プロローグ2
かのジャンヌ・ダルクは
民衆のために尽力し、己の身を顧みず他人のために力を尽くしてきた。
しかし、最後は異端審問にかけられ火刑によってこの世を去っている。
その後、異端審問による容疑は冤罪と判明され、人々はジャンヌ・ダルクに様々な形で謝罪し、崇められてきた。
人は、ジャンヌ・ダルクのように自分の身を自ら削り他人のために尽力するもののを、英雄と呼ぶ。
しかし、英雄になりたいと思う者は全くと言っていいほどいない。
それは何故か。
英雄とは必ず最期まで報われないものと思われているからである。
報われるのは大抵死んだ後である。
魔王を倒した勇者はその後王に強大すぎる力を持つ敵とみなされ討たれる。
人々の心を揺り動かし革命を起こした英雄はその力で圧倒された民衆、王に詰られる。
もちろん例外もあり、報われずとも波乱を呼ばずにこの世を去った者もいるのだが、やはりそれもひと握りである。
ここまで英雄についてを言ってきたが、さらに報われないものも世の中にはいるものである。
それは、英雄の子孫-。
悪魔の子と、一生をかけて嬲られ、詰られ、蔑まれ、生きていく。
これは、英雄の子として生まれた者の物語である。