3ー022 ~ 森の家へ
『勇者の宿』だと食事も世話も何かと不便だということで、『森の家』に行くことになった。
リンちゃんが一旦『森の家』に行ったのはその準備のためでもあるらしい。
俺が魔砂漠関係のことをしている間に、こっちは冬になっていたようだ。冬と言ってもホーラードは温暖な気候で、別に積雪があったりはしないようだが。
魔物侵略地域はホーラードより暖かい気候らしく、俺が行方不明になったときには秋になったところだったんだそうだ。夏が長いなとは思ってたけどさ、暑くて気付かなかったよ。
それほど距離があるわけじゃないのに、そんなに気候が違うんだなって不思議だけど、そういうもんらしい。
魔砂漠のあった大陸は赤道が通るところにあって、魔砂漠自体は赤道よりやや北にあったらしい。確かに昼間は太陽が真上だったもんなぁ、暑かったし。でも海の近くで、そして何故か乾燥してて、気温自体は魔導師の家のところはそう無茶苦茶な暑さってわけでもなかったな。暑いのは暑いんだけどね。
何というか、魔法が存在する世界だし、魔力ってものが気候にも影響してるのかも知れないね。
俺はというと、あれから一晩眠れたので魔力の枯渇状態からは脱しているんだけど、どうにも体が動かしづらい状態のままなんだよね。
身体強化魔法を使ってみたんだけど、効き過ぎかほとんど効かないかのどっちかになっちゃって、ちょうど良いところがない。
効き過ぎ状態だと、最初にリンちゃんにかけてもらって加減がわからなくて木にぶつかったりしたときのようなのの酷い状態になった。具体的に言うと、立ってる状態から動こうとして足が空回りして倒れた。起き上がろうとして回転した。そんな酷さ。まともに動けなかったよ。
逆に、ほとんど効かない状態だと動きづらいのが少しはましになる程度。
こうしてあれこれ考えることはできるんだけど、それもじっとしている間だけの事で、動くとなんだか頭がふらふらする。めまい、ってのとはまた違う感じなんだけどね。
リンちゃんにも調べてもらったんだけど、光の精霊さんの里にもそんな資料ないし、そもそも俺は精霊種じゃないのでリンちゃんに尋ねても困らせるだけになった。
そんな訳で、リンちゃんに支えてもらいながら久しぶりに『森の家』に移動した。
あ、ちゃんと宿の鍵は返して、裏にまわって人目を避けてリンちゃんの転移魔法で移動したよ。いくらそれほど距離があるわけじゃないとは言え、支えてもらいながら徒歩で行くのは俺も辛かったからね。それに、非常に見栄えが良くないってのもある。
『森の家』の庭のところに転移してきて、まずはウィノアさんに一言挨拶をと、リンちゃんに言って庭の隅にあるウィノアさんの泉のところへと付き添ってもらった。
メルさんとプラムさんが設えた小さなウィノア像が泉の横に置いてあり、飾り布と小さな木札がかけられていた。像の前には燭台と小さな器が置いてあった。
像や飾り布などがきれいな所を見ると、『森の家』の精霊さんたちはこれを掃除したりはしないと思うので、時々プラムさんかサイモンさんあたりが来て掃除したりお供えをしたりしてるんだろうなと思った。
泉の前に膝をつく。リンちゃんも隣で俺を支えるように腕に手を添えて片膝をついた。
俺はイアルタン教徒ではないので胸に手を交差して当てたりはせずに、泉を覗き込むようにして今回いろいろあったことについてお礼を言ったら、泉が光ってウィノアさんが生えてきた。それにつれて俺は覗き込んでいる状態から見上げるように体を反らした。
前みたいにざばーっと出てくるんじゃなく、神々しくというか、かっこよくというか、厳かな雰囲気で泉からすぅっと出てきたウィノアさんを見上げる格好になった。
そして泉の上に完全に出て、降り立ってからそのまま俺の前に目線を合わせるように膝をつき、すっと俺の手をとって言った。
