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2ー088 ~ ティルラの王族

 なんとか水槽荷馬車を並べ、どこ向けと木札に書いて吊るし、あとはそれぞれの人たちが来るのを待ってればいい状態にできた。


 そこでふと、水槽ってったらあの底から泡がでるやつがないと水中の酸素がどうので魚が死んじゃうんだっけ、とか思い出した。


 生簀(いけす)の状態なら、川から水だけは出入りするようになっているのでそういう心配は不要だったんだけど、水槽だと確かに水の出入りがないからまずいよな…。


 でもそんなポンプなんて作れないし、どうしようか考えて、何でもいいから空気と攪拌(かくはん)できればそれでいいんだと気付いたら、元の世界で池などに設置されてたよくわからない水車のことを思い出した。


 動力は…、魔力エンジンなんて伝えるわけにも行かないので、車輪から伝える方式にした。

 移動し続けないとダメなんだけど、そこらへんは運用でカバーしてもらおう。


 ってことで水槽の水面ぎりぎりに軸を渡して、両側の車輪から滑車でロープを渡して水車を回して水を少し持ち上げては落とすような仕組みにしておいた。水車のフィンを網目にするといいんだっけね。

 水車の高さは浮きで調整するようになってるけど、それほど範囲がとれなかった。

 まぁ、ある程度水位が下がっても大丈夫、ってだけでいいか。仕方ない。

 あまり複雑にすると大変なんだよ。何がっていろいろと。






 水槽荷馬車は結局どれも3軸6輪。

 通常の荷馬車の後輪部分で作ってるからね…、これ内輪差って言うんだっけ?、カーブのときのやつ。そういうの考えてないけどどうするんだろうね?


 ベアリングも無いしさ、寿命短そうな気がする。

 一応車輪とか車軸とか補強しといたけどさ。

 そんで滑車ついてるのは真ん中の車軸で、ロープ通すために水槽をそこだけ凹ませてある。


 今は前後の車輪だけ接地というか少しだけ高くして車止めの三角形の石つくって噛ませて動かないようにしてる。

 真ん中の車輪が浮いてるわけで、そこでハニワ兵を水槽分つくり、車輪を回させて水車を回すことで上の水槽でバシャバシャと音がしてる。


 こういう単純労働にはとても便利だね、ハニワ兵。音声インターフェイスで命令すればいいなんて、高性能だなー。


 「これは何なのでしょうか?」


 やけに低いとこから声がしたと思ったらピヨが居た。


- 水槽で魚が窒息しないようにするための仕組みだよ。


 「はぁ…、そうなのですか、私めにはわかりませんが…」


 ちょこんと座って首を傾けるピヨ。可愛いからしゃがんで撫でておこう。






 シオリさんはさっきそこのテーブルで俺が作ってた水槽荷馬車を見てたけど、『また報告書が…』と(つぶや)きながら部屋に戻ったっぽい。


 そういえばいつもならうるさいのが居るもんだけど、シオリさんが言うにはサクラさんと一緒にティルラの王都ケルタゴへ向かったそうだ。


 何でもティルラの拠点からきた連絡隊が置いていった荷物に親書がまぎれていたらしく、連絡隊は鷹鷲隊(おうしゅうたい)で構成されていたので、そのへんが少し杜撰(ずさん)だったとか何とか。


 で、それによると、ティルラ王国としては昨今の魔物侵略地域での成果がとても信じられないので王族が視察に来るらしい。


 それで所属勇者は街道を上って向かえに行けとか何とか、要約するとそういうことを婉曲に長ったらしく羊皮紙数枚使って書かれていたようで、そのせいで通常の連絡書簡ではなく、木箱に入れてあったから手渡しじゃなく荷物にまぎれていたんだと。


 そういう連絡は急いでするもんだと思うけどね。

 王都ケルタゴから早馬の連絡網で伝えるとか、魔法的な何かで連絡するとか、そういうシステムじゃないのかな、ってちょっと思ったけど、そんなこと俺が言ってもしょうがない。


 それで今朝俺がロスタニア東8ダンジョンの様子を見に行っている間に、連絡隊が置いていったでかい木箱から荷物を整理していると、その木箱がでてきたんだってさ。


 んでそれ読むと、もう半月も前に王都をその一行が出発したんだと。

 つまりそろそろティルラ第一防衛拠点に到着してもおかしくない時期だって今朝知ったってことだ。


 慌てたサクラさんは『ええー、めんどくさいー』って言うネリさんと一緒に、そのでかい木箱で届いた勇者の正装――ティルラ王国に所属したとき、式典などで使うための服装を配布されたんだってさ、んでそれは王城で管理されてるらしい――に急いで着替えて走ってったらしい。


 『今こんなの着て動いたら汗かいちゃうー』とか文句言ってたようだけど、もう2人とも自分の周囲の気温ぐらい火魔法や風魔法でなんとかできるはずよね?


