1ー010 ~ 小屋レベルアップ
もうあれだよな、『小屋』とかじゃないよな、家だよなこれ。中もゆったり台所入れて4部屋あるし。
いいのかな、勝手にこんなとこに家建てちゃってさ。表札つくって出しとくか?
いやー土魔法スゲーのな。リンちゃんがスゲーんだろうけど。屋根なんて瓦葺だぜ?、どうみても瓦。でも一体化してるらしい。竈んとこには煙突もある。リビングには暖炉もある。テーブルにソファーもある。食卓もある。なんか水道まで設置されてる。そんでもってシンクが対面式だぜ?、なんだこれw、もう笑うしかないね。
窓ガラスまである。いいのか?、こんなの。ここだとオーバースペックにも程があるんじゃないのか?、木戸の雨戸もついてる。
え?、寝室もある。ベッド1つしかないけど。おおふ、なんでマットにシーツ?、毛布に枕2つ?、なんで?、あ、魔法の鞄から出したのね。
ああ、ソファーとかも出したのね。なるほど。
- もうここに住んだほうがいいのかな。でもこの先に進んだらここ、ムダにならない?
「結界を張りましたので、余程のことがない限り大丈夫です」
- あ、そうですか。なんでそんな嬉しそうなのリンちゃん。
「タケルさまとあたしの、あ、愛の巣ですからっ」
ガタッ
リンちゃんそれ意味わかって言ってんのかな?
- り、リンちゃん…?
「が、頑張りました!」
あ、褒めてってことね、よしよし。
大鍋はリンちゃんが持ってきたものらしい。水道とかはよくわからんが。
とにかくそれで塩漬け液つくって、冷めるの待ってたらリンちゃんが魔法で冷やしてくれた。魔法って便利だなほんと。
そんで肉全部漬けて、皮と肉以外のとこ埋めようとしたら、骨は粉砕して肥料に、内臓の一部は食用に、それ以外も肥料にします、って何かでっかい樽サイズの容器を取り出して、全部放り込んでガガガガー…って。いや、もうそれしか言えない。
精霊さんたちの生活文化って一体どんななのさ?
●○●○●○●
そんで休憩中。どこで?、ってリビングで。リンちゃんがお茶淹れてくれて優雅なティータイムってとこ。
んで、さっき気付いたんだけど扉が2つ見える。
まさか…?
- リンちゃん?、あの扉は?
「はい、おトイレとお風呂です」
マジか。
- えっ、ちょっと見てくる。
トイレは洋式の水洗だった。ドーナッテンノこれ?
いや深くは考えまい。マホウノチカラってやつだろう。
お風呂のほうは脱衣所があって、竹?、どうみても竹なんだがあるのか?、で編んだ籠が積んであった。棚もある。
そんで磨りガラスの引き戸があって、開くとバスルームだった。
スゲー。
そいやこっち来てからお風呂って入ってないな。体を拭くだけで。
洗い場にはシャワーもあった。え?、出んの?、お湯。
- これ、シャワーだよね?、お湯出るの?
「はい、こちらのパネルで魔力残量を確認して、大丈夫ならお湯が出ます。温度もパネルで設定できるようになっています」
- おおー、ハイテクだね。
「ハイテク…?、ですか?」
- ああうんそれはいいけど、魔力ってどうやって溜めるの?
「パネルの横に黒い板がありますのでそこに手をあてて、魔力を流してくだされば充填できます。流すときは手加減しつつコツを覚えてくださいです。パネルは浴室2箇所と、脱衣所と、おトイレと、台所にあります」
なんかもうどうしようもなくお風呂に入りたくなってきたわ、こんだけ近代的どころじゃない設備だし。浴槽広いし。水道代とか無いし。
- 久々だし、なんかもうワクワクが止まらないっていうか、お風呂、入ろうかな、給湯ってこのボタン?
「はい!、タケルさま、喜んで頂けそうですか?」
- そりゃあもう。ここいらの村とか宿ってお風呂がないんだよ。お湯か水で絞った布で拭くだけでさ。お風呂に入りたくてずっと我慢してたんだよ。ありがとう、リンちゃん。
「ふふふっ、タケルさまに喜んでもらえるってお母様が言ってました。嬉しいです!」
- シャワーのとこの棚にあるのって、シャンプーと石鹸?
