよ。
残りのお茶をくいっと飲んで立ち上がった。
「はい、お気をつけて」
「あ、いってらっしゃーい」
「い、「いってらっしゃい…」」
リンちゃんが普通に言ったので大丈夫なんだと思ったのか気軽に言うネリさん。
サクラさんとメルさんはそれに追従するように小さく言った。
●○●○●○●
さて、リンちゃんのお姉さん、えっと、テー…なんとかさん…、どうも長い名前は覚えづらいんだよなぁ…。元の世界で外国の地名や人名を覚えるのがイヤで世界史関係は諦めたぐらい苦手だったんだけど、それは関係ないか。
とにかくお姉さんがホールから出て行った舞台袖のところから俺も駆けて出た。
が、その部屋はいきなりいくつも出入り口がある。まず扉は2つ、階段も2つだ。
扉は片方がぴったり閉じているが、もうひとつは完全に閉じておらず少し開いている。階段は下に繋がるほうは地下だろうから無視していいだろう。地上部分のみ、という条件だからね。
上に行く階段は、目で追うとホールの2階部分やステージの上へと続くようだ。ここって本当に多目的ホールのような造りになっているんじゃないだろうか。
まぁ、普通に考えて、他の出入り口や階段には普段から使っているような形跡も無いので、少し開いたままの扉、そこから出て行ったと思われる。見つからない事よりも、見つけて欲しそうだったし、何より嬉しそうだったように見えたからだ。
で、いくつか扉が並ぶ廊下を通り、一番奥の左手、これまた少し開いたままの扉をあけるとL字になっているカウンターの高い椅子に座り、カウンターに頬杖をついているお姉さんがにこにこしてこっちを見ていた。
…これ、隠れる気、ないだろw
- 何してるんですか…。
「おお、本当に見つけるのじゃな、では次じゃ、少し待ってから探しにくるのじゃ!」
と言ってスツールから降りて裏口のほうへ駆けて行った。
え?、これ続くの?
と、思ったがあんな笑顔で楽しそうにしているんだ、もう少し付き合ってもいいか、と思って周りを見回して時間を潰した。
この場所はお酒がというか物は何も無いが、カウンター席と棚があるBARのような空間だ。テーブル席のためのスペースもあるが、それらは無い。舞台袖からの廊下で繋がっているので、楽屋などの準備室に、出演者やスタッフたちのためにお酒を提供する店、の予定となる空間だったのかも知れない。
次に彼女を見つけたのは2階の廊下だった。天井が崩れていて瓦礫が落ちていて、その石の上に腰掛けていた。
午後の日差しが斜めにきらきらと降り注ぐ先で、顔をあげて髪をそよぐ風に揺らし、気持ちよさそうにその斑な光を浴びて目を閉じている姿は、まるで芸術的な絵画か彫刻のようだった。
- 気持ちよさそうですね。
しばらく眺めていたかったが、それじゃ終わらないので声をかけた。
「ふふ、当時、ここはもう少し続いておったのじゃ、維持保存のための魔力がもったいないと言うて、朽ちるに任せよとマ…、アリシア様が命じたのじゃ。それでも1階から下とホールだけはと維持保存が許されておるが、誰も使わぬそのような施設など空しいだけじゃ…」
すっと姿勢を戻して奥のほうを見て手で示し、石から立ち上がってくるっとターン。そして胸を反らして片手を腰にあて、もう片方の腕は小指と薬指を軽く曲げた形で胸元からこちらに向けてすーっと伸ばして親指を曲げた。2本指で指差されているような感じか?
どういう意味?
「では次じゃ、少し待って探しに来るのじゃ!」
言うと反転し、座っていた石を踏み台にしてジャンプ!