 しかし王族かー、王族はメルさんだけでごちそうさまだし、まぁ俺なんてどこに所属してるわけでもないからどーでもいいか。

 どうせこんな場所まで出てこないだろうし。






●○●○●○●






 「ええー、めんどくさいー」


- 仕方ないだろう!、私たちはティルラ所属なんだぞ!?、これも仕事のうちだ、ほら、さっさと着替えて行くぞ!


 脱衣所に引っ張って行き、木箱の底に丁寧に包まれていた正装を手渡しながら言う。


 「えー、リビングでいいじゃんー、タケルさん居ないんだしー、って、これぇ?、こんなごてごてしたの着たら汗かいちゃうよ…」


- 大きな姿見(鏡)があるのがここだけなんだ。それに現地で着替えるヒマがあるかどうかわからないんだぞ?、汗をかかないように走ればいい。


 「そんなぁ…、あ、こことここに魔力反応がある…?」


 何っ?

 ネリを見ると上着の肩のところを持って広げている。


- 魔力反応…?


 「うん、肩の横と、襟の後ろ」


 そこには確かにティルラ王家の紋章が刺繍されているが…、落ち着いてよく魔力感知をしてみると確かに魔力反応があることがわかった。


 「あ!、これ鑑札と同じかも…!」


- 鑑札?、これのことか?、


 「そう、それ!、んー…、似てるけど何かちょっと違う気がする…」


 難しい顔をして私の鑑札と正装を見比べるようにしている。


- ネリの鑑札はどうした?


 「へ?、あたしの?、部屋にあるよ?」


- 馬鹿、そういうのはいつも携帯しておくべきだろう!


 「きょ、今日はたまたま持ってなかっただけで…」


- はぁ…、わかったから早く着替えて行くぞ。


 「はぁい…」






 私が着替え終えて髪を整えていると…、

 「んと…、これがこうで…、あれ?、この(ひも)がこう…じゃなかった、あれ?」

 姿見(鏡)に映っているネリはまだ中着(なかぎ)(そで)を通した姿だった。


- しょうがないやつだな、ほら、ここが違う、こっちを通すんだ。


 「わ、サクラさんもう着ちゃったんですか、早いよー」


- ネリだって何度も着たことがあるだろう?


 「んー、最初に王城に行ったとき着せてもらっただけかも…?」


- ん?、国境防衛の任に就いたときは着なかったのか?、他にも毎年式典があったろう?


 「あー、あれね。何かあたしが行くと騎士団からも人を出さなくちゃいけないから出なくていいって言われて…」


 そうか、ネリはあの星輝団(せいきだん)だったか…。


- それで(式典で)見かけなかったのか…、魔物が多くて式典に出る余裕がないと聞いていたが…。


 「あたしもめんどくさいからちょうどいいかなって、あいたっ」


- そういうのは思っていても言わなくていい。


 「はぁい…」


- ほら、終わった。走るぞ!


 「え?、荷物は?」


- そんなもの現地で、ああ、鑑札が部屋にあるんだったな。待っててやるから早く取って来るんだ。


 「はーい、あ、水筒にタケル(すい)入れてくから待ってー!」


 話の途中で逃げるように部屋へ走ったネリを見て、私も水筒ぐらいは持って行ったほうがいいかと思いなおした。

 私が水筒を持って部屋から出ると、ネリはリビングの給水器でコップに水を入れては水筒に移していた。私も同じようにして水筒に水をいれた。






 皮水筒は(にお)いがどうのと言っていたが、そういうもんだと慣れてれば問題はなかった。

 しかしこのように金属製の水筒を一度使ってみると、もう皮水筒には戻れない。あれはずっと使い続けているから(くさ)さが気にならないのであって、しばらく置いておいた皮水筒は臭さが倍増するのだと実感した。


 タケルさんはこういう細かいところによく気付いて、リン様に調達してもらったり設備が増えたりと、どんどん生活が向上してしまうのが良いのか悪いのかよくわからないところだ。

 もちろんその恩恵に浴している私が文句を言える立場では無いし、感謝だってしているが…、ここ以外で生活をすることを思うと憂鬱(ゆううつ)になってしまう。


 先日、新拠点のほうに行ったときにネリが、タケルさんが前に使ってた小屋で風呂を用意していたのには少し驚いた。何とタケルさんがダンジョンでやっていたように、水魔法と火魔法で浴槽に湯を貯めていたのだ。それに当然のように石鹸や洗髪用品、タオルなどを持ってきていたのにも驚いた。


 そうだ私も石鹸などを、ああ、それで『荷物は?』なのか。そうだな、必要だな、荷物。






 「ほらー、やっぱり荷物必要じゃないですかー」


- ああ、悪かった。ネリの言うとおりだ。


 走り始めてすぐ、私の背嚢をちらっと見たネリが早速文句を言った。彼女はちゃっかり自分の背嚢を装備している。


 「結局あたしのほうが先に準備して待ってたしー」


 確かにそうなってしまった。


- ん?、ネリ、剣はどうした?