「はい!、気に入ってもらえるといいのですが…」
- ん?、ああ、香りとかのことかな。まぁ使ってみるよ。お、お湯溜まるの早いね、そろそろ止めないとかな?
「大丈夫です、一杯になると止まります」
- ほう、んじゃ一旦リビングに戻ろうか。
んで俺の背嚢を出してもらって、着替えを出して、と。
あ、バスタオルとかないんだよなー、って思ったら脱衣所の棚にあった。
至れり尽くせりだなー
いそいそと脱いで籠にいれ、棚に着替えを置いて、さぁ久々の風呂だ!
「タケルさま?、お風呂上りには何を飲みますか?」
- あ、豆乳がいいな。冷えたやつ。
「はい、この中にあります」
え?、冗談のつもりだったんだけど、あんの?、ってかそこ冷蔵庫だったの?、スゲー…
●○●○●○●
豆乳と冷蔵庫の衝撃でそんなことぶっ飛んでたんだけどさ、そうだった。
こういうときってラノベだのアニメだのって、『お背中お流ししますぅ』とか言って入ってくんのがお約束なんだよな。
先に、入ってくるなって釘をさしとけばよかった。
え?、いや、もうそんなレベルじゃなかった。
俺が頭洗ってる間、となりの席、そうなんだよ、シャワーが2つあるんだよここ。
その隣の席で同じように頭洗ってやんの。誰が?、そりゃリンちゃんが。
全然気付かなかったよ!、あの扉、できが良すぎて音がしねーのな。
そんで俺より髪なげーのに、先に洗い終わって頭にタオル巻いてさ、体洗うスポンジみたいなのと洗面器で泡立てて待ってんの。何を?、俺が頭を洗い終えるのをだよ!
あまりにも自然にそこに居て、頭を流し終えたら、『はい、どうぞ』ってスポンジ渡されたんで、『ん、ありがと』って受け取ってしまい、疑問に思わずそのまま体を洗っててさ、そしたらリンちゃんも隣で普通に別のスポンジ使って洗ってて、んで、そのまんま流れでお互いの背中をごしごしやって、シャワーで流して、んで一緒に溢れるお湯に感動しながらお湯に浸かって、二人並んで『ああああぁ』って言ったとこ。
- リンちゃんよ?
「はい、タケルさま?」
- お風呂は別々にしようよ。リンちゃん女の子なんだしさ。
「でももう今日は一緒に入っちゃってますよ?」
- そうだけどさー、親しき仲にもなんとやら、節度ってもんがあると思うんだ。
「タケルさまに問題があるんですか?」
- え、いやそういうことではなく、だな、お、俺も男だし、リンちゃん女の子なんだしさ、まずいだろ?、いろいろと。
「大丈夫です、どんと来いですよ?、それともタケルさまがまずいんですか?」
- い、いや俺は別になんとも…
「じゃ問題ありませんね」
なんとも、の所で勢いよく被せるようにそう言い切ったリンちゃん。
一緒に入ったのを咎められたのが不満なのか、少し口を尖らせてる、可愛い。
って思ってたら近寄ってきた。
ちょ、ちょっとおいリンちゃん?
抵抗するにも何か肌に触れるのを一瞬ためらってしまった隙に、俺が壁にもたれて胡坐かいて座ってるんだが、その片足の腿に座ってもたれかかってきたよ!
- リ、リンちゃん、これは、
「うふふっ、タケルさま~、ずっとこうしたかったんです。ダメですか?」
上目遣い、それはズルいと思う。今まで経験なかったけど、可愛い子の上目遣いってこんなに破壊力あんのな。いや攻撃力か?、どっちでもいいか。
- だ、ダメじゃないけど…
「じゃ、いいんですね、うふふ、タケルさまぁ~」
やばい、のぼせそうだ。
20180521 誤字訂正。あれだけ見直したのに…orz