『タケル様、彼の地ではあまりお役に立てず、至らないどころかタケル様のお手を煩わせておりました。申し訳無く思っております』
- いえ、それは環境的な事情ですから仕方のない事です。そう理解していますので、ウィノアさんのせいではありませんよ。
『寛大なお心に感謝申し上げます。なれば今一度御身にこれをお許し頂けますか?』
と、俺の手のひらを上に向け、前と同じ水の球体をそっと乗せた。
そうだよね、もらった時ってこれぐらいの、でかいソフトボールよりちょっとでかいか?、ってぐらいの大きさだったよね。と思い出しながら受け取る。
許すと言うのも何だか偉そうだし、と言って他に何と返せばいいのか思いつかなかったので無言で軽く頷いて、それを首元にそっと触れさせるとにゅるっと襟元からもぐりこんで首飾りに変形したようだ。
ウィノアさんの手は体温より少し低い程度だけど、球体は体温ぐらいだった。手より少し温かいのは首から入るときに温度を合わせてくれたんだろう。
それはそれで有難い気配りなんだけど、やっぱり潜り込んでくる動きはこそばかった。これで冷たかったら身震いするところだったよ。
そう言えばこれ、魔導師の家に置きっぱなしだったよな?
- これ、あっちに置きっぱなしだったんですが、持ってきて下さったんですか?
『いいえ、新たにお作りしたものです』
- あ、そうなんですか、んじゃ前のはどうしましょう?
『それと触れ合わせて下さい。ひとつになりますので』
あっそうですか。
予備になるわけじゃないのね。
あと、誰か他の人にあげたり、……あっはいしませんしません。だから真顔でじっと見つめないで。
- わかりました。あちらに戻った時にそうします。
『お手数をおかけ致しますがよろしくお願いします。あちらでは繋がりも切れてしまいますし、動きも制限されてしまいますので』
相当辛そうだったもんなぁ。
- 魔塵ですか。
『そうです。あれほど広範囲で魔力の流れが撹乱されておりますと、私、ウィノア=アクア#$%&という存在が乱されてしまうのです。ゆえに彼の地からは距離をとっております。ご不便をおかけして申し訳ありません』
- いえ、さっきも言いましたけどウィノアさんが悪いわけじゃないですよ。
あそこにも水はあったんだよね。でもウィノアさんの気配がないのが不思議だったんだけど、悪影響があるから水はあってもウィノアさんは居ないって意味でいいのかな。
『はい。私の自由にならない水、とご理解頂ければ』
なるほど。って、そうだった、忘れてたけど俺の考えてることって伝わっちゃうんだった。
「タケルさま、そろそろ」
リンちゃんを見るとその視線の先にモモさんたちが庭先に出て並んで片膝をついて頭を下げているのが見えた。なんだか6人いるように見えるんだが。
- あっはい、ウィノアさん、首飾りありがとうございます。
『お気遣いに感謝致します』
ウィノアさんは跪いたまま頭を下げてそう言うと、そのまま泉に沈むように消えて行った。
それを最後まで見る事無く、リンちゃんが俺の腕に添えた手を少し引くようにしてくれたので、心の中で『よっこいしょ』と言う感じで立ち上がり、モモさんたちのほうへと歩いた。
「4人の後ろの2人、白っぽい髪の人は燻製小屋の作業責任者ミルクさんで、茶色っぽい髪の人は寮長のブランさんです」
リンちゃんが小声で教えてくれた。
ミルクさんは一度会ってるよね。名前は忘れてたけど。
ブランさんは初めてだな。寮長かー、そりゃ200人以上いるんだからそういう役職の人も居るだろうなとは思ってたけどね。食品部だっけか。この先、まだ増えたりするんだろうか…、人数とか規模とかもうあまり考えたくないなぁ…。
「おかえりなさいませ、タケル様」