 立ち止まった私に少し遅れ、先に数歩進んでネリも立ち止まって振り返った。


 「へ?、もってきてないよ?」


- 正装では剣を装備しなくちゃ(さま)にならんだろう!、取りに戻るぞ!


 「えー、だって戦いにいくんじゃないし、使わないのにぃ?」


 行き先がダンジョンでも剣を持参していなかったろう?、と言いたいのをぐっと我慢。


- 格好が大事なんだ!、何のためにこんなのを着たと思ってる!


 「はぁい…、しょうがないなー」


 と言って川小屋へと走るネリ。全く、『しょうがないな』と言いたいのはこっちの方だ。






 新拠点に到着し、連絡が来ていないかを本部で尋ねると、今朝方先触れが来たらしい。

 それで昼前に第一防衛拠点に到着するということで、先触れ隊とともに一部の従者たちはもう到着しており、天幕や昼食の準備を急いで整えているんだそうだ。


 危ないところだった。最低限そこで出迎えることができればぎりぎり間に合ったと言い訳は立つ。


- それで、何方(どなた)がお越しなのか聞いているか?


 「はっ、ティルラ王国第二王子、メルパス殿下との事です!」


 む、メルパス殿下か…、第一王子の、いや、もう王太子だったか、ハルパス殿下なら良かったんだが、王太子をこんな前線地には寄越さないだろうな。

 厄介(やっかい)な事にならなければいいが…。


- ときに、オルダイン卿は?


 「はっ、オルダイン団長は第一拠点のビルド団長と共に居られます」


- そうか、ありがとう。


 なるほど、オルダインなら呼ばれなくとも行っておくだろうな。特にメルパス殿下が相手なら。


- こちらも急ぐぞ、


 と、(かたわら)にいたはずのネリを振り返ったが、居ない。

 さっとさっきまで話していた兵士を見るが、首と手を必死で横に振っている。


 そんなに私は怖い顔をしているのだろうか…、少し凹んだ。






- 何をしている…。


 ネリは本部を出てすぐ近くの小屋に居た。

 前回も来たが、どう見てもタケルさんかリン様が作ったんだろうというしっかりとした作りの小さい家だ。


 「あ、サクラさん。何か第二王子が来るとかでめんどくさい事になりそうだから、もしかしたらここに泊まるのかなーって、準備してました」


- メルパス殿下だと知っていたのか?


 「ううん?、さっき通りすがりの兵士さんに聞いたの。その…、第二王子が」


- メルパス殿下な。


 「そう、そのメル…、メルさんは違うよね?、ホーラードの人だし」


- そちらはホーラード王国のメルリアーヴェル王女殿下だろう?、こられたのはティルラ王国のメルパス王子殿下。全然違う。


 「あ、そか、そんでその第二王子が面倒な人だってさっきの兵士さんが」


- ああ、だから面倒にならないように早く行くぞ。ところでその布や寝具はどこから持ってきたんだ…。


 「あ、これね、えへへ、天井のここを押したら上の荷物置き場の階段ができるの」


 部屋の端に行き、ぴょんと飛び上がって天井の仕掛けを動かし、下がってきた取っ手を引いて階段を引っ張り下ろした。すごいな、まるで忍者屋敷だ。


 「上にはこういう寝具とか布とか着替えとか置いてあるよ!」


 そして階段の2段目に乗ってこっちを向き、実に楽しそうな表情で芝居がかったような所作をする。

 どうしてそんなに自慢げなんだ。お前が作ったわけじゃないだろう…。


- はぁ…、タケルさんか…。とにかく遅れる訳にはいかん、行くぞ!


 「はーい、あ、入り口に布を!」


- いいから行くぞ!


 「わ、サクラさん待って!、あ、うー」


 ネリを引っ張って走り出す。と、ネリが(うな)って魔力を行使しようとしたので驚いて止まった。


- おいネリ!


 「入り口(ふさ)いだの」


- びっくりするじゃないか…。


 魔法で抵抗されるのかと一瞬身構えてしまった。


 「ごめんなさい。でもリン様が、ここの物資は他の人に渡しちゃダメって…、だから管理はちゃんとしないとって…」


- いや、悪かった、そういう事なら仕方ない。もういいんだな?


 「うん、塞いだから」


- じゃ、急ぐぞ!


 「はい」


 なるほど、確かにネリが持っていた寝具やタオルは川小屋で使っているものと変わらない品質のものだった。つい普段使っているものだったから気にしなかったが、そういう配慮も必要だろう。迂闊(うかつ)だった。


 しかしネリがそういうのに気付いてくれたのはいいが、あの小屋の天井裏からネリが出さなければそういう配慮も必要なかったんじゃないか…?


