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その6 常識の師匠

~~~~~~

房代を乗せた車は、空いている座席にまで大量のお弁当を乗せて走っていた。

おそらくトランクの方にもいっぱいに入っているのだろう。


車を運転する金子は、どこか不安そうに房代に話しかける。

「房代さん、もしかして・・・これからは毎日このお弁当を届けることになるんすかねえ。」


房代はどこか楽しそうに答える。

「もちろんですよ。友美様や冬美様の分だけもっていくのでは、エスパーの娘たちが可愛そうですもの。これからは毎日全員分をもっていきます。」

「ひえええ、これはエライ事ですわ。せめて外注でどうにかできませんか?。」

「そうですね、週に1~2日は外注でもいいかもしれませんね。でもできれば毎日作ってあげたいです。」


「なんでそんなシンドイ事しますの?外注でも変わらんと思いますよ。」

「まあ大変ですけど、エスパー部隊の娘たちは愛情をあまり受けないで育ってるみたいですから、せめて私が手料理を作りたいんです。それにエスパー部隊はVさんの娘達みたいなものじゃないえすか。でしたら私の娘も同然です。出来ることは出来るだけ手をかけてあげたいんです。」


金子は肩の力を抜きながら微笑んだ。

「ほんと、房代さんにはかないませんわ。イケメンマスターの娘達だったら、俺らも出来るだけ協力しないといけませんな。羨ましい娘たちですわ。」


房代はクスクスと笑う。

「ありがとうございます。きっとVさんも金子さん達に感謝していると思いますよ。」


じつは房代は中学校に行った事がない。

最終学歴は小学校中退である。


国持所長の英才教育で、一流大学卒業以上の教養を持っているが。

父がイケメンマスターであったために、学校には通えなかったのだ。

それだけに、友美と冬美の学校生活の話を聞きたくてしょうがないのだ。


「お二人がどのような学校生活を送るか、楽しみですね。」


そんな房代を乗せて、車は混沌の芽守学園に向かっていた。

~~~~~~




私は歌田芽衣。元エスパー部隊だったけど、今は天道友美っちの御付をしているよ。

いま私は、三人の後を追ってるんだ。


目の前を早歩きで歩いているのは、私の親友・天道友美っち。

その前をズンズン歩いているのが、大柄な長いポニーテールの荒川餡あらかわ・あん。それと、この学園長の娘の兼松美羅かねまつ・みら


さっき、教室でこの三人が「いとこ同士」だという可能性が出たので、学園長をしている美羅のお母さん「兼松矛美」さんに確認にいくところなんだ。


学園長室の前に来ると、美羅はノックもせずにドアを開ける。

「お母様、お話がありますの。いらっしゃいますか?。」


私達がお構いなしに部屋に入ると、部屋の奥の席に、美男子のような端正な顔つきの女性が座ってた。


「どうした美羅・・・ん?、餡と友美も一緒か。」

餡はいそいでお辞儀をした。

「叔母さんスイマセン、実は急なのですが確認したいことがありまして。」


美羅はズンズン兼松矛美学園長の前まで進むと、手に持ったセンスをパシャリと閉じる。

「お母様、じつはこの友美さんがワタクシたちのイトコかもしれないというお話なのですが、何かご存知ありませんか?。Vお兄様からいただいたメールで、Vお兄様が友美さんと一緒に行動してたことは知っておりましたが、イトコというのは初耳でしたもので。」


すると兼松矛美さんはまったく慌てることなく答えたよ。

「そうだ。お前たちと同じ荒川武玄を祖父に持つ。そして荒川武威によって面倒見られていた娘だ。おそらく武威にとっては当たり前すぎて、説明し忘れたのだろうな。人間は当たり前すぎることは説明しないものだ。3年には友美の姉の冬美がいる。もしも気になるなら会ってきてはどうだ?。」


友美っちはいそいで矛美さんの前に行く。

「あの、私の事はご存知だったのですか?。」


すると、矛美さんは普通に答えた。

「ああ、秋彦殿や妹の房代とも会ったことがある。だいたい友美がこの学校に通う準備をしたのは武威なのだから、私が把握していないわけはないだろう。」

そういうと、矛美さんは眉毛を軽く動かして微笑んだんだ。


どこの貴公子だ。イケメンすぎる微笑。


美羅は一呼吸置くと、また扇子を広げてパタパタしだして余裕の表情になる。

「おほほ、お母様も把握していらっしゃるのでしたらこの話は解決です。ですが友美さんには随分と御付が多いようですが、そのあたりの事も興味がありますわ。モノのついでというのもなんですが、教えていただけませんこと?。」


すると、矛美さんはうなずく。

「ああ、友美と冬美は世界でも屈指の権力を持つ「ペルシアの華」という組織の一族だ。

それなりの権力者でないと名前を耳にすることもないが、政治家や財閥のような地位を持ち始めると無視できない存在だ。

そこのお嬢さんだから世間知らずだ。

美羅には友美が上手くやっていけるように常識を教える手伝いをしてあげて欲しい。」


そしたら餡が割り込んできた。

「ええ?美羅が常識を教えるって、それはちょっと無理があるじゃないかな。」


「なんだ餡は不服か?おそらく友美や冬美はそれほど常識がずれているから美羅をクッションに常識を教えるた方が良いというのは武威の提案だ。

先週に電話で武威がそう伝えてきたんだ。まあ餡は美羅が暴走しないように監視してやってくれ。」


「V兄さんが?んんん、それならそうかもしれないか。それなら納得です。」

Vっち、電話したんだ。マメだなあ。


そして私達は、学園長室を出て教室に向かって歩き出した。


すると美羅が妙に高いテンションで友美っちの手をとって歩き出したよ。

なんで手を握る必要があるのか?この人も不思議テンションっぽいな。


「おほほほ、友美さん。それではこれからは、親戚ですわね。姉妹のようにワタクシを頼ってくださって結構ですのよ。おほほほ。」


友美っちは困った顔をしながら答えた。

「あ、ありがとう。Vちゃまの提案だからしばらくは従うけど、あんまり張り切らないでいいよ。」

「おほほ、なにを仰ってますの、ワタクシが手取り足取りで常識を教えて差し上げますわ。おほほほほ。」


なんとなく美羅ちゃんに常識を教えてあげたい気分だけど、私も世間知らずだからなあ。

自信を持って美羅ちゃんが非常識と言い切れないのがキツイよ。

読んでくださりありがとうございます

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