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■0日目 12月25日■<2>

■0日目  12月25日■


<2>


 シンイチはその後どうやって帰宅したか記憶がなかった。寂しそうに「ごめんね」と言って去っていくシオリの後ろ姿を、ただ何もすることが出来なく見送っていた事が最後の記憶だった。

「意外に早く帰ってきたのね。お父さんも今夜は仕事でいないって言っていたから、ご飯の用意ないわよ」

 シンイチの母親であるミキが、クリスマスに早めに帰宅してきた息子に驚いた様子で言った。

「うん……食べてきたから大丈夫……」

 元気なく返事をして2階の自室にこもる息子を見て、ミキはそれ以上何も言わなかった。

 シンイチはベッドにうつ伏せに倒れこむと、そのまま枕に顔を埋めて声を押し殺す様に嗚咽した。何が行けなかったのか、どうしてこうなってしまったのか、理由を見つけることが出来ずにただむせび泣いた。 

 今日一緒に過ごしたシオリの心に暖かく届く声や、その笑顔が走馬灯の様に蘇る。シオリと過ごしていると穏やかな気持ちになれた。一緒にバカやって笑って、気を使うこともなく自然な関係だった。それはシオリも同じ様に感じていると、シンイチは確信していた。だからこそ、余計にシオリの心がわからなかった。人の心がわかればどんなに良いことかと悔しさを滲ませていた。



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