 私の(そば)から離れて、余計な事をしなければ時間も取られなかったんじゃないのかという意味を込めてネリを見たが、そのネリは私の視線に気付くと薄く微笑むだけで小首を傾げていた。






●○●○●○●






 「ティルラ王国第二王子、メルパス=ランデル=メル=ティルラ殿下の御成(おな)りである!」


 そんな大仰(おおぎょう)な声がして、門がゆっくりと開いていく。

 第一防衛拠点にあんな大きな門あったっけ?、って思ったけど急いで作ったのかも。木がまだ新しいもん。

 でも(へい)は両側にちょっとあるだけ。へんなの。


 あたしはサクラさんと並んで門から少し離れて立ってる。






 門が開く前に腰の水筒を外してタケル水を飲んでたらぺちっと(はた)かれた。

 少しこぼしちゃったじゃないの、って見たらサクラさんが怖い顔をしていたので、いそいそと水筒を腰に戻した。

 袖で口元を(ぬぐ)ったらまたぺちっと(はた)かれたし…。


 文句を言おうとしたけど、怖い顔したサクラさんの隣で、ビルド団長がこちらを覗くような姿勢で人差し指を口元に当てていた。少し笑ってたけど、彼に(うなづ)いたら頷き返してくれた。

 改めて姿勢を正して門をみたとき、さっきのお触れの声がした。


 そして門からぴっかぴかの甲冑を着た兵士が先導する、金色の飾りがあちこちついた黒い馬車がとことこと入ってきて止まった。馬車の横にはそれぞれ騎馬の兵士が2人ずつ縦にならんでる。


 御者のひとが台を持って降りて馬車の横に(ひざまづ)いて台を支えた。

 騎馬兵のひとりが下馬し、馬車の扉に触れて何か言っていたが、扉が開き2人が素早くでてきて扉を支える兵士の横に並んだ。


 そして青赤黒をベースに金銀飾りがついた服を着た若い男性が、台を支えている御者の頭の上にまるで手すりであるかのように手を置いて降りてきた。


 あたしでもそれが王子だと分かった。メルさんとえらいちがいだと思った。


 いつの間にか降りていた騎馬兵4人が王子を囲むように立つ。そして彼が小さく(うなづ)いて歩き出すとそれに合わせてその4人もフォーメーションを崩さないように歩き出した。


 こっちに来るようだ。


 ある程度の距離で彼らが立ち止まった。

 こちらの列はそれに合わせて全員が(ひざまづ)いた。

 あたしも(あらかじ)め言われていたのでちゃんと合わせて跪いたよ?


 あ、(ひざ)が汚れないように、門が開く前に兵士のひとが布を敷いてたよ。

 それと、膝をつくのは右膝だけ。

 アクア様にするように両膝をつけたり胸に手を交差して当てたりはしない。あれは宗教的なポーズだから。


 同じ『跪く』のでもいろいろあってややこしいね。






 「(おもて)を上げよ、直答を許す」

 「このような(ところ)にまでご足労頂き誠に感謝に堪えません」

 「全くだ。それで?、少しは安全になったと聞くが実のところはどうなんだ?」


 これなのよねー、あたしが王都ケルタゴに居たくない理由。

 対外的に格好つけたいのか何か知らないけど、王城に勇者の部屋があるのに出歩くと叱られたりするし、王族と極力出会わないように行動範囲が決められていたり、今も言ってたけど直答(じきとう)を許されるまで喋っちゃダメとか言われるの。


 「はい、勇者様方の目覚しいご活躍により、国境の西50kmの地点に新拠点を設けることができております」

 「ほう、それは素晴らしいではないか。それで?、そこが現在の最前線という訳なのか?」

 「いえ、それがそうではありません」

 「最前線に拠点を設けたのではないのか?」

 「そのあたりの詳しいお話は作戦室で行いたいと存じます…」


 ビルド団長さんの横顔、汗いっぱいだよ…。

 そりゃそうよね、本国に伝わってる情報がいつの時点なのかわからないから、現在の状況と食い違いがありすぎるし、嘘だと疑われたらまずいもん。

 あ、今朝サクラさんが2週間前に出発してるとか言ってたっけ、んじゃこの王子様が掴んでる情報って、新しくても2週間前ってことじゃん…。


 2週間前ってどんな状況だったっけ?

 あたし2週間前何してたっけ…?


 「それもそうだ。ところで久しいですね、勇者サクラ様。勇者ネリ様は初めてお会いしますが…、ふむ、姿絵は嘘ではなかったということか…」


 姿絵?、嘘?、何言ってんのこのひと。

 あっ、もしかしてあたしの髪が黒じゃないってこと!?