壁を蹴って光が差す天井の割れ目から出て行った。身軽だな、すげー。
次に彼女を見つけたのは3階にある空中庭園とも言える中庭の木の根元だった。庭園スペースを覆いつくすほど茂ったその木は、『巨樹』と言えるほど太く、根元はうねうねと、そしてがっしりと3階の床部分を蹂躙し侵食していた。
そうか、この部分は森の一部ではなかったんだ。外の木々と樹冠の高さが、こちらが少し高い程度だったから気付かなかったのか。さっき斑な光が穴から2階に届いていたのは木漏れ日だったってわけね。風が少しあるので木陰のここは気持ちがいい。
島の周囲で奏でられる本物の波の音を背景に、ざざーっと梢がざわめき、葉擦れの音がするのもいい。
同じように天井の割れ目から出ても良かったんだけど、それでは芸が無いかなって思い、階段まで戻って彼女の居る方向に移動しただけで、すぐに見つけることができた。
彼女は俺がこの空間に来たのを見ると楽しそうに、嬉しそうに、微笑んで足を揺らせていたが、ある程度の距離まで近づくと太い木の根から勢いをつけて飛び降りるみたいにひょいっと立ち上がった。
「1500年、他のは持たんかったのじゃ。こいつだけはしぶとく残りおって、こんなに育ったのじゃ。もちっと可愛らしい庭園だったのじゃがなぁ…」
- めちゃくちゃ茂ってますね、外の森と繋がってるんだと勘違いしてましたよ。
「ふむ、外からはそう見えても仕方が無いのじゃ。では次が最後なのじゃ、本気で隠れるので心して探すが良いのじゃ」
すたすたと、腰に左手をあて、右手は人差し指を1本たてて振りながら横を通り過ぎ、俺が出てきたここへの出入り口から入って行った。
さっき2本だった指が今度は1本、もしかしてその前は3本見せてたりしたのかな、注意して見てなかったよ。
さて、本気で隠れると言っていたけど、どうなんだろうと思っていたが、やっぱりすぐ見つけた。
見つけた場所は4階から5階へと続くはずだったと思われる、崩れている階段の影だった。陽の差す明るい所の濃い影にすっぽりと、段差に腰掛けて両膝に両肘をあてて両頬を支えてにこにこしてこっちを見ていた。
で、目が合うと驚いたような表情になった。
って、ちっさw、お姉さん縮んだ?、俺も驚いたよ。
2人で驚いた表情をして見詰め合う形だ。
- あの…、何でそんな縮んだんです?
片膝をついて目線を合わせて尋ねた。
「う…、あのままじゃとここの影に収まらないのじゃ…」
手を膝にあててよっこいしょという感じで立ち上がった。やっぱりちっさい。でもでかい。さっきの姿の胸のサイズがそのままなのですごくアンバランスだ。髪も肩までに縮んでいた。服装も縮んだようで、スカートが膝までになっているし、手袋もレースになっていて膝と肘の部分は肌が見えている。靴下が膝下まであり、踵の低い丸っこいデザインのショートブーツを履いていた。不思議。
でもその小さい姿にちゃんと合っている衣装だった。
- そりゃまぁそうでしょうけど、だったら他の場所でも…
「こっちのほうが楽なのじゃ、それに其方、最初から見ておったのじゃから、もうこの姿を見ておるのじゃろ?、今更なのじゃ」
- はぁ、楽…ですか。
よくわからん。最初からってあの時の違和感はそういう事だったのか。今わかったよ…。
「あの姿じゃないと威厳が…、いやそんな事より本気で隠れておったはずなのじゃ!、どうしてお前には私が見えるのじゃ!?」
どうしてったってねぇ…、まぁ同調できるし隠蔽も感知できるからね…。
- たぶん貴女がどこに隠れても見つけられると思いますよ?
「そうか、そうなんじゃな、そう…」
目を潤ませて小さく2歩近づき、膝に乗せていた俺の手をとり、両手で握って胸元にむぎゅっと…。すげー、手首にあたるのはこの世界に来て一番でかい…、いや、土台が小さいから大きく見えているだけかもね。
その部分以外は、背がちっさいせいで何だか急に子供っぽく見えてきた。でもさっき1500年とか言ってたし、何千何百年ごとに起きるとかリンちゃんも言ってたから、この子、いやこの精霊さん、相当長生きだぞ?
それで俺の手から、ん?、魔力を少し吸われた?