近づくと、モモさんが言い、他の5名が『おかえりなさいませ』と続けた。
雰囲気が重くて気軽に『ただいま』と言いづらい。ほんっと勘弁して欲しい。
- ただいま帰りました。
と言うのが精一杯だ。
「お伝えしたようにタケルさまの体調がよろしくありません。お部屋の準備は整っていますか?」
「はい、ご指示通りに」
「タケルさま、ご入浴されますか?」
おお、是非そうしたいね。なんせ『勇者の宿』には風呂がなかったし。
俺の腕を両手で持ったまま尋ねたリンちゃんを見ると、リンちゃんも俺を見上げていて目が合った。
- そうだね、横になる前に入りたいかな。
「そう仰ると思ってました」
にっこり微笑むリンちゃん。あ、何だか久々だな、こういう雰囲気。可愛い。癒される。
リンちゃんは脱衣所まで俺に付き添い、ささっと棚の上にタオルと脱衣籠、それと入浴セットの入った木桶を用意してくれた。そして3歩ぐらい下がった。
俺が服を脱ぎ始めてそこに脱いだ服を入れ始めても、まだ出て行かないリンちゃん。たぶん俺がまだ少しふらついてるから心配してのことだろうと思って、出て行けとは言わずにいたんだけど、ずっと視線を感じるのはやっぱり居心地が良くない。
- あのね、リンちゃん。大丈夫だから。
「はい」
- いや、その、じっと見られてるとね。
「はい」
- いや、はいじゃなくてね、
心配してくれてるってわかってるだけに言いづらいなって思ってると、浴室の扉が開いて、誰か出てきた。
『リン様、私がついていますので大丈夫ですよ』
判ってたけど一応見ると、やっぱりウィノアさんだった。
「…そう、デすか」
今ちょっとだけ返事に間があったけど、黒リンになりかけてたんじゃないか?
脱衣所を出るリンちゃんが小声でこそっと何か言ったようだったけど、魔力も乗ってなかったし聞き取れなかった。
気にしない事にして、残ってたズボンを脱ぎ、タオルを腰に巻いて入浴セットの入った桶を手にしてウィノアさんがあけてくれた浴室に入る。
『ふふっ、タケル様、そのようなものは不要ですよ』
と言うのが聞こえた途端、腕に抱きついたウィノアさんがそのまま俺の首から下をにゅるんと包み、そのまま湯船に運ばれてしまった。為すすべも無かった。持ってきた木桶はそっと音も無く浴室の床に置かれたようだ。腰のタオルはそのままにしておいてくれたようだった。
- あ、あの、ウィノアさん?
『タケル様はお加減がよくないのですから、お清めは私が致します。タケル様は全てお任せして下されば良いのです』
サービス満点だな。全自動風呂か。
などと思う間も無く口と鼻の穴以外がぬるめのウィノアさんに全部包まれた。と思ったらそれは一瞬だけで、首から上を出した状態で湯船に斜めに寝そべってるような形で支えられた。一瞬で首から上もさっぱりきれいな状態になってしまった。
楽は楽だけど、風呂の情緒も何もあったもんじゃないな。食器洗い器の食器の気分だ。食器に気分があるかどうかは別にして。
『うふふ、いかがです?、お望みならいつもこうして差し上げてもいいのですよ?』
そしていつも風呂に入るとそうしているように、湯船の上に肩から上を形作って横に寄り添うように顕現しているウィノアさんが話してくる。
- 今日は正直ありがたいんですが、いつもこれはちょっと…、前も言いましたけど、過保護はダメです。ほどほどがいいんですよ。
『残念です。あ、やっぱりお身体の魔力の流れが以前と違いますね』
ああ、それは俺も『勇者の宿』に強制転移してきてからずっと思ってた。
- わかりますか。
『はい。何だか混乱しているように感じます』
混乱?、どういうことだろう。俺が意識してそうしているわけじゃないけど、言われてみれば混乱している、という表現でいいような感じはする。
- うーん…、まぁそんな感じですね。原因とかご存知ですか?