 ってか姿絵なんて出回ってたの!?、あたし聞いてないよ!


 あ、サクラさんが魔力をピクピク練ってる。

 これ前に2人で魔力感知と操作の訓練してたときのやつ…。


 ああ、あたしに信号を送って気付かせようとしてるんだ。

 あたしもピクピク返事しておこう。わかった、って。


 「ご無沙汰しております、メルパス殿下」

 「『殿下』はやめて下さいと以前も申し上げたはずです、それに勇者様方はそうして跪礼(きれい)する必要はありません、まるで私がやらせたようで困ります」


 王子様が合図したのに合わせてサクラさんとあたしだけが立ち上がる。

 これも最初にサクラさんから言われていたことだったりする。


 こういう過程がこの王子様には大事なんだってさ。何それ。めんどくさ。


 ん?、王子様がこっちを見てる…?


 そこにサクラさんからの合図。あ、初めましての挨拶だっけ。忘れてたわ。


- 勇者番号12番、ネリです。初めまして、メルパス殿下。


 こう言えって言われたのよ。


 「ティルラ王国第二王子、メルパス=ランデル=メル=ティルラです。殿下はやめてくださいますか?、お気軽にメルとお呼びください、ネリ様」


 えー、メル呼びはまぎらわしいからやだなー…あ、またサクラさんから合図が。


- ではメルパス様と。よろしくお願いしますね。


 ここで笑顔っと。


 サクラさんから急げ急げって言われてここに来たけど、到着までは少し時間に余裕があったから、ここでだいぶ練習させられたのよねー。

 だからばっちりOKのはず。


 「そうですか、よろしくお願いします」


 王子様も笑顔。たぶん営業用。だって心がこもってないもん。

 そしていつの間にか横に控えていた付き人さんかな、馬車から先に降りた人っぽいの、その人に声を落として話しかけてた。


 「用意は?」

 「恙無(つつがな)く」

 「では先導してくれ」

 「御意に」

 「では勇者様方もできれば同席を。ビルド団長もね」

 「はっ」


 返事をしたのはビルド団長ね。

 サクラさんとあたしは軽く頷いただけ。

 ってか言うだけ言ってこっちを見もしないのね、あの王子様。






 王子様一行が大きな天幕に入って行くのを見送って、ってあれ幕じゃないよね、前から思ってたけどさ。何だっけ、豪華なプレハブ住宅?、あ、でも屋根は防水布だから天幕でいいのかな…。


 一応庭みたいなところに(おっ)きい天幕(テント)はあるよ。そこでお昼の用意がされてるって聞いた。

 今回はあたしたちも一緒に食べるんだってさ。何が出るんだろう、テーブルマナー大丈夫かな…。


- あいたっ!


 「妙な『間』をとるんじゃない!、殿下も変に思ってたぞ?」


 気が緩んでるときに(はた)かれたからびっくりした。


- えー?、そうだっけ?


 「まぁ、合図が伝わってほっとしたよ…、おかげで変な汗をかいてしまったじゃないか」


- あんなのと食事って気が進みませんよね…、いたっ!


 「(小声で)あんなのとか言うな、誰が聞いてるかわからないんだぞ」


- はぁい、気をつけます…。


 何だか最近よく(はた)かれるなー…。






●○●○●○●






 新拠点では、そろそろ夕日になりそうだがまだ気怠(けだる)い暑さの残る頃、およそ4時間掛けて川小屋から水槽馬車を運んできた『ペトロミィ受け取り隊』の到着を、出迎えた100名ほどが大歓声を上げていた。


 「俺、ペトロミィ食べたこと無いんだ、美味いんだってね」


 期待に目を輝かせている兵士のひとりが、同じように歓声を上げていた男に話しかけた。


 「私は今の仕事を任されたときに一度だけですが、本当に食べさせてもらえるんでしょうか?」


 どうやら軍需物資を運んだり駐屯地で売買をする商人らしい。兵士たちとその場のノリで歓声を上げていたようだが、噂を聞きつけただけで完全に信じているわけではないのか少し不安げな表情をした。


