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■1日目 12月26日■ <4>

■1日目 12月26日■


<4>


 クリスマス気分の残る夜の六本木は、大勢の若者で賑わっていた。

 ミニスカートのサンタクロースの衣装を身にまとった、女性の集団。

 赤い鼻のトナカイの着ぐるみを着て仲間たちと楽しそうに騒いでいるが、酔いのせいで鼻より頰の方が赤くなっている男性など、路上はお祭りの様に盛り上がっていた。

 一日遅れでクリスマスを祝うなんておかしいと思ったが、昨日のクリスマスが木曜日だったために、週末の金曜日に社会人ははしゃぐものなのかもしれない、とコウジそんな街の喧騒を横目で眺めながら考えていた。ハロウィンもそうだ。正式なハロウィンの日よりもその週末の方が盛り上がるものだし、実はコウジ自身が開催している今夜のクリスマスパーティも、週末の方が人が集まるだろうと金曜日にしたのだ。

 コウジはシンイチを待っていた。約束の夜十一時になっても、シンイチは現れる気配はなく、何回も送っているメッセージも全て未読のままになっていた。

 コウジはシンイチのただならない様子を目撃し、パーティには来ないだろうと予想はしていたが、シンイチに電話をした。

 数回呼び出し音が鳴った所で、留守番電話の機械音に変わった。

「シンイチ、遅れてもいいから来れそうだったら来なよ。待ってるから。これ聞いたら連絡して」

コウジはそう言って電話を切ると「ふぅ」とため息をついた——。




 シンイチは失恋のショックから幻聴が聞こえるようになってしまったのだと狼狽していた。

 シオリへの強い想いが精神に異常をきたし、コウジとシオリが交際しているという一番想像をしたくない事実を幻聴として聴かせたのだと疑わなかった。体がガタガタと震え出し、吐き気が襲った。

 コウジから心配をするメッセージが何件も届いていたが、シンイチはマナーモードにした携帯をベッドの枕の下に入れ、見ないふりをした。


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