『さぁ…?、心当たりはありませんが…、そうですね、勇者のことは勇者に尋ねれば良いのでは?』
- なるほど、一理ありますね。
確かに。先輩勇者たちなら何か知ってるかも知れない。
そういえば川小屋のほうの近況を聞いてなかったな。
- じゃあリンちゃんにでも、
『毎日朝晩あちらの泉でお祈りをしているようなので、私からお伝えしてみましょう』
やる気満々だなぁ。
リンちゃんに言ってあっちで話を聞いてきてもらうのがいいか、ウィノアさんに頼むほうがいいのか、微妙なところだな。
- そうですか?、でも一応、リンちゃんにも伝えてもらうようにしますね。
『はい』
- じゃ、そろそろ上がります。温まりましたし楽ができました、ありがとうございます。
『はーい、うふふっ』
上がろうと身体を起こそうとしたらそのまま浴室の入り口まで運ばれた。
まるで椅子から立ち上がるかのように、脱衣所の床に足をつけると、押し出されるように楽に立ち上がることができた。そして身体も腰のタオルも濡れてない状態。
拭かずにすんだけど、確かに洗ったあとの状態ではあるんだけど、これはダメ人間になりそうな過保護さだ。
いくら何でも楽すぎる。完全以上の介護じゃないか。
やっぱりこういうのはダメだと思う。
●○●○●○●
朝起きて身支度をし、川小屋の中庭のようになっている精霊の泉のところで日課のお祈りを捧げておりますと、アクア様からタケル様が『勇者の宿』にご帰還され、そこから『森の家』へと移動されたとお言葉を賜りました。
タケル様はお加減が良くないようで、その事について他の勇者様方に尋ねてもらえないかとご依頼をされました。
「おはようございます、メルさんおひとりですか?」
「あ、リン様。おはようございます。はい、あ、タケル様の件でしょうか?」
そして軽く朝食を摂り終えたところでリン様が部屋から出て来られたのです。
「ええ。それでどなたか勇者様にお話が聞ければと」
「ちょうど今からサクラ様たちにその件をお伺いしようとバルカル南浜に行くところだったのです」
「では『スパイダー』を出しますね」
「あ、お願いします。ですができれば街道ではなく北バルカル、カルバス川の北側を走って頂けますか?」
現在では街道をひっきりなしに馬車や騎馬が往来するので、『スパイダー』のように馬よりもかなり早い乗り物が街道を通ると都合が悪いのです。
同様に、私たちのように馬より早いような者が走るにも街道や街道予定地は多くの人が居るため、効率が良くないのです。という事を手短に説明しました。
「なるほど、解かりました。あ、走ったほうが速いのでは?」
「いえ、『スパイダー』でしたらそれほど変わりはしませんし、何より楽ですから」
と言って微笑むと、リン様もにこりと笑みを浮かべました。
「何でしたら以前のようにあたしが飛行魔法を使っても構いませんよ?」
「それは…、もう忘れて下さい」
あの超低空飛行の件は思い出すのも恥ずかしいのです。
「ふふっ、では『スパイダー』で行きましょう、地図はありますか?」
「はい、こちらに」
「ふむふむ、北側もロスタニアがかなり開発に力を入れているようですね」
「シオリ様が主導しておられますから」
「川沿いをこう通って、だと渡船の拠点がありますね」
「はい、ですからその手前でこちらへ渡って、バルカルの大岩の手前で『スパイダー』を一旦降りて走りましょう」
「大岩拠点に寄るのですか?」
「門の兵士に一言告げればそのまま迂回できると思います」
「そこから街道予定の道沿いに、ですか」
「はい、そこからは人通りが減りますので」
「わかりました、では行きましょうか」
「はい」
そしてリン様が取り出した『スパイダー』に同乗してサクラ様たちの居るバルカル南浜へと向かいました。
バルカル南浜は騎士団が拠点を構築する予定で、簡易天幕がいくつか張られている最前線です。サクラ様とネリ様はそこにタケル様やリン様がされていたように、土魔法で小屋を作って週の半分ずつを交代で寝泊りしておられます。