 「ああ、なんせ姫様が仰ったんだ。あの(かた)はそんなことで嘘は言わないぞ?」

 「じゃ、じゃあ期待していいんですね!」

 「あったりめぇよ!、あ、お前さんたちが他の食材を提供してもいいって言ってた商人さんか!?」

 「はい、そりゃあのフォルメス、あ、ペトロミィでしたね、それを腹いっぱい食べさせてくれるってのが本当ならの話ですよ!?」

 「だから本当だってば!、広場の様子をみたろ!?」

 「はい!、まるでこれから祭りでもあるのかってぐらいの準備でしたが…」


 またすぐ近くでは同じように兵士と商人が似たような話をしていた。


 「気勢を上げているところすみませんが!」

 「お?、どうした?」

 「あの石を運んでいる馬車がそうなんですか!?」

 「何がだ?」

 「フォル、ペトロミィはどこですか!?、ってきいてるんです!」

 「あの石みたいな馬車がそうらしいぞ!」

 「らしい、じゃ困るんですよ!」

 「とにかく一緒に行けばわかるさ!」






 昼前に出発した『ペトロミィ受け取り隊』が二時間ほど()けてタケルの作った水槽馬車を受け取りに行った。


 昼過ぎに彼らが川小屋に到着したとき、数台のとてもそうは見えない水槽馬車の横で土人形(ハニワ兵)が車輪を空回りさせているという異様な光景に絶句した。ロープで繋がる滑車が上に取り付けられており、そこからバシャバシャと水の音が聞こえてはいたが。


 「あ、姫様!」

 「ご苦労。思ったより早かったな、ん?、ああ、あれか。あれはタケル様の魔法人形だ。害はないので気にする事は無い」

 「…はぁ」

 「早速だがティルラ・ホーラードと札がついている3台がウチの分だそうだ、馬を少し休めたら繋いで運んで欲しい」

 「わかりました」

 「馬用の水槽はあそこで、飼い葉は、ああ、もうしていたんだな」

 「はい、それは分かりやすく屋根や馬立て――馬をつないでおく杭と棒――がありましたので」

 「そうか、準備が出来次第、私も随伴するぞ」

 「はい、ところであの魔法人形は何を…?」

 「ペトロミィが窒息しないようにしているんだそうだ」

 「はぁ…」


 その騎士は、質問をしたがメルリアーヴェルの返答が理解を超えていたのか、一瞬だけ妙な表情をしたが考えるのをやめて準備に取り掛かることにしたようだ。


 そんなやり取りもあったが、いわゆる小休止の後、その魔法人形たちに見送られて一行が新拠点への帰路に発った。






 その頃新拠点では、ペトロミィを料理して食べるための準備や物資の確保に大忙しだった。

 鷹鷲隊(おうしゅうたい)や、金狼団(きんろうだん)で調理ができる者は集められた。もちろん騎士団の調理担当の者らには真っ先に話が行った。伝えに行った者は、「腕が鳴る」などと笑う料理人たちが、この時ばかりという訳ではないだろうがさぞ頼もしく見えたことだろう。


 当然、出入りの商人たちにもその様子が伝わることになり、中には一度第一または第二防衛拠点へと行ってから急いで戻ってくる者もいた。


 そのせいで、人伝(ひとづて)に話が広がったが、第一側は王都からの王子一行が到着したせいで出入りの商人と接触できた者は多くなかったし、第二のほうはもうあまり活気がない状況だったのでこの件を知ることができ、かつ、信じて新拠点まで駆けつけたのが先出の数となった。


 用意されている広場の近くまで水槽馬車が着き、メルリアーヴェルが水槽の高さまでの足場を土魔法で作ったときにも驚きの声がしたが、それよりも水槽から網でペトロミィをすくい上げ、降りてきて皆にも見えるように(たらい)のような桶にあけたとき、周囲の歓声は一層大きくなった。


 そこからは手の空いている者など居ないかのように皆があれこれと精力的に準備をした。当然だが、飲み物を準備する者もいれば、ペトロミィ以外の料理を準備する者もいた。


 皆が皆、笑顔だった。傾いた陽光に照らされて、その汗すらも輝いていた。

 真に高級食材というのはこれほどまでに人の原動力たりえるのだろう。






●○●○●○●






 一方、第一防衛拠点では、王子一行が大小の天幕で食事をした。

 そこにはもちろん勇者2人と、オルダイン団長やビルド団長も居た。


 そして食事が終わり、ようやく開放された勇者2名はオルダイン団長たちと新拠点へと向かおうとしていた。


 「勇者様方もご苦労様でしたな、お二人は川小屋、でしたか?、そちらへ戻られるのですかな?」

 「いえ、新拠点にタケルさんが作った小屋があるのでそちらで泊まろうかと」

 「ああ、あれですか。確か入り口が塞がれていたように思いましたが…」

 「使うとき魔法で開けて使えって言われてるの」

 「なんと、そういうことでしたか、はっはっは」

 「すみません、勝手な事を…」

 「いえいえ、勇者様のなさる事ですから問題ありません。そうするとメルリアーヴェル様にご連絡するのは明日ということに…」

 「ああ、昼食会か…」






 王子一行は現地の状況を聴き取りに来たわけで、その目的は勇者2名と団長たちから昼食をはさんで夕食の前まで、たっぷりと時間をかけて行われたことで果たされている。

 なので明日の午後には王都ケルタゴへの帰路に()つようだ。


 だが、最前線にメルリアーヴェル姫も居るということで、もし時間があるのならその昼食会に列席してくれないかという打診をオルダインが受けたのだった。


 一応、立場的にはメルリアーヴェルは断ることができる。

 ティルラ王国はホーラード王国に支援を要請した立場であり、そこに王族が随伴するほどホーラード王国は重要視したと見ることができる。すると、ティルラからすればメルリアーヴェルの下に挨拶に向かうべきであるが、如何せん彼女の居るところはティルラ王国の考える最前線のさらに先、危険地域であるのだ。