「んはぁ…、先ほどから気になっておったのじゃが、やはり其方は特別なのじゃな…、ようやく…、やっと…、うぅ…」
頬を染めて妙に艶のあるため息をついたかと思うと、目が潤みだし、見る間に溢れてぽろぽろ涙をこぼし、泣きながら俺に抱きついてきた。えー?
片膝をついていたのでそれは予想してなかったし、目の前に迫る大きなクッションに一瞬気を取られてしまって対処が遅れた。
まぁつまり押し倒されたわけだ。
俺の肩口でえぐえぐ泣いている彼女の背中をあやすように撫でたりぽんぽんと軽く叩いたりして、天井のない4階の廊下から空を見ながら、彼女が落ち着くのを待つしか無かった。
●○●○●○●
タケルさんが走ってくのを見送って、何となくカップを手にお茶をひと口飲んだ。
だいぶ渋いなーって思って我慢して飲んでたんだけど、ひと口飲むごとにじんわりと身体が楽になってく気がする。いま気付いた。今まで飲んだこと無いお茶だけど、不思議だなーって思った。回復力があるお茶なのかな?
サクラさんとメルさんも同じ事を思ったみたいで、お茶を不思議そうに見てからあたしを見て、メルさんを見て、そして皆で示し合わせたみたいにリン様を見た。
「…何です?」
「あ、いえ、変わったお茶、ですね」
「気がついたんですね。これはそういうものです。あれだけ魔力の奔流にあてられたんですから、これを飲んでも回復までまだしばらくは掛かりますよ」
リン様は無表情だ。ちょっと怖い感じ。でも怒ってるわけじゃなさそう。
「…あの、先ほどの…」
メルさんがカップを置いて、リン様を窺いながらタケルさんが行っちゃう前に言ってた話の続きを聞こうとした。
「気になりますか?」
「はい、まぁ…」
「もう分かっていると思いますが、あのお方は闇の精霊です」
闇を司る精霊って言ってたもんね。でもリン様のお姉さんじゃないの?
「ご姉妹ではないのですか?」
「姉ですよ、同じ存在から生まれたのですから、姉で間違いありません」
「そ、そうでしたか、失礼致しました」
メルさんはすっと椅子の横に降りるように両膝をついて両手を交差して胸元にあてる、礼拝のときのポーズをとってリン様に頭を下げた。
「席に戻りなさい。私は貴女たちが直接崇める対象ではありません。それに、まだ今はそのように動くのも辛いはずです」
「は、はい、ありがとうございます」
メルさんが席に戻った。身体強化をしてるみたい。やっぱり辛そうだった。
「強化を解きなさい。無理をする必要はありません。ネリさんのように肘をついたままでも構いません、楽な姿勢で落ち着いてゆっくり飲むのです」
「はい…」
リン様が減った分のお茶を注いでくれた。
何だか今日のリン様って、いつもと違って雰囲気が…。
これが本来のリン様なのかな?、いつもタケルさんに甘えるような声を出してたり、頭を撫でられてにこにこしてるのを見てるからへんな感じ。
- ねぇ、リン様、属性って、6つあるってことですか?