今日はたまたまお二人があちらに泊まったのですが、それは沖にある島から魔物が出たと船で哨戒している斥候兵から連絡があったからです。
ネリ様はこの川小屋に帰ってくる日だったのに戻れなくて不満そうでした。
私は毎日往復をしているのですけどね。
距離が結構あるので大変ですが、これがまたなかなかいい訓練になっていたりします。
タケル様と出会う前の私であれば、そのような距離を毎日往復するなど到底できなかったと思います。改めてそう思えば私もかなり成長したのだと実感しますね。
先ほど、リン様が『走ったほうが速いのでは?』と仰いましたが、実は全部を走っているわけではなく、ところどころを飛行魔法の訓練に充てていたりするのです。
飛行魔法と言っても、タケル様のように完全に飛んでいるわけではなく、あ、もちろんそれも練習をするのですが、まだ大した距離は飛べませんし、飛んでいる間に他の事は全くできません。
私やネリ様がやっている飛行魔法は、飛行ではなく、空中走法と呼ぶべきものなのです。
少し前にネリ様が、タケル様が『勇者の宿』にご帰還されていないかを確認するために『勇者の宿』や『ツギの町』へと赴かれたのですが、そのとき、昼間の移動中に、街道を移動していた馬車と人の集団を追い抜くため、小さな障壁魔法を足の下に設置し続けることで踏み台にして、空中を走りぬけるということをしたそうです。
ネリ様は言葉を濁したのですが、おそらくぼーっと走っていて止まれず、咄嗟にそうやって集団を避けたのでしょう。
しかしそのおかげで習得できたのなら怪我の功名というものでしょうね。
当人は黙っていたつもりでしょうけど、話の途中、ところどころで『なんとか避けた』、『あのまま突っ込んで行ったら危なかった』と言っていましたので、話を聞いていた私たちにはバレバレです。
ともあれ、その移動方法は飛行ではありませんが、空中を移動するのに慣れておくには良い方法ですし、魔力操作の訓練にもなります。
それに、落下時への対処という点でも優れています。たとえば崖を登ったり下りたりするのにも使えるのですから。
そういうわけで、私やネリ様、それとサクラ様も、タケル様の飛行魔法を習得する前にこの空中走法と呼ぶべきものを、あくまで飛行魔法の前段階と捉えて、飛行魔法と呼んで訓練をしているのです。
タケル様がこのことを知った時、彼はどういう反応をされるのでしょうか?
苦笑いをされるでしょうか?
いえ、おそらくは面白いと仰って、そしてあっさりと真似をされて習得してしまわれるのでしょうね。
次話3-023は2019年12月27日(金)の予定です。
20191220:衍字訂正。 入れて始めて ⇒ 入れ始めて
あとがきにピヨ関係その他のことを追加。わ、忘れてたりしてませんよ?!
20250214:助詞ミス訂正。 それを入浴セット ⇒ それと入浴セット
20251214:助詞抜け訂正。 下りたりするにも ⇒ 下りたりするのにも
(いまごろこんなのを見つけるとは‥orz)
●今回の登場人物・固有名詞
タケル:
本編の主人公。12人の勇者のひとり。
ハツ:
『魔導師の家』の現在の主。
親代わりだった師匠を亡くし、一人暮らしだったが、
タケルと関わってから出入りする人が増えて嬉しいようだ。
ウィノアさん:
水の精霊。ウィノア=アクア#$%&。
『#&%$』の部分はタケルには聞き取れないし発音もできない。
一にして全、全にして一、という特殊な存在。
その力が及ばない土地もあるようだ。
アリシアさん:
光の精霊。
最も古くから存在し、肉体を得て実体化した精霊のひとり。
光の精霊の長。
リンちゃん:
光の精霊。
アリシアの娘。タケルに仕えている。
モモさん:
光の精霊。
『森の家』とタケルが呼ぶ拠点の管理者。