 余談だが、鷹鷲隊(おうしゅうたい)の隊長とオルダイン騎士団長がティルラの王都ケルタゴに寄ってモルパス王に支援に向かうと挨拶をしている。その時にはメルリアーヴェル王女は替え玉なので随伴していなかった。

 本来なら姫騎士の白い儀礼鎧を用意していくものなのだが、いくら替え玉で背丈は同じぐらいだとは言っても、男女違うのだから専用鎧を装備できるほどではない。もし装備できたら王女がかわいそうだ。


 なので、ぎりぎり社交デビューしていないという理由を無理やり付けて、支援には参加するがそれはあくまで騎士団員としてであって、責任者側ではないということにしたのだ。


 そういう事情もあって、『メルリアーヴェル王女が前線で戦っているらしいが本当なのか?』という確認の意図も、ティルラ王国側には少しだけあったりする。






 第一防衛拠点で本日、午後から充分な時間をかけて魔物侵略地域の状況を、タケルから渡された最新の地図をもとに説明や質疑応答をしたので、王子たちにもある程度の理解は得られた。


 しかし、いくらビルド団長やサクラたちが川小屋と彼らが呼称する場所が安全だと言ったところで、その場所はつい先日まで魔物が襲来して国境線を守ることができず後退と前進を繰り返していたような第一防衛拠点よりさらに西側の、ティルラ新拠点よりもさらに50km以上西だ。

 そのようなところに達人級どころか一般兵程度の戦闘能力しかない王子が側近や護衛兵をぞろぞろ連れて行くなどできるわけがない。


 むしろ達人級と認められるメルリアーヴェルだからこそ、そのような場所に勇者たちと居ることができるのだとティルラ王国としては捉えている。


 魔物に関係ないケガでも責任問題に発展する可能性を考えると、誰もそのような意見は言うことができないという理由もあるが。






 さて、メルパス王子の言い方は『できれば来て頂けないか』というものだが、ここに王族としての上下関係が入ってくると、意味が変わってくる。


 メルパス王子は第二王位継承権を持っている成人済みの王族だ。

 対して、メルリアーヴェル王女は王位継承権としては第五位であり、未成人の王族なのだ。


 本来ならば、社交デビュー前の姫をそういった食事会に誘うことは禁忌ではある。

 だが、戦場に近い場所であること、それともうひとつ、メルパス王子の兄であるハルパス王太子の婚約者がホーラード王国のストラーデ王女であるという事情がそれを覆すことになる。


 単純な立場としては断れるが、上位の王族からの要請であり、そしてそれぞれの兄姉の関係性から断ることができない、という事になってしまうわけである。


 それでももし断ったとする。

 例えば物分りのいい者であったなら、『最前線のさらに向こう側だから魔物との戦いもあって多忙なのだろう』ぐらいに思ってくれるだろう。

 ところがメルパス王子はそのような都合の良い斟酌(しんしゃく)をしてくれる人物ではない。はっきり言うと『自分のほうが上位なのに断られた』と考える性格なのだ。


 もうお分かりだろう。今回の『できれば来て頂けないか』は、『来い』なのだ。






 メルリアーヴェルはドレスなど持ってきていないので、前日の夜だろうが当日の朝だろうがそんなもの急に言われても用意できないのだから、略式であれ正装となると騎士団の甲冑を装備していく他はない。


 ちなみにオルダインは王都ケルタゴへ挨拶に寄る都合もあって、貴族としての礼装を持ってきているので今日はそれを着用していた。


 真夏の天幕での昼食会に鷹鷲隊(おうしゅうたい)の黒い甲冑で参列とか何のいじめだろうか。直射日光はあたらないとしても、暑さは相当なものだろう。もちろん食事会なので(かぶと)は持参するが被りはしないにせよ、だ。


 オルダインもそこらへんを理解しているので、できれば断る方向へと話を持っていきたかったのだが、『安全なのだろう?、最前線から勇者様がお二人来れるなら、問題ないのではないか』などと言われてしまっては断りようがなかったのだ。