「そうです。でも現状ではあまり一般的ではないので、それを人種に広めて良いのかの判断は私ではつき兼ねます」
内緒にしろってことね。
やっぱり闇の魔力って、魔物関係だって思っちゃうもんね、あと、ゲームとかだとだいたい悪い力だし、悪役とかダークなイメージだもん。
「わかりました」
「仕方ないので先に言っておきますが、闇属性と魔物は無関係です。もちろん竜族も無関係です。勘違いをしてあのお方を怒らせるような事は絶対に言わないようにお願いします」
あんな存在を怒らせちゃったら一体どうなるのかなんて、恐ろしくて想像したくないよ…。
「「「はい!」」」
一瞬想像しかけて身震いしそうになって、急いで返事をしたら3人のタイミングが揃っちゃった。サクラさんもメルさんも同じように思ったのかな、表情が同じだし。
それがおかしくてくすっと笑った。
「そうしてリラックスしているほうが早く回復しますよ?」
ここに来てから初めてリン様が微笑んだ。
ヤッバぁ、こういうギャップって心にくるね。弱ってる時だと特に。
●○●○●○●
何故かすっかりテンちゃんに慕われてしまった。
嫌われるよりは断然いいんだけどね。
ああ、『テンちゃん』と呼ぶようになっちゃったんだよ。
リンちゃんの事を俺が『リンちゃん』って言ってるので、そういう呼び名が欲しいとだだを捏ねられたからだ。
それで最初は手を繋いで歩いていたんだけど、歩く速度があわないので仕方なく背負い、そのうちいつの間にか肩車になってしまった。だってよじ登るんだもん。
ゴスロリ少女を肩車するとスカートがわっさわさで前を塞ぐんだよこれ、初めて知ったよこんなこと。
そして首筋というか首から上が暑い。
前が見えなくても魔力感知でわかるんだけど、後ろに魔力の塊みたいなのがいるせいで、見えにくい。
肩車なんて初めてらしく、そりゃもう上機嫌のテンちゃん。
どうでもいいけど、普通こういう服の下って、ドロワーズだっけ?、16世紀の女性下着みたいなゆったりしたやつ。あれじゃないの?、なんで何も履いてないの?、首にあたる太ももが生なんだよね…、暑いんだけど。
アリシアさんちゃんと教育してなかったのかなぁ…。
前が見えにくいからって言って、目を隠さないようにスカートを後頭部のほうにずらしてもらったけどさ…。
それで足場があまり良くないのもあって、時々立ち止まったりはしたが、ゆっくりと歩いた。その間、テンちゃんは饒舌になって話してくれた。
テンちゃんの昔のこと、つらかったこと、いつの間にか諦めてしまってそれが普通になったこと。彼女もこんなに楽しいのは久しぶりだと言っていた。
いつの間にかテンちゃんは自分のことを吾ではなく私と言っていた。
ふと立ち止まり、尋ねてみる。
- テンちゃんは、ここに閉じ込めたアリシアさんのことは憎んでないの?
「ママのことは大好きじゃ。私を受け入れてくれる者が来るまで出てはならないと言われたときは悲しかったし辛かったが、代わりに『ひかりのたま』をくれたのじゃ。それによくママはここにきて、私を慰めてくれるのじゃ。優しいママなのじゃ」
- そっか、ごめんね、ちょっと心配になったんだよ。
「其方は私を心配してくれるのか?、ママと同じじゃな…」
と言って俺の頭をぎゅーっと抱きしめた。また目を塞がれてしまった。声を押し殺して震えているのが伝わった。
- テンちゃん…?
「其方は私がどこに隠れても見つけてくれる、そして私を心配してくれるのじゃ。ママが言っていた『私を受け入れてくれる者』じゃ。タケルは私の運命の人なのじゃ…」
俺の頭をかき抱き、涙声でそう呟いたテンちゃん。頭の後ろ半分と上がいい感触で包まれてる。暑いんだけど。
そうか、ちょっと『運命の人』っていう言い方はアレだけど、『タケル様なら』と言って会いに行って欲しいと頼み、連れ出す許可をくれたアリシアさんは、やっぱりこうなる事を見越していたんだろう。
あ、頭の上で鼻すすられると不安が…、ポーチからタオルを取り出して渡すと鼻かんで返されてしまったのでまた別のタオルを渡した。
うへぇ、と思ったが、そう言えばこの世界でティッシュペーパーって見たことが無いな。じゃあしょうがないのか。
それと胸んとこで小さくペチペチしないでウィノアさん。
黙っていてくれるのはありがたいけどさ…。
という気持ちを篭めて胸元の首飾りに服の上からぽんぽんと叩いておく。
テンちゃんが落ち着くまで、窓枠に手を置いてぼーっと外を見ていた。
しかし景色いいなここホント。ああ、風が来ると涼しいな。
景色からするとこっちは南東の方角か。それほど高いわけじゃないけれど、薄いカーテンのような幕を通して見える外が美しい。右手前の森の緑、左手側に少しだけ対岸に見える砂浜の白、遠浅の海のグラデーション、空の蒼さと雲の白さ、素晴らしい眺めだ。
光の精霊さんたちがここに住んでいたとき、アリシアさんのために作られたものだってことがよくわかる。
もっと高い場所からだともっといい眺めになるんだろうね。飛んでる時は見回す余裕は無かったけど。
テンちゃんが少し落ち着いてきたので尋ねてみた。
- そう言えば外って見れるんじゃないの?