300名以上いる食品部門の統括責任者もやってるらしい。
タケルの知らない間にまた人数が増えていた。
ミルクさん:
光の精霊。
『森の家』の隣にある燻製小屋という名の工場の作業管理責任者。
1章039話に登場した。
今回、登場したけど個別のセリフがなかった。
ブランさん:
光の精霊。
燻製小屋のさらに隣にある食品部寮の寮長。
初登場。でも個別のセリフがなかった。
サクラさん:
12人の勇者のひとり。
最前線が海岸線になってしまったようだ。
ネリさん:
12人の勇者のひとり。
川小屋のごはんが好き。だから戻れないと不満。
メルさん:
ホーラード王国第二王女。
『サンダースピア』という物騒な槍の使い手。
馬より速く走れるホーラードの姫騎士。
タケルたちと行動するようになってから騎乗していないけど騎士。
何かと川小屋のあれこれを取り仕切っている。
川小屋マネージャー的存在。
シオリさん:
12人の勇者のひとり。
『裁きの杖』という物騒な杖の使い手。
なかなか多忙。
川小屋に戻る事もあれば、ロスタニアの国境拠点で泊まる事もある。
元漁村のあった場所に作られた小屋でサクラ相手に愚痴をいいながら
泊まることもある。おかげで身体強化にも随分と慣れた。
男性用神官服で走り回るその姿は、ロスタニア人にはレア級となり、
見るとその日は何かいい事があると言われるように。
勇者の宿:
タケルたち勇者の復活地点。ホーラード王国の辺境にある。
ここを中心に『勇者の宿』のある村を警備する『勇者隊』の仕事って、
普段何をしているんでしょうね?
川小屋:
2章でリンちゃんが建てたタケルたちの拠点。
小屋がいつのまにか旅館サイズになった。
メルさんが毎晩帰って来る。言ってみればメルさんち。
ちなみにピヨは好き勝手にあちこち飛び回っている。
メルさんたちはピヨに甘いので、川小屋にはちゃんとピヨのエサが
用意されている。
ピヨ:
風の半精霊というレア存在。見かけはでかいヒヨコ。
癒しのヒヨコ。もふもふ要員。
作者的にも再登場が待たれる存在。
なのに作者にちょっと忘れられていたようだ。
こうしてあとがきに、あとで追加訂正が入るほど。
ごはんが冷めてても全く気にしないらしい。
バルカル合同開拓地:
昔、魔物が侵略してくる前、バルドスという国があった。
そのほぼ中央を南北に2分するカルバス川が流れており、
その川を挟んで南側をバルドス、北側をバルデシア呼んでいた。
バルドスという国は魔物に侵略されて滅び、その後は
『魔物侵略地域』という何のひねりもない名称で呼ばれる事になった。
そしてその地を人種が奪還するに至り、この名がつけられた。
バルカル南浜:
カルバス川を挟んで、南バルカル・北バルカルと呼ばれるようになり、
海に面した浜の部分を、それぞれバルカル南浜、バルカル北浜と言う。
バルカルの大岩:
タケルたち勇者が、魔物侵略地域のほぼ中心に位置し、
カルバス川の南にある大きな岩を、ただ『大岩』とだけ呼んでいたが、
地域に名称が新たにつけられたことで、こう呼ばれる事になった。
この岩を中心として、街道が計画され開拓地が結ばれるらしい。
竜族:
精霊や人種と対立している存在。
見かけはでっかいトカゲ。背中に翼がある。
ホーラード:
国の名前。ホーラード王国。
『勇者の宿』が国の南東の端にある。
魔物侵略地域には隣接していない。
ティルラ:
国の名前。ティルラ王国。
魔物侵略地域の東に隣接している。
ハムラーデル:
国の名前。ハムラーデル王国。
魔物侵略地域の南に隣接しており、山岳地帯に国境がある。
2つの山地の間にあった街道を防衛線としていた。
ロスタニア:
国の名前。
魔物侵略地域の北に隣接している。
そちらは万年雪山脈と呼ばれる高い山々が自然の要害となっており、
北東方向にロスタニア首都方面へ向かう街道があるため、
その扇状地のような地形部分を国境防衛線としていた。