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1ー007 ~ 雑貨屋

 帰りに思ったんだが、今回は近いところだったんで、こうして荷物を取りに行けたんだけどさ、遠くまで進んだ勇者って、死んだら取りに戻るのが大変だよな。


 勇者って何なんだろうな。

 あんなさ、何々を司る精霊様から、『勇者様』なんていわれるんだぜ?、びっくりだよ。


 俺なんて普通の人間と大した違いなんてないのにさ。

 ん?、考えりゃ肩書きなんてそんなもんか。


 肩書きに敬意を持ってるのであって、中身なんて俺じゃなくてもいいみたいな?


 自分で考えておきながらだけど、なんかちょっと萎えるなー、ははは。

 でもちょっと気が楽になったか。






 そういや精霊ってのも不思議な存在だよな。

 あれだろ?、人間なんかの遥か上の存在じゃん?、物語によっては神々みたいな扱いだぜ?


 そんなのが気軽?、とは言えないけど、ほいほい出てくる世界なのかな。ここ。


 でも何だかんだで精霊事件2連続だよ。もう口に出しては言わないけど燻製肉事件と、地底湖事件な。ほぼ同時期に2件だよ…。


 精霊って結構いるのな。






 「…ケルさま、タケルさまっ!」


 何か引っ張られた。おおリンちゃんどうしたん?


- はいはい?


 「そちらの兵士のかたが…」


- おお?、はいはい、何でしょう?


 「ダンジョンの出入りは記帳をお願いしていたはずですが。どうかされましたか?」


- あ、そうでした。すみませんすぐにやります。


 そうなんだよね、なんか前の世界で工場とか大会社とかの受付で記帳するみたいなイメージだわこれ。

 入った日時と、目的の部署ね。ここだと何階層とかさ。まぁこのダンジョンは1階層しかないみたいで、その分スゲー広いから地図上で言うどの方面のルートに行くとか地図の範囲外か、って書くようになってる。


 あ、出るときは出た日時な。入ったときの横に追記すんの。中で何泊かしたらめんどくせーのよこれが。


 「はい、確かに。ご苦労様でした」






 そういえばお腹すいたなー、って今ごろになって自覚したら、お昼なんてとっくに過ぎてて日もだいぶ傾いてた。夕方にはまだちょっとあるみたいだけど。


- んー、お腹すいたなー、リンちゃんお腹すかない?


 「はい!、でもえっと…、食べてもいいのですか?」


 いやいや、それどんな拷問よ。食べれる…よな?、燻製食べてたんだし。仕えてくれる少女に食べさせないとか、いくらなんでも酷いだろう。


- いいも何も、休憩のときお茶飲んでクッキー食べてたよね?


 「はい、でもあれはお金掛かりませんし、姿も、その…」


 ははぁん、姿が見えないようにしているとお店で食べるとき不自然だから、我慢しようと思ってたってことかな。


- リンちゃん、その上からローブを着ても暑くない?


 「え?、はい、大丈夫ですけど…?」


- その服装だとちょっと目立つから、目立たないようにローブを着れば、お店で姿を隠さなくてもいいんじゃないかなって思ってさ。


 「あの…、でもその…、(あたしのような子供みたいなのは勇者様のお供として相応しく見られないのではないかと)そのぅ…」


 ん?、何かごにょごにょ言ってるけど、まぁいいか。


- まぁいいじゃないか、一緒に食べようよ、せっかくだしさ。目の前でリンちゃんが食べずに居るの寂しいしさ。


 と言うとぱぁっと明るい表情になり、


 「タケルさまがそう仰るのでしたら!」


- お、おう…


 なぁんだ、やっぱりお腹空いてんじゃん。






●○●○●○●






 雑貨屋ですぐ見つかるだろう、なんて思っていたさっきの俺をぶん殴ってやりたい。


 全然見つかりません!

 

 まず、子供用の服が無い。そういや子供って全く見かけないな。


 小さい人用、みたいなのはないのかな、と思ったが、古着だからか標準的な体型の人向けのものばかりだ。


 店のオヤジ、というほど年とってるわけじゃないが、少なくとも俺よりは年上の青年店主に小さめのは無いかと尋ねてみたが、


 「そこにあるだけだから気長に探しな」


と言われた。ついでに妙な目でも見られてしまった。


 これは小さそうかなとか思ったやつの肩んとこを持って、横のリンちゃんに合わせてみるが、やっぱリンちゃんにはでかいし長いのばかりだ。


 案外フードつきのローブって無いなー、ラノベとかアニメとかだとすぐ見つかるんだけどなー、巨漢体型の虎とか、幼女ばっかお供にしてるシステムエンジニアの人とか、ああ、裁縫スキルがすごいんだっけか、うーん見つからないなー。


 やっぱ標準的な体型のほうが古着ってたくさんあるもんだよな。


- んーなかなか無いなー、何かこう、魔法的なものでスマートに見つけられないもんかなー。


 「そういうのは無いんですが、魔法がかかってるものなら分かりますよ?」


- え?


 「タケルさまにももう分かると思います。検知魔法ってタケルさまは仰ってましたけど」


- え?、あれって検知魔法的なものじゃないの?


 「集中して魔力を探っているだけで、魔法という訳では…」


- あ、そういうことね。で、それどうやんの?


 「術者によってやりかたは多少違うらしいのですが、あたしの場合はお母様が光を司るというのもありまして、こう、小さい波をぱっと広げて返ってくるもので判断するような感じです」


 ふむ、ピンを撃つアクティブソナーみたいな感じか。

 ってことは普段から魔力を感じるようにできるってことかな。要練習、ってとこか。


- なるほど。ちょっとやってみるか。


 「お店の中程度でしたらすごくすごーく小さくていいと思います」


- 加減しろってことね。


 ダンジョンでした練習の成果を見せてやるぜ!、なんてな。


 んっ、タイミングというか切っ掛けがないとやりにくいな。

 最初だし、両手を合わせる感じでやってみよう。

 え?、指パッチン?、やだよ、なんかキザったらしいじゃん。






 おお、んん?、あー?、んん?、えーっと、こうか?、あ、これかな、おお、見える、見えるぞ、私にも見えるぞリン!


 「…さまっ、タケルさま!」


- ん?、何だよリンちゃん、今いいところなんだよ。


 「その、皆さんこちらを見てるようなのです」


 おおっと、注目を浴びてしまった。ってかこれはたから見てたらただの変なヤツだよな。恥ずかしー。


- あ、いやその、ちょっといいこと思いついたなーって、あははは…。


 やっぱり頭がかわいそうなヤツみたいな目で見られてら。まぁ、わからんでもないけどな。しょんぼりだぜ。

 でも視線は散ったようだし。さっき見つけたのを…、っと。


 おお、これこれ。ん、でもリンちゃんにはでかすぎじゃね?


 「タケルさま、それはちょっと…」


- やっぱり大きすぎるよな。


 「そうではなくて、それ、呪われています…」


- えっ!!


 あ、また注目をあびてしまった。



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2019年05月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
なるほど。わかりません。
2020年01月にAI分析してもらいました。ファンタジーai値:634ai だそうです。
同じやん。なるほど。やっぱりわかりません。
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