「ん?、ああ、『ひかりのたま』で見れるぞ?」
ひかりのたまかー、どっかで聞いたことのあるアイテム名だけど、効果は全然違うな。
- 映像だけで音は聞こえないんだって?
「そうなのじゃ、それと、本物じゃないからこの島の周囲までしか見れぬのじゃ」
- え?、ニセモノってこと?
「いや、ママは試作品と言うておったのじゃ」
試作品てw
- へー…。
「其方と会う許可が出て、ようやっと地下から出ても良いと言われたのじゃ。前に起きたとき、この島に竜族が拠点を作ったから地下から出るなと言われ、仕方が無いのでまた眠ったのじゃ」
- それって300年前?
「いや?、100年ほど前なのじゃ。300年前というのはその前じゃな、あのときは1年ほど起きておったよ」
どうも時間のスケールが違いすぎて感覚的によくわからない。
- そうなんだ。テンちゃんってそうやってずっと眠ってたの?
「んー…、其方…、タケル様よ」
- ん?、はい?
ちょっと雰囲気が、周囲の魔力が少しだけ堅くなった。
「外に出る事を禁じられ、特にする事も無いのじゃ。眠るしかなかろう?」
- あー、まぁ、そうですね。
「外を見る道具があっても、ずっと見ておれば飽きるものじゃ。ならば、次に起きたときにはどうなっておるかを楽しみにするぐらいしか無かったのじゃ」
- そうだったんだ…。
そりゃもう俺にはわからない寂寥感やら無力感やらだろうね。そんなもの、安易に『わかる』、なんて言えない。
「昔は変化もできたのじゃが、小さいほうが楽だったんでいつもそうしてたらそのうち寝ぼけて胸だけ元の姿にしてしまったのじゃ」
- うん…、え?
「それで戻そうといろいろ試してみたのじゃが、どうも胸だけが変化できなくなっての、諦めて長い眠りについておったらついに変化の仕方すら忘れてしもうたのじゃ」
なんだそりゃ…。
「ママには笑われてしもうたが、特に不便は無いし、必要な時がくればまた思い出すじゃろうと、そういう訳なのじゃ」
- あれ?、さっきまで変化してたよね?
「あれは厳密には変化では無いのじゃ、いろいろやってごまかしてるのじゃ」
それで妙な違和感があったのかな。
- いろいろって?
「いろいろは、いろいろなのじゃ」
まぁどうせ詳しく聞いても理解できそうにないし、いいか。
- ふぅん、でもまぁ小さいほうがこうして肩に乗せたり負ぶったりしやすいし、いいんじゃない?