●○●○●○●






 そして新拠点に戻った勇者2名とオルダインたち。馬より走るほうが速い4名だけが先に到着したのだが、新拠点に近づくにつれて魚の油と塩ダレの焦げる香りに気がついた。

 もちろんそれだけではなく普通に肉なども焼いていたし煮込み料理だってしていたのでその香りも混ざってはいる。


 「何かいい匂いがする…」

 「今日は祭りか何かなのか?」

 「いいえ、存じませんが…」


 篝火(かがりび)煌々(こうこう)()かれている方からその匂いがする。

 とにかく行ってみようと、誰が言わずとも駆け足で向かう4名。


 そこは大宴会場となっていた。


 「あ、団長!、と隊長!、お先に頂いておりまっす!」

 「「「頂いております!!」」」


 「一体何事だ!?」

 「あれ?、隊長ご存知無かったんですか?」

 「姫様がペトロミィを大量に持ってきて下さったんですよ!、ほら、これです!」


 すっかり出来上がって赤い顔をしている兵士が皿ごと持ち上げてペトロミィの焼き料理を見せている。

 奥のほうでは料理人たちが石を組んだかまどに網を置き、炭火でせっせと焼いているのと同じものだ。


 「ペトロミィって何?」

 「フォルメスの事だ。ホーラードではペトロミィって言うんだ」

 「フォルメスって(うなぎ)みたいなやつだっけ?」

 「ああ、高級料理らしいぞ、私も2度ほどしか食べたことがないな」

 「へー、姫様ってメルさんだよね、あ、メルさん来たよ!、メルさーん!」


 普段着のメルリアーヴェルが兵士と一緒に小型の樽を抱えて来た。

 彼女はそれを料理人のところに置いてから、駆け寄ってきた。


 「ネリ様!?、とサクラ様!?、ケルタゴに向かったのでは…?」

 「ううん?、第一拠点で王子様を出迎えただけで王都まで行かなくて済んだの」

 「そうでしたか。ということは、オルダインもそれで」

 「はい。先ほど解放されましてな、それはそうとこんなに大量のペトロミィは一体…?」

 「タケル様が大量に下さったのです。あちらでは煮込みも出してます、良かったらどうぞ」


 メルリアーヴェルだとわかったのか、近くのテーブルから兵士が呼びかけた。


 「姫様ぁ~、美味いっす~!、ごちっす~、ははははー」

 「「ごちっす~、はっはははー」」

 「お前ら飲みすぎだ!、すみません姫様、ったくこいつらは…」

 「「すみません姫様~、あっははは!」」


 実に楽しそうである。

 メルリアーヴェルも苦笑いをしていた。


 「私もまさかここまで大事(おおごと)になるとは思わなかったな…」


 そう言いつつも微笑んでいた。


 「仕方ありますまい。めったに食べられるものではありませんからなぁ」


 オルダインも苦笑している。


 「ところで姫様、明日の昼に第一防衛拠点にてメルパス王子が昼食会にとのご要望なのですが…」

 「メルパス王子か…、では行くしかないな、しかし服がないぞ?」


 一瞬目線を伏せ、そしてオルダインを見上げるメルリアーヴェル。


 「…甲冑ですか…?」

 「しかし儀礼用ではなく、黒だぞ?、さすがに真夏の昼食会に黒甲冑は無いだろう?」

 「それは確かに…、しかし今からでは…」

 「タケルさんに相談してみては?」


 その言葉に2人ともサクラを見た。


 「もしかしたら何とかなるかも知れませんし」

 「ふむ…、そうですね、では私はもう少ししたら川小屋へ戻ります。サクラ様もオルダインも、あ、ネリ様はもう早速楽しんでおられるようですね、ふふっ」

 「え?、あ、ちょっと目を離した隙に…」


 ネリがちゃっかりテーブルと椅子を作ってそこで食べていた。


 「美味しいよ!、サクラさんも食べたら?、メルさんも!」

 「ああ、私はこの騒ぎになる前に結構頂いたのですよ」

 「へー、んじゃ団長さんは?」

 「おお?、良いのですか?」

 「どうぞどうぞー」

 「全く、しょうがないやつだな、さっき夕食を食べたところだろう?」

 「あんな、食事中の会話がダメなんて、逆に味わかんないよ?、何かじろじろ見られてたしー、居心地悪いったらなかったよ…」

 「その意見には同意するが…」

 「本来、食後に歓談の時間があるものなのですよ、男女別ではありますが」


 そこにオルダインが補足をした。


 「なるほど、しかしオルダインは、その、良かったのか?」

 「今回は女性が勇者様のお二人しか居られませんでしたので、お送りするという大義名分で抜けることができて助かっております、ははは」

 「そういうことか。ではビルド団長は…」

 「気の毒ではありますが、仕方ありませんな。彼はティルラ王国の騎士団ですから」

 「そういうことなら、仕方ないな。ん?、ネリはどこに…」

 「ネリ様ならあちらの煮込みのところに」

 「全く、落ち着きのないヤツだ…」

 「はっはっは」





(作者のつぶやき)

 「ばっちりOK」とは一体…。

 あと、サクラさん本当にご苦労さま。


次話2-89は2019年03月13日(水)の予定です。


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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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