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■1日目 12月26日■ <1>

■1日目 12月26日■


<1>


 朝方まで寝付けずにいたシンイチにとって、冬の地獄の様な寒さを天国に変えてくれる羽毛布団をミキに一気に剥がされて起こされるのは、不愉快極まりなかった。

「もう、九時よ! 起きなさい! 今日学校行かなきゃいけないんでしょ!」

「寒い! 布団返して!」

「ちょっと何言っているかわからないわ」

 ミキはとあるお笑い芸人がネタの中でよくいうフレーズをテレビで見てから言うのが好きだった。

「なんで何言っているかわからないんだよ! 今日は昼過ぎでいいんだよ。まだ少し寝かしてよ」

 シンイチはそんな母親の事は好きだったが、眠さと寒さの中で言われるのは無性に腹が立った。

「あのね、無駄に学費を払うほどうちは裕福じゃありませんから」

 サボりぐせのある息子を一番よく知っているミキは、息子に会心の一撃を与えたつもりだった。

「もう、学校冬休みなの! 友達と約束があるだけだから!」

 痛恨の一撃をくらったミキは

「朝ごはん冷めるから降りてきなさい」

 と力強く言って部屋を出て行ったが、バツは悪そうだった。

 シンイチは寒さとこのやり取りですっかり目が覚めてしまい、抵抗する事をやめて起きる事にした。

 ベッドから落ちている羽毛布団を拾い上げ、再度天国に入国しながら昨晩の奇妙な事を考えていた。ウェブブラウザのサイトの閲覧履歴も消えていたし、あれだけ大量に届いていたメールも、全てパソコンから消えていたのだ。もちろんゴミ箱も検索したが、何一つ残っていなかった。

 やはり何かのいたずらサイトだったのだろうと、昨晩と同じ結論に達した所で、

「朝ごはん、冷めるわよ!」

 というミキの叫び声が聞こえた。


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