「またこうして乗せてくれるのか?」
- うん。
「本当か!、其方に触れるのはとても好ましいのじゃ…、感謝…するのじゃ…」
と、頭の上でまたくすんくすんと泣き始めたので落ち着くまでしばらく待った。
それでまた外をぼーっと見てたんだけど、この景色ずっと見ててもいいぐらいすばらしいな。写真に残したいぐらい、いや、写真ではきっと伝わらないかもしれない。動画で残したいなー。
ああ、いい風が来るなー、頭の後ろは入道雲と天気雨か?、なんちて。
ずーっと胸のとこではペチペチ叩かれてたけど、ぼそっと胸元に『大人げないですよ』って言ったら大人しくなった。
そろそろ戻ったほうがいいかな、って思い始めたタイミングでテンちゃんが落ち着いたようで、そう伝えると彼女は自分の顔に回復魔法をかけた。なるほど。
以前、ネリさんが泣き腫らした顔をしてたときに、そうすれば良かったね。
次話4-010は2020年05月29日(金)の予定です。
20201215:助詞ミスをひとつ訂正。
●今回の登場人物・固有名詞
お風呂:
なぜか本作品によく登場する。
あくまで日常のワンシーン。
今回入浴はあったがサービス無し。
タケル:
本編の主人公。12人の勇者のひとり。
日本史でも同様だった。
とにかく長い名前を覚えるのが壊滅的に苦手。
もはや呪いの類かも知れない。
リンちゃん:
光の精霊。
アリシアの娘。タケルに仕えている。
複雑な心境。
アリシアさん:
光の精霊の長。
全精霊中最古というような存在。実は凄い精霊。
だいたい出番なし。今回は名前が出たぐらい。
リンちゃんの姉:
闇の精霊。
テーネブリシア=ヌールム#&%$。
後ろの部分は精霊語のため聞き取れない。
いろいろやってごまかしていた姿は本来の姿。
戻り方を忘れたので、今はちっちゃくておっきい姿。
テンちゃんと呼ばれることになった。
ひかりのたま:
アリシアからテンに与えられた、
一定距離までを見ることができる魔道具。
音声は伝わらず映像のみ。試作品らしい。
やみのころもを掃う機能は無い。
ウィノアさん:
水の精霊。
一にして全、全にして一、という特殊な存在。
思わせぶりな事をするのも理由があるのだろう。
サクラさん:
12人の勇者のひとり。
ティルラ王国所属。
シオリに勇者としての指導・教育を受けたため、
シオリの事を『姉さん』と呼び、頭があがらない。
今回、ついてきたことに一番後悔している。
ネリさん:
12人の勇者のひとり。
メルの次にタケルたちから魔力の扱いについて指導を
受けたため、勇者の中では比較的魔力の扱いが上手い。
ティルラ王国所属。
魔法に関してタケルを除いて一番上達している。
怖かったぁ。
メルさん:
ホーラード王国第二王女。いわゆる姫騎士。
騎乗している場面が2章の最初にしかないが、騎士。
剣の腕は達人級。
『サンダースピア』という物騒な槍の使い手。
ネリと仲がいい。
魔法に関してはネリと同程度使えるようになっている。
身体強化に関しては現状で人間種トップの実力。
ついてきて良かったのかちょっと悩んでいる。
シオリさん:
12人の勇者のひとり。
『裁きの杖』という物騒な杖の使い手。
現存する勇者たちの中で、2番目に古参。
サクラに勇者としての指導をした姉的存在。
ロスタニア所属。
今回も出番なし。しばらく出番なさそうだが…。
ミリィ:
食欲種族とタケルが思っている有翅族の娘。
身長20cmほど。
ピヨはミリィが気軽に接することのできる精霊様という感じ。
今回出番なし。
ピヨ:
風の半精霊というレア存在。見かけはでかいヒヨコ。
川小屋に住む癒しのヒヨコ。メルたちに癒しを与える。
今回出番なし。
川小屋:
2章でリンちゃんが建てたタケルたちの拠点。
ロスタニアから流れてくるカルバス川本流と、
ハムラーデル側から流れてくる支流が合流するところにある。
ミリィとピヨがお留守番をしている。
ホームコア技術で護られているため、許可がある人物以外は
入り口の布を避けて中に入ることができない。
ここの浴室は広い。
島:
バルカル合同開拓地の西にある、アーモンド形の島。
島の北部に光の結界柱が見え、その色が変化することから
昔は畏れられ『魔王島』と呼ばれていた。だが魔王など居ない。
南西部に小さな入り江があり、洞窟がある。
その他は本文参照。
今回はここの結界柱の内側にある遺跡が舞台。
2Pカラー:
そっくり瓜二つのキャラクターを区別するために
色違いで登場するキャラクターのこと。
主にコンピューターゲームにおいて複数のプレイヤーが
同じキャラクターを使用する際に配色を変えて表示されるものの事。
転じて、別人であっても見かけがそっくりで色が違う場合に
こう呼ばれる。